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序章 『悪夢』 投稿者:ジュノ 投稿日:08/14-20:44 No.1103



一人の少年の記憶。

それは少年が小さい頃に体験した恐怖の記憶。

住んでいた村が燃え、人々が死んでいく悪夢。

少年は何も出来なかった。

その悪夢の中で脳裏に焼き付いて離れないのは・・・。

死んだと言われていた父親の姿。

そして、異形の大剣を持った青い騎士の・・・。

狂気に満ちた赤い目・・・。


序章『悪夢』


「ピンチになったら現れる~♪ どこからともなく現れる~♪」

イギリスの魔法使い達が住む山間の村、その村の小さな池で歌を歌いながら釣りをしている子供の姿があった。
子供の名はネギ・スプリングフィールド、まだ四歳である。

「そうだ、今日はネカネお姉ちゃんが来る日だった。早く村に戻らなきゃ」

釣り道具を片付け、住んでいる村に走り始めるネギ。一ヶ月に一度しか会えない姉のネカネに会うために。

「ネカネお姉ちゃ・・・」

しかし、ネギを待っていたのは・・・炎に包まれている村だった。



「ネカネお姉ちゃん、おじさーん」

燃えさかる炎に恐怖しながらも村の人達を、ネカネを探すためにネギは村の中に入った。
奥の方に行くと村人の姿を見つけた。しかし、村人は物言わぬ石になっていたのだ。その村人の姿を見てネギの目に涙がこみ上げてくる。

「僕がピンチになったらって思ったから・・? ピンチになったらお父さんが来てくれるって・・? 僕があんな事を思ったから・・・!」

ネギはその場で泣いた。村が燃えたのは自分のせいだと、自分のせいでこんな事になったと思い、ネギは泣いた。そして、ネギの前に次々と異形の怪物が降り立ってくる。

「ヒ・・・」

ネギの体がガクガク震える、目の前には沢山の巨大な悪魔の姿があったからだ。

「僕があんな事を思ったから・・・お父さん・・お父さん・・お父さん・・」

ネギが煩わしくなったのか、降り立った一体の悪魔が巨大な腕をネギ目掛けて振り下ろそうとしていた。ネギは目を瞑り、死を覚悟した。

「・・・・・?」

しかし、ネギに死は訪れなかった。腕を振りかざしていた悪魔がネギの方ではなく、まったく別の方を向いていた。その他の悪魔もネギとは別の方へ向いていた。
ネギは瞑っていた目を恐る恐る開け、悪魔達と同じ方へ首を向けた。

「何・・・アレ・・・」

見ると悪魔達の中心に大剣を持ち、青い鎧を着た騎士が次々と悪魔達を斬りさいていた。悪魔達は青騎士に向かっていくが、返り討ちにされている。すると斬られた悪魔の体から黒い塊のような物が飛び出し、大剣に吸収されていった。

「そうだ!我にもっと闇を捧げよ!ウハハハハ」

青騎士の狂喜の声が響き、ネギは思った《悪魔をやっつけてる・・・けど、あの人は味方じゃない。逃げなきゃ・・・》
ネギの本能がそう告げたのだ。しかし、体が震えて思うように動かなかった。

「こんな所にまだ人間がいたのか」

「!?」

悪魔をすべて倒し終えたのか、青騎士がネギの目の前にやってきた。その青騎士の姿は異常だった。胸に鋭い牙が生えた口があり、右腕は巨大な爪が生えた獣のような腕だった。右肩にも胸と同じような口、まるで胸と右腕に別の生き物が付いているようであった。
そして、持っている大剣も生き物のように動いており、不気味だった。

「どうだ小僧、恐ろしいか?我が」

「うっ・・・ぐす・・・」

「その恐怖にまみれた顔、心地よい。お前も我の贄となれ!!」

青騎士が大剣をネギに振り下ろした。だが、その大剣は寸前でネギの前に現れた男によって止められた。

「何だ?貴様は」

「『雷の斧』!!」

男がそう叫んだ瞬間、青騎士の体が真っ二つに斬られ、倒れた。しかし、持っている大剣から出てきた黒い塊のような物が青騎士に吸収されていき、体が元に戻った。

「人間風情が!ナメた真似をしてくれる!」

「ちっ!!」

突如始まった戦いにネギは一目散に逃げ出した。とにかくあの場から離れたい一心で夢中で逃げた。

「!」

生き残りだろうか、一体の悪魔がネギの目の前に立ちはだかり、口から光を放った。その光をネギは浴びる事はなかった、自分の前にネカネと老魔法使いのスタンが光を防いでくれたのだ。だが、かわりに光を浴びてしまったらしく、スタンの半身とネカネの両足が石化していた。

「ぐむ・・」

「う・・」

「お姉ちゃん・・・」

よろけた拍子に石化したネカネの両足に大きくヒビが入り、砕けた。倒れたネカネを機に悪魔と地面から出てきた使い魔が一斉に襲いかかってきた。スタンは石化した体を無理矢理動かし、小瓶を取り出すと呪文を唱えた。すると小瓶の中に悪魔と使い魔が吸い込まれ、封印された。

「無事か・・・ぼーず」

「おじいちゃん・・・」

「恐らく村の誰かに恨みがある者、もしくはここで発見された二つの剣を狙ったんじゃろう。この村にはナギを慕って住みついたクセのある奴も多かった、発見された剣は手に入れれば強大な力を得る事が出来るらしいからな」

「二つの・・・剣?」

「そうじゃ。じゃが召喚された下級悪魔の数、強力さ・・・相手は並の術者ではあるまい。村の奴等が集まれば軍隊の一個大隊にも負けはせん・・ハズじゃからな・・ぐっ」

「おじいちゃん!!」

ネギは自分とネカネと一緒に逃げようよとスタンに駆け寄った。しかし、スタンは逃げようとはしなかった。自分を蝕んでいる石化の魔法が強力でもう助からない事が解っていたのだ。

「頼む・・・逃げとくれぃ・・。どんな事があってもお前だけは守る、それが・・・死んだあのバカへのワシの誓いなんじゃ」

「おじい・・ちゃん・・・」

「誰か残った治癒術者を探せ・・・石化を止めねばお姉ちゃんも危ないぞい・・。ぼーず、この老いぼれは置いて・・・はや・・く・・・」

その言葉を最後にスタンは完全な石になり、息絶えた。ネギはスタンの言う通りに逃げようと、倒れているネカネを起こそうとした。するとネギの後ろに青騎士から守ってくれた男が現れた。男はネギとネカネを抱え、村から少し離れた草原に避難した。



「すまない・・・来るのが遅すぎた・・・・」

未だに燃えている村を見つつ、男はネギに言った。ネギはそんな事は聞いていないのか、必死にネカネを揺さぶって起こそうとしている。

「お前・・・はっ!」

「あ・・」

男が気配に気づき、後ろを振り向いた。すると大剣を杖変わりにボロボロになった青騎士が歩いてきた。青騎士は男の姿を見て笑った。

「クククク・・・貴様、人間のくせに我に再生が追いつかない程の傷を負わせるとは。復活したばかりとは言え、人間ごときに遅れをとるとはな」

「復活だと?」

「そうだ、大鎌を持った男が我の体を再生させたのだ」

「貴様は何の目的でここに来た」

「この地にあると言うソウルエッジを取り戻し、ソウルキャリバーを破壊するためだ」

「ソウルエッジ・・・ソウルキャリバー・・・ここで発見された意志を持つと言う伝説の邪剣と霊剣か・・・」

「だが、この地にはもう無かった。恐らく、あの悪魔共がここに来たせいで両剣とも破壊される危険を察してこの地を去ったのだろう」

「それは残念だったな」

青騎士は男を睨むと力が限界なのか、膝を突いた。

「貴様等の顔は覚えておくぞ。必ずソウルエッジを取り戻し、最初の生け贄に魂を喰らってくれる! 我が名はナイトメア! 世界に闇を、破滅と混乱をもたらす者なり! ウハハハハハハ!!」

青騎士・・・ナイトメアは笑った後、霧のように消えていった。だが、ネギは見てしまった。ナイトメアが消える瞬間に自分を見たあの狂気に満ちた赤い目を。ネギは再び泣き出しそうになりながらもこちらに近づいてくる男を迎え撃つために練習用の杖を持つ。男の方はそんなネギの姿を見続けた時、何かを確信したようだった。

「そうか、お前が・・・・ネギか・・・・」

震えるネギに近づき、男はネギの頭をソッと撫でた。その行為にネギの震えが収まった。

「大きくなったな・・・」

「え・・?」

「そうだ、お前に・・・この杖をやろう。俺の形見だ」

「・・・・お、父さん・・?」

ネギを助けてくれた男、彼は父親のナギ・スプリングフィールドだった。サウザンドマスターと呼ばれた伝説の魔法使い。ナギはネギに杖を渡すと空に飛び立った。

「悪ぃな、お前には何もしてやれなくて」

「・・お父さん?」

「ネギ・・・恐怖に屈しない心だ」

「・・恐怖に・・屈しない・・心?」

「まだお前には解らないかもしれない。だが、恐怖に屈しない心を持てば、お前の手に必ず・・・」

「解らない・・解らないよ、お父さん」

「これは自分で気付かなくちゃ意味が無い。それから、こんなこと言えた義理じゃねえが・・元気に育て! 幸せにな!」

飛び立ったナギがどんどん遠くなっていく。ネギは必死に追いかけるが、途中で転んでしまった。また追いかけようと立つが、すでにナギの姿は無かった。

「お父・・さん・・お父さあーん!!!」


一人の少年の記憶。

それは少年が小さい頃に体験した恐怖の記憶。

住んでいた村が燃え、人々が死んでいく悪夢。

少年は何も出来なかった。

その悪夢の中で脳裏に焼き付いて離れないのは・・・。

死んだと言われていた父親の姿。

そして、異形の大剣を持った青い騎士の・・・。

狂気に満ちた赤い目・・・。


TO BE CONTINUED・・・

目覚める凶夢

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