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英雄のタクティクス その十六 楽園の石像(×FFT) 投稿者:かい 投稿日:07/20-00:44 No.950
図書館島地底図書館。
幻想的な光景が広がる秘境のある場所に、二人の男女が倒れていた。
「う……」
言うまでも無くムスタディオとアグリアスである。
前回、謎の巨大石人形に潰されかけ、こうして気絶していたのである。
下が深めの泉であったため、大事には至らなかったようであるが。
ちなみに巨大石人形はそのまま水中に沈んでしまっていたりする。
「ぐぐ……何だったんださっきのは?」
どうやらムスタディオのほうが目を覚ましたようである。一度水中に沈んだので衣服がびしょ濡れになっている。
「しかし……流石は異世界。何が起こるかわからないな」
何に感心しているのかはわからないが、あの石人形が落ちてきたのは異世界だからというわけでは無い。
ムスタディオが変な勘違いをしていると、隣から悪夢から目覚める時にあげるような声が聞こえてきた。
どうやらアグリアスが目を覚ましたようである。
「む……? ムスタディオ、私は一体……?」
頭を打ったのか、少しばかり記憶が混乱してるようである。
そして教えを乞われてそれを否定するほどムスタディオは常識はずれな人間ではなかった。
ただ、彼は常識はずれでは無いせいでこの後酷い目にあう事をまだ知らないのであった……。
「お前が水浴びしてたら上から何か降ってきたみたいでな。それに当たって気絶してしまったんだ」
「そうなのか……。異世界は何が起こるか……ん、水浴び?」
アグリアスは何か思い出したようで、確認するように自分の身体を凝視した。
そこに普段は身につけている衣類は無く、彼女の身体を隠す物は何もなかった。
つまりは今アグリアスは裸体となっていた。水浴びをしていたのだから当然であるが。
アグリアスは確認作業を終えた機械のように首を真正面に向けると、ムスタディオ、自分の武器の順に目線を流す。
そして自分の武器を拾い上げ、口を開きだす。なにやら後ろに炎のような物が見えるが気のせいだろう。多分。
「ムスタディオ……」
「ん、なんだ?」
「最後に言い残すことはあるか?」
「え?」
数秒後、図書館島地底図書館に若い男性の悲鳴が響き渡った。
嗚呼ムスタディオ。質問に答えた時点で気づいて逃げれば良かったものを……。
その頃、悲鳴を聞きつけたのか、謎の影が二人の方を振り向き、嬉しそうに喋りだした。
「くくく……やっと見つけたぞ」
そして謎の影は、二人の方へゆっくりと歩き出していった。
獲物を見つけた肉食動物のような雰囲気を漂わせながら……。
そして数時間後、遠く離れた場所で……。
「う、ん……」
「う……」
落とされ、更に流されてきたネギ達が目を覚ましたようである。
かなり高いところから落とされたようだが、不幸中の幸いか怪我をしている者はいないようである。
「あれ……ここどこ?」
「えっと……確か英単語トラップに失敗して……」
「……ってここはどこなの!?」
二回発した『ここどこ?』だが、おそらく二つの意味合いは違うのであろう。
前者は純粋に所在地を知りたかったのだろうが。
後者はこの図書館島地底図書館の広大さを目の当たりにして驚いてしまったのだ。
いずれにしても、この場にアスナの発した疑問に答えられる者など……。
「ここは……幻の地底図書室」
いた。
疑問に答えを出したのは、この手のプロの一人である綾瀬夕映であった。
ここには沢山の貴重な本があり、また地底なのにも関わらず常に暖かい光が差し込む所。
更に人気など皆無なため、誰にも邪魔されずに本が読める。まさに本好きには楽園に近い場所である。
目を光らせ肩を震わせながら彼女、綾瀬夕映はそこまで教えた後、目の色を変え。
「ただし……、この図書室から生きて帰ったものはいないとか……」
と脅すように付け加えた。
「だったらなぜ夕映が知ってるアルか?」
生きて帰ったものがいないならその事を彼女が知る術は無いはずである。
古菲がそう突っ込んだが、夕映は何事も無いようにスルーしてしまった。企業秘密という物らしい。
しかし竜が住んでいるのだから、あながち生きて帰った者はいないという噂は間違っていないのかもしれない。
だが噂が嘘でも、脱出困難である事実に変わりは無い。
「そ、それじゃあ明後日のテストまでに帰れないアルよ!」
「それどころかこのままずっと帰れないんじゃあ……」
「あの石像もまたでるかもしれないよ!」
場に不安が広がっていく。
こんな時こそ担任であるネギやラムザが皆を元気付けるべきである。
しかし二人はそれぞれ別々な考え事に忙しく、それどころではなかった。
「(杖さえ使えれば外まで飛んでいけるのに……)」
ネギのほうはそれなりに脱出法を考えているようであった。
しかしラムザが考えているのはもっと別の事であった。
ラムザは自分の懐に入っている荷物袋を見ながら難しい顔をしていた。
「(聖石が……さっきより強く光ってる!)」
この図書館島に入った時から聖石は光っていた。
おそらく聖石どうしで反応しているのだろう。
光が強まっているという事は、その分聖石に近づいているのだろう。
「(一体どこにあるんだ……。変なことにならなければいいけど……)」
そうラムザが思案を巡らせていると。
「大丈夫ですよ!」
不意打ちのようにネギが大声を発した。
考えてたことが口にでてしまったかとラムザは慌てたが、どうやら違うようであった。
「その……根拠は無いけどきっと帰れます。だからそんな不安にならないでください!」
どうやらネギなりに皆を元気付けようとしたらしい。
それはそうである。たとえ先程の思案がネギに聞かれたとしても、ラムザの事情の知らないネギに判るわけがないからである。
それに、教師としてはラムザを励ますより生徒達を励ますに決まっている。
ラムザは自分の早とちりを恥じつつ、食料探しに出かけた皆についていくのであった。
「クックック……。案外あっさり片付いた物だ」
男が『ソレら』を見ながら言う。
そして男は、フト気づいたように。
「む……? この魔力は聖石の……」
ほんの数瞬だけ考えた後、男はにやりと笑いだした。
「なるほど、奴もここに来ているのか……。せっかくだ、奴も始末しておくか」
男は『ソレら』、二つの石像を一瞥した後、再び歩き出した。
彼が一瞥した石像は、まるで本物の人間のようにリアルで、さらに本物のように苦痛の表情を浮かべていた……。
続く……。
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