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EPISODE.2「過去」 投稿者:偽・弓兵 投稿日:06/14-01:06 No.735
EPISODE.2「過去」
SIDE:エヴァンジェリン
私が、その現場に着いたときには全てが終わっていた。
――――アレは…なんだ?
私が遠くから見たのは異形の騎士――――馬を象った怪人が鬼を切り倒す所だった。
その異形は、全ての鬼を倒した後に一人の少年へとその姿を変えた。
その少年に近寄って呼びかけるのはココで鬼を倒す役目だった“桜咲刹那”。先ほどからその少年の名前らしきモノで呼びかけている。…知り合いか?
そんな事を考えながら、桜咲に声をかける。
「桜咲。 ソイツは――――なんだ?」
私の問いかけに、やっと気付いたのか振り向く桜咲。
「え、エヴァンジェリンさん!? え、えっと、こ、これは、その…」
慌てる桜咲。
「誰なんだ? ソイツは?」
「こ、この人は“源翔馬”さんで、しずな先生の弟さんです」
「アイツの…? 弟なんていたのか? アイツに」
アイツ…“源しずな”とは、結構長い付き合いだが、そんな事を聞いたことは――――いや、タカミチが以前何かいっていたような…?
そんなやり取りをしていた私達に、茶々丸が――――
「マスター。翔馬さんは5年前にしずな先生の弟として引き取られています」
「ほう…ん? 茶々丸。コイツを知ってるのか?」
茶々丸が名前で呼ぶなど珍しいな。
「はい。私が御手伝いをしている『超包子(チャオパオズ)』で時々ウエイターのバイトをしていましたから…」
ふむ…なら、茶々丸と知り合いでも不思議はないか。
そんな思考に没頭している私に、
「マスター。 学園長が至急、翔馬さんをこちらに連れてきてほしいそうです」
じじいから通信があったのか、そう茶々丸が言う。
ふむ…このまま茶々丸と桜咲に任せて帰ってもいいんだが…コイツのさっきの姿に興味がある。
「なら、私もいこう。ソイツに興味があるからな」
そう言って、じじいのところに向かう。
ふふふ…源翔馬。近頃ヒマだったんだ。ナギの息子がくるまであと少し…ヒマ潰しをさせてもらうぞ?
SIDE:翔馬
――――ん? どこだ? ここ?
目がさめた俺の目には、俺の部屋の天井ではない――――いかにも豪華っぽい天井があった。
ふむ…なら、ここはお約束の――――
「知らない天井だ…」
と、どこかの3番目の子供たちの台詞を言い放つ。
そして、起き上がり辺りを見渡す。…どうやら、ソファーに寝かされていたらしい。
すると――――
「うむ。 気がついたようじゃな」
と、声がかかった。
そちらを向くと、後頭部の長いじじいがいた。
「む。 でたな! 妖怪ぬらりひょん!!」
「だれがじゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
俺に正体を見破られたのを必死で隠そうとするぬらりひょん。いいかげん認めろよ。おそらく道行く人100人に聞いたら100人中、100人そう言うぞ。
「をい。後半、口にでとるぞ」
なにぃ!? こんなトコで思考を口に出してしまうなんて、どこかの雪国で奇跡を起こす青年がする様なベタなネタをしてしまうとは!? 源翔馬一生の不覚!!
「あ~、話をしたいんじゃが」
妖怪が何か言っているが無視の方向で。
「いや、話をせんかの?」
そう言えば、何で俺生きてんの? あのバケモンに殺されたはずじゃ?
「だから、その話を――――」
あの女の子は無事なのかなぁ…。
「いいかげん、無視せんでくれんかの?」
うっさいなぁ…妖怪は黙って墓場で運動会でもしてろよ。
「フォッフォッフォッ…死ぬか? 死にたいんじゃな?」
はっはっはっ。アンタが死ぬのが先だろ? 年齢的に。
フォッフォッフォッフォッ。
はっはっはっはっはっ。
殺意の篭った目で笑い合う俺と妖怪――――学園長。
まあ、これくらいで遊ぶのはやめよう。
「で、学園長。なんで俺がここに?」
シリアスモードになった俺に、学園長もシリアスに戻る。
まあ、一種の挨拶みたいなもんだ。
「ふむ。翔馬よ。気を失う前のことについて、何か覚えておるかの?」
そんな事――――
「あ~。なんかスパッツはいた萌え美少女剣士を庇ってバケモンに切られたところは覚えてる」
…よく考えたらスッパリ致命傷をくらった気がするんだが。誰かがザオラルでも唱えてくれたのか?
「も、萌えって…」
後で女の子の声がした。振り向くと、話の美少女剣士が唖然とした顔で立っていた。
「おー、どうやら無事みたいだな」
無事なら俺も庇った甲斐があるとゆーものだ。
「は、はい。先ほどはありがとうございました」
そう言って、頭を下げる美少女剣士。
「私は、桜咲刹那といいます」
うむ。礼儀正しい。どこぞの学名『ツインテールオジコンバカ娘』、通称『神楽坂明日菜』とか言う珍獣にも見習ってもらいたいもんだ。
「幼馴染の妹分にヒドイ言い草じゃなぁ…」
じじいの言葉は無視。
「それで、君が助けてくれたのか?」
「――――それは…」
突然言いよどむ美少女剣士――――いや、桜咲刹那。
「ふむ…まあ、その時の映像を見てもらったほうがいいじゃろ。…茶々丸君、準備は大丈夫かの?」
ん? 茶々丸?
俺がじじいの視線の先を見ると、プロジェクターにコードを繋いだ茶々丸の姿が。
「おー、茶々丸じゃん。 久しぶり」
片手を上げて挨拶。
「3日ほど前に『超包子(チャオパオズ)』で合いましたが?」
顔色を変えずにそう言った茶々丸。
「ま、ノリみたいなもんだ。気にすんな」
「…解かりました」
そう言ってプロジェクターを起動させる。
さすが麻帆良のマッドサイエンティスト、『葉加瀬聡美』の自慢のロボット。いや、ガイノイドだったか?
「では、先ほど私が撮影した映像をだします」
そして、プロジェクターに写るのは、バケモノに切られて倒れている俺。そんな俺の前でこれまた倒れこんでいる桜咲さん。
そして――――
「あ?」
俺がゆっくりと立ち上がる。
それに気付いたのか、俺に向かうバケモノたち。
そして――――
「――――!!!!!!!!?」
俺は絶句した。
なぜなら――――
「なんで?――――いったい何があったんだ!?」
その映像の中で、俺は――――馬をモチーフにした、異形のバケモノへと変わっていた…。
SIDE:エヴァンジェリン
ふむ…改めてみると、なんとも変わった現象だな…。数百年生きた私も見たことが無い。あえて例をあげるならば、ライカンスロープなどの獣人の変身に似ているが…コレは別物だな。
――――どうやらショックを受けているようだな。まあ、無理もないが。
コイツが気絶している間、じじいに聞いた話だとしずなの弟でも魔法の話はしていない、一般人らしいからな…。いきなり自分がバケモノになったとはとうてい受け入れがたい事だろう。
「これは一体!? なんでっ…!」
そいつの顔が驚愕の色に染まる。
そして、
「なんで馬!?」
――――はぁ?
「なんで馬なんだよ!? 普通、こーゆー時は龍とか狼とかじゃないか!? 百歩譲ってもカブト虫とかクワガタとか!!」
は?…何を言っているんだ? コイツ?
「やり直しを要求する!! 製作者でてこーい!!」
――――まさか、コイツ…自分がバケモノになったことより、馬の造形にショックを受けているのか!?
「ふざけるなぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
私はそう叫んで奴の胸倉を掴みあげようとする。――――まあ、身長が足りずに私のほうの身体が浮かんだが。
「なんだ!? その反応は!? 自分がバケモノになったんだからもっと普通の反応をしろ!!」
そう言って、こいつの首をブンブン揺する。
「いや、そう言われてもなぁ…結構大事だよ? 造形は」
と、そんな台詞を言う。
「…ってか、この金髪ロリ幼女は誰? まさか学園長の新しい孫とか?」
――――コイツ…!!
「貴様!! 言って良い事と悪い事があるだろうがっ!! 私があんな妖怪じじいの孫なわけがあるかぁぁぁぁぁぁ!!!」
これだけは譲れない…!! 私の名誉に関わる問題だ!! はっきり否定しなければっ…!!
「あー、そーだよねー。ただでさえ、木乃香ちゃんがあんなに可愛いのが奇跡なのに、またこんな可愛い子が孫なわけないよね~」
――――ふ、ふん。解かっているじゃないか。
「そ、そうだ。この私があの妖怪じじいの孫なわけないだろう」
「うううっ…わしってそこまで言われるほど人外かのう…」
そこの妖怪!! 部屋の隅で泣いていじけるな!! 貴様がそんな事をしても気色悪いだけだ!!
SIDE:翔馬
そこで、茶々丸から、彼女が自分の主だと聞かされる。
――――まあ、茶々丸はロボだし…持ち主ってことか?
「それより、話を進めたいんじゃが」
その学園長の言葉に、話が元に戻る。
「ところで、翔馬。ホントにあの姿になった事についてショックじゃないのかのぉ?」
「あ~…まあ、ショックと言えばショックだけど、それより納得したんだよ」
と、本音を暴露する。
「納得だと?」
俺の言葉に疑問の声を上げたのはさっきのロリ――――“エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル”とか言う子。
「ああ…昔から、どことなく違和感が付いて回っていたんだ…今の俺は本当の自分じゃないって。…5年前より前の記憶の事だと思ってたんだが――――今はもう違和感が無い。あの異形のバケモノが俺の本当の姿――――いや、あれも俺の一部だって俺の魂がそういってるんだ…」
その俺の言葉に、皆静まり返る。
「ホントに…」
そこに一人の声が――――
「ホントに、それで納得できるんですか!? あの姿を自分の一部だって!!」
彼女――――桜咲刹那が、信じられないモノを見たかのように俺に叫ぶ。
「ああ。 アレも――――あのバケモノも俺自身だ」
「なんで!? どうして納得できるんです!?」
納得できない桜咲が俺に叫ぶ。その声はもはや悲鳴だ。
「例え、どんな姿でも俺は俺――――人間、“源翔馬”だ。それはこれから先、絶対変わらない」
「――――――――!!」
そんな俺の言葉に、衝撃を受けたのか絶句する桜咲。
「さて、話を元に戻すがいいかの?」
学園長が、そう言う。――――この辺の気づかいはさすが人の上に立つ者だ。――――まあ、これ位できないとこんな怪しいじじいが学園長を勤める学校に生徒が集まるわけが無いが。
「ホントに殺すぞ? クソガキ?」
また口に出していたようだが、スルー。手を振って話の先を促す。
「――――絶対いつか殺す。…まあ、とにかく翔馬の変身についてなんじゃが…」
ん? なんか知ってんのか?
「あれは、“オルフェノク”と言うんじゃ――――」
そして、じじいの説明が始まった。
オルフェノクとは――――
・人類の進化系と言われ、一度「死」を経験し甦った事でオルフェノクへと変化する。
・動物や植物の能力を有し、個人差はあるもののその力は人間を軽く凌駕する。
・オルフェノクとなった者は人間にそのエネルギーを注入する事でその人間をオルフェノクへと変える事が出来るが、そのエネルギーに耐えられなかった者は一度甦った後に灰化して死亡する。
・中でも、オルフェノクに襲われる事無く死から甦った者は「オルジナル」と呼ばれオルフェノクの中でも高い能力を持つ。
そんな説明が続いた。
「しかし、私はそんな話を聞いたことはないぞ?」
そう言ったのはエヴァンジェリン。
「5年くらい前、都心部や各地で人が行方不明になる事件が多発したじゃろ?」
――――5年前?
「――――そういえばあったな。そんな事が。…ではそれをオルフェノクとやらが?」
「うむ。じゃが、その事は一部の者しか知らんのじゃよ」
「なぜ、魔法協会が動かなかった? そこまで大事なら魔法使いを総動員してでも事態を収拾するはずだろう?」
――――? 今、何か聞き捨てならない言葉があったような…?
そんな俺の疑問を無視するかのように話は進む。
「動けなかったんじゃよ。オルフェノクたちの裏には大企業“スマートブレイン”がいたんじゃからのう」
「な!? あの大企業のか!?」
スマートブレイン――――日本でも一、二を争う世界的な大企業だ。
「なるほどな…SBが裏にいるなら納得だ」
「うむ。じゃが、動けなかったのはそれだけではない。オルフェノクは、個人差はあるがほとんどの場合その肉体は強靭で、その上動植物の特殊能力を持っている。そこらの魔法使いでは、瞬殺されかねないのじゃ」
いや、それより魔法使いってなにさ?
「まあ、アレをみたら納得だが…ん? ならなんで5年前、事件が急に無くなったんだ? それほどの集団――――しかもSBほどの大企業が裏にいるならやりやすかろう」
「――――そこの所はわからん。突然事件がぱったりと止んでしまったし、SBもそれからはおとなしく普通の企業をしておったからのう。…内部で色々あったようなんじゃが、詳しい内容は解からん――――アヤツがおったら良かったんじゃが…」
ん? 心当たりがあるのか?
「誰だ? ソイツは?」
エヴァンジェリンが俺の代わりに質問する。
「――――ワシの旧い友人…“花形”というオルフェノクじゃ…」
――――To be contenued
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