時空を超えた友情 最終章 第53話 南の戦い 後編 投稿者:TAKUMA 投稿日:05/14-15:12 No.511
-Side NANOHA アースラ 格納庫
翌日、整備を終えたトラベリオンの前に一同が集合していた。
―――と言っても医務室送りのユーノ達の姿が無いが……
特にクロノは『とある事情』で医務室から出られない。
リンディ「それでは深雪さん、なのはちゃん達を宜しくお願いします」
深雪「責任を持って、お預かりします」
アースラの管理局員と天道、巧達が荷物を運び込む中リンディが深雪と握手を交わしていた。
他にも見送りに来た人達となのは達が楽しそうに喋っている。
何故に天道が素直に荷物運びをしているかと言うと、
最初はなのは達小学生組がやると言ったのだが、天道が「力仕事は男の仕事だ」と言って巧も渋々納得しながら運んでいる。
なのは「天道さん達、大丈夫かな……」
流石に仕事を押し付けたと気が引けているなのはにエヴァが答えた。
エヴァ「奴が言い出した事だ。 好きにやらしとけ」
「それに力仕事は好かん」と言い切るエヴァに軽く顔が引き連れた。
なのはは「そうですか」と後ろ髪を引っ張れるが、まかせる事に決めた。
ふと、その時、思い出したかの様になのはが口を開いた。
なのは「そうだ。 お兄ちゃん、大丈夫かな?」
実は昨日、なのはの魔法の事等を家族に打ち明けたのだ。
その際に『プレシア・テスタロッサ事件』から今回の『闇の書事件』までの話、そして、異世界に行く事まで―――
両親達は「思う様にやりなさい」と快く了承してくれたが、ただ1人猛反発した者が居た。
なのはの兄―――高町恭也である。
シスk―――妹思いの彼はなのはがそんな危ない事をする事に猛反発したのだ。
流石に1人だけとは言え、納得して貰えないとなのはも行く行けない。
そんな状況にキレたエヴァが恭也を氷付けにして文字通り黙らせた。
エヴァの魔法を実際見た両親は安心して娘を預けられると喜んでいた。
……………実の息子が凍り付けになっている事は無視している。
エヴァ「問題ない。 力は抑えたし冷凍睡眠と同じだから問題は無い」
ちなみに現在は高町家のリビングで溶けるを待っている間、オブジェとして飾られていた。
今頃、義妹と彼女他数名に弄られている頃だろう。
フェイト「それなら、クロノも大丈夫なんですね」
エヴァ「そうだ」
フェイトの義兄となるクロノも同様に義妹になるフェイト達を心配して恭也同様に猛反対。
その上に「管理局員である僕が行く」と言って聞かなかった。
後はご想像通り、エヴァの魔法が炸裂してベットごと氷のオブジェと化した。
フェイト「そうですか……………ちっ」
エィミィ(クロノ君も災難だねぇ……………義妹に恋敵と思われるなんて)
全てを知っている(覗き見)エィミィが心の底でクロノに哀れみの言葉を投げかけた。
フェイトから見れば『クロノ=なのはの恋人候補(悪い虫)』に見えるのだろう。
クロノ……………哀れ。
なのは達とは別にはやてはスフィンクスと話をしていた。
はやての手の中には1冊の本がある。
それは『夜天の魔導書』であった。
はやて「この中にあの娘が眠ってるんやね」
スフィンクス「はい。 そうです」
リインフォースは昨夜の内にスフィンクスの手で封印された。
その封印されたリインフォースの魂は一時的に夜天の書へと入れている。
言わば、夜天の書はクーラーボックスの様な物である。
手の中の夜天の書をギュと強めに抱くと、満足したのかスフィンクスに手渡した。
はやて「この娘を頼みます……」
スフィンクス「はい。 冥府神の名にかけて」
シャマル「ヴィータちゃん、皆に迷惑掛けちゃ駄目よ」
ヴィータ「うっせーな。 そんな事しねーよ」
はやての車椅子を押していたシャマルの注意にヴィータが返した。
ヴィータ「シャマルこそ、はやてやザフィーラの事頼んだぜ」
シャマル「任せといて。 そうだわ、コレを渡しとくわね」
そう言ってシャマルがポケットから取り出した紙切れをヴィータに渡した。
興味を引いたのかスフィンクスも後ろから覗き込んでいる。
シャマル「管理局が出来るだけのカードリッジを用意していたけど、足りない時の製造方法よ」
スフィンクス「なるほど……あの爆発的な力はこの様になっていたんですね……」
研究熱心なスフィンクスがメモを見て呟いた。
昨夜も話の後、資料室に篭り『ミッドチルダ式』や『ベルカ式』の魔法構造を研究していた。
―――と言っても全て分かった訳では無かったが……
ナイ「スフィンクス様~ 準備が終りました~」
メア「―――てか、誰? こんなに抹茶系のアイス持ち込んだの」
トラベリオンの方で荷物チェックしていたナイとメアが呼びに来た。
メアの手には荷物のリスト表があり、その中に大量の抹茶アイスの数があるのだ。
それを聞いたはやてが後ろでコソコソとトラベリオンの方に向かおうとしている人物の方を向いた。
はやて「シグナム~ 何処に行くんや?」
突然に主に呼ばれた人物―――シグナムはビクッと肩を振るわせた。
そのまま固まった彼女に一同の視線が集まる。
はやて「これはどういう事か説明してほしいんやけど?」
シグナム「そ、それは……その……何と言いますか……」
天使の様な笑みのはやてに強いプレッシャーを感じる。
シグナムは正直に答えた方が身の為と判断し……
シグナム「えっと……その……管理局が経理で落としてくれると言うので……………つい」
はやて「なら、よし♪」
一同『えぇぇぇぇぇ!?』
サムズアップして了承するはやてに一同が叫んだ。
はやて「別に家の金じゃなければ問題ないやんか」
シグナム「まったくです、主はやて」
金銭問題で意気投合する主と従者。
ヴィータ「なぁ、シャマル……はやてとシグナム、性格変わってねーか?」
シャマル「2人とも、事件が一段落して気が抜けたのよ」
ヴィータ「気が抜けたってゆーのか? アレは」
まさか自分がマトモな分類に入るとは思わなかったヴィータだった。
全ての準備が終り、出立するメンバーがトラベリオンに乗り込む。
なのは達は最後の別れに車窓から顔を出していた。
はやて「行ってらっしゃい、なのはちゃん、フェイトちゃん、シグナム、ヴィータ」
はやてがなのは達に手を振りながら言った。
後ろでもシャマル達が笑顔で手を振っている。
その時、エイミィが思い出したかの様に口を開いた。
エイミィ「そうそう、皆のデバイスは昨夜の内に強化しておいたからね」
なのは「―――て事は、パワーアップしたんですか?」
目を輝かせる魔砲少女にエイミィは少し押されながらも答えた。
エイミィ「一応、エクセリオンモードの発動は楽になったよ。 後はデバイス達が教えてくれるわ」
なのは「レイジングハート達が……」
ヴィータ「あたしらのデバイスもなのか?」
ヴィータの問いにエイミィが頷く。
そして、自分のデバイスを手に取った。
他の3人も各々のデバイスを見詰めている。
どうやら、パワーアップしてデバイスが気になる様だ。
エイミィ「ただし、それは『本当』に最後の手段。 なるべくなら使わないで欲しいな」
なのは「ありがとうございます、エイミィさん」
フェイト「ありがと、エイミィ」
ヴィータ「ありがとな」
シグナム「大事に使わせて貰うぞ」
各々の言葉でエイミィに礼を言う。
エイミィもそれを聞いて一晩徹夜したかいがあったと喜んでいる。
スモーキー『アースラ発、甘味処『たちばな』着の魔法特急トラベリオン、出発しま~すニャ』
車内アナウンスが聞え見送り人達がトラベリオンが数歩後ろに下がった。
ご丁寧に発車ベルが鳴り響き、汽笛の音が静かに大きくなっていく。
蒸気を噴出すトラベリオンは何時でも発車できる状態だ。
なのは「じゃ、行ってきま~す!!」
車窓から大声で手を振るなのは達。
見送る側も「いってらっしゃ~い」と大きく手を振る。
これから彼女達が向かうのは何処なのか、それは誰も知らない……
ただ、エヴァだけが嫌な予感を感じていた。
…………………………色々な意味で。
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-Side NEGIMA 南の地下闘技場
爆炎と閃光の中から現れた戦士。
次第に光が弱まり、その姿を露わにしていく。
大きな翼と思われたのは、背中に付けられた象をモチーフにしている盾の耳、それが展開して翼に見えたのだ。
他にはブレイド、ギャレン同様に胸が金色に変わり、胸のクローバーが象の紋章に変わっている。
レンゲルラウザーも先端が金色へと変化していた。
これが『仮面ライダーレンゲルジャックフォーム』である。
イフリート「ふん。 変身した所で俺の相手ではない!!」
そう言って再度、火炎弾をレンゲルに向かって放つ。
一方のレンゲルは動かず静かに背中の盾を取り出し構えた。
ちなみに耳は閉じている。
――ガギィィィィィン
イフリート「―――――ッ!?」
鋼鉄以上の硬さを誇る盾に火炎弾が簡単に防がれた。
何度も放つが尽く防がれていく。
レンゲル「無駄だ。 その攻撃は通じん」
イフリート「くっ、これなら!!」
イフリートの身体の目が怪しく光り、レンゲルを炎が包み込む。
レンゲル「―――――ッ!?」
レンゲルの体感温度が上昇して、耐え切れず盾を捨てた。
何とかラウザーだけを持っている事が精一杯だ。
その時、離れて見ていた真名(睦月)の声が響いた。
真名「真名さん、『BLIZZARD』のカードを!!」
レンゲル(真名)が炎に耐えながらもカードデッキに手を伸ばす。
その中から1枚のカードを引き、ラウズする。
――〝GEL〟
引いたカードは『BLIZZARD』でなく『GEL』だった。
その能力は―――
イフリート「―――――ッ!?」
驚くイフリート。
それもその筈、目の前のレンゲルが突然に液体の様に溶け始めたのだ。
そのまま液状とへ姿を変えたレンゲルの行方が分からなくなった。
辺りを見渡すが液体化したレンゲルの姿は無かった。
―――と思った次の瞬間、イフリートの足元から気配を感じた。
レンゲル「もらった―――」
イフリートの足元から現れたレンゲルがレンゲルラウザーを振り上げる。
そのまま攻撃し様と振り下ろすが―――
イフリート「なめるな!!」
――ドガッ!!
紙一重でイフリートが振った棍棒がレンゲルの腹部を捕らえた。
レンゲル「がはっ!!」
イフリート「ぬぉぉぉぉぉ!!」
そのまま野球の様に吹っ飛ばす。
一直線にレンゲルの身体が飛んだ先には真名の姿があった!!
――ドゴォォォォォン!!
レンゲルの身体が真名の居た付近に直撃して大きな砂埃を上げた。
砂埃の所為で何も見えないイフリートは冷静に鉄球を構える。
しばらくすると、砂埃から人影が飛び出した。
その人物―――レンゲルは横に飛び出るとそのまま弧を描く様に盾を拾い、
遠回りにイフリートの横から距離を縮めていく。
イフリートはレンゲルの方に向き直り鉄球を投げる構えをする。
向きを直したイフリートから見ればレンゲルは一直線に向かってくる、格好の的。
イフリート「死ねぇぇぇぇぇ!!」
業火を纏った鉄球をレンゲルに向かって投げた。
だが、レンゲルは避ける事も無く真っ直ぐに走りながらカードをラウズする。
――〝RUSH〟
――〝BLIZZARD〟
――〝Blizzard Tackle〟
カードが発動するとレンゲルは耳を展開した盾を前に出して加速した。
その身には蒼い光―――吹雪を纏って。
業火の鉄球と氷河の身体がぶつかり合う寸前―――
――ガギィン!!
イフリート「―――――ッ!?」
突然に鉄球の勢いが衰え、そのまま地面に落ちた。
何が起こったのか分からないイフリートの目に鎖に打ち込まれた銃弾だった。
その銃弾が楔となって鉄球を落したのだ。
不意に突っ込んでくるレンゲルを忘れて横―――銃弾が撃たれた方を向いた。
そこには晴れる砂埃の中で両手にデザートイーグルを構える真名の姿があった。
真名「やはり、『私』はこっちの方が良い」
イフリート「―――ッ!? まさか―――」
真名の言葉にイフリートに動揺が走った。
既に頭の中から迫り来るレンゲルの事を忘れている。
レンゲル「はぁぁぁぁぁ!!」
――ガギィィィィィン!!
レンゲルの『ブリザートタックル』が見事に炸裂した。
イフリートの身体が軽々と跳ね飛ばされ凍りついた。
そのまま大ダメージで地面に叩きつけられる。
イフリート「ぬぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
――ドゴォォォォォォォォォォン!!
大爆発を起こすイフリートの身体を背にレンゲルと真名がサムズアップし合うのだった。
レンゲルがジャックフォームになる少し前ので遡る。
クウガは見えない相手―――サイクロプスと対じしていた。
サイクロプス「ふふふ……俺の姿が見えない恐怖に怯えるがいい」
そう言うサイクロプスの銃弾がクウガの周辺の地面を跳ねる。
ギリギリの所でかわしているのだが、その中の数発は身体を掠り血を少し出していた。
クウガ「こうなったら……超変身!!」
アークルの中心の霊石『アマダム』の色が赤から紫へと変わる。
同時にクウガの体もマイティフォームからタイタンフォームへと姿を変えた。
クウガ「これなら、銃弾を防げる!!」
そう言い切る事もあり、サイクロプスの銃弾を軽々と跳ね除けた。
それを見ていたサイクロプスが軽く舌打ちをする。
例え自分の姿が見えないと言っても、此方の攻撃が効かないのでは意味が無かった。
少しクウガから距離を取りスコープを覗き、狙いを定める。
その時、ある物が見えた。
サイクロプス(なるほど。 これなら―――)
弱点を確信したサイクロプスが狙いを定めて引き金を引いた。
――ダァン
タイタンフォームになって油断していたクウガの反応が微かに遅れた。
「大丈夫だろう」と思っていた矢先、右足に激痛が走った。
クウガ「―――ッ!? 何!?」
直ぐに痛みの原因を見ると右太腿に銃創があった。
敵は厚い装甲に覆われていない部分を狙ってきているのだ。
―――と言っても急所と思われる箇所は装甲で覆われている。
油断は出来ないが、その考えで暫しの余裕が出来た。
周囲を警戒しているクウガの遥か後方にてライフルを構えるサイクロプスの姿があった。
狙うは手足―――ではなく、唯一むき出しになっている急所―――脊髄だった。
顔と胴体の位置にある精髄は薄い装甲でしか覆われていない。
厚い装甲になると首が動かせないからだ。
かと言って、そう簡単に狙える物でもないが、相手は冥府神一のスナイパーである。
スコープの照準をピタリとクウガの精髄に定める。
今だ!!
完全に捕らえたサイクロプスが引き金を引いた!!
――ダァン!!
辺り一面に銃声が響いた。
――ドサッ!!
次に聞えて来たのは何かが倒れる音だった。
倒れたのを確認した人影が立ち去っていく。
サイクロプス「馬鹿な……あの距離で俺に当てる等と……」
サイクロプスの胸には大きくリント文字で『封印』を意味する言葉が書かれていた。
あの時、何が起こったのか?
実はあの時、ナイスタイミングで飛んで来た『何か』がクウガの前に落ちた。
その形を見たクウガが直ぐにその『何か』を手に取り超変身したのだ。
超変身したのはライジングペガサス。
通常のペガサムフォーム以上の聴力を持つ、この形態なら息遣いや引き金に指を掛ける音や息遣いまで丸分かりだった。
一報のサイクロプスは精髄ばかり見ていたのでクウガが超変身した事に気付かなかった。
例え知っていたとしても、その能力を知らない彼は何も気にしなかったと思われるが……
後はサイクロプスの引き金に指を掛ける音を合図にライジングペガサスボウガンを放ち見事に当てたのだ。
サイクロプス「そんな、俺が負けるなんてぇぇぇぇぇ!!」
――ドゴォォォォォォォォォォン!!
爆炎を背景にクウガがマイティフォームに戻る。
その手にはボウガンを思わせる不思議な銃が握られていた。
こちらもレンゲル・真名の2人がイフリートに勝った少し前まで遡る。
トードと対じていた威吹鬼とギルスは追い込まれていた。
威吹鬼の音撃はまったく通じず、ギルスの打撃も脂肪で弾かれていた。
威吹鬼「音撃が防がれるなんて……」
自慢の烈風を掲げて内心で舌打ちをする。
頭の中でトードの攻略法を練っていた。
音撃と打撃が無理な今……残る方法を考える。
ギルス「ルァァァァァ!!」
ギルスフィーラーでトードのハンマーを絡め取るが―――
トード「無駄なんだな!!」
接近していた状態のギルスにイボから毒液を発した。
気付いた時にはギルスの腕に掛かり、見事に腕を溶かしてハンマーを開放する。
ギルス「ウァァァァァ!!」
流石のギルスでも腕一本溶かされて発狂する。
その隙にトードが開放されたハンマーホルンを振り上げる。
トード「アースクエイク!!」
――ドゴォォォォォ!!
振り下ろしたハンマーホルンから発せられた衝撃波が真っ直ぐ2人の方に地面を伝って迫り来る。
発狂したギルスは兎も角、威吹鬼も避けきれなく直撃を喰らった。
地面に叩きつけられつつも起き上がり再度衝撃波を警戒して距離を取る。
威吹鬼「接近すれば毒液、離れたら衝撃波……隙がありませんね」
ギルス「ああ……あの脂肪をなんとかしないとな」
威吹鬼「あの……葦原さん。 それ痛くないんですか?」
ギルスの無くなった右腕を見て威吹鬼が訊ねた。
「ああ」と簡単に答えると軽く雄叫びを上げて右腕を再生する。
その様子を見た威吹鬼は改めて『仮面ライダー』の凄さを実感していた。
……………いや、そんな事できるのば彼だけですよ?
あ、ジョーカーの始と剣崎も出来るのかな?
ギルス「それよりも、何か方法がないのか?」
威吹鬼「方法なら……奴を縛り上げれば……」
ギルス「縛り上げる?」
ギルスが威吹鬼の提案に疑問を浮かべる。
威吹鬼「奴の柔らかい脂肪を縛り上げて固めるんですが……」
柔らな脂肪をボンレスハムの様に縛り上げると言うのが威吹鬼の提案だった。
だが、その為には丈夫な紐が必要なのである。
ギルス「丈夫な紐か……俺に任せろ」
威吹鬼「出来るんですか?」
突然のギルスの言葉に疑問を返す。
今、現在2人が持っている紐になるのはギルスのギルスフィーラー位。
到底長さが足りないのは明白だった。
ギルス「ああ。 少し奴の気を逸らしてくれ」
威吹鬼「分かりました」
そう言うと横に駆け出す威吹鬼。
突然に横に走り出した威吹鬼に反応してトードも其方の方を向いた。
ギルスの事を忘れてハンマーを振り上げて地面に叩きつけた。
トード「アースクエイク!!」
――ドゴゴゴゴゴ!!
地面を伝った衝撃波が威吹鬼を襲うが―――
威吹鬼「〝音撃射・疾風一閃!!〟」
――プピィィィィィピィ!!
トードではなく衝撃波に向けて音撃を放つ。
すると『アースクエイク』と『疾風一閃』の衝撃波同士がぶつかり合い、相殺された。
確かにトード自身には音撃は聞かないが技同士なら効くと言う威吹鬼の考えは正しかった。
そのまま連射される『アースクエイク』を相殺しながら大回りに移動する。
そして、トードの視界からギルスが見えなくなったのを見計らって―――
ギルス「ウォォォォォ!!」
突然にギルスが雄叫びを上げた。
何事かと気付いた時には既に遅く、何か太い触手の様な物がトードの身体に巻きついていた。
その先を辿って見ると、其処には変化したギルスの姿がある。
その姿こそ、ギルスの進化形『エクシードギルス』である。
エクシードギルスの背面から伸びる2本の触手『ギルススティンガー』が触手の正体だった。
ギルススティンガーは当初の目的通りにトードの身体を縛り上げる。
ボンレスハムの様に柔らかい脂肪が固まるのを見計らって威吹鬼が地を蹴った。
威吹鬼「〝鬼闘術・旋風刃〟」
走る威吹鬼の手足に風が纏う。
その風の刃は鉄板をも切り裂く威力がある。
威吹鬼が拳を振り上げ、トードを殴ろうとした次の瞬間―――
トード「ふん!!」
またしてもトードのイボから毒液が飛び出てギルススティンガーを意図も簡単に溶かした。
そのまま毒液を威吹鬼の方へと飛ばす。
突然に迫り来る毒液を視界に捕らえた時には全てが遅かった。
止まらない足にストップをかけた時には寸前まで迫っている。
間に合わない―――と思った次の瞬間!!
???「イエローサンダー!!」
突如、横から飛んで来た黄色い光が毒液に当たり蒸発させてくれた。
何事かとトードが振り向くと黄色い人影が飛び掛ってきた。
咄嗟にハンマーを振るい意図も簡単に相手の武器を弾き飛ばす。
謎の人影は武器を気にせずに後ろに飛び、エクシードギルスの隣に降り立った。
トードの注意がその人物に向いている隙に威吹鬼は急いでトードから離れた。
トード「お、おまえは!!」
イエロー「走る雷のエレメント!! 黄色の魔法使い、マジイエロー!!」
高々と名乗りの台詞を上げてポーズを決めたのはマジイエローだった。
トード「マジレンジャー……とうとう現れたんだな」
宿敵の登場にトードの喜びと怒りが沸き立つ。
ハンマーホルンを握る手にも力が入る。
イエロー「冥府神トード、随分と姑息な手を使ってる様だな」
トード「黙るんだな。 戦いに何をし様と関係ないんだな」
イエロー「そうだな……………だから、俺も好きにやらせて貰ったぜ」
トード「何!?」
マジイエローの発言に反応するトード。
その次の瞬間には別方向から爆発音が鳴り響いていた。
一同の視線がその方を向くとレンゲルと真名がイフリート相手に勝利した所だ。
マジイエローとトードを覗く一同は「よかった」と胸を撫で下ろすが、トードだけは尋常に居られなかった。
トード「馬鹿な……元に戻ってるんだな……」
毒を浴びせた張本人が驚いていた事―――それは、レンゲルと真名の中身が元に戻っているからだ。
イエロー「さっき俺が2人に解毒薬を掛けておいたのさ。 そして……………其処にも」
そう指差した先はトードの足元だった。
其処には黄色のマジイエローの紋章が描かれた球が転がっていた。
気付いた時には球は爆発し粉の様な物が辺り一面にばら撒かれた。
トード「な、何だコレは!?」
周囲に散らばる粉が皮膚にくっ付き戸惑うトード。
すると、トード身体に異変が起こり始めた。
突然に皮膚が引き締まり、ガチゴチに固まり始めたのだ。
イエロー「どうだ!! 俺の特製、どんな物でも固める『カッチン粉』の味は?」
トード「な、なんだと!?」
トードが何処かで聞いたような薬の名前に驚く。
そんな馬鹿馬鹿しい名前にしても効果は抜群に発揮してトードの脂肪を固めている。
イエロー「よし、今だ!!」
マジイエローの掛け声にハッと気付いた威吹鬼が地を蹴りトードの上に跳んだ。
威吹鬼「〝鬼闘術・旋風刃!!〟」
風の刃を纏った飛び蹴りがトードの背中に決まり、そのまま反動で後ろに飛ぶ。
その間に今度は正面から駆け寄ったエクシードギルスが飛び上がる。
踝に鋭い刃が伸びており、そのまま踵落しで威吹鬼が攻撃した所と同じ所に突き刺した。
エクシードギルスの必殺技『エクシードヒールクロウ』である。
ギルス「ウォォォォォ!!」
思いっきり雄叫びを上げ、反動を利用してトードの身体から刃を抜いて着地する。
しばらくしても何も起こらなかった。
トード「ふっ、所詮お前達の技なんて僕には効かな―――ッ!?」
自信満々のトードの言葉が途中で途切れた。
不思議と身体が膨れている実感がある。
ギルス・威吹鬼「「仮面ライダーの前に、お前は只の脂肪の塊に過ぎん。 死ね!」」
トード「そ……そ……………そんなぁぁぁぁぁ!! ひでぶっ!!」
――ドォォォォォォォォォォン!!
刃のヒビが広がりトードの身体が一気に膨れ上がり、最終的には大爆発を起こした。
その爆炎を見ているライダー2人の横でマジイエローがボソッと呟いた。
イエロー「今の台詞は何だ?」
リクエストです。(キッパリ)
こうして、南の戦いを無事に制したライダー達だった。
続く。
時空を超えた友情 /