第2話



「なんなんだ……あれは?」

[UNKNOWN。該当項目なし]

世界樹の上で呆然と佇むJフェニックス。

その視線の先には、空を飛ぶ二人の少女。

「どうした? こないのならこちらから行くぞ!!」

攻撃を開始する金髪の少女……エヴァ。

「リク・ラク ラ・ラック ライラック 氷の精霊(セプテンデキム・スピリトゥス)17頭(グラキアーレス)集い来りて(コエウンテース)敵を切り裂け(イニミクム・コンキダント)魔法の射手(サギタ・マギカ)連弾(セリエス)・氷の17矢(グラキアーリス)!!」

エヴァから氷の矢が放たれる。

「!!緊急回避!」

「YES!!」

バーニアを吹かし、ホバリングして急速にバックして回避するJフェニックス。

が、再び足をつけた瞬間、左膝関節から火を噴き、転倒した。

「どわっ!? ジェイス!!」

[機体ダメージ40%。機能20%低下。転移および落下によるものと推測]

「ちっ!! まずいな!」

体制を立て直そうとしたところに緑髪の少女……茶々丸が迫る。

「むっ!?」

放たれた有線ロケットパンチを左手のシールドで防ぐ。

そして、頭部バルカン砲で反撃する。

巧みにかわす茶々丸。

「来たれ氷精(ウェニアント・スピーリトゥス)闇の精(グラキアーレス・オブスクーランテース)!!  闇を従え(クム・オブスクラティオーニ)吹雪け(フレット・テンペスタース)常夜の氷雪(ニウァーリス)闇の吹雪(ニウィス・テンペスタース・オブスクランス)!!!」

その隙に再びエヴァから攻撃される。

「ぬおっ!!」

シールドで防ぐが、当たった箇所が凍りついてしまう。

「なんなんだ? この不可解な攻撃は!」

[UNKNOWN。該当項目なし]

「分かっとる!!」

焦る機龍。

このままでは確実にやられてしまう。

「外部スピーカーを入れろ!話しかけてみる」

[NO! 外部スピーカー損傷中。使用不能]

「何!! くっ、仕方ない、チャフおよびスモーク放射! この場を緊急離脱する!」

「YES!!」

機体から煙と銀色の紙吹雪を放射するフェニックス。

「むっ!? 小賢しい真似を!」

[センサー、動作不良……]

「今だ、ハイパーモード起動! ソニックブーストON!!」

[IGNITION!!]

赤いエネルギーのオーラを身にまとい、音速以上のスピードで離脱する。

あっ、と言う間にその姿は見えなくなる。

「くっ、逃がしたか……」

忌々しげにエヴァは言った。


「クソ! 駄目か」

あの場を何とか逃げ切ったフェニックスだが、無理がたかり、森へと墜落した。

応急修理を施そうとしたが、もはやそれではどうにもならなかった。

「あ〜、どうしたもんか……」

フェニックスの上に寝転ぶ機龍。

満月がやけに綺麗だった。

(ここはひょっとすると……第二の地球なのか?)

[少尉]

「どうした?」

[レーダーに反応。人影が接近してきます。数2]

「!! さっきの二人か?」

[NUKNOWN。センサー、動作不良]

右腰からリボルバー式マグナムを抜き、機体の陰に隠れる。

やって来た人影はJフェニックスの上によじ登る。

「おお、これはすごいネ!」

「素晴らしいロボットです!」

中国系の少女と眼鏡をかけた少女がJフェニックスを調べようとする。

「動くな!!」

「「!?」」

に銃を向ける機龍。

「ゆっくりと機体から降りて、手を上げるんだ」

機龍に従う二人。

「君たちは何者だ? Jフェニックスを調べてどうするつもりだ?」

「ほう、このロボットはJフェニックスというネ」

「質問に答えろ!!」

「あの、よろしければ、私たちが修理しましょうか?」

「何!?」


麻帆良大学工学部棟・地下秘密施設。

「驚いたな。大学の地下にこれだけの施設があるとは……」

シード・ラボ並みの施設に驚く機龍。

結局、修理のあてのない機龍は超たちに頼るしかなかった。

「ここは特別ネ。世間の科学力の十年は先を行ってるヨ」

説明する超。

ちなみにハカセはJフェニックスの修理に懸かりきっている。

「ほう……それで、何が望みだ?」

目つきを鋭くする機龍。

「何のことネ?」

「まさかボランティアでフェニックスを修理する理由じゃあるまい。ギブアンドテイクだろ?」

「話が早くて助かるヨ。まずはお互いの事情説明といこうかネ」

「ああ……」


「ほお〜、もう一つの太陽系に惑星J。それにアルサレア帝国にヴァリム共和国か。興味深いネ」

「この地球のことの方が俺には興味深いよ。魔法なんてものが存在するとはな」

「それじゃあ、あなたの機体の整備・補給、そして、この星に来てるというヴァリムとやらの情報も調べて逐一報告するヨ」

「わかった。では、俺は何をすればいい?」

「私のクラスの副担任をしてほしいネ」

「何!?」

驚愕する機龍。

まさか先生をしてくれなどとは思わなかったようだ。

「必要な情報はこちらで偽造するネ」

「なんで先生なんだ?」

「説明したとうり、私のクラスの担任はネギという十歳の少年ネ。彼にはとても危なっかしいところがあるヨ。だから助けてやって欲しいネ」

「なぜ君はそんなにその子を心配する?」

「ネギ坊主は血のつながった私の大切な人だからネ」

「血のつながった?」

「深くは教えられないヨ……」

目を伏せる超。

機龍はしばらく黙っていたが、やがて口を開いた。

「わかった。引き受けよう」

「本当ネ!?」

「少なくとも君のネギという少年への思いは本物のようだしな」

「シェイシェイ。感謝するネ」

「ギブアンドテイク……だろ?」


異星へとやって来た男は何の因果か教師をすることになった。

果たした、彼の出現は偶然か必然か?


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