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魔術使いの副担任(×Fate) 投稿者:虎白 投稿日:06/13-20:37 No.733
「ただし使うのはシロウが投影した宝石剣だからどんなところに飛ぶかはわからないんだけどね。」
ああイリヤ、確かにとんでもない世界かもしれないって言ったけどさ、いきなり鬼の群れのど真ん中に出す事ないじゃないか。
そんな俺の現実逃避は、
「何者じゃ、おぬし。」
警戒心のこもった声に中断させられた。
「えっと・・・衛宮士郎です。(たぶん)敵じゃありません。」
一応言ってみたが効果ないんだろうな。
思いっきり警戒してるし。
「警戒するのもわかりますけど、先にこの状況をどうにかしませんか?」
どういう理由かはわからないが、とりあえず鬼に囲まれるなんて状況はまずいだろう。
もしかしてこの世界ではこんなことは当たり前なのだろうか?
「いいじゃろう。あとで話を聞かせてもらうからの。」
「わかりました。」
よかった、とりあえず敵対しなかったな。
敵対しなかった事に安心しながら干将・莫耶を投影し、鬼の群れに突っ込んだ。
鬼の攻撃をかわし、受け流しながら確実に数を減らしていく。
しかし、老人への注意も忘れない。
戦場では助けようとした相手に後ろから撃たれるなんてことがけっこうあったからだ。
その老人は、光る矢のようなものをいくつも出して攻撃していた。
あの矢みたいなの、威力は低いけど数がすごいな。
あれならこの程度の鬼なんて相手じゃないか。
それにどっちかっていうと鬼じゃなくて俺を警戒してるし。
さっきから同じ攻撃しかしてないのは俺に手の内を明かさないためなんだろうな。
そんなことを考えながら俺は最後の一体を切り伏せた。
「投影、開始(トレース オン)天の鎖(エルキドゥ)!」
エルキドゥを投影し、隠れていた四・五人の術者の手と足、そして呪文が言えないように口を封じる。
神性のない相手にはただの頑丈な鎖でしかないが、それでも人の動きを封じるだけなら十分すぎるほどだ。
「投影、開始(トレース オン)」
間髪入れずに次の投影をする。
投影するのはライダーが愛用していた短剣。
それをさっきから背後で隙をうかがっている最後の一人に投げ、さっきと同じように両手と口を封じる。
老人は最後の一人には気がついていなかったようで、少し驚いていた。
「さて、終わりましたが、どうすればいいんですか?」
「あ、ああ、もうすぐ引き取りに来るじゃろうからそれまで待っててくれんかの?」
あ、言葉遣いと逆に目が鋭くなった。
余計に警戒されたのか。
何か拙いことでもやっただろうか?
心当たりは無いんだけど・・・
それから十数分後、引き取り手がやってきて老人と少し話をし、術者たちを引き取って行った。
さて、問題はここからだ。
平行世界から来たなんて話を信じてもらえるだろうか?
いや、どっちにしてもやらないことには始まらないーーー
近衛近右衛門は考えていた。
異世界からの召喚ならまだしも、移動などありえるじゃろうか?
そんな話は今まで聴いたことが無いの。
じゃが仮に本当じゃとしたらこのままほうっておくわけにはいかんの。
ワシですら気づかなかった敵に気づいたほどのヤツが敵対する組織にでも入ったら厄介じゃし。
しかしウソならどうするかの。
こっちのほうが可能性としては高いわけじゃしな。
異世界から来たなら過去の記録が無くて当たり前なわけじゃし、裏で動く場合これほど都合のいいウソはないわけじゃ。
そんな男を学園にいれるのは危険ーーーいや、逆に学園に入れて全員でかかったほうが別の機会に襲撃されるよりはマシじゃろうか?
よし、なんにしてもとりあえずは学園に入れて様子を見たほうが得策そうじゃの。
「衛宮君とか言ったかの?異世界から来たならこっちの世界で生きていくために必要なものがそろっていないのではないか?例えば職業とか家とか。」
「あ、忘れてた・・・」
「なら、ワシのところで働かんか?ワシは麻帆良学園という学園の学園長をしているのじゃが、ちょうど副担任が必要になったところでの。」
「えっ?いいんですか?というよりさっきの話を信じてもらえるんですか?」
「ああ、この世界には異世界からさっきのような鬼を召喚する術もあることじゃしな。移動する術があってもおかしくは無いじゃろう?」
「そうなんですか。ありがとうございます。」
「なら明日後の朝、ここにきてもらえるかな?」
そういいながら持っていた地図を渡す。
「わかりました。おせわになります。」
地図を受け取りながら衛宮は頭を下げた。
ふむ、さっきまでの反応にウソがあるとは思えなんだが、あんな大層なウソをつくぐらいならこれくらいの演技力がないと話にならんしのぉ。
まあそのへんは学園ではっきりさせればいいだけのことじゃ。
なんかうまいこと話がすすんだけど、相変わらず警戒されてるなぁ。
この話も俺を監視するためなんだろうな。
まあありがたいことに変わりは無いけど・・・
そう思いながら俺はとりあえず今晩野宿をするための場所を探し始めた。
こうして衛宮士郎は異世界での騒動に巻き込まれる事が決定した。
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