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エピソード4:キンザの涙、ガイアの使命 投稿者:wey 投稿日:04/19-11:49 No.2295  






怪獣や異星人。その全てが絶対なる破壊者や侵略者というわけではない。



中には、間違って地球に迷い込んだ者。落ちてきた者と様々。



しかし、人にその区別ができるだろうか・・・恐怖の対象に対して、敏感な地球人が。



今、人の心が試される・・・。










エピソード4 キンザの涙、ガイアの使命










麻帆良の郊外にある土地。その地下を、何かが動いていた。まるでモグラのように地面を移動する光景は、不思議なものである。




――ゴゴゴゴゴゴ・・・・・・ピタ




やがて、その何かは動きを止めた。そして、次の瞬間。






「ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン」






地面を貫き、二本の角を生やした怪獣が出現した。










その頃、勉は運動部&チア三人組みと一緒にカラオケに来ていた。休日で暇を持て余していた勉に、桜子が声をかけたのだ。


「うわ~、勉くん歌うまーい!」
「そ、そうかな?」
「うん!歌のジャンルも多いし、歌唱力もいいよ~♪」


勉はウルトラマン系の歌を昔から歌いこんだ結果、他の歌には対応できる歌唱力を得てしあったのだ。ウルトラマンファンの力恐るべし(笑)。


「でも・・・ほんとにうまいね。勉くん」
「あ、ありがと」
「おー♪勉っちはアキラに興味アリかな~?」
「み、美空」
「あはは!!」


顔を赤くして抗議するアキラを見て、ケラケラ笑う美空。


「う~負けてられないにゃ~。亜子、デュエットであの二人超えるよ!」
「え・・・ええ~~~!?無理や無理~~~!!」
「無理でもやるの~」
「や~~~」


裕奈にマイクを持たされ、巻き込まれな亜子。それを見ながら、勉は苦笑していた。


「あれ~勉。飲んでる~♪」
「美沙さん・・・・・雰囲気に酔ってるでしょ?」
「や~ね~。私のどこが酔ってるのよ~?」
「・・・・ははは(苦笑)」


雰囲気に酔える美砂には、さすがの勉も笑うほか無かった。その様子を見て、円が勉の肩を叩き、顔でこう言っていた・・・「お疲れ」と。そんなこんなで、皆でガヤガヤ騒いでいた。しかし、そんな時・・・。




≪お客様にお伝えします。この付近で怪獣が出現したという情報が入りました。店員の指示に従い、速やかに非難してください≫




そう、怪獣の出現を告げる言葉だった。それを聞いた勉は「ちょっと様子を見てくるよ」と言い、外へと飛び出していった。


「・・・あ、あれ?」
「勉っち・・・・出て行っちゃったよ」
「・・・ってちょっとヤバくない!?外には怪獣が出てるのに!?」


チア三人が騒ぐ中、運動部の亜子が青ざめていた。怪獣という恐怖に慣れきれず、怪獣という単語を聞いただけで不安を覚えてしまっていたのだ。


「よしよし、大丈夫だからね亜子」
「だいじょーぶだって。私らだってついてるんだよ・・・ね、アキラ・・・・・・・あれ?」


美空がそう言って辺りを見回すと、アキラの姿がどこにもいなかったのだ。


「まさか・・・」


この時の美空の不安は、見事に当ってしまう・・・。










カラオケボックスから飛びだした勉は、怪獣がいると思われる場所に向かって走っていた。表立った道を使わなかったため、規制には引っかからなかったんである。そして、怪獣が見えるだろう丘に登った勉の目の前には・・・。






「き・・・・・・キングザウルス三世!?」






―――キングザウルス三世。帰ってきたウルトラマンことウルトラマンジャックが最初に苦戦した怪獣と言われている。全身にバリアーを貼っているため、スペシウム光線や八つ裂き光輪といった必殺技を防ぐ事が出来る、恐るべき怪獣。


「だけど、弱点はあの二本の角・・・だったら、流星キックで倒せるはずだけど」


エスプレンダーを手にとる勉。しかし、何かあまりいい感じがしなかった。目の前で暴れているキングザウルスから、何か悲しみを感じたからである。




「・・・・とりあえず、今はこの麻帆良を守る事を考える!!」




そう言って、勉はエスプレンダーを天に掲げた。








「ガイアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」








そして、キングザウルス三世(以降キンザとする)の前に、ガイアが降り立った。










「はぁ・・・はぁ・・・・どこに行ったんだろ?」


カラオケBOXから飛び出してきたアキラは、周囲に勉がいないか探し回っていた。


「急がないと・・・・怪獣との戦いに巻き込まれちゃう・・・・・勉くん」


そう言い、再び探し始めるアキラ。そんな中、アキラの周囲で大きな揺れが発生した。アキラが上を見上げると、そこには怪獣がおり、アキラを見下ろしていた。


「あ・・・・ああ・・・・・」


アキラは恐怖に震えていた。この距離では逃げられないし、襲われたら一瞬で終わる。そんな絶望的な思考が頭の中を駆け巡っていた。しかし、そんなアキラの考えとは違い怪獣は・・・・・・・アキラの顔に頬擦りし始めた。


「・・・え?」


イマイチよく理解していないアキラ。しかしそれから数秒たち、目の前の怪獣が自分に対して敵意がない事を理解した。


「この子・・・・・・まだ子供なんだ・・・・だから、こうやって甘えてくるのかも」


動物好きなアキラは、もしかしたら目の前の怪獣も動物と同じなのではと考えた。しかし、そんな中・・・。




「・・・・・ジュワ!!」




突如ガイアが出現し、怪獣の尻尾を掴んでいたのだ。そしてそのまま、尻尾を引っ張ってアキラから遠ざける。


「ギャオオオオオン!!」
「ジュワッ!!」


目の前のガイアは、怪獣へと攻撃を仕掛けていく。しかし、怪獣は自身の周囲にバリアを展開し、攻撃を防いでいた。まるで「こないで・・・こないで!!」と、怯える子供のように。


「・・・・だめ」


アキラは自分でも気付かぬうちに呟いていた。目の前の怪獣を傷つけてはいけない。まだまだ小さな子供を傷つけては・・・と。そんな中、ガイアは大跳躍を行い、怪獣の上空へと跳んだ。そして、そのままキックの体勢に入る。




「ダメだよ・・・・・・」




アキラの中で、傷つけてはいけないという想いが・・・・・・爆発した。








「ダメーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」








アキラが叫んだ瞬間、ガイアは姿勢を崩してしまった。そしてそのまま、バランスを崩した右足に・・・・・・怪獣の角が突き刺さった。




「ジュアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」




ガイアの悲痛な叫びが、麻帆良に木霊する。そしてそのまま、足を押さえて森に倒れ込むガイア。その隙を見て、怪獣は地面へと潜って逃げてしまった。そして、ガイアもまだ森の中に光となって消えた。










「く・・・・・・ううう・・・・・・・・・・」


血が流れ出る足を押さえながら、勉は木の幹に背中を預けていた。なんとか大地からの力を借り、ヒーリングみたいなものを行っていたのだ。


「く・・・・キンザの角があんなに鋭いなんて・・・・それにしても、あの声」


勉は、突如聞えた声に覚えが合った。そう、自分がいる3-Aのクラスの誰かに。そんな中、ガサガサと茂みで音がした。勉が視線を向けると、そこには・・・。




「つ、勉くん!?」
「あ、アキラちゃん?」




キンザが消えた後、再び勉を探していたアキラがそこにいたのである。


「ど、どうしたの・・・・その傷?」
「え・・・いや、これは・・・・その・・・」


勉の足には、まるで何かが突き刺さったような二つの穴があった。それを見て、アキラの脳裏に一つの光景が浮かび上がる。キンザの角が突き刺さった、ガイアの姿を。


「・・・まさか」


アキラが信じられない様子で勉を見詰める。すると観念したのか、勉が口を開いた。


「・・・・・僕が、ガイアだよ」
「・・・嘘」
「嘘じゃないよ。あのキングザウルスの角に刺されたこの足が、何よりの証拠。


そう言うと、勉は何かに気付いた表情を見せた。


「・・・そっか。あの時の声・・・・・アキラちゃんだったんだ」
「・・・・・あ!!あの時・・・・・・ゴメンなさい」
「いいよ。アキラちゃんは、あのキングザウルスが傷つけられるのが、嫌だったんでしょ?」
「・・・うん」


そんな話を続けていると、再びガサガサと茂みが動いた。二人がその場所に目を向けると、そこには・・・・・首だけを出したキンザが姿を見せた。


「き、キングザウルス!!」


勉は慌ててエスプレンダーを構える。しかし、アキラが目の前に立った。


「アキラちゃん!?」
「ダメ・・・・だよ」
「ど、どうして!?」
「この子・・・・・まだ子供なんだよ。周りに全く適応できなくて、お母さんも仲間もいない・・・・・一人ぼっち。だから、怖くてパニックになってたんだよ」
「で、でも・・・」
「勉くん・・・・・・・ウルトラマンって、なんなのかな?」
「・・・え?」


勉はアキラの言葉を聞いて固まってしまった。ウルトラマンとは、人々を脅威から救う英雄。しかし、悪意無き敵とは戦わず、心を通わす事も、また可能な存在。


(そうだ・・・・・・・ウルトラマンは無闇に相手を倒す存在じゃない。コスモスやメビウスだって、心通わした異星人や怪獣と友達になれる)


勉の中で、何かが弾けた。そしてそのままエスプレンダーを天に掲げ、再びガイア(人間サイズ)へと変わった。


「勉くん」
(アキラちゃん・・・・・ここは、僕に任せて)


テレパシーでアキラに語りかけるガイア。それを聞き、コクンと頷くアキラ。ガイアはそのままキンザに近づくと、両手をカラータイマー辺りでクロスさせ、力を収束させる。


(なんとかこのキングザウルスを小さくできれば・・・・・・小さく?そうだ!!)


ガイアは何かを思い出したのか、両手にエネルギーを収束させた。そして、そのままそのエネルギーを光線へと変化させ、キンザへと放った。すると、それを受けたキンザがみるみるうちに小さくなり、手乗りサイズに変化してしまったのである。


(・・・・・まさか、ウルトラマンジョーニアスのリトル光線の発想が役に立つとは思っても無かったよ)


―――ウルトラマンジョーニアス。タイトル【ザ・ウルトラマン】で登場した。アニメ版のウルトラマン。カラータイマーが青→黄→赤へと変化するという変わったタイプのウルトラマン。


(これで・・・いいんだよね)


勉はそのまま変身を解くと、怯えているミニキンザを抱きかかえた。そして、ミニキンザをアキラに渡す。


「・・・え?」
「君なら、その子のお母さんになってあげられるよ」


そう言って笑顔を浮かべる勉。その言葉を聞きアキラがキンザを見ると、嬉しそうに鳴いた。


「・・・そうかな」
「うん」
「・・・・頑張る」
「僕も、手伝える事は手伝うから」
「ありがと・・・・・・・あ(////////)」


アキラは何を思ったのか、顔を赤く染めた。




「私がこの子のお母さんなら・・・・・勉くんが、お父さん・・・・・かな(//////)」
「え・・・・・・・・・・あ(////////)」




それからしばらく、二人は顔を真っ赤にして経ち尽くすのだった。その日以降、アキラの肩か頭には、必ずと言っていいほどキンザがいるのが普通の光景となった。ただ、キンザが勉とアキラにばかり懐くのを見て、ハルナが「まるで二人がこの子の両親みたいね~」とからかわれて二人が顔を真っ赤にするのは、お約束である。








おまけ


数日後、キンザに小さな友達が出来た。一匹は、ネギのペット(使い魔)であるオコジョのカモミール・アルベール。もう一匹は、ザジのトモダチであるガジガジ(笑)である。
麻帆良に降り立つ地球の守護者

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