時空を超えた友情 最終章 第43話 西の戦い 投稿者:TAKUMA 投稿日:04/09-04:28 No.162
-西の祠
学園長の話によると世界樹を中心に東西南北の森の奥に、
『封印の間』への入り口の門を封印している祠があると言う。
その祠の前で特殊な呪文と第1の鍵で封印を解き、動かすと地下への道が開く。
後は地下通路を一本道に進めば『封印の間』に入る為の門があり、そこで第2の鍵を使う。
中に入れば東西南北の道と合流でき、のこりの第3の鍵で中心部の部屋に入れるという寸法だ。
現在、ブレイドこと剣崎をチームリーダーにした西チームは地下通路に入る所だった。
G3-X「凄いですね。 こんな大きな学園なんて……」
ガードチェイサーから降りたG3-Xが驚愕する。
それもその筈、彼らが居る西の祠は世界樹から裕に50km以上は離れていた。
それなのに結界は更に広がっている。
普通の町や都市以上の広さを実証していた。
ヒビキ「こりゃあ、バイクで来て正解だったな」
もし歩きなら鍛えているヒビキは兎も角、機動力の少ないG3-Xは一番不利だったろう。
剣崎「話によると中も結構広いって話ですよ」
そう言った剣崎が学園長から教えられた呪文と鍵で祠の封印を解いた。
すると祠が土台ごと動き、大きな地下へと通じる穴が現れた。
ヒビキ「凄いな……これならバイクでも通れる」
入り口の大きさはヒビキの言う通り、バイクに乗ってても余裕で通れる大きさだった。
ただ1つ問題なのは入り口が階段なだけだ。
オフロード型の剣崎のブルースペイダーはともかく、
オンロード型のG3-Xのガードチェイサーにヒビキの愛車『凱火』と同じタイプのバイクは階段に弱かった。
ヒビキ「……………覚悟を決めないといけないな」
G3-X「そうですね……」
オンロードの2人は階段降りの覚悟を決めた横で剣崎が、
剣崎「こういう時、始が居たくれたら楽なんだけどな」
階段降りを始めている2人の後姿を見て苦笑する剣崎だった。
ちなみに北に行ったネギ達の階段降りは―――
――〝FLOAT〟
ザンキ「おお……浮いたな」
カリスがラウズしたカード『FLOAT』の効果でザンキのバイクが宙に浮いた。
ちなみにザンキもヒビキと同様のオンロード型だった。
-麻帆良学園 西の地下通路
話は西チームに戻り、現在はヒビキを戦闘にG3-X、剣崎の順で地下通路を爆走していた。
地下通路は以外と広く縦は5mはある大きな空間だった。
ただ、普通に走れば僅かな時間で目的地に着くのだが、流石は『封印の間』への道。
落とし穴を始め、槍や弓矢等といった侵入者用のトラップが容赦無く襲って来た。
そんなトラップを避け続け……3人は広い部屋の様な所に出た。
まぁ、ロックマンで言えば中ボスと戦えるような広さだった。
ヒビキ「何だ? 行き止まりか?」
バイクを止め、部屋を見渡す3人。
室内は広く、洞窟とは思えない程の広さだった。
G3-X「見て下さい。 おそこにシャッターが」
G3-Xが真っ直ぐ先を指すと自分達が入って来た入り口と対照的な場所に同じ位の穴がシャッターで塞がれていた。
正にロックマンの中ボスのステージと同じだった。
ヒビキ「このパターンで良い事無いんだよな」
現状況を判断したヒビキがポツリと呟いた。
その言葉に剣崎とG3-Xも頷く。
こういう時の彼らの嫌な勘は当たるのだ。
――ガラララララ
突然に開くシャッターに身構える3人。
???「俺達の相手は貴様らか……」
奥から出てきたのは鷹をモチーフにした怪人―――風のエルと、
ライオンをモチーフにして怪人―――地のエルの2体だった。
現れた怪人に身構えるヒビキと剣崎。
だが、ただ1人―――G3-Xだけが驚愕の表情で固まっていた。
G3-X「あ……あいつらは……」
言葉を漏らすG3-X。
その時、怪人達もG3-Xに気付いたようだ。
地のエル「お前はあの時のアギトの出来損ないか……」
風のエル「面白い。 あの時の恨みを晴らしてくれる」
そう言って各々の武器―――地のエルは『敬虔のカンダ』という剣、風のエルは『憐憫のカマサ』という長弓を構えている。
一方、ヒビキ達も各々の変身道具―――『変身音叉・音角』と『ブレイバックル』を取り出した。
――キィィィィィン
ヒビキの音角が特殊音波を響かせる。
剣崎もブレイバックルに『CHANGE』のカードを挿入してベルトを装着した。
ヒビキ「はぁぁぁぁぁ!! たぁっ!!」
音角を額に当て鬼の紋章と共に人体発火が起こる。
そして、火を振り払う様に手を横に振ると火は消え、そこには仮面ライダー響鬼が立っていた。
剣崎「変身!!」
――〝Turn up〟
ブレイバックルのレバーを引く剣崎。
機械音声と共に現れた光の壁にその身を通すと、仮面ライダーブレイドへと姿を変えた。
G3-X「凄い……」
呆然と見ているのは敵では無くG3-Xの方だった。
今まで見た事――と言ってもギャレンとレンゲルの変身をみたのだが――の無い2人の変身を改めて間近で見て、
自分もあんな風になりたいと少し劣等感を覚えていた。
―――だが自分にはG3-Xがある。
天才・小沢澄子が作り上げた最高のユニット。
その誇りを賭けて負ける訳にはいかないと『GX-05 ケルベロス』を構える。
風のエル「アギトとは別の戦士か……」
地のエル「面白い。 その力、打ち砕いてくれる。 ハァ!!」
地のエルの掌から砂の様な物が響鬼達目掛けて放たれる。
それを見たG3-Xが叫ぶ。
G3-X「危ない!! それに触れちゃ駄目です!!」
響鬼・ブレイド「「―――――ッ!?」」
G3-Xの声に響鬼、ブレイドが地を蹴り横に飛んだ。
熱砂はそのまま響鬼達が立っていた場所に掛かり地面を高熱で溶かした。
その様子を見ていた2人が「要注意だな」と気合を入れなおす。
地のエル「避けたか…… 次は外さん!!」
またしても地のエルの掌から熱砂が放った。
響鬼「そう何度も――― 〝鬼闘術・鬼火!!〟」
――ゴォォォォォ!!
――どぉぉぉぉぉん!!
放たれた熱砂の真正面から『鬼火』がぶつかり合って爆煙が辺り一面を包み込んだ。
その爆煙から1人の人影が飛び出した。
――〝KICK〟
飛び出した人影―――ブレイドが『KICK』のカードをラウズして地のエル目掛けて飛び蹴りを放つ。
地のエルの方も熱砂を放って隙が出来、ガード仕切れなかったが、
不思議なシールドみたいなものにブレイドのキック『ローカストキック』が阻まれた。
どうやら地のエル相手に放つには威力が弱かった様である。
チャンスとばかりに宙で止まっているブレイドの足を掴む地のエル。
その背後から風のエルが宙を飛び、長弓『憐憫のカマサ』をブレイド目掛けて構えるが―――
G3-X「させるか!!」
――ズダダダダダ
風のエル「む!!」
ノーマークだったG3-Xが風のエル目掛けて『GX-05 ケルベロス』を放ったのだ。
構えていた弓矢を強制的に解かれる風のエル。
それを見た地のエルが自慢の怪力でブレイドを地に叩きつけ様とするが―――
響鬼「〝鬼棒術・烈火弾!!〟」
――ゴォォォォォ!!
まだ晴れない爆煙から2つの火の玉が地のエル目掛けて飛んできた。
1つは地のエルに直撃、もう1つはブレイドと地のエルの間を通り手を離させた。
地に着地したブレイドが響鬼の元に下がった。
ブレイド「すいません。 助かりました」
響鬼「何、気にするな。 それよりも……来るぞ!!」
響鬼の言葉に視線を敵に向けると風のエルが矢を放っていた。
次々と飛んでくる矢を『音撃棒・烈火』で叩き落とす響鬼。
その後ろではG3-Xが『GX-05 ケルベロス』を風のエル目掛けて放つ。
――ズダダダダダ
風のエル「ヌォォォォォ!!」
『GX-05 ケルベロス』の直撃に苦しむ風のエル。
実は此処に来る前に葉伽瀬がメンテナンスの際に少しばかり改良を加えてくれたのだ。
確かに前のままのスペックでは地のエル、風のエルと対等に戦えなかった。
ただ、その改良の際にしてはいけない事をしていたのだった。
-回想 麻帆良学園 地下研究室
時間は遡り、戦士達が学園長室で会議している頃……
マッドの生息地―――地下研究室ではメンテを終えた茶々丸とセリアが葉伽瀬と共にG3-Xの改造を行っていた。
葉伽瀬「へぇ~ 一般人でも此処までの物が出来るんですね」
分解(無断)したG3-Xの中身を見ながら葉伽瀬が呟いた。
天才・小沢澄子の傑作であるG3-Xも葉伽瀬達に掛かれば出来の良い玩具だった。
茶々丸「ハカセ、こっちの『GX-05 ケルベロス』はどうしますか?」
葉伽瀬「実弾と平行にビーム兵器も付けちゃおっか」
まるでラーメンに煮卵を付ける感覚で言う葉伽瀬。
その後ろではセリアが頭部ユニットを弄っていた。
セリア「へぇ……AI機能を利用とわね……ま、AIのレベルは私達以下だけど」
そりゃそうだ。
いくら小沢でもセリア達並のAIを作れる筈が無かった。
―――とAI部分を見ていたセリアがある物を見つけた。
セリア「何コレ? ハカセー何か変なチップが入ってるんだけど―――」
葉伽瀬「んー? 何ー?」
『GX-05 ケルベロス』の調整を茶々丸に任せてセリアの持つAIユニットを覗き込む。
セリアが差したチップとは、G3-XのAI機能の能力を落とす制御チップだった。
そのチップを見るなり、顔を顰める葉伽瀬。
葉伽瀬「うーん。 これじゃ、100%の力も発揮できませんね。 取っちゃいましょう」
そう言って簡単に制御チップを取り外す葉伽瀬。
セリア「ハカセー。 このAI改造しちゃっていい?」
葉伽瀬「そうですね。 このままじゃ、使い物にならないし……やっちゃいましょう」
笑顔でAIユニットを弄りだすマッド。
その後ろでは茶々丸が氷川に対して心の中で十字を切っていた。
茶々丸(氷川さん……頑張って下さいね……)
その祈りは不器用と言われて落ち込んでいる氷川には届かないのであった……
-麻帆良学園 西の地下通路
G3-X(あれ? 心無しか、何時もよりも動き易い上に威力が上がっている?)
放つ『GX-05 ケルベロス』の威力にようやく気付くG3-X。
その裏にはマッド達の策略があった等と彼は知らなかった。
――ピピッ
その時、G3-XのAIの電子音が鳴った。
不思議に思っていると画面にスコープみたいなのがブレイドの真後ろの地面を指していた。
何事かと疑問に思うG3-X。
ふと何かに気付いた。
地のエルの姿が見えないのだ!!
G3-X「剣崎さん!! 後ろ!!」
考えるよりも先に口が出ていた。
AIが知らせたのは地のエルの出現地点の割り出しポイントだと気付いたのは叫んだ後だった。
ブレイド「―――――ッ!?」
――ドゴォォォォ!!
G3-Xの叫び声の直後に地面から飛び出る地のエル。
自慢の剣『敬虔のカンダ』を振り翳す!!
だが、その時は既にブレイドの手にカードがあった。
――〝MACH〟
ラウズしたカード『MACH』の能力『ジャガーマッハ』で一瞬の内に地のエルから距離を離した。
地のエル「―――――ッ!?」
まるで自分の行動を予測された様な対応に驚く地のエル。
その間にもブレイドはカードトレイから更に2枚のカードを引く。
――〝KICK〟
――〝THUNDER〟
――〝MACH〟
――〝Lightning Sonic〟
3枚のカードをラウズして、ブレイドの必殺技『ライトニングソニック』を発動させた!!
地を蹴って凄まじいスピードの助走で付けて、更に地を蹴り空高く飛び上がった。
『MACH』のカードでスピードをつけた『ライトニングソニック』を避ける余裕は地のエルには無かった。
ブレイド「ウェ━━━━━━(0w0)━━━━━━ィ!!!!!」
そのまま稲妻を纏った飛び蹴りを放つブレイド。
地のエル「ふん!!」
対抗して地のエルの掌から大量の熱砂が放たれる。
どうやら相殺させようとする魂胆だが勢いは弱まりつつも技はキャンセルされていない!!
残りの手段として剣の腹で『ライトニングソニック』を受け止め、そのまま投げ飛ばした。
流石の『ライトニングソニック』も大量の熱砂で威力が半減以下になっていた様である。
ブレイド「くっ、何て馬鹿力なんだ!!」
ブレイラウザーを構えなおして対策を考えるブレイド。
一方、響鬼とG3-Xは風のエル相手に苦戦中だった。
響鬼「〝鬼棒術・烈火弾!!〟」
烈火から放たれた火球を易々とかわす風のエル。
G3-X「このぉ!!」
――ズダダダダダ
『GX-05 ケルベロス』の弾幕を張るG3-Xだが、風のエルの素早い動きに流石の弾幕も追いつかない。
葉伽瀬特製のAIは全て予測しポイントを割り出してくれるのだが、装着者である氷川の方が追いつかないのだ。
G3-X「素早い!!」
風のエル「今度はこっちの番だ」
そう言う風のエルが一気に5本の矢を放つ。
凄まじい矢の猛攻に響鬼とG3-Xも防戦一方だった。
その様子を尻目で見ていたブレイドが奥歯を噛み締めた。
ブレイド(このままじゃ、時間に間に合わない!! どうれば―――)
不意にブレイドの脳裏にキングフォームが過ぎった。
ブレイド(駄目だ。 大事な切り札を今、切る訳にはいかない)
どうやらブレイドは先にも強敵が残っていると考え、切り札であるキングフォームは残す事にしたのだ。
―――となれば、残る手は1つだけだった。
ラウズアブゾーバーのカードトレイから2枚のカードを引く。
アブゾーバーに『QUEEN』のカードを挿入した。
――〝Absorb Queen〟
もう1枚のカード―――『JACK』のカードをアブゾーバーにラウズする。
――〝Fusion Jack〟
機械音声と共に姿を『ジャックフォーム』へと変えていく。
地のエル「―――――ッ!?」
2段変身したブレイドに身構える地のエル。
その間にもブレイラウザーから2枚のカードを引いた。
――〝THUNDER〟
――〝SLASH〟
――〝Lightning Slash〟
ブレイド「はぁぁぁぁぁ!!」
地を蹴り空高く飛び上がるブレイド。
羽を広げ凄まじいスピードで地のエルに斬りかかった。
だが、地のエルも『敬虔のカンダ』を両手で構える。
ブレイド「ウェ━━━━━━(0w0)━━━━━━ィ!!!!!」
地のエル「ぬぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
――ガギィィィィィン!!
ぶつかり合う刃と刃。
そこには凄まじい火花が散っていた。
ブレイド「たぁぁぁぁぁ!!」
地のエル「うぉぉぉぉぉ!!」
吼える2人の力は五分と五分。
その決着は意外な方向で幕を閉じた。
――パキィィィィィン
ブレイド「うわぁぁぁぁぁ!!」
凄まじいぶつかり合いに遂にブレイラウザーが耐え切れず折れてしまったのだ!!
その反動で弾き飛ばされるブレイド。
一方、地のエルの『敬虔のカンダ』は未だに健在だった。
流石はアギトの『シャイニングカリバー』を打ち砕く程の強度を持つ剣である。
ブレイド「そんな!! ブレイラウザーが!!」
折れてしまったブレイラウザーに慌てるブレイド。
一旦変身を解けばエースアンデットの自己再生能力で元に戻るが、
今は変身を解いている場合でない上に再生には時間が掛かるのだ。
(―――という設定にしておいて下さい)
ブレイド「このままでじゃ、ラウズする事も出来ない。 どうすれば!!」
地団駄を踏むたくなる状況に追い込まれたライダー達。
ジリジリと追い詰める2体のアンノウンに3人のライダーはジリジリと後退する。
そして、遂にライダー達の背と壁がぶつかった。
もう逃げ場は残っていなかった。
地のエル「これで終りだ!!」
風のエル「死ねぇ!!」
地のエルと風のエルの掌から大量の熱砂と強烈な鎌鼬が放たれた!!
響鬼・ブレイド・G3-X「「「―――――ッ!?」」」
自分の身を守ろうと身構える3人。
その時だった―――
???「風よ舞い上がれ、ジー・マジカ!! ピンクストーム!!」
突然に吹き込んだピンク色の風が鎌鼬を相殺し―――
???「ほとばしれ水よ、ジー・マジカ!! ブルースプラッシュ!!」
凄まじい勢いの水が熱砂を弾き飛ばした!!
一同が何事かと攻撃の来た方を見ると―――
ピンク「吹き行く風のエレメント! 桃色の魔法使い! マジピンク!!」
ブルー「たゆたう水のエレメント! 青の魔法使い! マジブルー!!」
桃色と青の魔法使いが立っていたのだった。
ブルー「―――って、芳香ちゃん、どういう状況か分かってる?」
奇襲攻撃でライダー達を救ったのは良かったのか今一分からないマジブルー。
それもその筈、彼女達はまだ『仮面ライダー』の存在自体知らないのだから。
ピンク「大丈夫、大丈夫。 だって、如何見てもアッチの方が悪役じゃん」
そう言って地のエルと風のエルを指差すマジピンク。
確かに如何見ても彼らが正義の味方とは思えなかった。
ピンク「それに……アッチの方がカッコイイじゃん♪」
「キャハ」とポーズを取るマジピンクに呆れるマジブルー。
一方、ライダー達の方でも相談をしていた。
響鬼「あの姿ってさ……もしかして……」
ブレイド「ああ。 魁に似ている」
G3-X「―――って、上映の時に映ってましたよ……」
実際にマジレッドを見ている2人には彼女達が魁の仲間だと言う事が直ぐに分かった。
同様にG3-Xも先の上映会でマジレンジャーの紹介の時に映っていた事を覚えていた。
そうと決まれば話は早い怪人2人の隙を見て彼女達に駆け寄った。
響鬼「君達、もしかして……マジレンジャーの人達?」
ピンク「え!? 何でマジレンジャーって知ってるの!?」
響鬼の言葉にマジでビックリするマジピンク。
ブレイド「俺達は魁とヒカルさんに会ってるんだ」
G3-X「その時に貴女方の事も少し聞いたので……」
響鬼の言葉を説明するかの様にフォローを入れるブレイドとG3-X。
あえて番組である事は伝えなかった。
―――と言っても彼女達は知っているのだが。
ブルー「え!? ヒカル先生!? 何処にいるの!?」
『ヒカル』と聞いて冷静さを失って聞いてくるマジブルー。
そんな彼女に男達は軽く引いていた。
ピンク「麗ちゃん!! そんな事よりも……先にお片付けしなきゃ」
そう言って視線を地のエル、風のエルに向けるマジピンク。
響鬼「そうだな。 粗大ゴミを片付けてから話をつけるか」
そう言った響鬼が烈火を構え、他の方々も各々の武器を構えた。
―――と言ってもブレイドだけはブレイラウザーが無い為にどうも出来なかった。
風のエル「増えた所で無駄だ」
地のエル「見よ!! 我々の新たな力を!!」
そう言うと2体の身体からオーラの様なものが浮き出て合わさっていた。
風のエル・地のエル「「はぁ!!」」
――ゴォォォォォ!!
2体を中心に周囲に突風が渦巻いた!!
しばらくの間、2体の姿が竜巻に隠れ、竜巻が晴れると……なんと2体のアンノウンが1対になっていた!!
背中に羽を生やし左腕には長弓『憐憫のカマサ』が融合しており、右手には少し大きくなった剣『敬虔のカンダ』を持っている。
顔は地のエルで胴体に鷹の顔が付いていた。
正に最強のアンノウン―――闇のエルの誕生だった。
闇のエル「ふん。 コレで貴様らの勝機も無くなったな」
響鬼「ちょうどいいや。 1体に纏まって倒しやすくなったぜ」
ピンク「そうそう。 皆の力を合わせれば大丈夫」
闇のエルの言葉も暢気―――と言うよりマイペースな響鬼とマジピンクには通じなかった。
闇のエル「その言葉……後悔させてやる!! はぁ!!」
――バシュバシュバシュバシュバシュ
左腕に取り込んだ長弓『憐憫のカマサ』を連射する闇のエルだが―――
ブルー・ピンク「「ジンガ・マジュナ!!」」
2人の呪文により光の幕『マジカルカーテン』が矢を跳ね飛ばした。
普通なら5人の魔法力が必要だが、あれから成長した2人なら2人でも十分に発動させる事が出来た。
ただし、跳ね返す事は出来ない様だが……
兎に角、矢を防いだ事に驚く闇のエル。
響鬼「今度はこっちの番だ!! はぁぁぁぁぁ……たぁ!!」
紅き炎に包まれる響鬼が響鬼紅へと姿を変えた!!
響鬼「いくぜ!!」
烈火を構えて地を蹴る響鬼紅。
マジブルーとマジピンクを飛び越えて闇のエル目掛けて烈火を振り下ろす!!
烈火を剣で受け止める闇のエル。
だが、其処に隙が出来た。
G3-X「喰らえ!!」
――ズダダダダダ
その隙をに横からG3-Xが『GX-05 ケルベロス』を放ち闇のエルが怯んだ。
怯んだ隙に響鬼紅の蹴りが入り反動で距離を取った。
ブルー「マジ・マジ・マジカ!! ブルースプラッシュ!!」
強化呪文で強化された『ブルースプラッシュ』で押される闇のエル。
だが、致命傷になる決定打は出せない!!
ブレイド「くっ……ブレイラウザーさえ折れなければ……」
折れたブレイラウザーを手に地団駄を踏むブレイド。
その言葉を聞いたマジピンクが……
ピンク「その剣があればいいの?」
ブレイド「ああ。 そうか!! 魔法で直せるのか!?」
ピンク「う~ん。 そういうの担当は魁ちゃんなの」
「ゴメンネ」と言うマジピンク。
物を直したりする練成術を使えるのはマジレッド。
マジピンクが使えるのは変身魔法である。
その時、マジピンクの脳裏に名案―――というよりも迷案が浮かんだ。
ピンク「要は、その剣があればいいんでしょ?」
ブレイド「ああ。 このブレイラウザーとカードがあればな」
ピンク「なら、芳香ちゃんにお任せ♪」
何やら怪しい笑みを浮かべるマジピンク。
マジスティックを構えて―――
ピンク「変わりま~す♪ マ~ジ・マジ~ロ」
――ポン♪
煙と共にマジピンクの姿が変わっていく。
ピンク「芳香ちゃんブレイラウザ~」
まるで某未来の青狸の様な口調のマジピンク。
その姿は色はピンク色だが、外見は立派なブレイラウザーだ。
ピンク「さぁ、私を使って」
ブレイド「あ……ああ……」
マジピンクの変身に呆けながらも宙を浮くブレイラウザーを手に取るブレイド。
ピンク「やん♪ そんな所を触らないで♪」
ブレイド「ご、ゴメン!!」
ただ柄を持っているだけのブレイドがマジピンクの言葉に焦った。
ピンク「冗談だよ。 ……………でも私、お嫁さんに行けないかも」
ブレイド「…………………」
マジピンクの後半の呟きを全力で無視する事に決めたブレイド。
折れた方のブレイラウザーのカードトレイから3枚のカードを引いて芳香ちゃんブレイラウザーにラウズした。
――〝THUNDER〟
ピンク「いやん♪」
ブレイド(平常心……平常心……)
ラウズした際に漏らしたマジピンクの言葉を無視しながらラウズを続ける。
――〝KICK〟
――〝MACH〟
3枚のコンボ技『ライトニングソニック』が発動とした、その時だった―――
ピンク「これもオマケよ」
ブレイド「え?」
突然にマジピンクが喋ると、芳香ちゃんブレイラウザーのカードトレイから1枚のカードが宙を浮いて、
そのまま芳香ちゃんブレイラウザーにラウズされた。
――〝FAIRY〟
カードは『FAIRY』―――意味は『妖精』だった。
そして、4枚のカードからなるコンボが完成した。
――〝Lightning Bomber〟
ブレイド「え?」
コンボ完成の機会音声に疑問になるブレイド。
なんだよ『ライトニングボンバー』って―――と考えるよりも先に芳香ちゃんブレイラウザーが変身した。
『大砲』に。
ブレイド「ちょっと待て!! これって―――」
正にブレイドの思うとおり『人間大砲』だった。
しかも普通に入り方でなく、頭の方から入っている為に更に危険度が高かった。
マジピンク「標準良し!! 感度良好!! いっけぇぇぇぇぇ!!」
――どっかぁぁぁぁぁん!!
足の方から打ち出されたブレイドが稲妻を纏った飛び蹴りを闇のエル目掛けて放った―――と言うか放たされた!!
闇のエル「ふん!!」
『ブルースプラッシュ』と『GX-05 ケルベロス』の猛攻を弾いた闇のエルが剣を横に構えた。
またしても剣の腹で受け止めようとしているのだ。
だが先程の『ライトニングソニック』とは違った。
先程はノーマルだったが、今は『ジャックフォーム』になり威力は上がり、
更に『芳香ちゃん大砲』によりパワーアップした『ライトニングボンバー』なのだ!!
闇のエル「ぬぉぉぉぉぉ!!」
ブレイド「ウェ━━━━━━(0w0)━━━━━━ィ!!!!!」
――パッキィィィィィン!!
先程の『ライトニングスラッシュ』の際のダメージが残っていたのか、『敬虔のカンダ』が折れた!!
そのまま闇のエルの胸部に直撃が入った!!
闇のエル「うぉぉぉぉぉ!!」
吹っ飛ばされて地に伏せる闇のエル。
十分なダメージを受けたが『敬虔のカンダ』で威力が落ちていた為に決定打にならなかったのだ。
だが、まだ戦士達の猛攻は終わっていなかった。
響鬼「これで終りだ」
その場に待ち構えていた響鬼紅が『音撃鼓・爆裂火炎鼓』を闇のエルに取り付けた!!
響鬼「〝音撃打!! 爆裂強打の型!!〟」
――ドドン!! ドドン!! ドン!!
烈火を勢い良く爆裂火炎鼓に叩き付けた!!
闇のエル「う……うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
――どっかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!
再びライダー達によって地獄に遅れ返された闇のエルだった。
続く。