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Re^8: 偉大なる狩人魂 第八話 投稿者:ドラグナー 投稿日:08/18-22:51 No.2818  

【第八話 なんてこった! by ドク・エメット・ブラウン】

大きな屋敷のあるドアに、ノックをするが
誰も返事は帰ってこなかった。

「いないのかな・・・?」
「またどこか出かけたんじゃないのか?」

ジェラードは何度もノックをしたが
やはり反応は静かだった。
後ろでは、ネギ達が寒そうに少しだけ体をさすっているのに
ここの屋敷の主は何処へ行ってしまったのか
呆れる一同に、ふと雅が扉の横に何かを発見した
田んぼにある鳥よけのような◎が描いた板のような物がぶら下がっていた
更にその下には同じ物が無惨にバラバラになっているものがある
まるで何かに砕かせたような・・・

銃声がした。
雅が発見した◎が描いた板のような物が一瞬で砕け散ったのだ。
一瞬の出来事に雅は驚きを隠せずに悲鳴を上げる
銃声と同時に悲鳴の声に、一同は振り向いた。
銃声は、丘の降りから聞こえる。
一同は丘の下辺りでライフルを持った男を見つけた。

「私は1000ヤード離れたところから、犬についたノミを撃てる!
 今お前の頭を狙っているところだぞジェラード!」

遠くから男はジェラードに向かって叫んだ。
褐色のダスターコートと山の高い黒い帽子を身に付けているとはいえ
声を聞くまでもなく、ジェラードはライフルを構えた男が誰だか分かった。

「ドク!」

その言葉に、ネギ達は驚いた。
あのライフルを持っている男がジェラードの言っていたドクなのか?
ドクの持っているライフルはウィンチェスターらしい。それもかなり特別仕様の。
銃身に望遠鏡の様な物を取り付けている。
標準の小さな物ではなく、フルサイズの望遠鏡だ。
更に望遠鏡の先には赤い赤外線センサーが取り付けてあり
センサーはジェラードの頭に標準を合わせてある
ネギは、ドクが構えているライフル銃を見ると
ふと龍宮真名を思い出す。
学園祭の頃、ともに世界樹の前で告白するカップルを止める手伝いをし
彼女のその仕事ッぷりに度肝を抜かせるくらいだった

「ジェラード、いったいこの三ヶ月間何処へ行ってきたんだ!?心配させおって!」
「許してくれよ!こっちにも訳があるんだ」

ドクは厳しい声を出しながら、彼の元へと歩き出す。
ジェラードは叱られるんじゃないかと思い覚悟を決めた。
すると、ドクは彼の肩を軽く叩きにっこりと笑い

「何てな、とにかく無事で何よりだ」

ジェラードはホッとした。
とりあえず、心配はかけてしまったが
怒る様子はないそうだ。
後ろにいるネギ達も、ジェラードやドクの様子に安心する。
びっくりした雅はただただ呆然とした。
暴走する様子はないなと、犬神とベッキーは安心する。

「君たちも無事で何よりだ。」
「いえ、そんな」
「ジェラードは、私たちのパーティですから」
「当然のこったぜ」

やがてドクは彼らの後ろにいるネギ達に目を向けた。

「そこにいる子供達は何処の誰なんだ?児童迷子協会施設の子達なのか?」
「そんな訳ないだろう」

ジェラードはあっさりと拒否した。
一方のアリサとベッキーは静かに拳を握りしめた
どいつもこいつも・・・と迷子呼ばわりされた事に苛立っている。
ネギは少しだけ苦笑いしている
自分たちはそんなに迷子に見えるのかなぁ・・と

「あの、ジェラードさん、それで、この人が・・・」
「ああ、そうだ」

ジェラードはネギ達に向き直し、ドクを紹介した。

「初めまして。50代目、ブラウン家当主 科学者ドク・エメット・ブラウンです」

と笑顔でお辞儀をしながらネギ達に向かって挨拶した。



屋敷の中は外の空気とかは違い一瞬で暖かい空気が流れ込んできた。
そんな空気を無視し、アリサとベッキーとすずかと望はすぐさま暖炉の方へと向かった。
天上には大きなプロペラの換気扇が回っており、暖炉の前にあるソファーの数も5つ以上もある。
暖炉の上には肖像画が立てられており、それぞれ有名な天才科学者が写っている。
不思議なのはどの天才科学者も握手している人がドクだという事だ

キッチンは結構広い。
中には変わった大きな機械が置いてある。
バスルームもトイレもネギ達が知っている電化製品物だ
しかし、電化製品にしては一つ疑問なところもある・・・。
この世界には電気があるのか?

「未来からやってきただと!?」

ドクは声を上げた。

「そういうこった!」
「にわかに信じられんな・・・。」

人の事言えないじゃないかと、静かにツッコミを入れるランス

「よしてくれジェラード。私がこの世界にやってきて同じく未来からやってきたと言っても
 ここの村の連中は全然信じてくれないんだぞ」
「それは、あいつ等に変わってオレが全部謝るから、とにかく信じてくれよ!」

ジェラードとネギと犬神はドクを追いかけながら、必死で説得する
聞きながらもドクはキッチンにある大きな機械のところに行き、蒸気モーターらしき物のスイッチを入れた。
車輪が回り、歯車が回転し、長いコンベア・ベルトが動き出すと、てっぺんから薄く白い煙が出始めた。
焜炉の方では、カエデがスチール製のポットに水を入れ、焜炉に置くと、下にある鉄製の小さな扉を開ける
そこへ火のついたマッチを投げると直ぐに優しく閉めた。

「未来というか、こいつ等は『ヘイセイ18』やらにやって来たとか言ってるんだが・・・」
「ヘイセイ・・・『平成』だと・・・」

別のスイッチを押そうとしたドクは、その場で手を止め
ジェラードを睨んだ。

「非常に面白い事を言うではないか『死神と呼ばれた狩人』よ。
 だが一つ腑に落ちずに理屈に通らん個所がある。もし、子供の言う事が本当だというのであれば
 どうして君がその話を信じるんだ?」

ようやくドクがまともに取り上げてくれた。
ジェラードは睨み返しながらドクの前に一冊の本を出してくれた。

「この訳の分からない字が書いてある本をオレに見せてくれたからだ」

その本の題名には『平成名鑑』と書かれてあった。



数分前
それは村長に未来での出来事を話している時だった。

「その袋の中に入っている物は何かね?」
「あ、これですか?」

村長はネギが抱えている防水仕様の大きな肩下げバッグに目を向けた。
ネギはバックの蓋を開け、中に入っているモノを取り出す

「・・・・・・・何だこれ?」
「平成名鑑です」

ネギはジェラードの問いに答えたが・・・。

「そうじゃなくて、これは何の文字なんだ?」
「え、漢字ですけど」
「おい、ネギ」

後ろからベッキーが肩を叩きネギを呼んだ

「この世界の住人は漢字を知らないんだ。だから仕方がない・・・」

例えば日本人が外国人に日本語や漢字が書かれてある本を見せたとしても
外国人から見ればちんぷんかんぷんだ。
この世界はそういう状況になっている。
ジェラードは必死で本に書かれてある文字を睨んでいる。



そして、未来からやって来た外国人のドク・エメット・ブラウンは
この漢字が読めるのだという
ドクは本を開き1ページ目から読んでみた。
こいつは驚きだ。ドクは認めざるをえなかった―――

「“この本を読む前に注意事項があります、まずこの本に書かれてある事は全て私が記録した
 平成の出来事が全て事実として書かれています。
 1989。
 ●昭和天皇が崩御し、皇太子明仁親王が即位。
 小渕恵三官房長官(当時。後の内閣総理大臣)が記者会見を行い新元号『平成』を発表。
 昭和最後の日となり、昭和64年は、昭和元年(12月25日~31日)と並び僅か7日間のみであった。
 そして元号が「平成」へと改元される。 
 ●鉄腕アトム、ブラックジャックなどで知られる手塚治虫は享年60歳で。この世から去っていった
 1991。
 ●湾岸戦争が始まった。
 1992。
 ●ロック歌手の尾崎豊がこの年により死去した。26歳の若さでのあまりにも早すぎる死であった。
 ●同じく漫画家で「サザエさん」の作者である長谷川町子が死去。
 心不全のために逝去するも遺言により1ヶ月間は公表されなかった(享年72)、
 同年7月、家族漫画を通じ戦後の日本社会に潤いと安らぎを与えたとして国民栄誉賞が授与された
 (漫画家で国民栄誉賞が授与されたのは現在のところ、長谷川1人である)。
 ●日本人である毛利衛がスペースシャトルで宇宙飛行。日本人初の宇宙飛行士が誕生した。
 ●夏季オリンピック『バルセロナオリンピック』が開催された。
 当時中学2年生で14歳になったばかりの岩崎恭子が200m平泳ぎで金メダルを獲得した事でも有名である。」

ドクは眉をひそめ、ネギ達に目をやった。

「じゃあ、お前達に言ってる事は本当だと言う事だな!」
「やっと信じてくれたのかよ」

ベッキーは皮肉そうに答えた。
ネギ達とは違う未来からやって来たドクにとっては驚きだった。
再び本の内容に目を通す

「“1993。
 ●ビル・クリントン、ジョージ・H・W・ブッシュを継いで米国大統領に就任。 
 のち、誰もが知っているあのクリントン大統領が誕生したのだ。
 ●「ローマの休日」「ティファニーで朝食を」にて有名な女優オードリー・ヘプバーンが結腸ガンで亡くなる。
 死後10年以上経つ現在でも「スクリーンの妖精」として世界中のファンに親しまれている。
 ●大相撲でハワイのオワフ島出身の曙太郎が史上初の外国人横綱となる。
 ●サッカーで有名なJリーグが開催。
 1994。
 ●大阪の関西国際空港が開港。
 ●長野県松本市北深志の住宅街で起こった、テロ事件「松本サリン事件」が起こった。
 住宅街に化学兵器として使用される神経ガスのサリンが散布され、7人が死亡、660人が負傷した。
 ●宇宙飛行士の向井千秋が日本人女性初でスペースシャトル コロンビアで宇宙へ飛び発つ 
 ●ゲーム機で有名なセガサターンやプレイステーションが発売される。」

ドクは再び目を上げた。

「平成の時代か!驚きだ!あの近未来で有名な時代から君たちはここへやって来たと言う事か!」

ネギ達は頷いた。

「はい、更に僕たち全員。日本からやって来ました。」

更にドクが驚くべき事が、この少年や金髪の少女が教師をやっているという事だ。
その証拠に、教員免許を見せてくれた。
こんな小さな子供までもが教師になれるとは平成の時代とは驚愕の事ばかりだ。
ドクのいる未来では二十歳の大人が教師になると言う事が常識。子供の教師は見あたらない。

「“1995
 ●中華圏アジアと日本を中心に活躍した中華民国(台湾)の歌手。テレサ・テンが死去する
 テレサ・テンの死因については、公式には「喘息の発作」とされているが、謎も多く、
 「麻薬服用による中毒死」、「エイズによる死」、
 「中華人民共和国に対する反政府運動に関わったことから暗殺された」などの説もある。
 ●大リーグで野茂英雄投手が日本人初の新人王に輝く。
 ●ロボットアニメ、新世紀エヴァンゲリオンが大ブームになり、社会現象にもなる。
 ●そしてこの年代で有名な『阪神・淡路大震災』。
この事件は平成の中でも後に歴史に名を残す事件にもなる。
 1996
 ●映画「男はつらいよ」シリーズの車寅次郎役で知られる俳優の渥美清が転移性肺癌のため東京都文京区の順天堂医院にて死去。
 享年68。「死に顔を他人に見せたくない。骨にしてから世間に知らせてほしい。」という渥美の遺言により、
 家族だけで密葬を行い、訃報は3日後の1996年8月7日に松竹から公表された。
 ●漫画家でドラえもんの作者である藤子・F・不二雄が死去 
 家族が夕飯の準備を告げるといつもの様に仕事部屋から返事があった。
 だが呼んでからいつまで経っても来なかったので娘が仕事場へ呼びにいくと、
 机に向かったまま意識を失っているところを発見される。
 ●たまごっちがブームとなりどの店にも必ず売り切れという形になる。
 1997
 ●プロゴルファーのタイガー・ウッズが黒人初・史上最年少の21歳6ヶ月でマスターズを制覇。さらに年間最年少賞金王にも輝く 
 ●ビートたけしが製作した映画HANA-BIがヴェネチア国際映画祭の金獅子賞受賞。
 ●カトリック教会の修道女にして修道会「神の愛の宣教者会」の創立者。そして多くの賞を授けた
 マザー・テレサが87年の生涯を終えた。最後の言葉は「もう息ができないわ」であった。
 ●神戸連続児童殺傷事件。少年犯罪がクローズアップされ、少年法改正論議が盛り上がるきっかけとなった。
 ●大相撲で有名な小錦八十吉が引退 
 1999
 ●プロレスラーのジャイアント馬場
 東京医大病院にて、大腸癌(上行結腸腺癌)の肝転移による肝不全により死去。享年61。
 一切外部には命が危ないことを漏らしておらず、
 最期を看取ったのも妻の馬場元子、姪の馬場幸子、お世話係の和田京平と仲田龍の4人だけであった。
 このことは、三沢光晴やジョー樋口にさえ知らせていない。
 これは妻・元子の意向である。戒名は「顕峰院法正日剛大居士」。
 4月17日に日本武道館でファン葬が催され、3万8000人が参加した。 
 ●シングルソングの「だんご3兄弟」が290万枚の大ヒット。CDシングル歴代新記録をもつ 
 2001
 ●ついに21世紀が始まった。
 しかしこの年代が恐ろしい事件の始まりになった事を知らない。
 それが『アメリカ同時多発テロ事件』。
 世界貿易センタービルが破壊された事で有名な事件でもある」

何と、それはいくらドクでも知らなかった。

「破壊された、だと・・・」

ネギ達は肩をすくめた。

「これには・・・訳があるんです・・・」

ドクは肩をすくめながら、本を見直した

「“イスラム過激派によってハイジャックされた4機の大型ジェット旅客機が、
 アメリカ国内の複数の地上施設めがけ激突したことにより、2973人の犠牲者を出した。
 その施設が国防総省本庁舎ペンタゴン、そして世界貿易センタービル
 事件後、アメリカは対テロ戦争としてアフガニスタン戦争とイラク戦争を行うことになる。
 2002。
 ●野生のアゴヒゲアザラシのタマちゃんが多摩川を始め首都圏周辺の川にやって来る。
 2005
 ●愛知万博が始まり、別の名を『愛・地球博』と呼ぶ。
 ●そしてこれは大事件とは関係ない事だが・・・『涼宮ハルヒの憂鬱』が来年アニメ化決定となる・・・。」

またもやドクは目をあげた

「涼宮ハルヒ?」
「文庫本ですよ」

犬神は説明した。

「凄く人気がある文庫小説です」

いったいどういう話なのか、興味津々ながらも、ドクは再び本に目を通した
そこには涼宮ハルヒについての事が書かれてある。

「“ビミョーに非日常系学園ストーリーで
 変なあだ名をもつ青年キョンの後ろにいるハルヒ
 『東中学出身、涼宮ハルヒ。ただの人間には興味ありません。
  この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上。』
 この言葉により、何も知らないハルヒの周りにすでに宇宙人も未来人も超能力者がいたのだが
 その事実を知っているのはキョンだけ。そこから全てが始まるのであった。
 ●さて、ここまでは平成の中でも有名な事だが、ここから先は、1989~2005の出来事が
 詳しく書かれている辞書風となっている。
 そしてこの本を読みながら忘れずに覚えていて欲しい
 阪神大震災。多発テロ事件。これらの事件により亡くなった人達のご冥福を祈りたい。
 私がこの本を書いている理由は、平成の出来事を多くの人に分かってもらいたいからである。
 これ以上、大勢の人達の犠牲を費やさないように自分に何が出来るのかを考えてもらいたい」

いきなりの感動的な文章にドクは思わず鼻をグスンと言わせた

「“いかなる時もこの出来事を忘れずに、著作、あえて名前を伏せます『匿名希望』」
 
開いた本をいったん閉じて、目を拭いながらネギ達も見た。

「私でさえも知らない平成がこんなにも残酷なところがあるなんてな」
「悲しい話がたくさんありますね」
「可愛そうだな・・・」

ドクは再び機械の方へ戻り。スイッチを押し始める。
鎧を付けたままのランスは鼻をすすっている。

「あんた泣いてんの?」
「これは嬉し泣きだ!やっと長い内容の話が終わったからな!」

素直じゃない様子のランスに、アリサはただ呆れる。
すると機械が耳障りな音を立て始めた。
その音と同時に、カエデは火がついた焜炉に置いてあるポットを取りだした。
ポットから注ぎ込まれる熱い熱湯を、いつの間にか用意しているティーポットに入れ、
棚から複数のガラスのコップを取り出した。

「ジェラード、左のバルブを回せ!」
「了解!」

ドクは激しく揺れている装置の左隅を指さした。
ジェラードはバルブを急いで回すと、機械がゴホンと咳をして、
ドクが用意したタライの上に四角い氷が複数、ゴロゴロと吐きだした。
トングでそれぞれ氷を掴み、複数のグラスの中に入れた。
それにティーポットから出てくる赤褐色の液体を注いだ。
液体からはとても甘く良い香りの匂いがしてきた。

「ドドブラリンゴで作った冷たいアップルティーだ」
「「「いただきます!」」」

ネギ達はちょうど喉が渇いていたところだ
それぞれ一つずつグラスを取り、それを飲み干した。

「甘くて美味しい!」
「この世界でも紅茶が飲めるだなんて!」

紅茶をよく飲むアリサやすずかにとってはこれほど感激する事はなかった。
それよりもと、ネギとベッキーは大きな機械に目を通した。

「これって、製氷器なんですね」
「科学者もすてたもんじゃないな」

事実上、ドクは科学者である。

「それじゃあ、この後の話は夕食をとりながらにしよう」
「ああ、アイルーキッチンに注文するか」

ジェラードはネギ達に振り向き、注文をする。

「お前等、何が食べたいんだ?これからアイルーキッチンのところへ行くから」
「アイルー?」
「この世界でいう、コックの事じゃないのかな?」

アイルーという言葉に?状態のネギ達。
とにかく、とジェラードは棚からメモ帳を取り出し、ネギ達に訊いてみた。

「そんで、何が食べたいんだ?ガッツチャーハン、ジャンボピザ、グラグラタン、アンアンゾースイ、パッパラパスタがあるぞ」

以上の変な名前を持つメニューに愕然とする。
なかでもパッパラパスタという名前に・・・・。

「あの・・僕たちにはあんまり分からないんですが・・・」
「そっか、そりゃ悪かったな」

初めて来るこの世界だ。
分からなくて当然かもしれない・・・。
反省したジェラードは自分からお薦めのメニューをする事にした。

「それじゃあ・・・リュウノテールとオニマツタケのグリルと
 幻獣チーズとシモフリトマトのジャンボピザにしよっか
 あれなら結構美味いしな。」
「でしたらそれで・・・」

決定したという事で。
ジェラードはカエデの方を向き

「と言うわけだ。オリバー達に言っておいてくれないか」
「かしこまりました旦那様」

とカエデはキッチンから出て行った。
ちょっと待った、と言いながらベッキーはジェラードを見つめた。
一方のアリサやすずか達も今の言葉を聞き逃さなかった。

「あの人・・・今、あんたの事を・・・」
「旦那様・・・・って」
「それはまた後で言うから、今はもうすぐ夕飯の時間だ」

ランスは彼女たちの肩に手を置き、少し押した。

「何で押すのよ?」
「何って・・・夕飯の所に行くに決まってんだろ」
「ここで食事というわけではないんですね」

仕方がないと言いながら、ネギ達はキッチンから玄関まで移動した。
ふと、ジェラードがまたメモ帳で何かを書いている。

「何をしているんですか?」
「ああ、ちょっと緊急連絡だ。こういう状況になっているんならってな」

ますます訳が分からずにいるとき
ジェラードはようやく、メモ書きを終え、それを金属製の小さな円柱に巻き付けると
玄関のドアを開け、外へ出た。
今度は家の裏の方まで行き、大きな木製の箱の方へと向いた
箱の小さな穴から出てきたのは、ハヤブサだった。
するとジェラードは小さな巻物をハヤブサの脚にくくりつけると
頼んだぞと言いながら、そのまま空へと放した。
ネギは彼が何をしているのかをようやく分かった。
おそらく伝書鳩ならぬ伝書ハヤブサだろう
誰かを伝える為のようだ。
やるべき事を終えた後、夕食の方へと向かった。
夕食の場所はジェラードの家だ。
また歩かなきゃ行けないのかと、そのままジェラードの後へと付いていった。

偉大なる狩人魂

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