第十五話『さくらと幽霊の女の子』



雪兎が3−Aの副担任になった日の昼、雪兎は久しぶりに桜と知世後雪兎推進派青組連中裕奈・柿崎・釘宮と楽しく食事をしていてそしてなぜかそれを見ているだけ
の女の子がいる。

なぜ女の子が輪の中に入らずにいるのかといいますと・・・

―――キーンコーンカーンコーン!

お昼休みの始まりのベルも鳴り、まほら学園は今お昼に入る。
桜達はこのまほら学園に来てからは自分達でもっぱら桜はよく寝坊をするので知世が作る事が多いのだが、お弁当を朝作り学園に持ってくる。
だが桜達は今日夜中から学園にいるのでお弁当を持ってきてはいない。

「今日はお弁当持ってきてないから学食へ行こ知世ちゃん」
「はい」
「わいの分も学食で頼むんやで」
「分かってるよケロちゃん」

そして学食に向おうと教室を出る桜と知世(ついでにケロちゃん)すると雪兎が声を掛けてきた。

「桜ちゃん知世ちゃんも学食行くの?」
「はい」
「じゃあ僕も一緒の行っていいかな?」
「いいですよ」

桜が返事をしたその瞬間その様子を目撃した青組が猛ダッシュで声を掛けてきた。

「桜ちゃん、だったら私達も一緒でいいかな?」

もの凄く桜に顔を近づける青組、すると桜は汗一つ垂らしながら答えた。

「え・・・あ・・・はいいいですよ」
「じゃあ皆で学食に行こっか」
「「「はい早く行きましょう雪兎さん!・・・」」」

雪兎の言葉に青組がハモる。

そしてもうすでに恋する乙女春風ど○み見たいになってしまっている青組、特に柿
崎!・・・裏で彼氏が泣いてるぞ!

こうして学食で雪兎と青組とお昼を食べる事になった桜達、だがここに絶対に何が
あろうとお昼を食べられない女の子がここに一人居た。

「いいな・・・楽しそうで・・・私は幽霊で食べられないけど学食へ付いて行こう・・・」

という訳があったからなのだ。
彼女の名前は相坂さよ、幽霊歴60年くらいのむちゃくちゃ恐がりやの地縛霊。
幽霊の癖によるが恐く、夜になると近くの学園近くにあるコンビニに朝まで居る。
しかもどんな退魔師や霊能力者にも見えないほど存在感のかけらもない。
だがらいつも楽しそうな所へ付いていってしまうのだ。
そしてさよがじっと見ている事に全く気づかない桜達は楽しく食事をとっている。

「パクパクパクパクパクパク・・・・」
「月城先生って・・・どんな胃袋しているの?」
「もう2・3人前は食べちゃってるよ・・・」

もの凄い量の料理をもの凄い速さで平らげていく雪兎、その凄さに青組は箸が止まってしまう。

「あ・・・ゴメン・・・僕ばっかり食べちゃってるね・・・」
「いいんですよ・・・ご飯がいっぱい食べられるのは健康な証ですし・・・」

もうすでに中国に居るどっかの人と同じような事を言う裕奈、さよは感心しながら
その様子を見ている。

「す・・・すごいなああの人、私生きていたらあれくらい食べられたのかな?」
(↑絶対に無理です)

そしてまじまじと雪兎を見つめるさよ、すると桜がその気配を微かに察知した。

「ほぇ!」
「どうしましたか桜ちゃん?」
「な・・・何か変な気配を感じたような・・・」

知世の質問に答えながらあたりを見回す桜、だが何もなく桜は気のせいだと思うのであった。
だがさよは桜のその行動を見のがさなかった。

「あれ・・・今木之本さん私に気がつかなかった?」
「今までどんな人も私に気づかなかったのに・・・ようし試してみよう・・・」
「こんにちは!」

さよは桜の目の前で大声を出しお辞儀をする。
すると桜は・・・

「ほぇ・・・やっぱり・・・これは・・・」

小さい頃から何度か感じた事があるこの感じ桜は気配の正体に気づいた。

「ほ・・・ほぇーーー!!!!!!!!!」
「ど・・・どうしたんですか桜ちゃん・・・」
「どうしたの桜ちゃん!」
「(どうしたんやさくら!)」

桜のいきなりの大声に驚く周囲の面々・・・すると桜は知世に泣きつきながら話した。

「知世ちゃ〜ん・・・ゆ・・・ゆゆゆ・・・幽霊がいるよ〜(泣)」
「桜ちゃん・・・幽霊ですか・・・いったいどこに?」

知世はあたりを見回すが何も居ない。

「桜ちゃん・・・今真昼なんだからいるわけないじゃん」
「幽霊って朝には出ないんだよ桜ちゃん」(いますよあんたらの目の前に)

桜に気のせいだとさとす裕奈と柿崎、だが桜は感じてしまったいじょうさよの気配を感じ続ける。

「で・・・でも・・・幽霊の気配が〜(泣)」
「「「幽霊の気配って・・・?」」」

桜の言葉に理解できない青組、すると知世が説明した。

「桜ちゃんは時々ですがこうやって幽霊がそばにいますとその気配を察知してしまうんです」
「え・・・それ本当知世ちゃん!」

そして周囲はあわただしくなり始める。だがもっと慌しかったのはさよ本人であった。

「あわ・・・あわわわわ・・・木之本さん泣いちゃったよ〜ごめんなさいごめんなさい!」

桜に分かるはずもないのに桜に謝り続けるさよ、桜に分かるのはさよの気配だけなのだ。


そしてお昼も終わり修学旅行の為に作られたお昼から夕方までの長いHR時間、桜
はまださよの気配にガタガタ震えそのせいで桜の周りは3−Aクラスメイトでいっぱいになっていた。

「ほぇ〜・・・まだ気配がするよ〜・・・(泣)」

さよとクラスが同じなのだからまだ桜はさよの気配を感じ続けている。

「桜ちゃん・・・幽霊なんていないから・・・」

アスナは近寄りそう言うが桜以外見えても感じてもいないのだから仕方のない事だ。

「桜ちゃん・・・幽霊なんてウソだよね・・・」
「そうだようそって言ってよ」

桜と同じ幽霊苦手な双子が桜に問いかけるが桜にはもうすでに答える余裕は全くない。

「しかし木之本さんのこの恐がり様は尋常じゃありませんわよ」

委員長の言うとおり桜の顔はもう死にそうなほど青ざめて身体は震えが止まらない。
そしてその様子を刹那・龍宮は伺っていた。

「刹那・・・木之本の様子を見てお前はどう思う?」
「そうですね、私達が見えていない以上本当の事だとは思えませんが、学園長から
聞きましたが木之本さんは異世界の魔法使いと聞く、私達でさえ感知できていない
存在を感知しているやも知れません」
「そうか・・・ではもう少し様子を見ておくとするか」

話も決まり傍観者を決め込む刹那と龍宮、一方この問題の張本人幽霊のさよはまだ桜の周りであわあわしていた。

「こんなに騒ぎになっちゃったよ〜どうしよ〜・・・どうにかして木之本さんに何
も危害を加えない事を伝えなくちゃ・・・」

そして幽霊パワーをMAXにするさよ・・・すると教室にあった机などが上がり始めた。

―――ふわ〜〜〜

「「「「「「「きゃー・・・机や椅子が浮いてるー!」」」」」」」
「桜ちゃんの言った事は本当だったのね〜!」
「悪霊だ悪霊―ポルターガイスト現象ダー!」

これによって3−A一同大騒ぎになり大きな悲鳴や大きなざわつき声がクラス中を駆け巡る。

「あわわわわ・・・やりすぎちゃった・・・」

さよやりすぎたと思いMAXパワーを緩めると次は裕奈に取り付いて話そうとする。

「木之本さん・・・私・・・私は・・・(がくがく)」
「わー今度は裕奈にとりたー!」
「うちらとり殺されるんかー(泣)」

ますますクラスの混乱が大きくなる。
するとさっきまでガタガタ震えていた桜が封印の杖とカードを取り出していた。

「ゆ・・・幽霊さんを消さなくちゃ・・・」

桜はもうすでに正気を失った目をしている。
そしてケロちゃんが桜の事態に気づくとアスナとネギに話しかけた。

「(坊主・アスナ姉ちゃん桜を止めるんや・・・桜は『無』のカードを使おうとしとる!)」
「(『無』(ナッシング)のカードはさくらカードの中でいっちゃん力の強いカードで
桜がその気になればこの学園・・・いや世界を一瞬にして『無』に変えてしまう程の力があるカードなんや)」
「(あれが暴走してまうと相手の幽霊だけやない、この世界そのものがなくなってまうで!)」
「「(ええーーー!!!!!!)」」

ケロちゃんの話を聞き大声を上げ驚くアスナとネギ、桜の様子を確認すると地球破
○爆弾を持ったド○え○ん見たいに目の色が変わってしまっている。

「(なんでそんな危ない物持ち歩いているのよ!)」
「(そうですよ危険すぎますよ!)」
「(そんな事いっとる暇があったら桜を止めるんや・・・はよせんとこの世界ごと消されてまうで)」
「(そうは言ってもどうやって止めるのよ、今ちょっとでもショック与えたら桜ちゃ
んカード使いかねないわよ!)」

アスナの言うとおり桜は今我を忘れて爆発寸前の時限爆弾みたいになっている。
しかも周りはさよのおかげで凄い大騒ぎになってしまっている。

「(彼の者を・・・)」

そうこうしているうちにゆっくり唱え始めた桜、そして三人はハモるのであった。

「「「(もうダメ〜!)(ですー!)(やー!)」」」

桜を止めるのを諦める三人、するとエヴァがネギ達の前に出て呪文を唱えだした。

「やれやれ・・・仕方がない、(リク・ラク・ラ・ラック・ライラック・・・)」

エヴァが呪文を唱えると一瞬にしてさよが光に包まれ、さよは桜の目の前に姿を現すのであった。

「あ・・・あれ・・・」

自分に何が起こったのか訳がわからないさよにその姿を見た一同騒然となり桜とさよの周りを囲った。
そしてそのさよの姿を見た桜はと言うと・・・

「お・・・女の子・・・」
「あれは・・・名簿の写真にあった出席番号1番相坂さよさんです!」

ネギと桜の言葉を聞いたその瞬間さよは桜に姿が見えていることに気づき桜に泣きながら謝り始めた。

「ご・・・ごめんなさいごめんなさい木之本さん・・・私は木之本さんに私の存在
に・・・気づいてほしかっただけなんです・・・」

何回も何回も頭を下げるさよ、桜はそれによって我に返りさよに話しかけた。

「私こそごめんなさい、勝手に恐がってしまって」

その桜の一言に桜とさよの周りを囲っていたクラスメイト達はタガが外れたかのよ
うに一斉にさよに話しかけ始めた。

「さよちゃん・・・私たちも恐がったりなんかしてごめんなさい」
「ウチも何も知らずにとり殺されるーってさわいだりしたし」
「僕も悪霊だー!って言ちゃったし」
「「「「「「とにかくごめんなさい」」」」」

そして騒いでいた全員さよに頭を下げる。
するとさよも「いいえ・・・私も驚かせてすみませんでした」と皆に向って頭を下げる。
そして何回か双方頭を下げているといきなり桜が思いついたかのようにさよに話しかけた。

「そうだ!・・・相坂さん今から修学旅行の班を決めるんだけど私達と同じ班に入らないかな?」
「はい・・・それはいいですね桜ちゃん!」

知世がビデオ片手に桜の言葉を推薦する。

「え・・・でも私は地縛霊ですから学園外には・・・」

だがさよは地縛霊で学園外には出られないのだ、するとエヴァがさよに近づき小さな声で話しかけた。

「(大丈夫だ・・・それくらいの事は私が何とかしよう)」
「え!・・・本当ですか!?」

さよがエヴァに聞き返したときにはエヴァはすでに自分の席に戻り、そっぽを向いていた。

「マスターなぜ相坂さんに力を貸したのですか?」
「まあ・・・私も長い事この学園に縛られていたからな」
「さてと・・・私も桜の班に混ざろうとするか」

そしてまた桜に近づくエヴァ、すると知世の奇怪な行動に気がついた。

「知世・・・なぜ貴様はこんな時に桜をビデオに撮っているんだ?」
「桜ちゃんの我を忘れた顔も可愛らしかったですわ♪」
「貴様・・・さては私が動くと予見してたな?」
「さあ・・・それはどういう事でしょう♪」

しらを切る知世、だがエヴァにはもうすでにバレバレであった。
そしてこの後、桜達の班が決まってみると人数の過半数が人外で占めてしまったの
は言うまでもなかった。


<第九話終>


『ケロちゃんの次回予告コーナー』

「あ〜疲れたこれも桜が『無』のカードなんか使おうとするからや」

「ってもうはじまっとるやないかい!」

「という訳でこにゃにゃちわ〜今日も元気?に」

「『ケロちゃんの次回予告コーナー』がやってきたで〜!」

「さて今回のゲストは・・・」

「なんか知らんがふんわり姉ちゃん五月姉ちゃんや〜」

「(この肉まんいかがですかケルベロスさん)」

「わ〜い肉まんや肉まんや〜・・・五月姉ちゃんの肉まんうまいからなあ」

「はぐぅ・・・ぱくぱくぱくぱく・・・」

「(お味はいかがですか)」

「やっぱりこの肉まんから出てくる肉汁がうまいわ〜また作ってな〜」

「(はい)」

「それじゃあそろそろ次回予告いってみよか〜」

「さて次回のタイトルは・・・」

「(『さくらとネギのダブルデート?』です)」

「久々に雪兎と共に町に買い物に出た桜」

「すると町偶然会ったネギ&木乃香と共に一緒に買い物をする事になった」

「桜達はいったい何を買ったのか〜!」

「(が今回の見所です)」

「そういえば五月姉ちゃん」

「(なんですか?)」

「いつも肉まんつくっとる見たいやけど一日に何個つくっとるん?」

「(え〜っと○○個ですね)」

「そんなにつくっとるんかい!」

「・・・とそろそろ今回の次回予告も終わりやな」

「それじゃあ好例の最後のキメいくで〜!」

「ほなな〜」「(さようなら)」

<終>


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