麻帆良学園の煎餅やさん 第2話(魔法先生ネギま!×魔界都市)+オリ主 投稿者:仮の俊介 投稿日:04/09-04:14 No.159
私たちは計画を実行し、近衛の孫娘の誘拐に成功した。
まったくあの爺め、前から我々が親切にも世界樹をわたせ、もしくは切れと手紙を送りつけていたのに、まったく無視しおって。
とうとう我々は神の教えにしたがって実力行使を行った。
ふん、我々を怒らせたことを後悔するがいい。
この娘は今後の交渉の役に立つし、近衛の孫は潜在的な能力が高いと聞いた。
我々の悪魔神に供物として捧げればいいだろう。
私は信者を集め、娘を祭壇に眠らせた後、我々の神への儀式を行おうとした瞬間、
肩に変な犬らしき物を乗せのんびりした男がドアから入ってきた。
その男は黒のスラックス、黒のシャツ、と髪や瞳の色も含めて黒で統一されていた。
男はまるで、自分の部屋に帰ってきたみたいな感じに見えた。
「なあマスター、ここ臭えぞ。ここ豚小屋じゃないか?」
「おい、口はもっと丁寧に言いなさいと言っただろう。だから・・」
その瞬間、全ての信者が男に銃を向けた。
「こうやって敵を作っちまうんだ。気をつけなさい。」
まるで、子どもに教えるように喋っている。
なんだ?あいつは。あんな奴は信者のなかには居ないはずだが。
犬らしきものは鼻を震わすと「このか発見!このか発見!」と叫び紙切れに戻った。
あれは式神! なるほど、この娘の関係者というわけか。
馬鹿な奴だ。一人で乗り込んで来るとはたいした奴だが頭が足りないらしい。
「そいつを殺せ。そして近衛の奴への見せしめにしてやれ。」
その言葉に信者が銃を構え男を狙った。
銃声が鳴り響いた。
目の前で行われたことが信じられなかった。
私の目の前には蜂の巣にされた男が倒れているはずが、倒れていたのは銃を撃った私の信者達だった。
信者らは自らの頭を打ち抜いていた。まるで自殺でもしたみたいに。
くそ、いったい何が起きたというんだ。
そう思っていてもここに居るのは私1人である。
まあいい、だったら逃げればよいのだ。
こちらには人質がいるのだから。
私は眠っている娘の首にナイフをあて
「動かないでいてもらおう。
何の武器を使っているのか知らんが最後には私が勝つ。私には人質がいるのだ。」
「ねえ、一つ聞いていいかい。その子をどうするつもりだったの?。」
「決まっている。この娘は近衛との交渉のためのいいカードにもなる。
最後には我々の神への供物になっても・・。」
その時、男の周りに光の渦が回りだした。
それは嵐の如くもの凄い力の渦だった。
「人は何かをするには覚悟が必要だ。生きるのにも死ぬのにも。もちろん人を殺すのにもな。
そして、あんたも人を殺そうとする時、自分も殺される覚悟が。」
あの男の中で何かが変わった。
声や口調や姿が変化したわけではない。
ただ何かが変わった。
「我に会ってしまったな・・。」
男の手に眩い光が纏わりついていた。
次の瞬間、その光は二挺の大型拳銃になっていた。
「あなたの話は聞き飽きた。さようなら。」
その時、私は得体の知れない恐怖が全身を駆け抜けた。
私の体の奥底に眠っている自己防衛反応のようなものを掻き乱され、
気がついたら私は持っていたナイフを男そのものに向けてとびかかっていた。
その瞬間、銃声が鳴り響きその私の体が落ちた。
体を動かそうとしたら何の反応がなくなっていた。
私の首から下が無くなっていたのだ。
私は痛みで意識を失う前に、目の前の男の顔を見たら凄くきれいな顔で笑っていた。
いままでみたものよりも美しい顔で。モナリザよりもミロのビィーナスよりも。
人類の歴史の中で誰しもが作り出すことはできないと、同意するに違いない美しさであった。
(ああ・・、こいつは悪魔だったのだ。そして、悪魔は私の前に現れてくれたのだ。私の信仰は正しかったのだ。)
そのまま私の意識は闇に消えていった。
麻帆良学園の煎餅やさん 第2話
僕は久しぶりに麻帆良学園に来ていた。
そのまま学園長の部屋を訪ねたら、相変わらず昔と変わっていない老人がいた。
「やあ、爺さんまだ生きてたんですね。」
「ひさしぶりじゃのう、秋君。」
「それと久しぶりにタカミチにあった。ずいぶん年をとっていたな。」
笑いながら答えた。
彼と会うのは7~8年ぶりの京都以来だった。
「・・・お主は姿形全然かわっておらぬの(笑)。」
そう、僕はまったく変わっていなかった。
この爺さんと初めて会ったころと全く変わっていない。
うーん、どうなっているんだろ。
「それで、なんのようです。爺さんに呼ばれていていると聞いてついでに来たんですが。」
「ついで・・。実はお主に麻帆良学園に来て欲しいんじゃ。」
「冗談はキライです。なんでおたくのお膝元にいなきゃならない。
お断りです。すべて借りは返した筈です。」
借りとはこの世界に来たとき作ってもらった戸籍などの書類のことだ。
結構やっかいごとを押し付けられたことを思い出す。
このかの護衛もやったこともある。
「それにここだって僕を歓迎してない奴だっているんでしょう。
なんでそのような場所にいなければならないんです。」
爺さんは困ってヒゲをなでていた。
僕の性格と正体が余りに不透明なため反対者もいたことはタカミチから聞いている。
ほんと、このまま放っておいてほしかった。
この人は僕を鬼札にするつもりなんだろう。
「いまだにここは狙われおる。世界樹や図書館島といった色々なものもをな。
今はなんとか撃退しておるが、それに伴いどんどん狙う人も増えていく。
完全ないたちごっこといっていい。」
「しかし、そのために学園の生徒や先生にその手のエキスパートを集めたのでしょう。なぜ彼らに頼らない?」
「彼らが魔法使いだからじゃ。
魔法使いはある意味好奇心の固まり。
彼らがそれらに手を出さないという保障は何処にも無いんじゃ。」
「やれやれ、敵は外でなく身内にもいる。ほんと大変だねえ。」
「だから、お主が必要なのじゃ。その対抗手段のために。信頼のおける君に。」
「帰ります。」
やっぱし帰ろう。厄介事を抱える気はない。
そう思って踵をかえした。
爺さんは僕に頭を冷やさせるつもりなのかこう言ってきた。
「いきなり帰ることもないじゃろう。少し学園を散歩してきたらどうじゃ。」
僕は部屋を出るためノブに手をかけた。その時
「そういえばもう一つ、あなたを教師に推薦したのはこのかじゃ。
このかはおとなしい性格だが、物事の本質をよく捉えている。このかが信じたからワシも信じた。」
「まるで、孫バカ&熱血漢のようなセリフだがそれで僕が動くとでも。」
この爺さんは相変わらず彼女の見合いのセッティングをやって見合いさせてるんだろうか。
ホント彼女は付き合いがいいねえ。
よく癇癪を起こさないものだ。
そのときの僕の考えていることなどわかっていないだろう、爺さんは話を続ける。
「だが、孫の思いを握りつぶせるほどお主はイヤなやつじゃない。このかの信頼に答えてくれんか。」
「帰る。」
「明日ここにきてくれ。そのときまで考えていてくれんか。」
「答えは変わらないと思います。」
そう言って部屋をでた。
久しぶりの麻帆良学園は結構変わっていた。
見たことのないお店や施設など、時は結構流れてしまっているようだ。
放課後だからだろうか、学生服を着た生徒が下校している。
世界樹の前に来たときタカミチが近くを歩いていた。
そのとき僕の姿を見つけたのか、僕の近くにやってきた。
「ふーん、話には聞いてたけどちゃんと先生やってんだね。」
「最初は慣れなかったけどね。何とか頑張っているよ。」
苦笑しながら答える。
やはり今でも学園と魔法関係の仕事と二束のわらじを履いているのだ。
今でも結構大変なんだろう。
「一つ聞いていいかい。君は僕がここにやってくることに反対だったかい。」
「周りは結構反対意見が多かったよ。
結局は学園長が押し切った形だ。
確か、あなたは恐ろしく強い。
昔の僕も君の戦いを何度も見てきたし、手合わせもしたけど歯が立たなかった。
あのとき感じたのは恐怖だけだった。」
そういってタバコに火をつけ煙を吸った。
はいた煙は夕日の空に昇って消えていく。
「でもね、ひとつだけわかったことがある。
君は悪い奴ではない。それだけだ。」
僕は目が点になった。
「なんじゃそりゃ?」
「それで僕は君を信じた。
それじゃだめかい。」
「それはそれは、すごい決めゼリフだね。」
もし、今僕の顔を鏡を見たら頬がちょっと引きつっているだろう。
吹き出すのをこらえているのだ。
あいつの薫陶をうけた人間はみんなこうなるの?
「今時ベタなドラマでもつかわないよ、そんなセリフ。」
「でも、僕はそのまま君に伝えるしかないさ。
それに学長の元にいれば魔法界で賞金をかけられずに済む。
でも、調べによると逆賞金にナギさんと一緒に同額で掛かっているみたいだけどね。」
逆賞金とは、警察が犯罪者の情報や逮捕に懸賞金を掛けるのとは逆に、犯罪者の連中がかける賞金のことだ。
主に、賞金稼ぎや犯罪者に憎まれている人間にかかりやすい。
あいつも色々やっていたらしいからな。
でも、僕も同額とはちょっと納得がいかない。
僕はあいつみたいに他人におせっかいをしたり、悪党でもないのだ。
「知っているよ。その何人かが僕の前に来た。
皆、僕の賞金にかわったけどね。」
「そろそろ、ひとつの場所に腰を下ろしてみてはどうだい。
最初はみんな敵意をぶつけるかもしれない。
でも、僕は最後の一人になっても君を歓迎する。」
僕はため息をつきながら、大きい世界樹の木を見上げた。
夕日があたってキラキラ光っていた。
カラスも山に帰るのかカーカー鳴いていた。
「年貢の納め時かな。」
そろそろ、賞金稼ぎや英雄気取りの鬱陶しい連中がいやになりかけていた。
せつ兄ならそれでもあの普段の顔を崩すことはないだろうな。
僕はまだまだ修行が足りないようだ
死体を食べてくれる妖物がいる新宿とは違い、ここでは始末が大変だったからだ。
腰を落ち着けるにはそろそろいい時期かもしれない。
僕は苦笑しながら、
「そうだな、すこしは退屈しそうにないし。ここに新しい店を目指すのもいいだろう。」
そう言うと、タカミチは手を伸ばした。
あいつがポケットから手を出すとは、やはり少し警戒されてたってことか。
ま、いっかとそのまま手を握り握手した。
僕は部屋に引き返し、爺さんに了承することを伝えた。
諦めていたこともあったのか無性に喜んでいた。
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