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第14話 克服 投稿者:TWIN,S 投稿日:04/15-00:14 No.312

「圧倒的な戦闘力を持つカテゴリーKに対抗する為に作られたカテゴリーKに近い存在、それがカテゴリーA。」
「そしてジョーカーに対しても同じ様な手段が行れた、それがもう一人のジョーカー。」
「しかし奴は統率者に反旗を翻したが失敗に終わり封印された。」


ネギま!剣(ブレイド) 第14話 克服


「そいつが今回の黒幕といって良いのか?」

もう一人のジョーカーの存在を知った橘はもう一人のジョーカーが今回の事件に関連していると推理する。

「恐らくそうだろう…奴はカードを封印する他にアンデッドを操る術を持っていたからな…。」
「それと、奴は如何なる時にでもダークローチに似た存在を生み出せた…奴はそれを使って大軍を率いて統率者に挑んだらしい。」
「それで、そいつの目的は一体何なのだ…恐らく宮崎のどかを連れ去ったのも奴だろうが目的が分からん。」

エヴァの言葉に考え込む一同。
確かに黒幕の正体が分かったがもう一人のジョーカーの目的は分からなかった。
アンデッドはジョーカーの剣崎と元ジョーカーの始を封印する為に襲い掛かって来た事もあったが、それは単純に2人が邪魔な存在であったからだ。
もう一人のジョーカーの目的について考える一同だが結局考えは纏まらず其々帰路に着く事にした。


「そう言えば始さんが言っていたけどもう一人のジョーカーて真っ白な化け物なんだって。」
「そうなんだって、白い者て何か不吉な物を表すらしいですけど、アンデッドでもそういうのはあるんですね…。」

寮に戻る為に帰路についていた鳴滝姉妹がもう一人のジョーカーについて話した。
因みにネギは剣崎を学園長に会わせる為、真名は他の用事の為に遅れてかえるそうだ。
その言葉を聞いた木乃香達は心配そうな顔付きで刹那の顔を見たが刹那は何も無かったかのように表情を落ち着いていた。
明日菜は急いで別の話題に切り替えようとしたが次の瞬間、上空から彼女たち目掛けて急降下してきた。

「伏せるでござる!!」

楓が急降下してくる物体目掛けてクナイを放つが物体はクナイを叩き落としながら突っ込んでくる。
全員が伏せて物体をかわすが高速で突っ込んできたのか物体が通り過ぎた瞬間突風が辺りを吹き荒らした。
物体は再び上空に舞い上がり空中で制止する。

「な、何のよあれ?」

起き上がった明日菜が上空を見ると鷲の祖たるイーグルアンデッドが明日菜達を見下ろしていた。

「どうやら奴もアンデッドの様でござるな。」
「どうする、私達は今バックルを持ってないぞ!!」

彼女達は今バックルを所持していなかった、超達がメンテナンスと改良を兼ねる為に預けてしまったのだ。
しかし、刹那達の事情に関係なくイーグルアンデッドは目の前にいる得物目掛けて再び急降下を始めた。

「また来るでござるよ。」

再度の襲撃に備え明日菜達は武器を構え、戦えない天音、木乃香、鳴滝姉妹は隠れる。
再び高速で突っ込んできたイーグルアンデッドを捕らえる事は出来ず再び突風に煽られる明日菜達。
しかし、イーグルアンデッドの攻撃はそれだけでは終わらなかった、その勢いのまま天音たちが隠れている場所へ突っ込み両の腕で鳴滝姉妹を掴み挙げた。

「アイヤ、鳴滝達が連れて行かれたアル!」
「ま、まつでござる!!」

イーグルアンデッドを追う一同。
そして、イーグルアンデッドの腕の中では助けを求める史加に対して風香は必死に抵抗していた。

「う、うわぁあ~~~!! た、助けて!!」
「こ、この! は、離せよ!」

風香の行動に癇が触ったのかイーグルアンデッドは突如2人を持っていた腕の力を抜いた。

「うぇ!? きゃあ~~~!!」
「こんな所で離すな~~~!!」

風香の抗議もむなしく2人は空中にその身を躍らせる事になった。

「風香殿、史伽殿!!」
「ま、間に合わないアル!!」

助けるのに絶望を感じる2人だったがその横を何者かが通り過ぎる。

風香と史伽は落下している事に恐怖を感じていたが突然落下が止まる。
2人が恐る恐る目を開けると刹那が2人の事を抱えていた。
刹那が助けてくれた事を理解した2人は礼を言おうとしたが突如2人の表情は一変した。

「せ、刹那さん……せ、背中に。」
「刹那さん、人間じゃないの……?」

刹那の背中に生えた白い翼を見て2人は恐れを抱いた表情で呟いた。

「……わ、私は。」

2人の言葉に動揺した刹那は2人を降ろす為にゆっくりと降下していた動きを止めた。
その隙を見たイーグルアンデッドは新たな得物に刹那に定める。

「あぶない、せっちゃん!!」

木乃香の声に我に返る刹那だがイーグルアンデッドはすでに刹那を捕らえ、両腕がふさがっている刹那はどうすることも出来なかった。
絶体絶命のその時アンデッドの気配を察した始がバイクに乗って駆けつけてきた。

「変身!!」
「<TURN UP>」

バックルをターンさせた始がバイクごと光の壁を通過してカリスへと変身するとバイザーからカードを取り出しスリットに通して飛び上がる。

「<FLOAT>」

浮遊の力を得たカリスは重力を無視して空中へと舞い上がりイーグルアンデッドに蹴りを見舞う。
蹴りを喰らいよろめくイーグルアンデッドにカリスは蹴り上げた足を振り下ろし踵落としを決め地上へと落下させ。
後を追って着地したカリスは落下して体勢が整わないイーグルアンデッド目掛けてラウザーを振り下ろす。

イーグルアンデッドは両腕の鉤爪で攻撃を防ぐがカリスは幾度と無くラウザーの大鎌を振るう。
攻撃に耐え切れなくなり不利な状況になったイーグルアンデッドはカリスに背を向けて夜の空へと飛んでいった。

高速で飛んでいくイーグルアンデッドを追いかけるのを諦めたカリスはバックルを再びターンさせ始の姿へと戻った。

「大丈夫か、皆?」
「「「始さ~~~ん!!」」」

安否を気遣う始に天音と鳴滝姉妹が抱きついてくる。
3人を愛子ながら始は皆が無事な事を確認するが刹那はこの場から居なくなっていた。


少し時間を遡りダビデ像の広場では橘と真名が山羊の祖たるカプリコーンの襲撃を受けていた。
例によってバックルを所持していない真名を後ろに追いやりギャレンに変身した橘は単身立ち向かう。
ラウザーで攻撃するギャレンだが優れた跳躍を持つカプリコーンアンデッドを捉える事は出来ず、今度はカプリコーンアンデッドが自分の武器である三日月状のブーメランを放つ。
初撃をかわすがブーメランは弧を描きギャレンの後方から再び接近する。
しかし、この事を既に予測していたギャレンは脇の下に銃を潜らせて後方のブーメランを撃ち落した。

再び対峙するギャレンとカプリコーンアンデッドだったが突如、銃声が響き渡る。
ギャレンが銃声がした先を見ると真名が狼の祖たるウルフアンデッドに銃を放っていた。
真名が放つ銃弾を平然として受けるウルフアンデッドは徐々に真名との距離を縮めて行く。
間合いを詰め拳を振り上げるウルフアンデッドに身構える真名だったが其処にギャレンが割って入りウルフアンデッドの攻撃を受ける。

「ぐぅう!!」
「……た、橘先生!!」

カプリコーンアンデッドも加わり2体のアンデッドの攻撃は続くが真名を庇うギャレンは反撃できずにひたすら攻撃を受け続ける。
その光景を見て真名の脳裏に昔の光景が思い浮かばれる。

…退魔士として魔の者を駆っていた自分が些細なミスから窮地に立たされてしまう。
すでに万策尽き、自分を囲んでいる魔の者達の牙が自分に襲い掛かろうとした時、男が自分を庇う為に前に立ち尽くした。
その男は自分に戦う術を教えてくれたマスターであった…。

そしてアンデッドの攻撃に耐えられなくなり崩れ落ちるギャレンの姿が彼女を護り力尽きるマスターの姿と合致した。

「う、うわぁあああ~~~!!」
「ま、マスター、マスター!!」

普段からは想像つかない程、取り乱れた様子で真名は橘に近づき名前を叫ぶが橘は何の反応もせず。
そして無常にも2体のアンデッドは止めを刺す為に近づいてくる。
しかし、こちらの方にも救いの手は差し出された。

「変身!!」
「<TURN UP>」

バックルをターンさせた剣崎がブルスペイダーと共に光の壁に飛び込みブレイドへと姿を変える。

「とぉう!!」

跳び上がったブレイドはウルフアンデッドに蹴りを放ち怯ませるとラウザーを展開させカードをスリットに通す。

「<BEAT>」
「<THUNDER>」

雷の力を纏った拳がカプリコーンアンデッドに決まる。
カプリコーンアンデッドを吹き飛ばしたブレイドは更にカードを取り出しスリットに通す。

「<TACKLE>」

今度はボアアンデッドの力を使った強力な体当たりでウルフアンデッドを狙う。
しかし、ウルフアンデッドはブレイドの攻撃をジャンプしてかわすと倒れているカプリコーンアンデッドを連れてこの場から姿を消してしまった。

「あれ!? うぉおおお~~~!!」

そして攻撃をかわされたブレイドは体当たりの勢いを止める事は出来ずダビデ像に激突、哀れダビデ像は粉々に砕け散るのであった…。


「お願いします、俺を此処で働かせて下さい!!」

早朝、超包子の前で超に土下座して懇願する剣崎の姿があった。
昨夜の戦いでダビデ像を破壊したのが学園長にバレ、剣崎に像の修理代の請求書が届けられた。
文無しの彼に当然弁償出来ず、こうして働き口を探していた。

「そは言われても……お前、料理出来るアルか?」
「はい、一人暮らしが長かったので出来ます!!」
「ああ、御粥とかは美味しかったぞ。」
「ちょうど人手が欲しかったので居ると助かります。」

尚も懇願する剣崎、中学生相手に土下座をしている姿にはアンデッドから恐れられているとは考えも付かない。
そんな剣崎に始と五月が救いの手を出してくれた結果。

「分かったアル、皆がそう言うのなら。」
「あ、ありがとうございます!!」

こうして、働き口を手に入れた剣崎の前に木乃香達が姿を現す。

「なあ、せっちゃん来んかったか?」
「いいや、此処には来ていないが君達と一緒じゃないのか?」

刹那の行方を尋ねる木乃香に今度は始が聞き返す。

「それが、刹那さん昨日は帰って来なかったのよ……龍宮さんもなんだけど。」

刹那と真名が帰って来なかったと言う話をしている時に今度は橘が現れる。
昨日の怪我のせいか頭に包帯を巻いているが本人は気にする事無く。

「龍宮は帰ってこなかったのか……実は龍宮の事で聞きたい事が有ったのだが。」

橘は昨日の事を話し、意識が遠のく中で真名が仕切りに呼んでいた真名のマスターについて聞き。
そして、真名のマスターは2年前に亡くなっている事をネギが教えてくれた。

「そうだったのか……龍宮も戦いの中で大切な人を、それでそっちはどうなんだ?」

今度は橘が刹那の事に付いて尋ね、木乃香達は昨日の事を話した。

「刹那さん、やっぱり自分の正体の事、気にしてるのね……。」
「あの時は本当に驚いちゃったから……。」

明日菜の言葉を聞き当事者である鳴滝姉妹は項垂れる。
暫し沈黙が続く中でいつの間にか店の中にいた剣崎が飛び出し、ブルースペイダーに跨る。

「何処に行くんだ剣崎?」
「その、刹那て言う子に会ってくるよ……今彼女は悩んでいるはずだから。
 真名て言う子は橘さんに任せますよ、何せ当事者なんですから。」
「う、ウチも行く!」
「わ、私も行くです。」

エンジンを掛け出ようとする剣崎に木乃香と夕映が飛び乗ってくる。
他の面々も乗ろうとしたが流石にこれ以上乗せる事は出来ず、2人を連れて剣崎は超包子を飛び出した。

「お、おい剣崎……その彼女の居場所が分からないから困っているんじゃないか。」

悪態付く橘の後ろで、さよが朝倉になにやら耳打ちをする。
本来は橘に伝えようとしたのだが橘にさよの姿は見る事は出来ず、朝倉を通して伝えようとしていた。

「あの~橘さん、どうやら龍宮さんの居場所分かったみたい。」


学園の中央部にある広場、最近は刹那と明日菜が剣の特訓を行うこの場所に刹那はいた。
刹那は何をする事無く夕凪を握り宙を見据える彼女の前に一台のバイクが止まる。

「せっちゃん!」
「……お、お嬢様。」

バイクから降りた木乃香が刹那に飛びつく。
木乃香を受け止めた刹那の前に立った剣崎は包みを差し出す。

「昨日から何も食べてないだろう……食べな。」

暫し無言で食事をする刹那に剣崎は話しかける。

「話は聞いた、君の翼が木乃香ちゃん達を守る為に有るのならそれでいいじゃないか。
 ……それとも、人間じゃない事がそんなに嫌かい。」
「……はい。 剣崎さん、何故あなたは人を捨ててまで始さんを守ったんですか?」

思わず口に出してしまう刹那。
しかし、刹那はどうしても聞いて見たかった何故、人である事を捨ててまで始を守ろうとしたか。

「理由なんか無い始は俺の友達で、人間も始も救いたかっただけだ。」
「自分が化け物になってでもですか。」

剣崎は何も答えずに話を続ける。

「俺が幼い時、火事に巻き込まれた両親は俺の前で死んだ。 
 何も出来なかった俺はその時から人を命を守る力が欲しいと思った。」

言い終えた剣崎の拳に力が入る。
目の前で大切な者を失う、護衛を行っている刹那にはその時の剣崎の悔しさが切々と伝わって来る。

「仮面ライダーになってアンデッドから人々を守る事が俺に出来る、命を懸ける価値のある事だと思った。」

剣崎の言葉を聞き刹那の脳裏に笑顔で微笑む木乃香が思い浮かぶ。

「辛い事、悲しい事、全部バネにして生きていくしかない。
 人を救い笑顔を守る、それが俺の願い。」
 
話し終え笑みを浮かべる剣崎に刹那は笑みを浮かべ。

「剣崎さん、あなたは強い人ですね辛い過去と過酷な運命を背負いながら笑えるのですから。」

やっと笑みを浮かべた刹那の顔を持て安心する一同だが、急に剣崎の顔が険しくなる。
剣崎が睨む視線の先にはウルフアンデッドが立っていた。

剣崎は皆を下がらせるとバックルを取り出しカードを差し込む。

「刹那、俺達は大切な者を、命を守る為に戦う……仮面ライダーだ!」

刹那に向って静かに語るとブレイバックルのをターンさせた。

「変身!」
「<TURN UP>」

前方に現れた光の壁を通り越して剣崎はブレイドへと姿を変えた。


真名は銃を構え無数の標的に向かい弾丸を放つ。
訓練の賜物である彼女の射撃センスにより標的は次々と命中する。
しかし、徐々に命中するポイントが外れ最後に残った標的を外してしまう。

「こんな処で、いつも練習しているのか?」
「橘先生、傷はもういいのかい?」
「怪我するのも結構慣れているからな、すまなかったな嫌なものを思い出させて。」
「……聞いたのですか?」
「分かるさ、俺も大切な者を失したからな……。」

橘は仮面ライダーになった自分が無意識の内に恐怖しシステムの弊害に合ったことを話す。

「戦えなくなった俺を支えてくれたのが彼女だ。」

橘は懐から一枚の写真を取り出す、其処には一人の女性が写っている。

「深沢小夜子、彼女は戦えなくなって落ち込む俺に
 "道端の花みたいにひっそりでいい、私はあなたとそんなふうに生きていきたい〟
 そう言ってくれた。」
「何故だ、そう言ってくれたならその時に戦いから身を引けば良かったじゃないか。」
「その直後だ……アンデッドに利用されていた俺を救おうとした彼女がアンデッドに殺されたのは。
 俺が……本当の勇気を知る為に失った代償は真実の愛だった。
 真名、この戦いが辛く感じるのなら手を引け、誰もお前を責めは……いいや、俺が責めさせはしない。」

真名を見つめる橘を見て真名は以前と同様、堪え切れずに吹いてしまう。

「すまない、あなたの本当に真面目すぎるよ……。
 その真面目すぎる所が本当に……本当に……そっくりだよ……。」

笑っていた顔から涙がこぼれ出し、そのまま橘の胸に飛び込む。
どうしたのかと尋ねようとしたが、その前に真名から少しこのままにしておいて欲しいと言われ、橘は真名を優しく抱きしめた。

「あっちゃ~、ちょっと見ちゃいけなかったかな。」
「朝倉さん、やっぱり覗き見は良くないですよ~。」

草陰から和美とさよが覗いていた。

「それよりさよちゃん、どうして龍宮さんがいる場所を知る事が出来たの?」
「そ、それはですねえ~。
 (……これで良かったんですね、小夜子さん。)」

さよが見つめた橘達がいる少し上の方で、普通の人には見えない一人の女性が2人の姿を見て優しく微笑んでいた。

真名を抱き締めていた橘の携帯が突如鳴り、電話を取ると超が勢い有る声で話してきた。

「橘、すぐ戻ってきて欲しいアル。
 昨日のアンデッドが店の前に来てるアル!!」


イーグルアンデッドとカプリコーンアンデッドは多数のアルビローチを引き連れて超包子の前に現れた。
始は皆に店に隠れるように指示するとベルトを巻きつけバックルをターンさせる。

「変身!」
「<TURN UP>」

前方に現れた光の壁を潜り、カリスへと姿を変えた始はラウザーを構えてアンデッドと対峙する。
店の中に入った超はアタッシュケースを開けるとバックルを取り出す。

「整備と改良は終わったネ! 
 さあ、これで戦うアル!」
「で、でも龍宮さんと刹那さんが居ませんよ。」
「それなら、私が使うネ!」
「私も、刹那さんから戦いは教わってるから!」

古菲はグレイブバックルを明日菜がラルクバックルを取り出すと、先に出ていた楓と並ぶ。

「「「変身!!」」」
「「「<OPEN UP>」」」

バックルのカバーを開き前方の光の壁を通り抜け3人は変身したかと思われたが。

「な、何で変身してないの?」

明日菜だけは光の壁を通り抜けようとした瞬間、光の壁は霧散して消えてしまう。
結局、変身できたランスとグレイブがカリスの援護に向う。

「馬蹄崩拳!!」

古菲の拳を喰らい数体のアルビローチが吹き飛ばされる。

「凄い威力ね!!」
「古、これ以上机や食器壊さないで欲しいネ!!」

ベルトの力に酔い痴れる古菲にアルビローチが吹き飛ばされた性で外に置いてあった机や食器が派手に壊される。
余談では有るがこの後、古菲は机や食器の弁償として減給が言い渡された。

グレイブはラウザーが性に合わないのか拳でアルビローチの群れを蹴散らすと。
カリスはFLOATのカードを使いイーグルアンデッドと空中戦を繰り広げ、ランスがカプリコーンアンデッドと戦う。

イーグルアンデッドは高速でカリスに突撃し、体当たりを喰らったカリスは吹き飛ばされる。
浮遊の力を得たが高速で飛ぶ事が出来るイーグルアンデッドを捕らえるのは難しく幾度と無く攻撃を喰らう。
カリスに止めを刺すべく、高速で突っ込んでくるイーグルアンデッド目掛けてラウザーを投げ付けたが難なくかわされ。
イーグルアンデッドは自分の勝利を確信したがカリスは予めラウザーから取り出していたカードをラウザー目掛けて投げ付けた。

「<BIO>」

カリスの投げ付けたカードがスリットに通るとラウザーから伸びた触手がカリスの腕に絡まる。
絡まった触手を引くとラウザーは軌道を変え、イーグルアンデッドの背中に突き刺さった。
予想外の攻撃を喰らい地上に落下するイーグルアンデッドを追って降り立ったカリスはラウザーからカードを取り出しスリットに通す。

「<CHOP>」
「<DRILL>」
「<TPRNADO>」

「<SPINNING RONDO>」

「はぁあああ~~~!!」

カリスの周囲に竜巻が発生し強化された手刀でイーグルアンデッドを跳ね上げると竜巻の力を利用して飛び上がり。
下方から宙に投げ出されたイーグルアンデッド目掛け蹴り込み。

「はぁあ!!」

更に回転蹴りで貫いたイーグルアンデッドに上方から手刀を叩き込んだ。
手刀を叩き込まれ勢い良く地面に叩きつけられたイーグルアンデッドのアンデッドの印が開き、カリスはカードを投げ付け封印した。 


カプリコーンアンデッドが投げたブーメランをランスはラウザーで打ち落とすがその隙を付かれ攻撃される。
グレイブはランスを援護しようと飛び上がり蹴りを放とうとするがカプリコーンアンデッドは更に高く飛びグレイブに蹴りを放つ。
そして、2人がカプリコーンアンデッドに苦戦している中でレッドランバスに乗って橘到着しその後ろには真名が乗っていた。

「超、私にバックルを。」

真名の言葉に超は真名目掛けてバックルを投げる。
バックルに続いてカードを受け取った真名はカードを差込み、ベルトを巻きつける。

「龍宮…。」
「私なら大丈夫さ、私からすれば真面目すぎるあなたの方が心配だよ。」

既にベルトを巻きつけた橘の横に並ぶと2人は掛け声と共にバックルに手を伸ばす。

「「変身!!」」

「<TURN UP>」
「<OPEN UP>」

群がるアルビローチの群れをラウザーで蹴散らすとギャレンはカプリコーンアンデッドと戦う。
しかし昨日の傷の為かギャレンはいつも通りの力を出し切れず苦戦を強いられる。
カプリコーンアンデッドがギャレンに攻撃をしようとした時ラルクがラウザーで攻撃し阻止する。

「お前の相手は私だ。」

ギャレンに代わりカプリコーンアンデッドに挑みラウザーをから光弾を放つが跳躍して避けられてしまう。
カプリコーンアンデッドはブーメランを放つがラルクはそれをかわすがブーメランは弧を描きラルクの後方目掛け飛んでくる。

「真名!!」

ギャレンはラルクを庇う為ラルクの後ろに立つ。
しかしラルクはギャレンの脇からラウザーを放つとブーメランを打ち落とし。
振り向き様にラウザーのスリットにカードを通す。

「<MIGHTY>」

放たれた必殺技レイバレッドがカプリコーンアンデッドを貫くとすかさずラルクはギャレンに向って叫ぶ。

「今だ朔也!!」

ラルクの声を聞いたギャレンはラウズアブソーバーからカードを取り出す。

「<ABSORB QUEEN>」
「<FUSION JACK>」

ジャックフォームへと進化したギャレンはラウザーからカードを取り出しスリットに通す。

「<DROP>」
「<FIRE>」

「<BURNING SMASH>」

「はぁぁぁ~!!」

空中に飛び上がり回転しながらカプリコーンアンデッドの頭上目掛けて炎の回転蹴りが決まる。
Jフォームへ進化した事により威力が上がった技とラルクの攻撃によってアンデッドの印が開く。
ラルクは素早くカードを投げカプリコーンアンデッドを封印した。


MACHのカードを使い高速移動するブレイドがウルフアンデッドに攻撃を仕掛ける。
しかしウルフアンデッドはブレイドの攻撃を見切ると反撃しブレイドは吹き飛ばされてしまう。
苦戦するブレイドだが其処に戦いを終えたカリス達が駆けつける。

「皆。 
 すまない、私にベルトを!」

彼女の言葉を聞いた古菲がグレイブバックルを渡す。
カードを差込みベルトを巻きつけた刹那に木乃香が声を掛ける。

「せっちゃん…。」
「おじょう、いいやこのちゃん。 
 私はもう大丈夫、彼が人を捨ててまで命を護る様に、私はこのちゃん達を護りたいから。」

意を決した刹那がバックルに手を伸ばしカバーを開いた。

「変身!!」
「<OPEN UP>」

グレイブへと変身した刹那がウルフアンデッドと立ち向かう。
グレイブの攻撃をかわし、ウルフアンデッドとの距離が出来た処でカリスはブレイドに超はグレイブに向ってカードを投げる。

「剣崎!」
「このカード使うネ!」
「これは、UNITE…?」
「剣崎は2のカード、橘は6のカード、始は4のカードを通すネ!!
 その後、刹那がカードを使ってから発動させるネ!!」

3人がカードをスリットに通すとグレイブは手渡されたカードをスリットに通し発動させる。
続いて3人がカードを発動させるとグレイブラウザーから光が発し、其々に浮かんだアンデッドの能力がグレイブへと吸い寄せられた。

「<SLASH>」
「<FLOAT>」
「<FIRE>」

「<BURNING SLASH>」

3体の力を結合させグレイブラウザーの刀身から炎が発し浮遊の力が付く。

「す、すごい、違うカテゴリー同士の力を結合させた。」
「剣崎、見とれてないでお前も戦うネ!!」

UNITEのカードの力に感嘆していたブレイドに超の激が届くとブレイドは慌ててカリスから受け取ったカードを使う。

「<ABSORB QUEEN>」

QUEENのカードを差込みラウズアブソーバーを起動させるとスペードと鷹の紋章が浮かび上がる。

「<FUSION JACK>」

続けてJACKのカードをスリットに通すと強烈な光が発しブレイドの背中から翼が現れる。
そして鎧と仮面が黄金となりブレイドもギャレン同様にジャックフォームへと進化した。
進化したブレイドは強化されたブレイラウザーからカードを取り出しスリットに通す。

「<SLASH>」
「<THUNDER>」

「<LIGHTNING SLASH>」

「刹那ちゃん、合わせるぞ!!」
「はい、剣崎さん!!」

グレイブと同様に刀身に雷を発すると背中の翼が展開させ宙に浮かぶと飛翔の力でウルフアンデッド向けて突進する。
それに合わせる様にグレイブも浮遊の力で宙に浮くとウルフアンデッドに向っていく。
そして、ウルフアンデッドに雷と炎の一閃が加わりウルフアンデッドのアンデッドの印が開くとグレイブがカードを投げ付け封印した。


「刹那さん……。」
「昨日はごめんなさいです~。」
「構いません、私も自分の事を気にしすぎてましたから。」

昨夜の事を謝罪する鳴滝姉妹を許す刹那を見て剣崎は微笑みながら見ていると。

「剣崎、さっき持ってった食べ物の料金は給料から天引きするネ。」
「ええ~~~!!」
「さあ戻ったら扱き使うアルよ!!」

剣崎の前途はかなり不安であった……。


その頃、森の奥では……。
もう一人のジョーカーが慌しく部屋の扉を開ける。
部屋の中に有る浴槽には金色の藻があるだけで中には何もいない。

「(まさか、彼女が逃げ出した……。)」

そして森の中では。

「……ハアハア……ネギ……先生……。」

のどかは一人森の中を彷徨っていた。

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