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魔法先生ネギま! ギターを持った少年13話(×キカイダー)オリ有) 投稿者:蟋蟀男 投稿日:04/24-19:14 No.392

木乃香、アキラ、ルミをまんまと攫ったメタトロンたちは旅館を後にし、自分たちの協力者たちである千草と合流していた。

「貴様たちの目的はこの娘だな」

ミカエルから木乃香を受け取ると、千草は文句を言い始める。

「確かに受け取りました。 せやけど、人目につくような真似はせんといて欲しいね」
「一般人には見られていない」
「そうそう、メタトロンのいう通りよ。 見られたのはこっち側の世界の人間だけだし、なんの問題もないわよ。 騒がれると面倒だから眠らせて、記憶を弄らせてもらったけど。 だけど、その子って貴女たちのボスの娘さんなんでしょ? いいのこんな事やっちゃって?」
「心配はいらへんよ。 お嬢様を傷つける事はせえへんし…さて、そっちのお願いは聞いたったんやで、今度はこっちのお願いを聞いてもらおうか?」

千草たちとメタトロンたちはお互いの目的を果たす為に手を組んでいた。 片方の目的を助ける代わりに片方の目的を手助けするという契約の下、彼等は手を組んだ。

「……」

メタトロンは無言で頷く。 すると、包帯がほつれていたのか、ハラリと落ちてしまう。 メタトロンは素顔が見えないように、両手で顔を覆う。 落ちた包帯をラファエルが拾い、メタトロンの顔に巻きつける。 それを見ていた千草は前々から思っていたことを口にする。

「何や、気味が悪いな…そこまで顔を見られたくないん?」
「メタトロンは恥かしがり屋なの。 はい完成、今度は取れにくくしといたからね…やん」

巻き終わったと同時にメタトロンに抱きつくラファエルだが、その手はメタトロンにはたかれる。 メタトロンを睨み、頬を膨らませるラファエル。
やってることは可愛らしいが、見た目が大人の女性だけに少々痛い。

「……女、貴様の目的を聞こうか」

―旅館

「うぅ~ん…まだ頭がクラクラします…」
「一種の睡眠術だな……葉加瀬、お前は部屋に戻れ。 もし俺たちの事を聞かれたら、上手く誤魔化して欲しい」
「はい…またシャドウとか言う組織ですか?」
「あぁ、ネギ君たちは先に奴等を追っていったが、相手が相手だ…早く追いつかないと心配だ」

まだ眠っていた聡美を放って置くわけにもいかず、ジローを残してネギたちはメタトロンたちを追っていった。 その数分後、聡美が目を覚ましたのだ。

「多分、ここにはもうシャドウはいないだろうが…気をつけるんだぞ。 俺はもう行く」

ジローはネギたちの後を追おうと、脱衣所から立ち去ろうとするが、それを聡美が呼び止める。

「あ、待ってください!」
「ん? どうした?」
「あの包帯の人に会う前に、もう一人の男の人に会ったんです。 なんでも先生に伝言を伝えて欲しいって言ってました」
「なんだと? その男は何て言っていたんだ?」
「えぇっと…メタトロンに気をつけろって…後、鬼神の復活を阻止しろって…意味はよくわかんないんですけど、大切な事だって」
「そうか…有り難う」

ジローは脱衣所を後にすると、止めてあったサイドカーを走らせる。
聡美が会ったという男は、先日会った男であることは間違いが無い…しかし、何故シャドウの秘密を教えてくれるのかがわからなかった…あの男の意図は不明だが、ここは信用するしかない。 ジローはサイドカーの速度を上げ、ネギたちの後を追う。

―追跡班

「しっかりつかまってろよ!」
「間に合うの? 痛っ!」
「喋るな、舌を噛むぞ!」

ネギは杖に跨り、ハカイダーはアスナを、ダブルオーは刹那を抱えジェットで三体の天使たちを追う。
一応性能は悪くはないのだが、欠点はあまりスピードは出ないというところである。 しかし、追いつくことぐらいは出来るはずである。

「こんなことなら白いカラスを置いてくるんじゃなかったよ!」

音速飛行が可能なバイクなのだが、今は駅のホームに放置したまんまである。 多分、駅員さんが預かっていてくれるかもしれない。

「後先考えないで行動するからよ!」
「んだとぉ! ろくにマシンに乗れなかった奴が何を言う!」

付け加えると、自転車にも乗れないのである。 理由は不明。

「なっ…言ったわね! 私はバイクなんて野蛮なものには乗らないの!」
「ちょっと待ってください! 喧嘩している場合じゃないですよ。 前!」

突如として、閃光が飛んでくる。
ネギとハカイダー、ダブルオーはその閃光を難なく避けるが、すぐさま無数の閃光が飛んでくる。

「何だってんだ一体? うおっ!」

ハカイダーは敵の攻撃がアスナに当たらないよう飛ぶ。 間を通りぬけながら前に進もうとするのだが、中々進まなかった。

「ちょっとちょっと! 明らかに戦力差がありすぎると思うんだけど?」
「敵は何が何でも私たちをお嬢様たちの下へ行かせないつもりのようですね」
「冷静に言ってる場合じゃないわよ。 ネギ君、そっちで障壁かなんか出せない?」
「何とかやってみます! 二人とも、僕の傍まで!」

―駅周辺

「あっはっはっは。 そろそろ、串刺しになった頃かしら?」

短剣を弄びながら、空を見上げる。 ネギたちを襲った閃光はラファエルの短剣だった。

「ねぇねぇ、上手くいったかしら?」
「騒ぐな。 遺体を確認…ッ!」

高周波の弾丸がメタトロンの足元、右腕、右足に撃ち込まれる。
大したダメージはないが、崩れるメタトロンは弾丸の軌道を見上げる。

「よぉ…ミイラ男に正義馬鹿」
「それと年増!」
「誰が年増ですってぇ!」
「貴様等! どうやって!」

夜空をバッグにハカイダーとダブルオーの影が浮かんでいた。
ハカイダーはカウボーイ風にハカイダーショットをクルクルと回して銃口を向ける。
ラファエルの投げた短剣は超振動する対ロボット用の兵器である。 その刃は天使軍団の装甲でさえ簡単に切り裂く事が可能な刃だったのだ。
ラファエルとミカエルは驚きを隠せないようだった。

「黙れラファエル、ミカエル。 少々甘く見すぎたようだな……お前達はここを抑えろ。 女、行くぞ」
「はいはい、頼みましたで」
「待ちやがれ!」

メタトロンと千草はその場を去っていく。 ハカイダーとダブルオーは二人を追いかけようとするが、ラファエルとミカエルに阻まれる。

「ここは通行止めよ」
「通りたくば、我等を倒すがよい!」
「お言葉に甘えて! んじゃ、俺達のお願いも聞いてもらうぜ。 お前等、こいつ等は俺達が食い止める、行けぇ!」
「何ぃ!」

四人の傍を杖に乗ったネギたちが通りすぎていく。

「リョウさん、レイさん、後は任せてください!」
「任せた!」

ネギたちの姿が消えていくの見届けると、ハカイダーとダブルオーは二体の天使と対峙する。
ハカイダーはハカイダーショットを構え、ダブルオーは電磁ブレードと電磁ファングを装備する。 対してラファエルは先ほどから持っていた短剣を構え、ミカエルは爪を伸ばす。

「へへん。 ここを通りたけりゃ俺達を倒すんだな」
「してやられたか…だが、メタトロンが子供如きに遅れを取るはずがない」
「さぁ、子供はお休みの時間よ!」
「寝不足はお肌の敵って知ってた? 年増さん!」
「レイ、行くぞ!」

ハカイダーショットの銃声が戦いの引き金となった。

「あえて自らが囮となったか……だが、あの者たちの相手は我等セフィロト最大の実力者、メタトロンなのだぞ。 あのような小僧どもが相手になるはずがない!」
「そうかい、ネギはお前達の攻撃を全部防いだんだぜ? 見た目で判断すんなよ!」
「はっ! 何で判断しようと、メタトロンは貴様等如きに遅れを取る訳がない。 てぁ!」

ハカイダーの放つ高周波弾を弾きながら、一瞬にして間合いに入り、顎を蹴り上げ、さらに両手の爪による斬撃を受ける。

「がぁ……こんのぉ!」

ハカイダーショットのグリップでミカエルの右頬を殴り飛ばす。
きりもみ状態で飛んでいってしまうミカエルだが、すぐさま体を戻す。

「ぬぅ……やるな。 此方も本気を出させてもらう!」

大きく腕を広げると、ミカエルの身体全身から幾つもの砲身が出現する。
大小様々な砲口がハカイダーへと向けられる。

「カートリッジ装填、標準セット、避けきれるか?」
「な、何だとぉ?」

ミカエルの全ての武装がハカイダーを捕らえ、数千、数万の弾丸が豪雨のように襲い掛かる。
間合いが近すぎた。 避け切れない。 全ての弾丸がハカイダーの身体に食い込む。

「ちっ……」
「そんな身体では、自慢の銃も使えないな?」

ハカイダーの腕は間接部を撃ち抜かれ、たとえ間接が無事であったとしても、ボロボロな装甲ではハカイダーショットの反動には耐えることは出来ない。
破損が酷いのは右腕、かろうじて左腕の破損は右腕ほどではないにしろ、ハカイダーショットの反動に耐えられないことは間違いない。

「万事休すかよ……」

ハカイダーがミカエルに追い込まれていると同じ頃、ダブルオーとラファエルは駅のホームを戦いの場としていた。

「ちょこまかと!」

ラファエルは短剣を投げつけるが、ダブルオーは足の裏のジェットを巧みに使い、その全てを回避していった。
避けられたラファエルの短剣はホームの柱等に突き刺さる。 ダブルオーの機動性はラファエルの想像以上であり、投げる速さを上げても
短剣はダブルオーに掠めることはなかった。 

「やっぱり、お歳なのかしら?」
「はん、小娘が生意気を言うんじゃない!」

それから数分の間はダブルオーとラファエルのイタチゴッコが繰り広げられるのだが、それもそろそろ終わりを告げようとしていた。

「頃合かしら? そこ!」

ラファエルはダブルオーとは別方向へビームを発射する。 勿論、それがダブルオーに命中するはずがない。

「センサーでもおかしくなった? 当たんないわよ」

ダブルオーはその場で足を止めてしまった。 それが命取りになった。
突然、ダブルオーのすぐ傍をビームが通り過ぎる。 さらにそのビームは方向を変え、頭上を走っていく。

「何なの、一体?」

ビームによって作られた網がダブルオーを閉じ込める。
先ほど投げていた短剣の刃にビームが反射していたのだった。

「反射角の計算って結構大変でね、しかも貴女に悟られずに投げるのも苦労したのよ。 さぁ、一歩でも動いたら、細切れよ? まぁ、動かなくても細切れになるかもしれないけど」

動けないダブルオーに向かって、短剣が網の目を抜けて身体に突き刺さる。

「あぁぁぁぁぁ!」

投げつけられた全ての短剣はダブルオーを串刺しにし、さらにビームの網に左腕、左脚が触れてしまい、切断されてしまう。

「あらあら、無様な姿ね……甚振る様で可哀想だけど、シャドウの為に死んで貰うわ!」
「ひっ……!」

殺される、死ぬ。 彼女の頭はその言葉でいっぱいだった。
片脚がやられ身動きがとれず、このままラファエルの短剣に貫かれるのを待つだけだった。 だが、彼女の反骨精神はその恐怖をバネにした。 無駄と思いつつも残っている右腕をラファエルへかざす。

「やられる……もんかぁぁぁぁ!」
「なっ……!」

ダブルオーの発した衝撃波に吹き飛ばされるラファエル。
砂埃が晴れてくると、そこには柱を支えに立つダブルオーの姿があった……だが、何かが違う。

「………………」
「何、この殺気は? そんな!」

ラファエルは目の前で起きている状況が信じられないといった顔だった。 ダブルオーは切断された左脚をくっつけると、コードやフレームがまるで触手のように絡み合い、再生していく。 同様に左腕も再生していく。

「自己再生? いくらナノマシンを使っているとは言え、あんな再生能力があるはずがない!」

そんな再生能力を持つのは、ザドキエルぐらいである。
無意識にダブルオーの発する殺気に怖気づいている自分を無理矢理鼓舞しながら、短剣を構える。
何が起きたのかわからないが、スペックは完全に此方が上のはずである。 いくら化け物じみた回復力があるとは言え、此方はまだ能力すら使用していない……勝機はまだ此方にあるとラファエルは考えていた。

「う…あぁ…あぁぁぁぁぁぁ!」

突然苦しみだしたかと思うと、ダブルオーはクロス・ラインやブラスターを我武者羅に発射する。 狙いの定まっていないビームはラファエルに命中することはなかった。

「暴走? 悪いけどこの隙に……」
「あぁぁぁぁ……フッ」
「なっ!」

突然、ラファエルの背後から幾つものビームが命中する。 ダブルオーが先ほど放ったクロス・ラインとブラスターであった。 ラファエルの使った短剣を利用したのだ。
その場に崩れたラファエルをダブルオーは片手で首を持ち上げる。

「ぐぅ……なんて力なの? この、離しなさい!」

ダブルオーの横面に回し蹴りを入れると、ダブルオーはラファエルの首から手を離す。
ラファエルの放った蹴りはかなりの力を入れていたので、ダブルオーの顔は大きく拉げていた……だが、それさえもナノマシンが蠢き、破損箇所を再生していく。

「フ…フフフ……フハハハ……ハハハハハ!」
「な…何なのよ一体! 貴女!」
「アーッハッハッハッハ!」

ダブルオーの両目が光ると同時に強力な衝撃波がラファエルの身体を襲う。
その衝撃波に耐え切れず、線路内まで吹き飛ばされるラファエル。 さらに間が悪いことに、その線路の先には一人の男以外誰も乗っていない電車が来ていた。

「ちょ……冗談でしょ?」

電車とラファエルが激突し、電車が大きく拉げ、ラファエルは蓄積されたダメージによりこれ以上の戦闘は無理な状態であった。

「フ…フフフ……」

ダブルオーは不敵な笑みを浮かべ、ラファエルに迫る。

「くっ…撤退ね……彼女は危険すぎる」
「…………」

飛び去っていくラファエルをダブルオーはだた見つめていた。
その後、そのまま力尽きたかのようにその場に倒れてしまう。

「やや! お嬢さん、大丈夫かね?」

大破した電車から、時代錯誤な探偵服部半平がひょっこり現れる。
一体どうやって電車に乗り込んで運転していたのかという疑問が多々残ってしまうが、ここはあえて無視する。

―駅周辺

「冗談じゃねぇぞ! 自己修復じゃ絶対に間に合わねぇ!」
「諦めたらどうだ、我等シャドウに刃向かう者は遺憾ながら誰であろうと抹殺する。 私としては無駄な殺生を行いたくはないのだがな」
「だったら、見逃してくんねぇかな?」

辛うじて動かせる左腕を微調整しながら立ち上がるハカイダー。
エネルギーを自己修復にまわしても、左腕だけの完全な修復にも一日は必要であった。 どちらにしろ、絶対絶命とはこのことである。

「それは無理だな……貴様等は我等と同じロボットだ、貴様の兄も姉も抹殺する」

冷たいカメラアイがハカイダーを睨みつける。
ミカエルの手が血に濡れたように真っ赤に染まる……否、それは確かに血に染まっていたのだ……ミカエルの人工血液が爪から溢れ出て、その美しい純白の右腕を変色する。 しかし、その右腕は汚れた様には見えない……血に染まった腕は異質な美しさを放っていた。

「魔法を応用した人工血液でな……このように染めることによってその力を発現させる。 実の所、私は喜んでいるのだよ。 コレはまだ一度も使ったことがなくてな……威力も効力もどれほどのものかも知らん。 貴様は幸運だぞ? 初めての相手なのだからな」
「嫌な初めてだな……お前が女の子だったら、少しはマシかもしれないんだがな」
「そんな口を利けるのも今の内だ……『ブラッティ・ローズ・タイラント』!」

真っ赤な閃光が右腕から放たれ、それはまるで、血の様に飛び散った。
閃光はハカイダーを包み込むと、バラの蕾を模り、ゆっくりと花弁が開かれる。
眩いまでの光が炸裂し、衝撃波が周辺に広がる。

「うあぁぁぁぁぁ!」

真っ赤な閃光が収まると、そこにハカイダーの姿はなかった。

「中々の威力だ……許せ、苦しむのも一瞬だったはずだ」

ミカエルは立ち去ろうとし、背を向ける。
その時だった…口笛が聞こえて来る……なにか、曲を演奏しているようで、リズミカルな音が夜の闇に響く。

ピュ~♪

「ヌッ! なんだ…どこから聞こえてくる!」

ピュ~ピュ~♪

「耳障りだ! フルオープンファイア!」

ハカイダーに大ダメージを追わせた砲台の数々が再度出現し、我武者羅に撃ちまくる。 弾幕は周辺の建物や木を破壊していくが、目標に命中はしていなようだった。

「さて…一発で仕留めれるかが問題か……」

ミカエルから遠く離れた場所にハカイダーはいた。 満身創痍な状態で、破損の酷かった箇所はすでに動くこともままならない。 右腕は数本のコードで繋がっているようなものである。 なんせ、パーツを丸ごと変えないといけない右腕は既に使いものにはならない……彼はその右腕を盾として使ったのだ。
残った左腕でハカイダーショットを構える。

「ハカイダーの名は伊達じゃないって事を教えてやるぜ!」

そしてハカイダーは引き金を引く。 同時に反動が彼を遅い、人工血液を撒き散らしながら左腕が吹き飛んでしまうが、ハカイダーは気にしなかった。 何故なら、こっちには母さんと兄さんがいる。 片腕ぐらいなら修理は一日で済む。 物凄く怒られるだろうが。
ミカエルが発射された弾丸に気付いたときには、既に両腕は肩から離れていた。 右肩から左肩へと弾丸は貫通したのだ。

「ぐあがぁぁぁぁ!」

膝が地面に着き、両肩から血を撒き散らす。

「ヤレヤレ……油断したな?」

ミカエルの下に一人の紳士が現れた。 明らかに場違いな格好であった。

「ザフキエル……今回の任務に貴様は…ぐぅ」
「まぁ、気にするな。 運ぼう、さっさと修理をせねばな」

ザフキエルはミカエルと破壊された両腕を背負うと、一瞬にしてその場から消え去る。

(やはり、やはり君たちは強い。 心を持ったロボットがコレほどまでに力を発揮するとは正直思わなかったよ……フフフ、見せてくれたまえ、心を持った人間に一番近いロボットの進化の果てを……光明寺博士が唱えたロボットの可能性を……哀しき人工生命体の未来を見せてくれたまえ)

「また厄介な敵が現れた~ジロー殿、我輩が死んだら、骨は……ブンブン! 縁起でもないことは言わないほうがいい……それにしても、この二人、重い」

気を失ったレイとリョウを引きずっている(自称)名探偵。 頑張れ、服部半平!

その頃、メタトロンと千草を追っていたネギ一行は……

「ギギギ!」
「まさか、ここまで追ってこれるとは思わなんかったけど、ここでお別れやね?」
「…………」

ネギたちを囲むようにシャドウマンたちが展開していた。

「ど…どうしましょう? この人数でこの数を相手にするのは……」
「加えて、相手はロボットです。 いくら我々が常人離れしていても……」
「ちょ…打つ手なし?」

三人を囲んでいるシャドウマンたちは稲妻状の槍を向ける。
メタトロンが合図を送ると、槍の先が発光する。 

「……やれ」
「くっ……!」

三人は目を閉じる……だが、一向にシャドウマンたちからの攻撃はやってこない。 変わりに聞き覚えのあるエンジン音が鳴り響いていた
ネギがゆっくりと目を開けると、そこには黄色いサイドカーがカッターを出して鎮座していた。

「え?」
「ギ…ギギ……」

シャドウマンたちは全機、横一文字に切断され、崩れていく。

「な…なんやて?」

ポロン♪ ポロンポロンポロン♪

ギターの旋律が夜の闇に響き渡る。

「…………何処だ? 何処にいる!」
「一体なんなんや? アレは……!」

千草は見た…満月をバックに映る人影を……ジローを見た。

「…………!」

メタトロンは左腕を変形させ、マシンガンをそのジローに放つ。
ジローは弾丸を飛んで避け、千草の前に降り立つ。

「生徒を返してもらう」
「えっ? あ、ちょ……!」

木乃香とアキラ、ルミを千草から取り返すと、それぞれ刹那、ネギ、アスナへと預ける。
ジローはゆっくりとメタトロンと千草を睨む。

「力ある、秘密がある…ただそれだけの理由で子供達を攫い、己が欲望のために利用する……貴様たちを許すわけにはいかない!」

―???

「反逆者だ、各通路の封鎖を急げ!」
「駄目です! 信号受け付けません!」
『こちら第3部隊、目標を…うあぁぁぁ! ザー……』
「えぇい! 相手は一人なのだぞ! 何を手間取っている!」

ラツィエルは送られてくる報告を聞き、苛立っていた。
反逆者は一人……確かに、数で攻めれば簡単なのだが、相手が悪い。

「ザフキエル……何のつもりだ……」
『やぁ、諸君…聞こえているかね?』
「ザフキエル! 貴様、シャドウを…総統を裏切るつもりか!』

突然、反逆者ザフキエルから通信が送られてくる。 破壊したシャドウマンを経由して通信しているのだった。

『まぁ…そういうことになるねぇ。 ただ…私は見てみたいのだよ……おっと、追っ手が来たみたいだから、これで終わらせてもらうよ』
「待て! おのれ……シャドウに逆らう者には死しかないことを忘れたか!」

ラツィエルとの通信を終えたザフキエルは追っ手から逃げていた。
どうやら相手も本気を出してきたらしく、今彼を追っているのはセフィロトの一人基盤を冠する天使ガブリエルであった。

「死…それは全てが終わる時、生…それは新たなる始まり……ザフキエル…貴方に次の生は来ない。 貴方の輪廻は私が断ち切る。 死を享受せよ、死を迎え入れよ、死を喜びたまえ」
「やぁ、ガブリエル……相変わらず、暗い詩だね。 もう少し明るい詩はないのかね?」

肩を竦めながら、自分のペースで話しかけるザフキエル。
対するガブリエルも自らのペースで話続ける。

「……時は来た…何人とたりとも、主の夢を崩す者には制裁を……私は貴方を断罪する、死を迎え入れよ、約束の時は近い…もし貴方が下の鞘に戻るというのならば……」
「残念だが、それは出来ないね……総統は我等に心を与えた…ラツィエルは信じてないようだけどね。 その与えられた心が私をシャドウを裏切るといった行動を駆りたたせたのだよ」

二人は無言のまま、戦闘形態へチェンジする。
両者とも、純白の装甲に身を包んだ。

「総統の夢を実現させたくば、私を倒すのだな!」

ザフキエルは両肩から大型のチャクラムを射出する。

「はじめから、そのつもり……ザフキエル、安らかな眠りにつくがよい!」

ガブリエルは扇子を取り出し、舞を踊る。

物語はやっと幕を上げたばかりである。

次回予告
遂に対峙するジローとメタトロン。 セフィロト天使軍団最強の戦士メタトロンにジローは何処まで戦えるのであろうか? そして、天使軍団の一人ザフキエルの反逆……。 人間とロボット入り乱れての戦いは始まったばかりである。

魔法先生ネギま! ギターを持った少年

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