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EPISODE.17「吸血鬼2」 投稿者:偽・弓兵 投稿日:07/30-01:16 No.1012

EPISODE.17「吸血鬼2」



SIDE:エヴァ

今、私は自分の部屋で翔馬と将棋を打っている。

パチン!

私の駒が翔馬の銀を取る。

「ふん…なるほどな。昨日のぼうやとの戦闘を見ていたと言うわけか」

「まーな。エヴァが明日菜に蹴り飛ばされるところもしっかりと見させてもらったよ」

パチン!

翔馬の歩が進む。

「うるさいっ!! …しかし、それを見ていたのならなぜ止めなかった?」

コイツに介入されると色々と厄介な事になるのでそれはいいんだが…。

パチン!

私の駒が翔馬の桂馬を取る。

「まあ、さすがにネギ君が死にかけたら助けに入る予定だったけど、明日菜が先に助けに来たからなぁ」

パチン!

翔馬がまた歩を一歩進める。

コイツ…将棋を解かってるのか…? さっきから適当に駒を進めているようにしか見えんが…。

「―――――――――――それはつまり、ぼうやの味方をすると言うわけか?」

コイツの仮面ライダーとしての力も侮れないが、コイツのわけの解からん行動は読めないので少し問題だ。

こういうタイプ―――――――――――何をしてくるか解からない敵が、一番厄介な存在になるのだ。

パチン!

また、私は翔馬の駒を取る。

「いや、今回俺は手を出さない」

パチン!

また同じ歩を進める翔馬。

さっきからただ歩を前に進めているようにしか思えんが…何か狙っているのか…?

例え歩が成ったとしても、今の状況をひっくり返す事は無理だが…?

「ほう…それは何でだ?」

コイツの真意ははっきりと聞いておきたい。

パチン!

ついに私の駒が王手をかける。

「王手だ…」

その私の言葉に、

パチン!

王将を退避させつつ、

「まあ、ぶっちゃけじじいからネギ君の修行のために見守るように言われてんだよ。…ネギ君は英雄の子だからこれから色々と厄介事に巻き込まれる運命らしいし」

「ちっ…やっぱりあのじじい気がついていたか…まあ、最初から隠し通す事は出来ないと思っていたがな…」

パチン!

「王手だ」

「ま、ネギ君やほかの生徒に大怪我なんかさせない限り、俺は手を出さないよ…まあ、エヴァが一般生徒を危険な目に合わせるとは思ってないがな…」

パチン!

またもや王将に逃げられる。

だが、着々と包囲網は出来つつある。

あと数手でこの勝負も決着がつく。

「ふん…私は『悪い魔法使い』だぞ? そんなに信用していいのか? 私は元だが、600万ドルの賞金首なんだがな?」

「知ってるよ。そして、女子供は殺さない主義だってこともな?」

「―――――――――――確かに女子供は殺さない主義だが、ぼうやに関しては例外かもしれんぞ? 何と言ったって私に呪いをかけた張本人の息子だ…勢い余って殺してしまうかもしれんぞ?」

パチン!

またも逃げる王将。

だが、もう翔馬の駒はあと数個。例え歩が成ったとしても逆転は不可能―――――――――――ふん…ここは遊んで王将は最後に取って完全勝利を目指すか…。

「そんな気があるなら―――――――――――本気でネギ君を殺してまで血を狙うんなら、他に手段があったはずだろ? 例えば、ネギ君が麻帆良に来る前に拉致るとかな?」

―――――――――――その翔馬の言葉に、空恐ろしいモノを感じた。

コイツは目的のためなら手段を選ぶなといっているのか…?

まあ、その意見には私も同意見ではあるが…。

「私はここから出られない事は知っているだろう? それでどうやってぼうやを拉致しろと?」

「まー、色々と手段はあるだろ? 茶々丸にやらせるとか。…まあ、茶々丸が幾らなんでも引き受けるかどうかは解からんが。いや、むしろ止めるか?」

「ふん…例え茶々丸にさせるとしても、茶々丸は外では目立つ…一人で誘拐じみた事はできんぞ?」

パチン!

また一歩翔馬を追い詰める。

「そこんとこは、他に人を雇うなりすればいいだろ? 真名あたりなら、プロフェッショナルだから殺し以外は値段しだいで引き受けるかもしれないしな?」

―――――――――――確かにその方法が手っ取り早かった。が…。

「ふん…何で私が子供相手にそんな面倒な事をせねばならん…? ぼうや相手にそんな面倒くさい事をする気にはならんし、私の名に傷が付くだろうが」

パチン!

今度は歩を進める翔馬。

やはり、成ることを狙っているのか?

ふん、無駄な事を…。

「まあ、別にそんな理由って事にしといてもいいけどね…実際のところ、いくら呪いをかけた相手の息子とはいえ、彼自身に恨みはないからそんな方法をする気がしなかっただけだろ? それにまだ10才だしなぁ…」

―――――――――――ちっ! 私の内心を読んだか…。

確かにぼうや自身に恨みはないし、まだ子供だ。ある程度―――――――――――ギリギリまで血を吸ったら許してやろうかと思っていたが…。

「ふん! そう思いたければそう思っているがいい…まあ、話は戻すがお前はこの件には手を出さんという事だな?」

パチン!

私の包囲網が翔馬の歩を囲む。次で成るが、その瞬間それを取ってやろう…くくく、翔馬の悔しがる顔を見たいものだ…。

自分の本心を言い当てられた事に対する怒りから、大人気ないことを考える私。

「ま、そう言うことだ。あと、他の皆も今回の件に関しては被害が大きくならない限り見逃すそうだ…だから、やりすぎるなよ?」

「まあ、それはぼうや次第だな…私としてはぼうやが頑張ってくれたほうが楽しいのだがな?」

停電時に魔力の封印が解けたら、私の勝利は確実だからな…少し、じじいの策に乗ってぼうやを試すのもいいかもしれんな。

「まあ、ほどほどにな…よし、これで成ったな!!」

「ふん…ここで成ろうが、いまさら勝つわけが―――――――――――って!! 何だ!? その駒は!?」

翔馬が私の駒に囲まれた自分の駒を裏返す。

その駒の裏には―――――――――――

“核”

と、書かれていた…。

「はい、この核攻撃で周囲3マスの駒は全て灰になる!! 残念でした~! ははは、人生は厳しいねぇ~!!!」

そう爽やかに笑う翔馬に―――――――――――

「何だ!? そのインチキは!? 普通の将棋にそんな駒はないぞ!?」

私は怒って翔馬の襟首をつかみあげる。

「え? 最初に俺が持ってきた将棋のルールでやるって決めたじゃないか? これは、遥か昔より、奥多摩に伝わる『オー城将棋』って言う由緒ある将棋だぞ? ―――――――――――まあ、原案者はじじいになってもエロイゲームを徹夜でやりこむダメ人間だが」

そして私は、無言で翔馬の顔面に拳を打ち込んだ。






SIDE:明日菜

「ネギ!! どうしたのよ!?」

私は急にいなくなったネギを探していた。

大浴場の方で大きな騒ぎがしているみたいだったから行ってみると――――

シュッ!!

何かネズミのような小動物の影が私に向かってきた。

っ!?

スパコーン!!

反射的に桶で叩きのめしたけど…大丈夫かな?

ハラリ

そんな心配をした私だったが、ブラウスの前をはだけさせたソレはそのまま素早い動きで外に逃げていった。

「な、なによ…アレ…?」

少し呆然としていた私だったが、振り返ってみると――――

「コラー!! あんた達も素っ裸で何やってるのよ!?」

いいんちょやまきちゃん、クラスメートが水着や半裸で、これまた半裸のネギを取り囲んでいた。

「ネギ…アンタ、そんなハーレムめいた事してるなんて…翔馬のヤツ以下じゃないの~!?」

私の叫びが大浴場に響き渡った…。





「でも、皆のおかげで元気が出ましたよ」

「――――へぇ~」

いや、アンタ。あんなんで元気がでるの…?

実はコイツ、自覚なしのスケベじゃないかしら…?

一瞬、翔馬のようになったネギを想像してしまい、頭を振ってその想像を頭から追い出す。

――――まだ、自覚があるぶん天然のコイツより、翔馬の方がマシじゃないかしら…?

そんな事を考えながら部屋に戻った私たちに、声がかけられた。

「景気悪い顔してるじゃねーか大将。俺っちの助けがいるかい?」

は? どこからこの声がしてるのよ!?

「下だよ! 下!!」

「あ!」

下を向いた私達の前には、白い小動物――――オコジョがいた。

「俺っちだよ! ネギの兄貴!! 『アルベール・カモミール』!! 久しぶりさ~~!!」

「あー!! カモ君!?」

って、さっきのじゃないの!? そのオコジョ!?

てか、今喋らなかった!? ソイツ!?


その後、なし崩し的にそのエロオコジョはネギのペットとして一緒に住む事になってしまった。


――――――――あまりにもエロいことし過ぎたら、しずな先生直伝のお仕置きをするわよ…?



SIDE:翔馬

「――――――――そんな感じで、ネギ君にオコジョ妖精が付いたみたいで…その日から、麻帆良の各地で下着ドロが急に現れだしたんですよねー」

俺はマスターの入れてくれたブレンドを飲む。

「ええっ!? あの下着ドロって、ネギ先生のオコジョ妖精がやったんですか!?」

そう驚いたのは、俺の隣のカウンター席に座る愛衣ちゃん。

「私やお姉さまも被害にあったんですけど…」

「――――マジ?」

「はい…お姉さまなんて、お気に入りの下着を取られてかなり怒ってました…」

あのクソオコジョ…マジで姉さんに引渡してお仕置きしてもらうべきだろうか…?

俺はそんな風に、あのオコジョに死刑判決を下していた。

「何ですって!? 佐倉さんの下着を盗むなんて…!!」

そんな叫び声を上げたのは、この店の常連の一人――――『西園寺武信(さいおんじ たけのぶ)』――――麻帆良中学男子中等部に所属する俺と同じオルフェノクで…“ギラファスタッグビートルオルフェノク”
である。まあ、ぶっちゃけ仮面ライダー剣のギラファア○デッドのような感じだろうか?

まあ、追記とすれば愛衣ちゃん――――『佐倉愛衣』ちゃんに惚れているという事が挙げられる。

「何て、うらやまし――――ゲフン!!ゲフン!! 何て事を!! 今から僕が取り返してきます!!」

そう(本音を)言って、店を飛び出そうとする西園寺に、

「そー言って、いくつか下着を懐に納める気じゃないだろーな?」

と、俺が言うと、西園寺はその動きをピタッと止め――――

「――――ハハハ、ナニヲイウンデスカ? ショウマセンパイ? ボクガソンナコトヲスルワケガナイジャナイデスカ」

と、急に目を逸らして片言で答える。

…実はそんな気が少しあったんだな…? 西園寺…。

しかし、その西園寺の迂闊な発言に反応した人がいた。

「ほう…愛衣の下着をちょろまかそうとするとは…いい度胸だね? 西園寺君?」

もちろん愛衣ちゃんの兄貴であり、強度のシスコンの佐倉兄こと『佐倉宏樹』である。

宏樹さんは笑顔――――もちろん、目は笑っていないが――――で西園寺に近づき、

「そんな事を考えるやつには少し、先輩としてお仕置きしないとなぁ…?」

「ええええええっ!? まだ、未遂ですよっ!?」

と、迂闊な発言をしてしまう西園寺。

「まだ…?」

さらに宏樹さんの殺気が強まる。

「ああああっ!? つい、本音がっ!? ――――翔馬先輩!? た、助けて~!?」

やれやれ…仕方無いなぁ…。

「じゃあ、西園寺…いや、パシリ一号。コンビニ行って今週のジャ○プ買ってこい」

と、助け舟を出す俺。いやあ、俺って後輩思いのいい先輩だなぁ…。

「それ助け船じゃないですよっ!? つか、なんなんですか!? パシリ一号って!?」

「ここから逃げる口実を作ってやったんだ。感謝しろよ?」

「ああ、それなら私はちょうど切れたからタバコ買ってきてくれ」

そうマスターが西園寺にパシリを頼む。

「マスターまでっ!?」

「早く行かないと、宏樹君に半殺しにされるぞー」

そのマスターの忠告を聞いて、

「い、いや、いくら何でもそんな酷い事、しませんよね…?」

そう言って、宏樹さん見るが――――

「…………」

「何で、無言で近寄るんですかっ!?」

そう叫びながら逃げ出す西園寺。それを追う宏樹さん。





「やれやれ…これで静かになったか…」

そんな事を言うマスター。

「でも、お兄ちゃんも西園寺君も冗談が好きですよねー」

その愛衣ちゃんの言葉を聞いて、俺とマスターの動きが止まった。

「えーと、愛衣ちゃん? 今の西園寺の言葉を聞いてどう思ったのかな?」

「え? 西園寺君がギャグであんな事言ったんですよね? お兄ちゃんもそれにツッコミを入れるコントじゃないんですか?」

――――愛衣ちゃん…まともな子とばかり思ってたのに、実は天然だったのか…?

「えーと、ちょっと話は変わるけど、愛衣ちゃんは、西園寺の事どう思ってるのかな?」

端から見て、西園寺が愛衣ちゃんに惚れているのは丸解かりなのだが…。

「え? 面白い人ですよね? いつも面白い事ばっかりしているし」

え? 愛衣ちゃんの中では西園寺は芸人なのかい?

どーも、西園寺の気持ちは愛衣ちゃんに“まったく”通じていないようだ…。

俺とマスターは、目を合わせて現在シスコンから逃走中の西園寺に静かに黙祷を捧げた…。

――――――――哀れな…西園寺。







「こんにちはー」

あまりにも哀れすぎる西園寺を思って、少し無言になる俺とマスター。

そこに、新たなお客さんが。

それは、常連である『矢上ユウ』さんと――――

「よお」

『乾巧(いぬい たくみ)』さんだった。

「あれ? 乾さん? 麻帆良に来るのはもう少し後じゃなかったんですか?」

その俺の疑問に、

「ああ、啓太郎はまだだけど俺は一足先に来たんだ…それで、この人に体を調べてもらいに大学病院にいったんだよ」

そう言う乾さん。

「マスター。コーヒー」

そう注文をする乾さんに、

「体…? ああ、そういえばオルフェノクは特殊な処置をしないと体が灰化していくんでしたっけ?」

もともと、オルフェノクは急激に進化した人類の一つの終着点。

その急激な進化に、体が耐え切れずに寿命が短いのだ。

今では、魔法の力を使ってその問題はクリアされているのだが――――

「そういえば、乾さんは5年前からファイズとして戦っていたんですよね? あの当時
は俺たちもSBも延命方法なんて無かったのに、なぜ、乾さんは平気だったんです?」

「ああ、俺も5年前の戦いで体が灰化してきてたんだが、最後の戦いの後は灰化がなんでか止まってってな…」

その疑問に答えたのは、矢上さんだった。

「まあ、色々と私が調べた結果――――乾さんの体には、少量だけど特殊なオルフェノクの性質が検出されたわ」

「特殊な…?」

その乾さんの疑問に、

「ええ…恐らくは――――あなたが5年前に戦った、オルフェノクの王…『アークオルフェノク』の力ね…」

オルフェノクの王の…?

「推測だけど、乾さんは最後に王を倒した――――つまり、接触したという事よね?」

「ああ…アイツが――――木場がヤツを抑えてくれている間に、俺がヤツを倒したんだ…」

その時のことを思い出したのか、少し暗い表情をする乾さん。

木場――――その言葉がやはり俺の心の奥底で何かが反応する。

何だ…? これは? 乾さんが俺のオルフェノク体を見て驚いたように、俺と『木場勇治』には、何か関係があるのか…?



そんな俺をよそに、矢上さんの話は続く。

「多分、その時に少しだけど王の力が貴方に移ったのよ。だから、灰化も小康状態で治まっていたのよ。…けど、その効力も切れ掛かっていたようだから、魔法を使った処置をしておいたわ。これで寿命の問題は解決されたはずよ」

「そうか…俺はまだ生きられるのか…なら、俺が木場の理想を叶えてやらねーとな」

「理想…?」

その俺の言葉に、

「ああ…あいつは人とオルフェノクの共存を目指していたんだ。――――まあ、何度も迷ったり、人に絶望したりもしていたけどな…それでも、その理想は捨て切れなかったみてーで…最後はさっきも言った通りに俺たちと一緒に王を倒したんだよ」

そして――――

「あいつの最後の言葉は、今でも忘れねーよ」

「最後の言葉…?」

「ああ…『まだ、俺には解からない…何が正しいのか…その答えを…君が俺に教えてくれ…!!』――――だから、俺はあいつの…俺たちの答えを探すために、その理想を叶えてやりてーんだ…」

そうか…乾さんは、その木場さんとの約束を守る為に――――人とオルフェノクの共存を目指して戦っているのか…。

だから、乾さんは強いんだな…。

――――俺も、強くならないとな…ただ、力を求めて強くなるのではなく…誰かのために、誰かを守る為に強くなる…。

そう、乾さんや木場さんのように…。


――――To be contenued

MAGISTER MAGI&MASK’D RIDER 000 EPISODE.18「吸血鬼3」

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