ブレイブXIV デートでもみくちゃにされる勇気
昼休みの麻帆良学園。その食堂棟にて、ネギと明日菜(カモ&ザルバ同伴)が歩いていた。 「昨日は本当にありがとうございました。明日菜さん」 「な〜に言ってんのよ。私こそ助けてもらったんだから」 「いえ。明日菜さんがいてくれたから、僕は勝てたんです」 ネギがキッパリと答えると、明日菜は頬を赤く染めてポリポリと頬をかいた。 「あ、僕コーヒー買ってきます。明日菜さんの分も買ってきますね」 「え?私は自分で「じゃぁ俺っちも」「俺のも頼むぜ」・・・アンタたちね・・・」 カモとザルバを睨むものの、ネギはそれを聞き素直にコーヒーを買ってきた。そして、どこか空いている席を探した。すると、とある場所にエヴァと茶々丸、そして和樹が楽しそうに喋っているのを見つけた。 「あ、こんにちは。エヴァンジェリンさん」 「ん・・・ああぼーやか。どうした?」 「あの、合席いいですか?」 「別に構わん。好きにしろ」 エヴァの好意を受け、ネギたちもそこに座ることにした。すると、茶々丸と話していた和樹がネギに話しかける。 「や。ちゃんと挨拶するのは初めてだね。僕が、式森和樹だよ」 「ネギ・スプリングフィールドです。式森さん、ありがとうございました。僕の生徒を助けてくれて」 「気にしないで。僕は茶々丸さんが大切だから助けただけだから」 そう言ってねっと同意を求めて微笑む和樹。するとそれを見た茶々丸は一瞬にして頭から煙を上げながら頬を真っ赤に染めた。 「ちゃ、茶々丸さん!?」 「気にするなぼーや。茶々丸は嬉しくてしょうがないんだろう。なにせ、最愛の人に微笑まれてるからな」 そう言いニヤリとしながら茶々丸を見ると、更に頬を赤く染めた茶々丸がいた。 「こらエヴァちゃん。茶々丸ちゃんをいじめたらダメだよ」 「別にいじめてなどおらんがな・・・・そう言えば、おい指輪」 「誰が指輪だ!!名前で呼べ!!」 ネギの中指に装着しているザルバは憤怒しながら答えたが、それを気にせずエヴァは真面目な表情で・・・ある事を尋ねた。 「やれやれ・・・ザルバ。お前に一つ聞くが・・・“アイツ”は生きているのか?」 「アイツ・・・・・ああ、ナギの事か?」 それを聞いた瞬間、ネギも喰らいついた。 「あの、ザルバさん。父さんは死んだって言われた日から黄金騎士として戦っていたんですよね?」 「ああ、そうだが」 「だったら、ナギのバカは今も生きているんだな?」 ネギの言葉にエヴァは続く。しかし、ザルバの頭を横に振った。 「正直なところ、分からないってのが本音だ。アイツとは数年前に別れてしまったからな」 「何故別れちゃったのよ。そのネギのお父さんと?」 「ナギが和樹を助けた時に、和樹の叔父に俺は託されたんだ。それ以来、アイツとも連絡出来なくてな・・・」 「そうだったんですか・・・」 「ま、アイツの事だし生きてるだろうさ」 「だろうな。あのバカは死んでもしなない奴だからな」 そう言い不敵な笑みを浮かべるエヴァ。すると、エヴァは何かを思い出したのかネギの方を向いた。 「そういえばぼーや。京都にナギの一時期住んでいた家があったはずだ。そこにいけば、何か手がかりがあるかもしれないぞ」 「きょ、京都ですか?どうしよ〜!中々時間が「調度良いじゃないか、ネギ君」・・・え?」 「ね、茶々丸ちゃん」 「はい」 「あの、なんなんですか?」 「あれ、ネギ知らなかったの?修学旅行で京都に行くって事」 それを聞くと、ネギは飛び上がりながら喜んだ。そしてそのままクラスに戻っても嬉しそうだった。しかし、学園長室に行った事で、一気に落ち込んでしまう事に・・・。 「ええ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!修学旅行の京都行きは中止〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?」 「うむ。中止の場合は変更してハワイに・・・」 学園長が続けようとするが、ネギはショックのあまり「きょうと・・・キョート」とブツブツいい始めてしまった。 「これこれ(汗)まだ確定した訳ではないんじゃ。どうも先方がかなり嫌がっておっての」 「先方?京都の市役所とかですか?」 「いや、“関西呪術協会”とよばれるものじゃ」 そう言うと、学園長はネギに二つの協会が対立している事。そしてこのかが狙われる可能性がある事を話した。 「こ、このかさんが!?何故なんです!?」 「関西呪術協会の方じゃがの。いわゆる強行派と呼ばれる者たちが多くてな。この前も、式森君が助けてくれなかったら、このかは誘拐されておったかもしれん」 「そうだったんですか・・・」 「何にせよ、ワシとしてもこれ以上対立はしたくないんじゃ。そこで、向こうの長に親書を渡して欲しいんじゃ。そして・・・・・入ってきてよいぞ」 学園長がドアに向かってそう言うとドアが開き、そこから神風暁と黄昏、そして和樹が入ってきた。 「学園長、用とはなんでしょうか?」 「俺たちが呼ばれるって事は、何かあると思いますけど」 「僕たちが呼ばれた理由・・・・なんですか?」 三人がそれぞれ言うと、学園長は続けた。 「君たちには、このかの護衛をして欲しいのじゃ。幸い今回の修学旅行は高等部の三年も行くことになっておるから、君たちも行けるじゃろ?」 「でも学園長」 「なんじゃ式森君?」 「“僕たち”のクラスが行くんですよ。問題はないですか?」 和樹の一言に、学園長は沈黙した。しかし、すぐに復活し答えた。 「君は彼らを鎮圧出来るじゃろ?どんな手段を使っても構わん。3−Bの者たちの暴動を阻止してくれ」 「“どんな手段”でもいいんですね?」 「勿論じゃ。あの3−Bを抑えられるのなら、安いものじゃ」 「分かりました。鎮圧に関しては、僕がなんとかします」 「うむ。あ、それからこのかの護衛にの・・・」 学園長が何かを言おうとすると、ドアをノックする音がした。それを聞いた学園長は入るように言った。すると・・・。 「失礼します・・・・・・あ(/////)」 ドアを開けて和樹を見た瞬間、頬を赤く染める刹那が姿を見せた。 「あ、こんにちわ。刹那ちゃん」 「こ・・・・・・こんにちわ」 和樹の笑顔に、刹那は頬を真っ赤に染めた。それを見た学園長が和樹に尋ねる。 「式森君。何かあったのかね?」 「あ、そう言えばお話してなかったですね。実は僕、“刹那ちゃんとこのかちゃん”と婚約しました」 それを聞いた瞬間、学園長は固まってしまった。そして硬直が解けると、何故じゃ〜と尋ねてきた。それも凄い形相で。 「え・・・・えっと。実は・・・・」 和樹が前に起きたお見合いパーティーでの一件の後の事を話した。 「そうか・・・・このかが選んだ道か」 「納得・・・・していただけました?」 「まぁ・・・確かに納得じゃ・・・・・だが」 そう言うと、学園長は50tと書かれたハンマーを取り出した。それを見た和樹が愕然とする。 「な、納得したんじゃないですか〜〜〜〜〜〜!?」 「納得はした。じゃが、ワシのお見合いのセッティングという楽しみを奪った罰じゃーーーーーーー!!」 「そんな無茶なーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」 和樹が珍しく慌てながら逃げようとした。刹那もどうすべきか困り、暁&黄昏&ネギはポカーンとなっていた。そして逃げ場が無くなり、学園長の鉄槌が下され・・・なかった。 「ウチの先輩に何するんやじいちゃんーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」 ドアを開き、100tと書かれたトンカチを持ったこのかが、学園長を物凄い速度で上に打ち上げ・・・。 「私の先輩に、何をするか学園長!!」 両手にイングラム(電動エアガン)を構え、惜しむ事なく弾丸を放ち更に上へと打ち上げ・・・。 「拙者の主様を傷つける気でござるか!!」 分身殺法でズタボロにし・・・。 「ワタシのムコに何するアルね!!」 回り込んでドアの方へと崩拳を叩き込み・・・。 「私の最愛の人をいじめるとはいい度胸ですね学園長!!」 ガトリンクを回転させ、弾丸を学園長に叩き込んだ。それにより、学園長は元の席に強制的に座らされた。ただし、ピクピクと血まみれで痙攣していたが。 「(((生きてる!?)))」 ネギたち三人は愕然としていたが、まぁ学園長だから大丈夫だと神風姉弟は納得した。それに引き換え、和樹は突如現れた婚約者たちに驚きまくっていた。 「ど、どうしたの皆!?」 「どうしたんて、先輩が危ないって思うて」 「嫌な予感がしたのでな」 「なにやら不穏な空気が流れていたでござる」 「ぴりぴりと殺気を感じたアル」 「和樹ちゃんに危機が迫っているって思ったの」 皆の言葉に驚きつつも嬉しさを感じ、自然と皆の頭を撫でていた。それにより、皆は頬を真っ赤に染めた。しかし、ぬらりひょん(失礼)もとい学園長は意外と頑丈だった。 「ま、まだじゃああああああああああああああああああ!!」 学園長の意地なのか、最後の力を振り絞ってハンマーを振り上げた。さすがに皆も反応出来なかった。一人を除いては・・・。 「神鳴流奥義・・・・百花繚乱!!!!!!」 そう、さっきまで何も出来なかった刹那がその攻撃を防いだのである。学園長は吹っ飛ばされ、椅子にバタンと落下し気絶してしまった。 「あ・・・・・ああ、私は・・・・・」 刹那が自分のしてしまった事に自責の念を感じ始めようとした時、刹那の身体をふわっと温かいものが包んだ。 「あ・・・・・」 「ありがとう刹那ちゃん。僕を助けてくれて・・・・」 そう言い、ぎゅ〜っと優しく抱きしめる和樹。それにより刹那の中の自責の念は吹っ飛び、ただ和樹のぬくもりに身を委ねていた。すると、む〜っと焼きもちを焼くネカネが話しかける。 「もう、ラブラブは共有でしょ和樹ちゃん」 「あ・・・ごめん」 そう言うと、和樹は刹那を離した。一瞬切ない表情になるものの、包まれた優しさにほわ〜んとなっていた。 「さ〜て、とりあえず修学旅行用の服とか買いにいきましょうか♪」 「お、いいな先輩」 「ワタシも行くアルね」 「拙者も行くでござるよ」 「あ〜それええな〜♪せっちゃんもいくえ〜♪」 「あ・・・・はい!お供します!!」 そう言うと、皆は和樹を引っ張って部屋から出て行った。それを確認すると、ネギは学園長に駆け寄り治癒魔法をかけ始めた。 「やれやれ、あいつって本当にモテるわね〜」 「ま、和樹の優しさと強さを知ったら、蜘蛛の巣みたいに逃げれないからね」 二人は苦笑すると、必死に治癒に力を注ぐネギに手を貸すのだった。 「・・・弱ったな〜〜〜〜」 和樹は非常に困った状況にいた。何故かというと、女性服のコーナーにいるからである。そう、皆に連れられて(引っ張られて)和樹は服を選びに来たのはいいが、何故か速攻で女性服のコーナーに連れてこられたのである(笑)ちなみに皆は今試着室に入っている。 「ね〜和樹ちゃん。これ見て〜♪」 「ん、何ネカネ・・・・ちゃん」 突然呼ばれ和樹が振り向くと、そこには白いワンピースに身を包んだネカネが立っていた。それを見た瞬間、和樹はボーっと見とれてしまった。 「どう・・・かな?」 「うん・・・・凄く似合ってる。ネカネちゃんは白い服が似合うね」 「やだ、和樹ちゃんたら♪」 そう言い頬を赤らめるネカネ。その光景を見ていた他の客の反応は、嫉妬する者もいれば、いいな〜と羨ましがっていたりと様々だった。 「先輩・・・・どやろか?」 すると、今度はこのかの声がしたので和樹は振り向いた。そこには、ピンクに猫の絵がプリントされたTシャツ、そして少し長めのスカートをはいたこのかが立っていた。その姿は年相応で、このかのほんわかな雰囲気にぴったりだった。 「うん。このかちゃんの柔らかい雰囲気にとても合ってるよ」 「ありがとな、先輩♪」 このかはそう言うと和樹の腕に抱きつき甘える。 「和樹殿。これはどうでござろう?」 「どうアルか?カズキ?」 「ん、どうした・・・・・ぶっ!!」 楓とクーに呼ばれ振り向くと、そこには赤いチャイナ服を着た楓。そして黄色のチャイナ服を着たクーが立っていた。スリットから映る綺麗な足が、更に魅力を引き出していた。 「へ、変でござったか!?」 「アイヤー!男ならこの格好は好きだと思ってたアルが」 「いや・・・・・滅茶苦茶似合っているんだけど・・・・・その・・・」 和樹がボソボソと続けるが、二人には分からなかったようで、もう一度言わされる羽目になった。 「えっと・・・・他の男子に・・・・・・見られたくないな・・・・・・って・・・・・」 和樹の言葉を聞いた瞬間、ボッと燃えるように顔が赤くなる二人。和樹が見せた独占欲に、二人は完全にパニック(いい意味で)になっていた。 「先輩・・・・どうだろうか?」 「に・・・・似合いますか?」 そして、真名と刹那が出てきた。その姿は、真名は黒いTシャツに薄いブラウンのジャケット、同じくブラウンのスカート(原作の服)。一方刹那は・・・大人しい外見とは裏腹に、白いTシャツにジーンズといった格好だった。 「や〜〜〜〜ん♪せっちゃんかっこええ〜〜〜〜〜♪」 「あ・・・こ、このちゃん」 普段と全く違う服装に、このかが抱きつく。すると、うろたえるように刹那が慌て始めた。そしてそれ以上にビックリして固まっていた和樹が尋ねる。 「せ、刹那ちゃん・・・・その服は・・・」 「こ・・・このちゃんが・・・・ラフな格好をしたら絶対似合うって言ったので・・・・着てみたんですが・・・・どうですか?」 「うん・・・・かっこよさもあるけど・・・・・・やっぱり可愛い♪」 「(////////)」 和樹の素直な感想に、刹那はボッと耳まで真っ赤に染めた。すると、少し寂しそうな表情をした真名に、和樹が近づいた。 「真名ちゃん」 「なんです・・・・先輩」 「ちょっと・・・・・・髪を後ろに束ねてくれないかな?」 「ん・・・こうか?」 そう言うと、真名は軽く髪を後ろで束ねた。いわゆるポニーテールである。それを見た和樹は・・・・。 「真名ちゃん可愛い〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪」 このかと反対で和樹が真名に抱きついたのである(苦笑)。それにより真名の頬は火が吹き出そうなぐらいに赤く染まりきってしまった。 「あ〜真名ずるいアルよ〜〜」 「拙者もお願いするでござるよ〜〜」 「あ〜んウチも〜」 「私も・・・・」 「和樹ちゃん、私にも〜〜〜」 結局もみくちゃにされる和樹。そしてそれを見ていた周りの客の反応は・・・。 「(糖分無くなるから甘い空間はよそでやってくれ!!)」 「(ラブ臭よ・・・・・ラブ臭がするわよ〜〜〜〜!!)」 男性陣は口から砂糖を吐きまくり、ジュースなどを買いまくっては飲んで補充していた(笑)。それにより、自販機は30分で売り切れになってしまった。それに引き換え女子陣は、そのラブラブな空間に悶えていたりしていた(笑)。 |