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星から来た人々8話 協力者?、参上 投稿者:NEXUS 投稿日:08/10-16:32 No.2797

 中等部 玄関 いつもと変わらぬ通学の風景。だが、一つだけ違うのは・・・

ネギ「お、降ろしてください、明日菜さ~ん。」

  教師であるネギが登校拒否しようとして捕まり、明日菜に担がれている事だった。

明日菜「先生のあんたが登校拒否したら生徒に示しがつかないでしょ!!」

  そんなやり取りをしながら玄関をくぐって行く明日菜。後ろの方で猛とミライがそれを見ている。

ミライ「大丈夫でしょうか、ネギ君・・・」

猛「・・・満月でエヴァの魔力が回復することを忘れていた私の責任だ・・・」

  そう言うと猛達もネギ達を追って玄関へと歩いていった。


  屋上 エヴァンジェリンが壁にもたれかかって座っている。

エヴァ「はぁ、眠い・・・」

  そう言って瞼を閉じようとした時
  
  パシィン!!

  結界が何かに反応した。

茶々丸「どうしました、マスター?」

エヴァ「何かが学園に入り込んだようだ。・・・面倒だが、行くしかないな・・・」

  そう言うとエヴァと茶々丸は屋上から出ていった。


  3-A教室 授業にも身が入らないネギが、教卓に突っ伏していた。エヴァンジェリンがいないということが分かり、一応教室には入ったものの、まだ昨夜の恐怖におびえていた・・・

ネギ(新学期早々にこんな大問題なんて・・・それにパートナー探しも・・・)

  はぁ、と溜め息をつきながら目線を前に向ける。3ーAの生徒達が目に入る。

ネギ(この中に、僕のパートナーになってくれる人が・・・いるわけないか・・・)

  はぁ、と再び溜め息をついて突っ伏してしまう。途端に教室がひそひそ声で騒がしくなる。

和泉(何か先生の様子おかしいよ。)

のどか(溜め息ばかり付いてボーッと私たち見て・・・)

明石(体調悪いのかな?)

早乙女(皆甘いわね・・・先生のあの目は、何か大切な物を探す・・・そう!!恋人探しよ!!)

  当たらずも遠からず。その言葉に更にひそひそ声が大きくなる。そんな状況にも気付かず突っ伏すネギ

  キーンコーンカーンコーン

  とうとうろくに授業もせずに終了を向かえてしまう。

ネギ「それじゃあ今日はここまでにします・・・」

  ふらふらと教室を出ようとする、が・・・

  ガンッ!!

  半開きになったドアを通り抜けれずに顔を打ち付けてしまう。

ネギ「だ、大丈夫ですから・・・」

  そう言って出ていくネギ。慌ててミライと明日菜が後を追っていった。途端に騒がしくなる教室。それを窓の外から黒い影が見つめていた。


  通路 ネギと明日菜、ミライが歩いている。

明日菜「大丈夫よ、ネギ。今度来たら私が追い返してあげるからさ。」

ネギ「明日菜さんは知らないんですよ。あの人がどれだけ恐ろしいか・・・」

  明日菜が声をかけても更に元気が無くなるネギ。先程よりも更にうなだれてしまう。

ミライ「とりあえず、次の満月までは彼女も襲っては来ないから、それまでに対策を考えないと。」

ネギ「早くパートナーを見つけないと・・・次は本当に殺されてしまう・・・」

声「力が必要かい・・・兄貴・・・」

ネギ「え、何か言いましたか?」

ミライ「何も言ってないけど・・・」

  不意に響いた声に辺りを見回すネギ。明日菜とミライに訪ねるが首を横に振られる。

声「・・・下ですぜ、兄貴・・・」

  声の言う通りに下を向く3人。そこには白い小さな動物がいた。

ネギ「君は・・・!!」

カモ「アルベール・カモミールですぜ。兄貴、久しぶりッスね~!!」

  思わず抱き着くカモとネギ。その隣では明日菜が、動物が喋っている事に固まっていた。


  明日菜達の部屋 ネギ達がテーブルを囲んで座っている。 

ネギ「ところで、どうしてカモ君がここに?」

  カモをテーブルに乗せながら聞くネギ。

カモ「実は兄貴の姉さんに頼まれまして、パートナー探しを。それで兄貴のクラスを見てきたんですが、いやーホントにいい素材ばっかでしたぜ。あの中に運命のパートナーがいますぜ!!」

ネギ「本当!?」

カモ「ホントですとも!!俺ッチの能力に間違いなどほぼ在りませんぜ!!」

  そう言いながら、ネギの持つ出席簿を開くカモ。

カモ「この子ですぜ、俺ッチのセンサーに反応したのは。」

  指差したのは・・・

ネギ、ミライ「宮崎さん!?」

カモ「兄貴も名簿に『すごく可愛い』とか書いてあるんだし、いけますぜこりゃ。」

明日菜「どういうこと?」

カモ「パートナーってのはただ隣にいるだけじゃダメで、互いに信頼・・・簡単に言えば両思いみたいじゃないとダメなんスよ。その点、この子は現時点でダントツトップに兄貴への好意が高い!!」

  その説明に一同が納得したように頷く。

明日菜「そう言えば、何かと色々巻き込まれてるものね、本屋ちゃん。私に魔法がばれたのもそうだったし。」

ネギ(確かに少し思い当たるフシがあるけど・・・でも・・・)

カモ「ほら兄貴、さっさと契約しに行こうぜ。」

ネギ「うう・・・少し考えさせて~!!」

  そう言うと、そのまま部屋の外へと飛び出して行くネギ。それを玄関先で明日菜とミライは見送っていた。

ミライ「まぁこれで、問題は一つ減りましたね。」

明日菜「そうね・・・あれ、手紙?ネギのお姉さんからね。」

カモ「!!姐さん、その手紙は俺ッチが兄貴に届けてきますぜ!!」

  ポストに入っていた手紙を取り出す明日菜。そこに書かれた名前を聞き、慌てて取り上げるカモ。

明日菜「えっ?いや、まあいいけど。」

カモ「そんじゃ兄貴に渡してきますぜ。」

  走り出すカモ。だが廊下の角を曲がったところで、誰も居ないのを確認し、手紙を丸めて捨てる。

カモ(このままじゃヤベェ・・・こうなったら今すぐ作戦を開始するしか・・・)


  学園 玄関 のどかが自分の靴箱の扉を開く。それと同時に一枚の手紙が落ちてきた。

のどか(こ、これはネギ先生からの手紙!?)

  そこには、なんとも言えない汚い字で「学校の裏で待ってます。パートナーになって下さい。」と書かれていた。冷静に考えれば、これはネギの字ではない事は一目瞭然だが、今ののどかはそこまで冷静ではなかった。その場でおろおろしだすのどかを見て、手紙の犯人・・・カモはにやけながらその場を走り去った。


  広場 ネギが階段に座って悩んでいる。その切羽詰まった表情は、時間が経つごとに酷くなって行く。そこにカモが走ってきた。

カモ「兄貴、さっきの宮崎って子が不良に絡まれてたっス!!」

ネギ「なっ、それ本当か!?」

カモ「学校の裏手で絡まれてやした!!」

ネギ「わかった!!」

  カモを引っ付かみ、杖にまたがるネギ。そのまま飛び立って行く。


  学校の裏手 のどかがいた地点の少し手前で杖から降りると、走ってのどかの方へ向かう。

ネギ「宮崎さん!!大丈夫ですか!?」

のどか「あ・・・先生・・・」

  周りを見回すが、何処にも不良の姿が見えない。

ネギ「不良共は何処に!?」

のどか「・・・?」

  しかし、のどかは分からないと言う表情を受けべている。不思議に思ったネギが肩の上のカモを見ると
下品な笑みを浮かべていた。ネギはその意味をのどかの言葉で知った。

のどか「あの・・・ホントに私がパートナーで良いんでしょうか?」

ネギ「えっ!?」

  再びカモの方を向くと、更に笑みが酷くなっていた。

カモ『手っ取り早く契約完了させる為に、一芝居打たせてもらったぜ。』
 
  念話を使い、話し掛けるカモ。

ネギ『計ったな、カモ君!!』

カモ『後押ししたって言ってくれ!!』  

  そんなやり取りをしている最中、のどかが話し掛けてきた。

のどか「あの・・・この前から助けてもらってばかりで、すいません。」

ネギ「いえ、生徒を守るのが僕の義務ですし、そうでなくとも誰かを守ろうとするのは当然です。」

のどか「だから・・・そんな先生のお手伝いをしたいんです・・・」

ネギ「宮崎さん・・・」

カモ『現時点での兄貴への好意ランキング1位は伊達じゃねぇな。・・・よし、“仮契約-パクティオー”!!』

  突然、ネギ達の足元に魔法陣が発生する!!

ネギ「これは!?」

カモ『これが“仮契約”の為の契約魔法陣ッス!!契約して“魔法使いの従者-ミニステル・マギ”になったものは魔法使いを守り助け、その代わりに魔力をもらって血行促進その他諸々パワーアップって訳なんですぜ。』

ネギ『へぇ~、知らなかったな。』

カモ『兄貴達みたいな見習いは、まだ“本契約”は無理だけど、その代わりに何人とでも契約ができるお試しシステムみたいなものが“仮契約”なんですぜ。」

ネギ『なるほど・・・で、これってどうすれば良いの?』

カモ『まぁ契約ってのは色々方法があるけど、一番手っ取り早いのはキスだな。』

ネギ「よしっ、じゃあ・・・ってキスなんてそんな簡単に出来るかぁ!!」

  顔を真っ赤にして怒るネギ。だが念話を使っていなかった事が悪かった。

のどか「キス・・・ですか?・・・私も初めてですけど・・・先生がそう言うなら・・・」

ネギ「えっ!?ちょっと!?」

  必死に止めようとするネギ。だんだんとのどかの顔が近付いてくる。ついに顔を真っ赤にしたまま固まってしまう。

カモ「いけいけ~!!これで俺ッチも晴れて・・・」

???「無罪放免、か?」

  グシャッ!!

  何者かがカモを踏み付ける。途端に魔法陣は消滅し、気絶して倒れそうになったのどかをネギが支える。

カモ「その声は・・・矢的の旦那・・・」

  カモが恐る恐る見上げる。踏み付けた者の正体は、笑顔なのに目の笑ってない矢的猛であった。

ネギ「おじさん!?あ、こ、これは・・・」

  慌てて弁明しようとするネギを遮り、猛はカモを睨み付けた。

猛「ネカネちゃんは、ネギ君と僕に手紙を送っててね。」

カモ「しまったぁ!!忘れてた・・・」

更に追い討ちをかけるように、ミライと明日菜がやってくる。

ミライ「君の捨てた手紙も僕が回収しました。」

明日菜「このエロオコジョ・・・ネギのお姉さんから頼まれたんじゃなくて、悪い事して逃げてきたんじゃない!!」

  猛の踏み付けも加わって、カモの顔はもうムンクの叫び以上になっている。

ネギ「カモ君・・・一体どう言う事なんだ?」

  猛に、踏み付けている足を退けるように頼みながらネギが聞いてくる。それに観念したのか、カモがぽつりぽつりと事情を話し出す。

カモ「・・・実は、俺ッチには、病弱な妹がいやして・・・ウェールズの冬ってのは恐ろしく寒い・・・金がない俺ッチ達はまともな家に住めず・・・せめて妹の病気が酷くならないようにと、保温性の優れた女性の下着を拝借している内に罪に問われ・・・」

ミライ「それって立派な犯罪ですよね?」

明日菜「下着泥棒ね。」

カモ「仕方なかったんだ・・・国にいれば仕事には付けねぇ・・・仕方なく密航し、日本にいる兄貴に雇ってもらい、その金で仕送りを・・・」

猛「なるほどな、マギステル・マギの候補の使いマになれば、向こうも迂闊に手は出さんな。」

カモ「だが、良く考えてみれば俺ッチは命の恩人を利用しに来たもんだった・・・そんな考えの罰が当たったんだな。済まなかった、兄貴。俺ッチは向こうに戻って罰を・・・」

ネギ「待ってくれ、カモ君。」

  立ち去ろうとするカモを、ネギが引き止める。

カモ「どうしやした?もうこんな罪まみれのオコジョの事なんか・・・」

ネギ「なんで言ってくれなかったんだ?水臭いな。僕は君を雇うよ。」

カモ「いいんですかぃ!?俺ッチなんかで!?」

ネギ「良いに決まってるじゃないか。」

  ネギの答えを聞くと、カモは視線を猛に向ける。

猛「ネギの決めた事だ。私は何も干渉しないが、変な事をしたらただじゃ置かないからな。」

カモ「ありがとう、兄貴、旦那!!」

猛「ペットを飼う許可は、僕が出しておくよ。」

  猛は、真剣な表情から、いつもの表情に戻ると、そのまま帰って行った。

  新たな協力者?を手にいれた少年。果たして吸血鬼に勝つ方法は見つかるのだろうか?

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