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時空を超えた友情 最終章 第46話 エヴァ珍道中 投稿者:TAKUMA 投稿日:04/09-04:31 No.165





-時空空間 トラベリオン 運転席



 恥ずかしい蝙蝠の姿から元の姿に戻ったエヴァはスモーキーを連れてトラベリオンに乗り込んだ。

 乗り込むと直ぐにスモーキーがトラベリオンに火を入れて蒸気を溜めだした。



エヴァ「ほぅ……これがトラベリオンの中か」



 テレビで見ていた物とそっくりな造りについつい手を触れるエヴァ。



スモーキー「ああっ、姐さん!! 勝手に触らニャいで下さいよ。 意外とデリケートなんですから」



 スモーキーの注意に「すまん」と簡単に手を引っ込めるエヴァ。

 こんな所で下手に弄くって余計な時間を取る訳には行かないのだ。

 ―――と言っても興味が薄れた訳ではなかった。

 ちなみにスモーキーが『姐さん』と呼ぶのは……ご愛嬌である。

 ―――て言うか、無意識だろう。



スモーキー「姐さん。 罐に石炭をつぎ込んで下さいニャ」



 そう言ってスコップと罐を指差すスモーキー。

 車内をマジマジと見ていたエヴァは雑用にムカッと来たが、

 考えてみれば運転する彼が手を離せない以上、誰かが石炭を焼べなければならない。

 仕方なしとスコップを手に取り石炭を焼べるエヴァ。

 これも良い経験になるだろう……………いや、マジで。



エヴァ(思ってみれば……凄い事なんだな……コレって)



スモーキー「あ゛」



 エヴァが珍しく素直に石炭を焼べていると運転していたスモーキーが変な声を出した。

 手を止めたエヴァがジト目でスモーキーを見る。

 その異形なプレッシャーに震えるスモーキー。



スモーキー「震えているだと…… この俺がニャ? このプレッシャーは只者では『――ガンッ』うぐっ!!」



エヴァ「余計な事は良いから本題を喋れ」



 持っていたスコップでスモーキーの頭を殴ったエヴァが冷たく言い放った。

 実は行き先を探し出す『魔法コンパス』を家に置きっ放しにして来たと言うのだ。

 魁を追って『ネギま』の世界に来た時は魁とバリキオンの魔法跡を辿って来た為に必要無かったのだ。

 だが、今回は魔法跡も無く『響鬼』の世界を探す為に『魔法コンパス』が必要なのだ。



エヴァ「そう言う事は……………初めに言わんかぁぁぁぁぁ!!」



 ――ちゅどぉぉぉぉぉん!!



 エヴァの魔法が運転室で炸裂したのだった。













-小津家 魔法部屋



深雪「なるほど……そんな事が起こっていたんですね」



 そう言って軽く息を吐く深雪。

 エヴァを迎えてお茶の席。

 深雪達に現在の状況を説明し終えた所だった。

 その緊張が一気に解けた。



スフィンクス「それで貴女方は『アームドセイバー』たる物を取りに来たのですね」



 スフィンクスの言葉に頷くエヴァ。

 そんな時、奥の部屋から『魔法コンパス』を探していたスモーキーが戻ってきた。



スモーキー「あったあった。 コレニャ」



 そう言ってテーブルの上に置く。

 それは中国の羅針盤をモチーフにした物だった。



エヴァ「こんな物で大丈夫なのか?」



 持って来た羅針盤を疑いの目で見るエヴァ。

 すると深雪が軽く被っていた埃を落とした。



深雪「見た目はレトロですけど、十分に使えますよ」



エヴァ「そ、そうですか。 なら早く行くぞ!!」



 前半は深雪に後半はスモーキーに向けての言葉。

 笑顔で母性を感じさせる深雪の笑みに少しタジタジのエヴァだった。

 ―――とその時、彼女の視線が止まった。

 その先にあるのは……ナイとメアが持っている書物だった。



エヴァ「コレか……魁達が言っていたのは」



 積まれていた本を手に取りパラパラと捲るエヴァ。

 其処には彼女を始め、主人公のネギやアスナ等の事まで書いてあった。

 更に自分の半裸の絵等、恥ずかしい絵まで載っている。



エヴァ「……聞いてはいたが、ココまでとはな」



 見ていて怒りたくなったが、書いてある事が事実なので怒るに怒れなかった。

 その時、ナイとメアがエヴァに話しかける。



ナイ「ね~ね~」



エヴァ「何だ?」



メア「サイン頂戴」



エヴァ「…………………………」



 ナイとメアのサイン要求に黙るエヴァ。

 この人達、こんな性格だったか……?

 そんな事が彼女の脳裏を過ぎったのだった。













 兎に角、何処からか持って来た色紙に『エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル』と殴り書きしている最中に話は本題に戻った。



スフィンクス「私達も同行してもいいでしょうか?」



 そのスフィンクスの突然の申し出によって……



エヴァ「ど、同行と言うと?」



 スフィンクスの言葉を聞き返すエヴァ。



スフィンクス「我々の世界の影響は、おそらく貴女方の世界の出来事が原因。 インフェルシアの危機を救う為に我々も連れて行って欲しいのです」



エヴァ「―――と言われてもだなぁ……」



 意外なスフィンクスの熱血発言に口篭るエヴァ。

 スフィンクスは性格上、ルールや規則に厳しい委員長タイプなのだ。

 その為に折角のチャンスがあるのに指を咥えて見ている筈が無かった。



スフィンクス「私はコレでもインフェルシアの神。 戦力としては十分だと思いますが?」



 その言葉にエヴァも考え込んだ。

 確かに冥府神の力は魅力的で、その強さも実際にテレビで見ている。

 (―――と言っても冥府神が登場したばかりの回なのだが)

 今も戦力補強の為に来ているのだ、更に戦力が多くなれば、この上ない事だ。



エヴァ「分かった。 力を貸して欲しい」



 そう言ってスフィンクスの申し出を受けるエヴァ。

 ―――とその時、スフィンクスの言葉を聞いていたナイとメアが、



ナイ「スフィンクス様~? 私『達』って……」



メア「もしかして……私達も含まれます?」



スフィンクス「勿論です」



 有無言わさずにナイとメアの参加も決定した。

 ―――となれば……



深雪「旅行用の鞄は何処に仕舞ったかしら」



 そんな事を言いながら部屋を出ようとする主婦1名。



エヴァ「もしかして……貴女も良く気なのか?」



 恐る恐るエヴァが深雪に聞いた。



深雪「ええ。 流石に留守番は飽きましたし」



 そう言って部屋を出て行く深雪。

 おそらくは着替え等といった準備をしているのだろう。



ナイ「ねえねえ、オヤツ何もって行く?」



メア「色紙足りるかな~」



 笑顔で荷物を何処からか取り出したリュックに詰め込むナイとメア。

 その後ろでエヴァがTVとのギャップに呆れていたのは言うまでもない。



スフィンクス「貴女達!!」



ナイ・メア「「はいっ!?」」



 流石に遊び半分の2人にお局様(笑)の雷が落ちるかと思いきや……



スフィンクス「オヤツはバナナを含まない300円まで、色紙は私の分も用意して下さい」



 ――ズルッ!!



 淡々と語るスフィンクスの言葉に盛大にコケるエヴァ。

 そんなエヴァを見てクイッと眼鏡を上げたスフィンクスが一言。



スフィンクス「コレ位の余裕が無ければ、インフェルシアなんて導けませんよ」



 冥獣や冥獣人だらけのインフェルシアでの活動……独り身の彼女には辛いのだろう。(笑)

 顔も優れずに、ずっと無表情で……



スフィンクス「余計なお世話です」



 スミマセン……………

 ―――とそんな事をしていると、ドアから深雪が入ってきた。



深雪「お待たせしました」



 入ってきた彼女の横には旅行鞄が2ケースも……



エヴァ「それを持っていくのか?」



 恐る恐ると聞くエヴァに頷く深雪。

 溜め息を吐くエヴァが、取り合えず着替えは向こうで用意出来るからと荷物を減らさせた。

 そんな訳で、いざ出発という時に何処からか声が彼女達を止めた。



マンドラ坊や「ま、待って下さい!!」



 一同の視線がその鉢植えに集まった。

 今の今まで恐ろしい豪華メンバーに固まっていたマンドラ坊やが遂に口を開いた。



マンドラ坊や「わ、私はどうなるでごさいますか!?」



 涙目に叫ぶマンドラ坊やに一同が顔を見合わせ、



一同『留守番』



マンドラ坊や「はい~~~~~!?」



 余りにも綺麗な同調に某メソウサの様に落ち込むマンドラ坊や。

 ―――とその時、エヴァが何かを思い付いたかの様に言った。



エヴァ「そうだ。 少しばかり待ってくれないか?」



 その言葉に一同が足を止め、エヴァを見る。



スフィンクス「どうしたのです?」



 代表してスフィンクスがエヴァに尋ねると……………













エヴァ「この原作者を殴って来て良いか?」



 ―――と手に持っている『ネギま』の単行本を指差す。



一同『駄目です』



 またしても綺麗な同調ツッコミだった。

 「殺して来て良いか?」と言わない分、彼女も成長していたのだった。









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-Side ???



 荒野を走る1台の巨大なマシン―――ゴーゴートレーラーの姿があった。

 その運転席ではリーダーの明石暁が運転していた。



女『ふ~ やっと終わったね~』



 スピーカーから聞えてくる女の声。

 新人のボウケンイエローこと間宮菜月である。



男『次の宝は絶対に俺が1番で取ってやる』



 次に聞えてきたのは男の声、菜月と同じボウケンブラックの伊能真墨である。



男『お前達、少しは緊張感は無いのか?』



女『そうです。 敵がプレシャスを狙って襲ってこないとは言い切れません』



 更に聞えて来た男がボウケンブルーこと最上蒼太。

 そして最後の女がサブリーダーのボウケンピンクの西堀さくらである。



さくら『リーダーからも何か言って下さい』



暁「別に良いじゃないか。 敵が襲って来たら、それも冒険さ」



 暁がそう言うとスピーカーの向こうから溜め息が聞える。

 どうやら暁の言葉に呆れた様だ。

 この5人が『サージェス財団』に所属する『轟轟戦隊ボウケンジャー』の5人である。

 現在はあるプレシャスを回収を終えて帰還の最中である。

 彼らが言っている敵とはプレシャスで世界支配を企む盗賊組織の『ネガティブシンジゲート』の事である。



菜月『早く帰ってシャワー浴びたいな』



蒼太『全く同感だな。 これからデートだってのに』



真墨『何? お前、そんなの居るのか?』



さくら『皆さん、真面目にして下さい。 まだ任務中なんですよ!!』



 自分の髪の埃を気にする菜月に冗談を言う蒼太。

 そんな蒼太をからかう真墨に委員長の性格にさくら。

 そんな4人の声を聞いた暁は、



暁(面白い部下達だ)



 内心で部下達を笑う暁。

 ―――とその時、軽く地面が揺れた。

 最近になって頻繁に起こる地震である。



蒼太『そう言えば、最近の天気とか変だよな』



 地震で思い出した蒼太が呟いた。



蒼太『突然の雷雨は兎も角、異常な積雪、地震の数、終いには時期外れの台風まで発生だ』



菜月『雪は楽しかったよ。 雪ダルマ作ったし。 ね~真墨』



真墨『菜月……頼むから黙ってろ』



 真墨から注意されて黙る菜月。

 その間にさくらが話を戻した。



さくら『まさか、プレシャスの影響とか?』



暁「それは無い。 ミスターボイスの調べでは唯の異常気象だそうだ」



菜月『それにしても酷すぎないですか? 地震に雷、火事……オヤジまで出てきたら最悪だよ~』



一同「『『『それは無い』』』」



 菜月のボケに一同の同調ツッコミが入った次の瞬間―――









 ――ドシィィィィィン!!









 突然にゴーゴートレーラーに衝撃が走った。

 揺れる車内に暁達は衝撃に耐えていた。

 衝撃の反動が終わると画面を見る一同。



暁「一体、何だ? 敵の攻撃か?」



 ―――と暁が声を出した時だった。









 ――ポッポォォォォォ!!









 辺り一面に聞えて来たのは汽笛の音。



菜月『み、皆!! アレを見て!!』



 スピーカーから聞える菜月の声が尋常じゃないと思い、真正面を見ると……



 其処には巨大な機関車が止まっていた。



真墨『な、何だ……アレ?』



 機関車の大きさに声を漏らす真墨。



さくら『さっきのはおそらく、あの機関車がぶつかった衝撃ですね』



蒼太『敵か? それともプレシャスか?』



暁「いや……敵か如何かは分からない。 あんな兵器を持つネガティブは知らない」



 さくらと蒼太の声に暁が思い出しながら答える。

 取り合えずは相手の出方次第だろうと思った暁だった。













-荒野 トラベリオン 運転席



スモーキー「しまった!! ぶつけちまった!!」



 一方の機関車―――トラベリオンの運転席ではスモーキーが頭を抱えていた。

 事の次第は数分前まで遡る。

 時空空間を走行中、運転席の後ろで『ネギま』を読んでいたエヴァが、

 ナギとの事を書かれた場面で突然に暴れたのだ。

 俗に言う『照れ隠し』という物である。

 更に悪い事にナイとメアが冗談半分でからかったりしたので、エヴァがキレて魔法を放ったのだ。

 その中の1発がトラベリオンを運転していたスモーキーの頭に当たったのだ。

 後は予想できる様にトラベレオンが脱線(?)して目的とは別の世界に飛び込んでしまったのだ。



スモーキー「どうします?」



 そう言って振り返るスモーキー。



深雪「どうしましょう。 異世界で保険って効くのかしら?」



 ――ガクッ



 深雪の真剣な言葉にコケる一同。

 ―――ってかトラベリオンに保険って掛かってたんディスカ?



スモーキー「そんな事言ってニャいで、逃げるんですかい?」



スフィンクス「それでは『当て逃げ』になってしまいます」



 スモーキーの『逃げる』発言を否定したのはルールに厳しいスフィンクスだった。



エヴァ「だが、此処で時間を喰っている場合では無いぞ」



スフィンクス「それはそうですが……」



 今一乗りに乗れないスフィンクス。

 だが、次の深雪の一言で場は一転した。



深雪「どうせ此処は別世界なので逃げても問題無いでしょう」



スフィンクス「そうですね」



 深雪のこじ付けな言葉にアッサリと納得するスフィンクス。

 ―――となればやる事は1つだった。



スモーキー「そうと決まれば、ズラかるニャ!!」













-荒野 ゴーゴーダンプ 運転席



真墨『あ、逃げた!!』



 画面からトラベリオンが方向転換して逃げる所が見えた。



暁「面白い。 俺達ボウケンジャーに当て逃げするとな」



さくら『どうします? リーダー?』



 さくらの声を聞くまでも無く、暁は決めていた。



暁「これよりボウケンジャーは謎の機関車を捕獲する。 依存は無いな?」



一同『『『『了解』』』』



 部下達の返事を聞くと、右の二の腕の冒険携帯『アクセルラー』を構える。



一同「『『『『ボウケンジャー、スタートアップ!!』』』』」



 アクセルラーの変身ボタンを押し、可動音が鳴り響く中、右腕でゴーゴータービンを勢い良く回す5人。

 すると激しい変身音と共に5人の身体がボウケンジャーへと変わっていく。



レッド「よし。 ミッションスタートだ」



 そう言って思いっきりアクセルを踏みトラベリオンの後を追うのだった。













-荒野 トラベリオン 運転席



ナイ「げっ!? 着いて来てる!!」



メイ「ヤバイよ、ヤバイよ!!」



 車窓から後方を確認したナイが叫び、メアは某リアクション芸人の真似をした。



深雪「スモーキー、時空空間に逃げ込めませんか?」



スモーキー「わ、分かったニャ!!」



 深雪の言葉にスモーキーが時空空間に入る準備をするが……



 ――ドシィィィィン!!



 激しく車内を揺らす衝撃が走った。

 どうやら後ろの方でゴーゴートレーラーが体当たりをしている様だ。

 このままでは時空空間に入る事が出来ないとスモーキーが言うと……



スフィンクス「私が巨大化して蹴散らしましょうか?」



一同『辞めて下さい』



 物騒な事を言うスフィンクスに一同が綺麗にツッコミを入れた。

 彼女はこれでもインフェルシアの神である。

 そんな彼女が暴れれば異世界であろうとタダでは済まない。



エヴァ「こうなったら私が出る!!」



スモーキー「え? 姐さんが!? 大丈夫ですかい!?」



エヴァ「私を誰だと思ってるんだ?」



 「フフン」と胸を張る自慢気なエヴァが「誰もが恐れる『闇の福音』エヴァンジェリンだぞ」と言う前に……



ナイ「ナギ・スプリングフィールドにコテンパンに負けたネギとニンニクが駄目な吸血鬼」



メア「その息子、ネギ・スプリングフィールドにも負けた花粉症持ちの吸血鬼」



エヴァ「…………………………」



 ナイとメアの二重攻撃に固まるエヴァ。

 怒りたいが事実は事実。

 この怒りを何処にぶつければいいだろうか?

 そう考えた矢先―――後ろの奴らにぶつけちゃえ♪



エヴァ「ウガーーーーー!!」



 考えたら即行動。

 車窓から天井に上り呪文の詠唱を始めるエヴァを見て、



スフィンクス「貴女達……………グッジョブです」



 ナイとメアにサムズアップするスフィンクス。

 それにナイとメアもサムズアップで返すのだった。

 封印が解けた状態のエヴァ……ボウケンジャー、ご愁傷様です。













-荒野



ブラック『何だ? アリャ』



イエロー『子供?』



 トラベリオンの車上にエヴァの姿を捉えたボウケンブラックとボウケンイエローが呟いた。

 その言葉に他のメンバーもカメラを拡大しエヴァを確認した。



ブルー『何で、あんな所に子供が居るんだ?』



 驚いた声でエヴァを指差すボウケンブルー。



ピンク『リーダー、どうしますか?』



 兎に角、冷静なボウケンピンクはリーダーの指示を待つ。



レッド『あの少女が何者かは分からんが、人質の可能性がある。 全員、ゴーゴービークルに分離するぞ』



一同『『『『了解』』』』



 ゴーゴーダンプとゴーゴーフォーミュラのジョイントを外し、それぞれのビークルがトラベリオンを包囲し始めた。

 足の速いゴーゴーフォーミュラが直ぐにトラベリオンを追い抜いて頭を取り、上空のゴーゴージャイロが目標をロックする。

 後ろから追いかけるゴーゴーダンプ、ゴーゴードーザー、ゴーゴーマリン。

 完全に包囲した所でボウケンレッドがマイクを片手にスピーカーが声を上げる。



レッド『こちらは轟轟戦隊ボウケンジャー!! そこの巨大機関車、直ぐに止まれ!!』



 ボウケンレッドの警告に何も反応しないトラベリオン。

 未だに逃げる為に走り続けている。



レッド『仕方ない……全員、攻撃開始!!』



 ボウケンレッドからの攻撃許可が下りると同時にゴーゴージャイロからバルカンが発射された!!



 ――ズダダダダダ



 同じく頭を走っていたゴーゴーフォーミュラも車体フロントが開き、ミサイルポッドが姿を出した。

 そのまま反転しバックで走りながらミサイルを発射する!!



 ――バシュバシュバシュバシュバシュ



 ――ちゅどどどどどぉぉぉん!!



 バルカンとミサイルがトラベリオンの周囲を爆発を起こし、スピードを下げる。

 其処にゴーゴーダンプがバックで接近し、荷台のアームでトラベリオンを捕獲しようとするが―――



エヴァ「〝魔法の射手 連弾・氷の30矢!!〟」



 ――バシュバシュバシュバシュバシュ!!



 エヴァの掌から放たれた凄まじい『魔法の射手』が接近するゴーゴーダンプを攻撃する。

 図体がデカイので殆どの『魔法の射手』が直撃し、その車体を凍らせていく。



レッド『何だ!? 凍っていく!?』



 直ぐにトラベリオンから離れ、車体をドリフトして氷を振り払った。

 エヴァの攻撃はまだ続き、ゴーゴーフォーミュラ、ゴーゴージャイロと攻撃を止めさせた。



ブルー『おいおい。 あの子供がやっているのかよ』



ブラック『う~寒い……』



 空中でギリギリ当たらなかったボウケンブルーは驚き、

 直撃でコックピット付近が凍ったブルーは震えていた。



レッド『どうやら只者じゃない様だな…… 全車、轟轟合体だ!!』



一同『『『『了解!!』』』』



 ボウケンレッドの指示に各ビークルが横に並ぶ。

 全員がアクセルラーの『合体ボタン』を押す。



機械音声『合体シフトオン!!』



 起動音が鳴り響く中、アクセルラーの『1』『2』『3』『4』『5』と順番に押して行く。



機械音声『ダンプ、フォーミュラ、ジャイロ、ドーザー、マリン!!』



 最後にゴーゴータービンを勢い良く回す!!



機械音声『ボウケンフォーメーション!!』



 機械音声が鳴り響き、ゴーゴーダンプに変形したゴーゴードーザーとゴーゴーマリンが合体する。

 起き上がるゴーゴーダンプの背中をゴーゴーフォーミュラが駆け上がり、胴体部分と顔が完成。

 更に上空からゴーゴージャイロがヘッドパーツを分離して背中と頭に合体!!



レッド『ダイボウケン!!』



一同『『『『『『合体完了!!』』』』』



レッド『ファーストギア、イン!!』



 操作パネル―――ボウケンドライバーのギアを入れてダイボウケンを可動させる。

 その様子を見ていたスモーキー達は……



スモーキー「げげっ、合体しやがったニャ!!」



スフィンクス「やはり私が行くべきでしたか?」



深雪「任せて見ましょう……彼女に……」



 全てをエヴァに託す深雪だった。

 一方、全てを託されたダイボウケンを見上げていた。



エヴァ「ほぅ……こいつ等も魁達と同じ様な物か……なら遠慮は要らんな!!」



 更に火を付けいていた。

 そんな大変な事になっているとは知らないダイボウケンはゴービッカーを構えていた。

 ゴービッカーは所謂、大きなツルハシの様な武器である。



レッド『行くぞ!! ゴービッカー!!』



 大地にゴービッカーを突き刺すダイボウケン。



 ――ドガガガガガ!!



 すると地面を伝って衝撃波がトラベリオンに向かって放たれる!!

 揺れる大地にトラベリオン周辺の大地が滅茶苦茶になった。

 これでは直ぐにトラベリオンを動かせる状態では無い。



レッド『更にゴースコッパー!!』



 ゴービッカーの代わりにゴースコッパーを構えるダイボウケン。

 ゴースコッパーはその名の通り、大きなスコップの様な武器である。

 大地にゴースコッパーを突き刺して、その形その物の使い方で地面を掘り、

 トラベリオンに向けて土をぶっ掛けて埋めていく。



ブルー『やったか?』



 埋まったトラベリオンを見て呟くボウケンブルー。

 しばらくの間、沈黙の時間が続いて……



レッド『どうやら、やったみたいだ……』



 ボウケンレッドが勝利宣言し様とした時だった―――



エヴァ「〝氷爆!!〟」



 突然に埋めた土が氷の結晶となり砕けた!!

 驚くボウケンジャーの面々。

 ボウケンジャーが土を掛けたお陰で滅茶苦茶だった地面は元通りになりトラベリオンが走り出す。

 宙に浮き、凄い目付きでダイボウケンを睨む土だらけのエヴァを残して……



エヴァ「貴様ら……容赦せんぞ……」



 完全にイッちゃっている事を知らないダイボウケン。



レッド『こうなったら、轟轟剣だ!!』



 ゴービッカーとゴースコッパーほ合体させ『轟轟剣』を作り上げる。

 しかし、それよりも早くエヴァの呪文が完成した!!



エヴァ「契約に従い我に従え氷の女王! 来れ! とこしえのやみ!! 〝えいえんのひょうが!!〟」



 ――ギシィィィィィン!!



 エヴァの最大の呪文『えいえんのひょうが』が炸裂した!!

 問答無用にダイボウケンを氷付けにする。



ブラック『な、何だぁ!?』



イエロー『寒いよ~』



ブルー『嘘だろ……』



ピンク『リーダー!?』



レッド『うろたえるな!! ダイボウケン、全力前回!!』



 突然の氷付けにパニックになるボウケンジャーの部下達。

 だが、ボウケンレッドはギアを入れてダイボウケンの各ジョイントのポンプを動かし、氷を壊そうとしていた。

 しかし、彼は知らない……エヴァの呪文がまだ終わってない事に!!



エヴァ「全ての命ある者に等しき死を! 其は、安らぎ也! 砕けろ!! 〝おわるせかい!!〟」



 ――パチン



 エヴァが振り返り指を鳴らす。

 すると巨大な氷塊にヒビが入り始め……









 ――パキャァァァァァァァァァァン!!









 盛大に砕ける巨大な氷塊。



ボウケンジャー『『『『『うわぁぁぁぁぁ!!』』』』』



 強制分解されたゴーゴービークル。

 そして、強制排出されたボウケンジャーの5人。

 完全にボウケンジャーの敗北だった。



エヴァ「ふん。 壊されなかっただけマシと思え」



 そう捨て台詞を吐いたエヴァが一転してトラベリオンに飛んでいった。









 後にエヴァはボウケンジャー達に『氷のロリっ娘』と名付けられたが、エヴァは知らないのだった……









 続く。

時空を超えた友情 / 時空を超えた友情 最終章 第47話 異世界横断ハチャメチャ大迷惑列車横断

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