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二人?の異邦人IN麻帆良(ネギま×GS美神) 「第25話 南海のサバイバー」 投稿者:九重九十九 投稿日:09/15-21:33 No.1270
「マスター・・・・」
「ゴ主人・・・」
森の中にあるエヴァの家の前、メイド姿の茶々丸とチャチャゼロが自らの目の前で仁王立ちしているエヴァに声をかけた。
「茶々丸、それにチャチャゼロ・・・・何か私に言う事はあるか?」
前回、あらゆる意味で気合が入っていたにもかかわらず、見事なまでの放置プレイを味わったエヴァは金色の髪を蛇のようにうねらせ、剣呑な瞳で従者達を見据えている。
「ひとつよろしいでしょうか?」
まさに鬼気迫るといった風に怪しいオーラをまとうエヴァに、茶々丸は冷静に話しかけた。
「言ってみろ」
エヴァはせめて言い訳でも聞いてやろうと思い、茶々丸の発言を許した。
だが、茶々丸が口にした言葉はエヴァにとって完全に予想外な言葉であった。
それは・・・
「なぜ私達がこのような状況に?」
「自覚がないんか貴様らぁああ!!!!」
「イヤ、自覚モナニモ本気デ心当アタリガナインダガ・・・少ナクトモ俺ハ・・」
茶々丸とチャチャゼロは家の前で地面から首だけだして埋められていた。
しかも縦に。
「やかましい!貴様も横島忠夫と楽しんでたなら同罪だ!!それに茶々丸には言ったはずだぞ、横島が来たら別荘に通せと!!」
エヴァの言葉に茶々丸は首をかしげ、何かを考えるような仕草をする。
だが、しばしの後、何かを思い出したのかその口を開いた。
「ああ、そういえばそんな気も・・・・あまりにも楽しかったのでつい忘れてました・・・テヘ?」
「テヘ?じゃなーい!!無表情でそんなこと言っても気持ち悪いだけだ!!そもそもそんな仕草誰に教わった!」
「三日前にマスターが横島さんの前でアドリブで使っていましたが・・・」
エヴァは茶々丸の言葉に、その時の情景を思い出したのか顔を真っ赤にして口をパクパクとうごかした。
「あのアドリブはかなりナイスでした。結果として失敗でしたが、アレでかなり横島さんの意識を引く事に成功していたと推測します」
「そ、そうか!?・・・・ってそんなことはどうでもいい!!とにかく、主の言いつけを忘れ、横島とぬけぬけと楽しんでいた以上それ相応の罰を受けてもらうぞ!!」
「わかりました、マスター。ですがもう一つよろしいでしょうか?」
茶々丸はエヴァの言葉に観念したのか、甘んじて罰をうけるつもりのようだが、たった一つだけ先ほどから気になる事をエヴァに聞いた。
「許す、言ってみろ」
茶々丸はエヴァの許しをえると、エヴァのある一点を見つめて口を開いた。
それは・・
「いかに勝負をかけていたとはいえ、はいていないのはどうかと思いますが・・・・」
エヴァは茶々丸の視線が固定されている場所に気付くと、見る見るうちに全身を朱に染めていく。
「やかましいわああ!!!!」
エヴァは一声叫ぶと、ありったけの魔法薬を取り出し、茶々丸とチャチャゼロに投げつけた。
その日の夜、森の奥で巨大な爆発音があたりに響いた。
「妹ヨ・・・」
「なんでしょう、姉さん」
雲ひとつない夜空、月明かりに照らされた二人の姉妹はクレーターの中心でたたずんでいた。
「チョット遊ビスギタカ・・」
「そうですね、もうすこし楽しめると思ったのですが今回はここまでにしておきましょう」
どうやらこの二人、完全に確信犯のようである。
「ソウダナ、元ハ十分ニトッタシナ」
「ええ、マスターの貴重な動画、静止画。細大もらさず完璧に記録しておきました。いつでもDVDなどの記録媒体に焼く事が可能です」
「ウム完璧ダ、妹ヨ・・」
「感謝の極み・・・」
茶々丸はそういうと右手水平にして胸にあて、チャチャゼロにむかって完璧な礼を返した。
「デ、次ハ何ヲスル?」
「そうですね、ネットアイドルとしてデビューさせるのはどうでしょうか・・」
「オオ、面白ソウダナ」
二人の野望はまだ終わらない・・・・
第25話 「南海のサバイバー」
全ての日本人、特に学生が待ち望むゴールデンウイークを目前に控え、日本中で幾人もの人々が旅行計画に頭を悩ませているころ。
ここ、麻帆良学園のとある場所でも例に漏れず、大量の女子中学生が集まって旅行プランを練っていた。
「最近賑やかになってきたなー」
横島は集まったメンバーにお茶を配りながらボソっとつぶやく。
実際の話、横島の事務所兼自宅は修学旅行が終わったあたりからタマモがクラスメイトをつれてくるようになり、その後学校と寮の中間点という立地条件とあいまって完全に3-Aの溜まり場と化してしていた。
「ご迷惑でしたでしょうか?」
横島の呟きを聞きつけたのか、近くにいた委員長が横島に話しかけてきた。
「ああ、別に迷惑ってわけじゃないよ。ただ、タマモがクラスにちゃんと溶け込んでるみたいで安心しただけだよ。これでも最初のころは友達がちゃんとできるかどうか不安だったからな」
「タマモさんでしたらすっかり馴染んでますわ」
横島は委員長の言葉に安心したのか、軽く笑みを浮かべ、ついでタマモの方に目を向けるとしばし天を仰いだ。
「たしかに馴染んでいるみたいだな、いや染まってるっていうのか?」
「あの、どうなさいました?」
委員長は横島の態度に首をかしげる。
「あっち見てごらん・・・・」
横島は委員長の質問に指をさすことで答えた。
委員長は頭の上に?マークを浮かべながら後ろを振り返ると・・・
「そ、それだけは勘弁してくださーい!!」
「ネギ君こんどはこの水着着てみようか♪」
「あ、桜子こっちが似合いそうだよ。くぎみーそこのカツラとってー」
「くぎみーゆーな!!カツラってこれ?」
「着替えたらみんなで集まって写真取るわよ、ネギ先生いいかげん観念して大人しく着替えなさい」
「いやあああああ!!!!!」
委員長が見たものは、チアリーダー三人組+タマモに女装させられ、女物の水着を着ているネギの姿があった。
もちろん腰にはパレオをまとっていたが・・・
「ハウ・・・・パラダイス・・・・」
委員長はその言葉を最後に、鼻から萌血を噴出しながら崩れ落ちていった。
「アスナちゃんといい、雪広さんといいなんか親近感わくなー。というかベクトルが違うだけで同系統なのか?」
あたりの喧騒を他所に、横島は目の前で血の海に沈んだ委員長を複雑な思いで眺めていた。
ちなみに委員長の頭上では死神が鎌を研いでいたりする。
どうやら狩る気満々のようだ。
「こら、死神!その子のは狩っちゃダメ!」
死神は横島の言葉を聞くと名残惜しそうに委員長から離れ、横島の頭上で消えていった。
何気に横島は委員長の命の恩人だったりするかもしれない・・・・
「申し訳ありませんでした、横島さん」
委員長悶死の後、横島たちの懸命の介護により委員長は現世に復帰する事ができた。
「あー気にせんでくれ、メインで介抱したのはタマモだから。ところでネギは大丈夫か?」
「ちょっと調子にのりすぎたかもね、ネギ先生むこうでいじけてるし・・・」
横島はタマモが指差したほうに目を向けると、そこではネギが膝を抱えてどよーんとした空気をまとわせていた。
「結構重症だな・・・・まあ、気持ちはわからんでもないが」
「どうするの?」
「ほっとこう、こればっかりは自分で封印するしかない。んで話は変わるがお前達ゴールデンウイークに旅行行くみたいだけどどこへ行くんだ?」
横島はネギのことを早々に諦め、話題を変える。
「アヤカのとこが経営する南国のホテルだって。しかも貸切でプライベートビーチ付よ!」
「本当はネギ先生と二人っきりで行く予定だったのですが・・・」
「ま、朝倉にばれたのが運のつきだったわね、もっとも私としては嬉しいんだけどね」
「まあばれた以上、皆で楽しもうと思い招待させてもらいましたの」
委員長はまだネギと二人っきりのバカンスに未練があるのか、すこし残念そうである。
「へー南国のリゾートかー、いいなー俺はそんなところ行ったこと無いからなー」
「あれ?でも横島は何度か海外行った事無かったっけ?」
タマモの記憶では横島は何度か仕事で海外への渡航経験があるはずだった。
「ああ、海外へは行った事あるさ・・・・北極で白熊と戦ったり、シベリアで狼と食料を分け合って暮らしたり、水も食料もない状態でゴビ砂漠の横断、アフリカでは内戦に巻き込まれ、なぜかゲリラから軍神として迎え入れられかけたよな・・そういえばアマゾンでは朝目が覚めたらアナコンダの腹の中だったって事もあったな・・・はては南極でシャチを仕留めていたアデリーペンギンと雌雄を決する羽目になった事もあったなー」
横島は昔を思い出し、心の汗を目から流しながら天を仰いだ。
「そ、そういえば金になるけどきつい場所の仕事って全部横島がやってたわね・・・リゾート地での仕事は美神と一緒に私達でやったっけ・・・・ていうかシャチに勝つペンギンって何?」
タマモは横島の当時の扱いを思い出し、冷や汗を流していた。
「あの・・・よろしかったら横島さんもご招待しますけど、どちらにせよ私達中学生だけでは心もとないですから引率をお願いできませんでしょうか?」
委員長は横島の過去を聞き、気の毒に思ったのか旅行に横島を誘った。
だが、その言葉に一番喜んだのは隣にいたタマモだった。
「え、いいの?やった!ヨコシマ、一緒に南国リゾートへ行けるわよ!!」
タマモは嬉しさを全身で表現し、思わず横島に抱きついた。
「えっと・・・マジでいいの?」
「はい」
「うおおおお!!ついに本当の意味で南国でバカンスが過ごせるうう!!!」
横島もついに念願の南国リゾート地でのバカンスに行ける喜びに、タマモと抱き合い喜んだ。
ちなみに横島とタマモの心の中では・・・
横島:<うおおおおお!!これで水着のねーちゃん達と一夜のアバンチュールおおおお!!>
タマモ:<ここらで私の魅力をちゃんと刷り込んでおかないとね・・・本当の勝負は来年以降としても意識させるようにしとかないと・・・>
という打算と陰謀に満ちた思考に包まれていた・・・・
「仲のよろしい兄妹ですわね、うらやましいですわ・・」
心の中はどうあれ、傍目には仲のいい兄妹かカップルにしか見えない二人に委員長はうらやましそうに二人を見つめていた。
そのころ、刹那たちはというと・・・
「あの、お嬢様・・・いったい何を・・・・」
「せっちゃん、スク水もある意味マニアックでええけど。どうせ南国いくならやっぱ冒険せんとなー」
木乃香に部屋の隅に追い詰められていた。
木乃香が手にするは右手にスク水(胸にしっかりとひらがなで「さんえー さくらざきせつな」と書かれている)左手には青地に赤いラインが入ったきわどいワンピース(背中に布地がほとんど無いような水着である)
木乃香はそれを刹那の前に突きつけてゆっくりと刹那を追い詰めていく。
「なあ、せっちゃん。どっちにするん?ウチはこの水着がええと思うんやけどなー」
木乃香は刹那にそう言いながら左手の水着を突き出す。
「いえ、ですから・・・」
「それにせっちゃん、うかうかしとったらタマモちゃんとの勝負に負けるえ。せやからここは一つ勝負をかけんと・・・ほら、あっち見てみ」
刹那は木乃香に促され、示されたほうを見る。
そこでは横島がタマモを抱き上げ、クルクルと踊っている姿があった。
「せっちゃんはタマモちゃんと比べたら出遅れとるんやから積極的にいかんと」
「お嬢様、私は勝負とかその・・・」
「それにウチもせっちゃんのカワイイ水着姿見たいし、横島さんもきっと喜ぶんとちゃうかなー。しかもそれで迫れば一発や!」
木乃香は戸惑う刹那になおも迫る、その瞳は怪しい光に照らされ、そこはかとなく魔力も感じる。
刹那はおかしいと感じながら木乃香の目から視線を外す事が出来なくなっていった・・・・
5分後・・・・・
「お嬢様!やはり南国へ行くなら積極的に行かないとダメですよね!この水着で私はがんばります!!」
「せっちゃんその意気やでー」
そこには木乃香が持っていた青い水着をガッシリと両手に掴み、天に向かって拳を突き上げる刹那がいた。
それを少し離れたところから見ていたアスナが木乃香にそっと耳打ちする。
「あの・・このか、今のって洗脳・・・」
「洗脳ちゃうで、占い研の先輩に教わったマインドコントロールや」
「いやいっしょだから、それ・・・・それに先輩に教わったって・・いや、いいわ気にしないで・・・」
アスナは相変わらずのほほんとした表情の木乃香を追求することを諦めた。
決してなんか木乃香の目が怖かったとか、占い研の内情を聞くのが怖かったとかそういう理由ではない、きっと・・・
そのころ、ネギは・・・
「いいんだ、僕なんてどうせみんなのおもちゃなんだ。神様・・・最近加速度的に試練の難度が上がってませんか・・・もう生きて行くだけでお腹いっぱいです」
いまだに部屋の隅でたそがれていた・・・
「ビーチだああー!!!!!」
南国の強烈な日差しが照りつけるビーチに少女達が歓声を上げながら飛び込んでいく。
青い空、白い砂浜、照りつける太陽、そしてビーチで波と戯れる少女達。
ここはまさにパラダイスであった・・・・・絵面だけなら。
「ふう、やっとついたわね・・・・陸に・・」
「ああ・・・」
「これからどうしましょう・・・・」
「ネギ、なんとかならないの?」
「いくらなんでも無理です・・・」
「も、もうしわけありませーん!!」
上からタマモ、横島、刹那、アスナ、ネギ、委員長の発言である。
彼らはいつの間にか水着に着替え、海に飛び込んでいる仲間を生暖かい目で見つめていた。
「とりあえず・・・食料と寝床の確保だな、コイツはさすがにもう使えん。下手すりゃ海に流されるしな」
横島は今後の方針を定めると、後ろを振り向いた。
そこにはボロボロのまさに廃船一歩手前という大型クルーザーが暗礁に乗り上げていた・・・・・
横島達は遭難していた・・・見事なまでに・・・
なぜこのような状況になったのかというと。
彼らがホテルに到着したその日、夕食は大型クルーザーでの立食パーティーとなり、例によってのドンチャン騒ぎで気がつくと沖合いに船が流されるといった事態が発生していた。
その原因は船の係留が不十分である事だった。
しかも、食事は調理済みのものが最初に船に運ばれ、ボーイやコックなどが乗船していなかったことが事態の発見を遅らせる原因となっていた。
これにより、彼女達3-Aメンバー+横島のみを乗せた船は波間を漂流していく事となった。
さらにタイミングが悪い事に大型の低気圧によって彼らを乗せた船は沈没寸前までダメージを負う事になり、翌朝奇跡的にどこかの島の浜辺に打ち上げられ、現在に至っている。
ちなみに無線機やGPSなどの装置はなぜか撤去されていた。
おそらく、イタズラされて壊されるのを懸念したための処置と思われるが、あまりにもタイミングが悪かった。
「それじゃあ俺は寝るところ確保してくるから、皆はこれで水と食料の確保を頼むな」
横島は皆がひとしきり上陸の喜びを堪能したのを確かめると、いつのまにやら廃材で作成していたバケツと船の中から見つけた釣竿を配っていった。
「水はさっき向こうの方向で鳥が大量に飛び立っていたからあっちにあると思う、地形を見ても間違いないはずだ。長瀬さん何人か引き連れてお願いできるかな」
横島は長年のサバイバル経験を生かし、水源のありかを予測すると、この中で最もサバイバル能力が高い長瀬にバケツを渡す。
「あいあい、了解したでござる」
長瀬はそう言うとアスナ、刹那、クーフェ、明石裕奈、大河内アキラを引きつれ森の中へ入っていった。
「ほんじゃ次っと・・タマモは雪広さん、それに鳴滝姉妹と一緒に食えそうな木の実を採ってきてくれ。残りは魚釣りだ、さあ、気張っていかないと今夜のメシが無いぞ!」
「「「「「「「はーい」」」」」」
横島の号令で皆は一斉に動き出す、こんな状況の中唯一の救いは誰一人遭難した不安でパニックに陥るものがいないということであろう。
「さてと・・・ほんじゃいっちょがんばりますか」
横島はそう言うと腕を回し、森の中へ入っていった。
横島により水汲みを頼まれたメンバーは長瀬を先頭に森の中を歩いていた。
「ねえ、アキラ。私達これからどうなるんだろう・・・・」
「裕奈・・・大丈夫だってすぐに助けが来るよ」
森の暗がりに不安そうにつぶやく裕奈をアキラは元気付けるように励ます。
確かに船が無くなって一夜明けた今、ホテルでは彼女達の救助要請を行っているだろう。
だが、自分達の居場所を救助側が把握していない以上、それは雲を掴むような話であった。
「大丈夫ですよ、きっと助かります」
「そうネ、横島さんもいるし絶対助かるアル」
「あ、ついたでござるよ。しかし横島殿はすごいでござるな、ぱっと見ただけで水源地を当てるとは・・拙者も見習わなくては・・・・」
長瀬はそう言うと後ろを歩く刹那達に目的地に到着した事を伝える。
刹那達はその言葉を聞くと、すぐに長瀬を追い越した。
「すっごーい!本当に水があるー!!」
「水鳥がたくさん・・・綺麗・・」
刹那達の目の前にはこんこんと湧き出る泉と、それと戯れる水鳥の群れであった。
「さあ、早く水を汲んで帰るでござる。あと最低でも5往復はするでござるよ」
「「えー!!!」」
「ま、しょうがないアルな」
「私達なら大丈夫ですけど明石さんたちではつらいかもしれませんね・・・・」
長瀬の言葉に悲鳴を上げる裕奈とアキラ、それを生暖かい目で見つめる刹那とクーフェ、アスナであった。
タマモ達は木の実を求めて森を歩いていた。
「みなさん、このような事になってしまって本当に申し訳ありませんでした・・」
「アヤカのせいじゃないわよ、こればっかは運が悪かったとしか言いようが無いわ」
「そうだよ、いいんちょ。それに私達はカエデ姉とキャンプしてたりするから、こういうのも楽しいよ」
「そうです、こう見えても私達こういうのに慣れてるんですよ」
委員長は遭難した事態に責任を感じているのか、先ほどから顔色が優れないでいた。
「しかし・・・」
「だから気にするんじゃないの、それにヨコシマがいるんだから私達は絶対に助かるわよ」
「タマモちゃんってお兄さんのこと信頼してるんだねー」
「まあね、それにアイツはこういうのに慣れてるし」
「慣れてる・・・ですか?」
「そう、アヤカは出発する前に家で聞いたでしょ、アイツの遭難遍歴・・・」
タマモは委員長を元気付けるように横に並び、手をとりながら歩いて行く。
「そ・・そういえばシベリアとかアフリカとか砂漠とか言ってましたね・・・」
「ねえねえ、タマモちゃんどういうこと?」
風香は委員長の言ってる意味がわからないのか、姉妹二人して首をかしげる。
「ヨコシマはサバイバル能力が高いのよ、山や海はもとより砂漠で遭難してもちゃんと生きて帰ってるから」
タマモは委員長や鳴滝姉妹を安心させるように、横島の遭難体験を面白おかしく語って聞かせた。
委員長達はタマモの話を聞いているうちに気持ちが楽になってきたのか、笑顔が浮かんできだしていた。
「タマモちゃんのお兄さんってすごいんだねー」
「まあね。さ、おしゃべりはコレぐらいにして早く食料を見つけるわよ!!」
「「「おおー!!!」」」
普段の明るさを取り戻した委員長を先頭に、彼女達は再び森の中を捜索していった。
そのころ、ネギ達は・・・・
「やったー!!また釣れたー!!」
「ネギ君すごーい!!これで10匹目!!」
「あらあら、私達も負けられないわね」
「魚のヌルヌルイヤー!!!」
遭難した事など忘れたかのように釣りを堪能していた。
既に釣果は20匹を越えている。
「よーし、もっとがんばるぞー!!」
ネギは大漁に気を良くしたのかポイントを変え、岸辺から身を乗り出して竿を振るう。
だが、その時ネギは足元が崩れた。
「へ・・・・」
ネギはそのままバランスを崩し、海の中へまっ逆さまに落ちていった。
暫くして泉亜子がネギの姿が見えないことに気がついた。
「アレ、ネギ君は?まき絵知らへん?」
「さっきまでそこにいたけど・・・いないね」
「今さっき向こうでなにかが海に落ちる音が聞こえたけど・・・」
「まさか・・・・・・・」
亜子達と図書館組みは音のしたあたりを見つめる。
「「「「きゃああ!!!ネギ君が海に落ちたー!!!」」」
そのころ、チアリーダー三人組はすこし離れたところで竿をたらしていた。
「結構楽しいわね、釣りって」
「楽しいかもー!!あれ?くぎみーはまだ釣れないの?」
「くぎみーゆーな!見てなさいよ、絶対に大物釣り上げてやるんだから!・・・ってアレ?」
釘宮はムキになって竿を振り回していると、今まで感じた事の無い手ごたえを釣竿を通して感じた。
「どうしたの?」
「来た、来たわよー!!!大物よこれは!!!」
釘宮は待望の手ごたえに歓喜しながらリールを巻いて行く。
竿は大きくしなり、その手ごたえは明らかに大物であった。
「すごい!逃がしちゃダメよ!!慎重に巻き上げて!!」
「まかして、逃がすもんですか!」
「あ、見えてき・・・・・・た・・・・よ・・」
リールを巻き上げ、やがて三人の前に浮かび上がる獲物の姿は・・・人型をしていた。
具体的には10歳ぐらいの男の子の姿を・・・
「えっと・・・・ネギ先生?」
柿崎が呆然とつぶやく。
彼女の視線の先、釘宮が持つ釣竿の糸の先にはネギが見事に釣り上げられていた。
「これって、もらっていいのかな?」
「魚拓とる?」
「ってあんたら早くネギ先生を助けなさーい!!!」
あまりの事態にボケる柿崎と桜子に。釣り上げた当の本人である釘宮がいちはやく現実に復帰し、ネギを救助しようとする。
「みんなー大変よ!ネギ先生が海に流されて・・・・」
その時、まき絵たちが血相を変えて走ってきた。
だが、釘宮たちに釣り上げられているネギを目にし、全員が硬直する。
そしてそれを見たのどかは卒倒し、このか、ハルナ、夕映は指を震わせながら柿崎たちを指差し、叫んだ。
「あわわわわネギ君このままやとミル○ーフの方のいってまうー!!!」
「まどかー!ネギ君エサにして何釣り上げるつもりなのよ!!!」
「いいんちょを釣るんじゃあるまいし何を考えてるですかあああ!!!」
「「「誰がネギ先生をエサにするかああ!!!」」」
「ところでみんな、ネギ先生に人工呼吸せんとまずいんとちゃう?」
亜子の言葉で彼女たちの時は止まった。
その後、誰がネギに人工呼吸するかで喧々諤々の問答が発生したという。
みるみるうちに顔に死相が浮かんでいくネギを尻目に・・・
ネギは唇に何か暖かい感触を感じた。
(あれ、僕はいったい・・・・そうだ、さっき海に落ちて・・・あれ、唇があたたかい・・これってキス?)
ネギはゆっくりと目を開け、目の前で心配そうな顔をしている人影をじっと見つめた。
まぶしい日差しがネギの目を焼く中、しだいに目の前の人影がはっきりと見えていく。
その人影はネギが覚醒したのに気づくと、大きくパッチリとした目を見開き、きれいな歯並びの歯を光らせて微笑んだ。
だが、ネギは目の前の人物を確認して硬直した。
「し、死神ぃぃぃぃぃぃいいいい!!!!!!」
死神はネギが砂浜から跳ね起きるのを確認すると、ウンウンとうなずき、そして微妙に頬を染めながらゆっくりと消えていった。
「あれ、ネギ君気がついた?」
「えー!!せっかくじゃんけんに勝ったのにー!!!」
いまだに誰がネギに人工呼吸をするかでもめていた彼女たちは、ネギの覚醒になぜか残念そうな声を上げたという。
ちなみにじゃんけんの勝者は桜子であった。
「く・・・せっかくの仮契約のチャンスが・・・・」
その時、物陰で主の危機助けもせず、機会をうかがっていたナマモノは人知れず涙したという。
やがて時がたち、日が暮れるころに全員が最初のビーチに集合していた。
「こ・・・これって本当に横島さんがつくったんですか?」
「そうだが、なんか変だったか?」
ネギ達は横島渾身の作を目の前に言葉を失っていた。
そのネギ達の前にでんと聳え立つログハウスもどきがでんと鎮座している。
「いえ、そんなことはありませんけど・・・よく一人でできましたね」
「慣れだ・・・・・」
「慣れって・・・慣れでこんなの作れるってどういうことです?」
「聞くな、思い出すだけで泣けてくるから・・・」
横島は過去を思い出したのか、目に浮かんだ涙をぬぐう。
「サバイバル技術が高いのは知ってたけどここまでとは・・・私も知らなかったわ」
タマモも目の前に鎮座する建築物は意外だったのか、皆と同じように呆然とつぶやく。
「ま、普通はお世話になるスキルじゃないからな。さて、そろそろ日が暮れるから夕食の準備をするぞ!」
「「「「「「はーい」」」」」」
横島の号令で、皆自分を取り戻し、食料を調理するため散っていった。
調味料や食器は船の中に残ってたものを使い、鍋などは横島が鉄板を物陰に持っていくと文珠や栄光の手で加工して作っていく。
さらに実際の調理はタマモと刹那が物陰で火を起こしてそれを薪に移し、調理して行く。
ひと時の忙しさと、皆でとる野性味あふれる食事に、しだいに皆の心の中にあったしこりのような不安が削られていく。
だが、それでも遭難した事実は皆の心に重くのしかかっていた。
「ねえ、私達本当に助かるのかな」
村上夏実は膝を抱え、心の中に生まれた不安を口にする。
「大丈夫よ、きっと助かるわ」
そんな夏実をちづるがそっと抱きしめる。
「でも、もし救助がこなかったら。私達ずっとここに・・・」
「あー大丈夫だって、根拠はないが絶対に助かる」
「そうですよ!きっと今頃は救助隊が探しています!」
「そうそう、それにここは水も食料も十分にあるしな、俺が今まで遭難してきた中でも格別の環境だぜ。その気になれば年単位で生活できるさ。そして何より!!!」
「何より・・・ってなんなのヨコシマ・・」
横島はタマモに促されると、ぐっと拳を握り力強く宣言した。
「今回の遭難は美少女ばかり!!!今は手が出せないが、来年以降なら十分に守備範囲だ、むしろこのまま遭難してハーレムを・・・・・」
「貴様の頭にはソレしかないんかー!!!」
「横島さんあなたという人はー!!!」
その日の夜、タマモ、刹那タッグVS横島忠雄の時間無制限3本勝負が行われた。
それぞれ決まり手はタマモのメガトンハンマー、刹那の斬岩剣、そしてラスト三本目は刹那とタマモによるクロスボンバーで横島は沈黙した。
それを見ていた他のメンバーはいつしか顔に笑みが浮かび、やがて遭難の恐怖が薄れていった。
「ってマテや!!いくらなんでもこの扱いはあんまりやああああ!!!!」
「やかましい!!一晩そこで反省してなさい!!」
「朝になったら出して上げます!!ではお休みなさい」
「横島さん、これ置いとくね」
「てめ!こらそこの双子!!カニなんか目の前に置くんじゃね、イテ!鼻があああ!!!!!」
その夜、横島は砂浜に首だけ出して埋められていた・・・それも波打ち際に。
三日後、彼女達は無事発見され救出された。
その間、なぜか横島たちが遭難した無人島は、水道施設が完備し、シャワー、バス、トイレも完備した快適空間へと様変わりしていたという。
げに恐ろしきは横島のサバイバル能力であった。
第25話 end
「・・・・ふ・・むなしいぜ・・・」
白い妖精、オコジョのカモは口にタバコをくわえながら波を眺めている。
ここは横島たちが遭難していた南の島。
横島たちが救出されてからすでに三日、カモは波間に沈む太陽を見ながらたそがれていた。
「兄貴ー!!よりによってなんでおれっちを置いて行くんですかああ!!!」
最近の出番の少なさのせいか、完全に忘れ去られたオコジョの悲哀に満ちた声が夕日に吸い込まれていった。
その後、この島では白いオコジョが生態系の頂点に君臨し、海を渡ってきた7匹のねずみと死闘を繰り広げることになったという。
「ノ○イ、貴様は絶対に倒してやるー!!」
「俺っちはノロ○じゃねえええ!!!!」
ちなみに一週間後、文珠により転移してきた横島に無事救助されたことをここに付け加えておこう。
(あとがき)
うーむ・・・今回は横島と3-Aとの結びつきというか、縁を増やそうと思ってこういうストーリーにしてみましたが。
いまいちまとまりきりませんでした。
とにかく、次は別荘編ですかね。
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