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EPISODE.16「吸血鬼1」 投稿者:偽・弓兵 投稿日:07/27-23:19 No.1001

EPISODE.16「吸血鬼1」


SIDE:翔馬

「「「「「3年A組!! ネギせんせー!!!と、しょーませんせー」」」」」

新学期―――――――――――騒ぐ元2‐A…現3‐Aの皆は、教壇に立つネギ君と俺の前で、はしゃぎまくっている。

幾人かはそれを呆れた目で見ているが。

例えば長谷川や綾瀬、そして―――――――金髪幼女吸血鬼ことエヴァンジェリンだ、

なぜか意味ありげに鋭い視線をネギ君に向けるエヴァ。

ネギ君もそれに気がついたのかエヴァの方を見る。

(この様子だと、そろそろネギ君にちょっかい出すみたいだな…やっぱり、じじいの言った通りになるか…)

そして、俺は数日前じじい…学園長から聞かされていた話を思い出していた。




「ところで、翔馬よ…近頃麻帆良で噂の『桜通りの吸血鬼』の話を知っておるかの?」

そのじじいの言葉に、

「ん? ああ、あの話か…でも死人や大怪我した人がいないし、吸血鬼じゃないんじゃないか? 本物なら被害者が死ぬまで血を吸うだろうし」

その俺の言葉を聞くが、じじいはそれを否定する。

「いや…実は微量ながら魔力も感知しておる。そして、この麻帆良で吸血鬼といえば――――――――――」

「―――――――――――エヴァか」

俺の答えに、じじいはうなずき、

「おそらく、ネギ君の血を吸う下準備のために力を集めておるんじゃろう」

「は? 何でネギ君の血なんて話が出てくるんだ?」

その俺の疑問に、じじいがこたえる。

どうやらエヴァにかけられた呪いは、それをかけたサウザンド・マスターの血族の血が大量に必要らしい。―――――――――――それも死ぬほどの。

「しかし、エヴァの信条として『女子供は殺さない』というのがあるから、ネギ君を殺すまで血を吸いはせんじゃろ」

「へー…で、俺には何をしろと?」

「おそらく、エヴァは次の大停電のときを狙って行動を起こすはずじゃ」

は? 何で停電のときに?

その俺の疑問の答えは、停電のときにエヴァの魔力を抑える結界が一時的に外れるらしい。

それを狙って停電時にネギ君を襲う算段なのだろう。と言うことだ。

「それで、俺はいったい何をすればいいんだ?」

「ふむ…この件に関してはネギ君に任せたいとおもうんじゃよ」

そのじじいの言葉に、

「いや、無理だろ。今の状態でさえエヴァの幾多もの戦闘経験からくる戦術戦略――――――――そして、茶々丸がついてるんだ。ネギ君一人では勝ち目ねーぞ。しかもこの上魔力が復活なんてしたら、現状ネギ君の敗北は絶対だ」

以前、俺の血を吸って一時的に復活したエヴァの実力を思い起こしてそう言う。

「確かにそうじゃが―――――――さっき言ったとおり、エヴァもネギ君を殺すまではいかんじゃろうしのお…それに、ネギ君には心強い味方もついとるんじゃないのかの?」

意味ありげにこちらを見るじじい。

(まじい…明日菜のことバレバレじゃねーか…)

しかし、いくらなんでも明日菜をコッチに巻き込むわけにはいかない。

「じじい…明日菜をコッチに巻き込むつもりか…?」

少し殺気を込めてじじいを睨み付ける。

返答しだいではこの場でじじいをぶちのめす…!!

そんな俺の様子を気にした様子も無く、

「まあ、お主に気持ちも解からんでもないが…どのみち明日菜ちゃんはコッチの世界に関わらざるをえんようになるじゃろ…」

「は? 何だって? ―――――――――――まさか、明日菜にも木乃香ちゃんみたく何かあるのか…?」

俺の疑問に、

「うむ…実は明日菜ちゃんは―――――――――――」

と、じじいが話し始める。

そして、俺は明日菜のとある能力の事を知りその場は納得した。





そして今、俺とネギ君は身体検査をしている部屋の廊下で終わるのを待っている。

(やれやれ…まさか明日菜がそんな能力を持っているとは…だけど、できるだけ明日菜にはコッチの世界んは関わらせたくはないんだがなぁ…)

そう考えるが、明日菜の性格を考えるにネギ君がエヴァに襲われていたら何も考えずに助けようとするだろう。

(明日菜は俺と違ってヒーロー体質の持ち主だからなー)

さすがはバカレッド。いつでも日曜朝のスー○ーヒーロータ○ムに出演可能だ。





そんな事を考える俺とネギ君のもとに、亜子ちゃんが走りこんできた。

「先生――――!!! 大変やーーーーーっ!!! まき絵が…まき絵が――――!!」

その声を聞いて、部屋の中に居た皆が廊下に出てきた。

―――――――――――下着姿のままで。

いや、君たち。いくらここが女子中でも少しははじらいとゆーものを持とうよ?

まあ、俺は眼福だからいいけどネギ君なんか顔を真っ赤にしてるぞ?

―――――――――――ああっ!? せっかくのシャッターチャンスなのにオーガショットは今メンテナンス中で手元に無いっ!?

内心、残念がる俺と下着姿の明日菜と目が合った。

(あれ~? 明日菜さん? 何で急に目を吊り上げてこちらを睨んでいるんですか~?)

そして、いきなり明日菜は俺に向けてジャンプ!!

「翔馬~~~~~!!!! アンタ、何見てんのよ~~~!?」

「ええっ!? 俺、今回は悪くないじゃないですとろいっ!?」

明日菜のどこぞのガ○ックのライダーキックじみた飛び右回し蹴りが俺の顔面にヒット!!

俺は薄れゆく意識の中、

(明日菜…お前の年でくまさんパンツはどうかと思うよ…? ―――――――――――まあ、俺は萌えるからいいけどさ…)

そんな事を思いながら気絶した(笑)




SIDE:エヴァ

「さて―――――――――――“宮崎のどか”…悪いけど少し血を分けてもらうよ?」

そう言って、私は彼女に襲い掛かった。

だが―――――――――――

「僕の生徒に何するんですかーーーー!!!!」

予想より早くぼうや…『ネギ・スプリングフィールド』がやってきた。

「“魔法の射手・戒めの風矢”!!!」

ぼうやが放った魔法が私を拘束しようと迫る。

そして私は手に持った魔法薬を放ってそれを防ぐ。

「“氷楯”……」

バキキキキキキン!!!!!!

予想を超えた凄まじい魔力だったが、何とか跳ね返せた。

「僕の呪文を跳ね返した!?」

ぼうやが動揺している。

―――――――――――この程度で動揺するとはな…所詮、まだまだ子供か。

だが、その潜在する魔力は侮れない。

「き、君は―――――――――――ウチのクラスの、エヴァンジェリンさん!?」

む。どうやらさっきの余波で帽子が飛んでしまったか…。

「ふふふ…新学期になった事だし、改めて歓迎のご挨拶といこうか? 先生? ―――――――――――いや、『ネギ・スプリングフィールド』」

私の言葉にぼうやは、

「この世には、いい魔法使いと悪い魔法使いがいるんだよ…? ネギ先生?」

そういいながら私は手に魔法薬を持ち、呪文を唱える。

「“氷結 武装解除”!!!!」

「うあっ!?」

ふむ…やはり抵抗したか。

やはり、今の私の魔力でぼうやとやりあうのは得策ではないか…。

ならば、おびき寄せて茶々丸に捕まえさせるか…。

そう考えていた私と、宮崎のどかをかばったぼうやの後ろから神楽坂明日菜の声が――

「あっ!! ネギ!?」

一瞬、ぼうやの意識がそちらに向いた隙にこの場を離脱する。

さあ、ぼうや…私を追ってこい!!





そして、予想どおりぼうやは私を追ってきた。

「待ちなさーい!!」

空を飛ぶ私を追って、ぼうやも杖に乗って追ってきた。

後は茶々丸と合流して、ぼうやを捕まえて血を吸うだけだ。

ふふふ…ぼうや、死ぬほど血を吸わせてもらうよ…?

恨むなら、私にこんな変な呪いをかけた『サウザンドマスター』を恨むんだな!!





SIDE:翔馬

「あー…めんどくせーなー…」

俺は今、コンビニに向かっている。

理由は朝に姉さんが飲む牛乳が切れていたからだ。

(朝、牛乳を飲まねーと姉さん機嫌が悪くなるんだよなー)

いったい、どこまで大きくするつもりなんだ? あの胸を?

そんな事を考えながらコンビニに着いた。

その入り口で、一人の古風なセーラー服を着た少女と出会った。

『あ、翔馬さん。こんばんはー』

「おー、さよちゃんか…こんばんはー」

俺と話しているのは実は3‐Aの生徒である、『相坂さよ』―――――――――――立派? な幽霊だ。

実は彼女、この数十年間誰にも気付いてもらえず、俺が始めて彼女を見ることができたらしい。

なぜ俺が魔法使いたちが見ることが出来なかった彼女を、俺が視認出来たのかはわからないが、別に困る事ではないので気にしない。

―――――――――――さよちゃん、可愛いしね?

初めて他人に気がついてもらえたのが嬉しいのか、彼女は俺に良く話しかけてくる。

『翔馬さん、コンビニに何か用なんですかー?』

「ん~? ああ、ウチの暴君の為に牛乳を買いにねー」

なごやかに談笑しながら、俺は買い物を済ませてコンビニを出る。

そして俺についてくるさよちゃん。

俺とさよちゃんは楽しく会話しながら、夜道を歩く。




「ん?」

『え? どーしたんですか?』

「いや、今強い魔力の気配が―――――――――――」

俺の感覚が近くで使用されている魔力を感知した。

そして、俺たちの上―――――――――――上空を通りすぎる影。

あれは―――――――――――

『あれって…ネギ先生じゃないですか?』

そう、さよちゃんの言う通それはネギ君だった。

その影は誰かを追うかの用に、すぐに遠ざかっていく。

ネギ君が空を飛んでまで追う相手―――――――――――

「エヴァがいよいよ行動し始めたか…」

そして、俺はその影を追う事にした。

じじい―――――――――――学園長からは、エヴァがやり過ぎない限りはネギ君に任せるといわれている。

だがエヴァたちを信じてはいるが、殺しはしないまでもネギ君が死に掛けるほども吸血を許す事はできない。

「よし…俺は今からネギ君たちを追うけど、さよちゃんはどうする?」

その俺の言葉に、

『ええ~!? こんな夜道に一人ぼっちは怖いですよ~!? 翔馬さんに憑いていきます~~』

ん? 今、ついていくのニュアンスが違ったような…?

まあ、いいか。

そして、俺とさよちゃんはネギ君たちの後を追っていった。





SIDE:さよ

『わー、ネギ先生凄いですねー』

私は今、翔馬さんの肩に摑まりながらネギ先生の魔法を見ています。

『あ、あれって魔法なんですか?』

ネギ先生から多数の光るネギ先生みたいなのが現れました。

「んー、そうなんじゃね? やっぱり魔法使いは色々できるんだなー」

私の疑問に翔馬さんが答えてくれました。

あー、やっぱり人と話が出来るのはいいですね…。

私が見える人なんて、翔馬さんが初めてでした。

こんな、幽霊の癖に怖がりで、足も無いのに転んでしまうようなダメ幽霊の私に話しかけてくれたのは翔馬さんが初めてでしたから…。

そして、私の『お友達になってくださいっ!』という要求にも、

「いいぞー。 さよちゃんみたいな可愛い子なら幽霊でも大歓迎だ♪」

って、言ってくれました。

それ以来、こうやって翔馬さんは私と話をしたり翔馬さんのお仕事の手伝いをしたりしています。翔馬さんは別に手伝わなくてもいいといってくれましたが、初めて出来たお友達のために、何かしてあげたかったんです。

――――まあ、私ができるのは偵察くらいなんですが。この時ほど私の誰にも気付かれないという特性を感謝したことはありません。

…ちょっと悲しいですけど(泣)

そして、翔馬さんのおかげで女の子のお友達もできました。

同じクラスの『桜咲刹那』さんと、『龍宮真名』さんです。

初めて翔馬さんに紹介された時、二人とも驚いていました。

「凄いな…今ここにいると言われてもうっすらとしか視認できんぞ…」

「ああ…私たちが今まで気がつかなかったんだ。恐ろしく隠密性の高い霊だよ」

「はっはっはっ、どうだ? さよちゃんはどこぞのアサシン以上の、スキル『気配遮断EX』を持つ子だからねー」

そんな話をしながら、二人ともお友達になってくれました。





話は戻って、ネギ先生はいよいよ黒い人影――――翔馬さんが言うには、あの人は同じクラスのエヴァンジェリンさんだそうです。

――――ええっ!? エヴァンジェリンさんって、吸血鬼なんですか!?

こ、怖いです~~~~!?

「いや、さよちゃん。君も幽霊なんだからそこまで怖がらんでも…第一、今まで俺の仕事に付き合って鬼とか魔物とか見ただろ?」

「それとこれとは別ですよー。クラスに私以外に人間じゃないヒトがいたなんて…」

「ま、エヴァはいいやつ…とはいいがたいけど、そこまで怖がるほどじゃないさ。意味もなく人を傷つけるヤツじゃないしね」

そんな話を翔馬さんとしている間に、ネギ先生は屋上にエヴァンジェリンさんを追い詰めました。

なぜこんな事をしたのか、エヴァンジェリンさんを問い詰めているらしいネギ先生。

しかし、追い詰められているのにエヴァンジェリンさんは余裕の表情を崩しません。

そして、ネギ先生の前に現れたのは――――

『え? あれって、絡繰さんですか?』

「あー、やっぱり茶々丸がでてくるよなー…これでネギ君の負けは決定かな?」

出てきた絡繰さんは、ネギ先生に魔法を使わせないように捕まえてしまいました。

『しょ、翔馬さん!? ネギ先生、捕まっちゃいましたよ!?』

「あー、ここは俺が介入するしかないか…?」

エヴァンジェリンさんは、何かを言いながらネギ先生の首筋に顔を埋め血を吸おうとしています。

翔馬さんは懐から、変身するための道具――――『おーがふぉん』とゆー、『けいたいでんわ』を出し、準備します。

「やれやれ…こんなに早くこの件に介入する事になるとはな…」

どことなく翔馬さんが呆れた口調で言いました。

「ネギ君にはもう少し根性見せてもらいたかったが…ん?」

翔馬さんがとある方に視線を向けました。

『どーしたんですか?』

「いや…お姫様が王子様を助けにきたみたいだな?」

私もその方向を向くと、

ものすごいスピードで走ってくる人影が。

そして、その人影は走ってくるスピードを維持したまま、エヴァンジェリンさんと絡繰さんに向けて飛び蹴りをしました。

「ウチの居候にナニすんのよ~~~!?」

「はぶぅぅぅぅっっっ!!!?」

人影――――同じクラスの『神楽坂明日菜』さん…翔馬さんの幼馴染の人が、エヴァンジェリンさんと絡繰さんを蹴り飛ばしました。



「おー、さすがバカレッド。ヒーローのよーに危機一髪で現れるなー」

感心したような翔馬さん。

え? ヒロインじゃないんですか?

私がそう聞くと、

「はははは、明日菜にヒロイン属性があるわけないじゃないか。明日菜が持ってるのはヒーロー属性。それも戦隊系だよー、ちなみに俺は仮面ライダー系だけどねー」

そんなものなんでしょうか…?

うーん、まだ私にはよく翔馬さんの言ってる事が解からないですけど、理解できるようにがんばります!!


そんな事を私たちが話している間に、エヴァンジェリンさんたちは逃げ出し、ネギ先生は神楽坂さんに抱きついて大泣きしていました。


「ま、今日はもう何も起こらないだろ。…じゃ、さよちゃん帰ろうか?」

『あ! はい!』

そう私は翔馬さんに答えて、その場を立ち去りました。



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MAGISTER MAGI&MASK’D RIDER 000 EPISODE.17「吸血鬼2」

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