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時空を超えた友情 最終章 第48話 天の道を往き、総てを司る男 投稿者:TAKUMA 投稿日:04/09-04:34 No.167





-時空空間 トラベリオン 運転席



 その出来事が起こったのは『なのは』の世界に突入する直前の事だった。

 運転室内の空気が響いたのはスモーキーの第一声だった。



スモーキー「あ゛」



 そのスモーキーの変な声に聞き覚えのあるエヴァは直ぐに反応した。

 PS2ゲーム『魔法先生ネギま! 2時間目 戦う乙女たち!麻帆良大運動会SP!』で遊んでいていた一同の視線がスモーキーに向いた。

 ……………完全にトラベリオンが遊び部屋になっている事はスルーして頂きたい。



 ――ドカッ



スモーキー「はぅ!!」



 取り合えず問答無用にエヴァがスモーキーを蹴り倒した。



スモーキー「だ、旦那にも蹴られた事ニャいのに!!」



エヴァ「黙れ、馬鹿猫」



 そう言って、もう1発お見舞いするエヴァ。

 殴られた額を押さえるスモーキーにスフィンクスが尋ねた。



スフィンクス「それで今度は何のトラブルですか」



スモーキー「いや……ずっと走りっぱなしだったから……ガス欠ニャ」



 スモーキーの言葉に「そんな馬鹿な」と石炭置き場を見ると石炭が無くなっていた。

 まずは『マジレン』から『ネギま』の往復分に、『マジレン』から『ボウケン』→『マックス』→『SEED DESTINY』と通過している。

 しかもそれぞれの通る際に必ずトラブルが起きて余計にエネルギーを消費しているのだ。



スモーキー「恐らく、次の世界でガス欠で止まるニャ」



 そう言うスモーキーの言葉に一同の視線が前方に集まる。

 迫りつつある『世界』は勿論の事、目的地の『響鬼』ではなかった。



エヴァ「ええい!! どうすればいいんだ!!」



 行き場の無い怒りに怒鳴るエヴァ。

 前々回、前回に引き続きのトラブルでストレスが溜まっている。



深雪「要は次の世界でエネルギーとなる『魔力』を調達すれば良いのですね」



スフィンクス「あ、そうですね……タダの『石炭』では駄目なのですね」



 深雪の言葉に納得するスフィンクス。

 トラベリオンはあくまでも『魔法特急』である。

 その為に原動力は『魔力』なのだ。



深雪「問題なのは次の世界に『魔法』や『魔力』があるか……ですね」



 深雪の言葉に意味が分からないナイとメアが『?マーク』を浮かべた。

 全ての世界に『魔法』が有る訳では無いのだ。

 現に仮面ライダー達の世界には『魔法』という物が存在していない。

 その為に今から向かう世界が『当たり』か『ハズレ』か大きく左右される。

 例え『ハズレ』でもエヴァと深雪の魔力を注ぎ込めば大丈夫なのだが大きなタイムロスになる。

 更に『当たり』でも問題はあった。

 それは……『魔力』の収集源である。

 いくら『魔法』や『魔力』が存在する世界でも、トラベリオンを動かす莫大な魔力が簡単に手に入る筈が無かった。



エヴァ「まどろっこしいな。 『デストラクション・ファイヤー』でお前達を吸い込めば良いじゃないのか?」



ナイ「ち、ちょっと~ ソレは横暴だよエヴァちゃん!!」



メア「横暴、横暴!!」



 エヴァの名案(?)に抗議を訴えるナイとメア。

 『デストラクション・ファイヤー』とは『魔法鉄神トラベリオン』の必殺技で、

 『リモートライナー』で身動き取れない敵を罐に吸い込んで体内で爆発させて燃料にしてしまう技である。

 これならナイとメアを吸い込めば十分に補給になるのだ。



スフィンクス「ま、それは最終手段で考えて置きましょう」



ナイ「そんな~」



メア「鬼~」



 冷たいスフィンクスの切捨て発言に喰い付くナイとメアを無視してトラベリオンは未知の世界に飛び込むのであった。









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-Side NANOHA 海上 トラベリオン 運転室



 ――バシャァァァァァン



 『時空の壁』を超えた先に待っていたのは広い海だった。

 なんとか海上に着陸するトラベリオン。

 その衝撃に耐えながらも現状況を確認するスモーキーの魔力検知能力が早速働いた!!



スモーキー「凄まじい魔力を感じるニャ!!」



 その魔力はエヴァや深雪達も感じ取れた。

 その元を辿る先に見えるのは大きな合成獣の様な生物と、その周囲に漂う少女達の姿。

 しかもその場に居る殆どの者から魔力を感じる。

 どうやら、この世界は『当たり』と確信した一同。



エヴァ「どうだ? この魔力は使えるのか?」



 エヴァの問いに備え付けの魔力レーダーを操作していたスモーキーが、



スモーキー「十分ニャ。 それで……どっちから奪うのニャ?」



 その言葉にエヴァは再度、魔力の根源を見た。

 片方は莫大な魔力を持つ少女達、方や少女達よりも莫大な魔力の合成獣。

 どっちから取ると聞けば一目瞭然である。



エヴァ「決まっている。 ……………両方だ!!」



一同『えーーーーー!?』



 エヴァの久々の悪人の笑みで言った言葉に一同が揃えて不満の声を上げた。



ナイ「何言ってるの? この悪魔っ娘」



メア「冥府神様達並の鬼だ……」



 元インフェルシア幹部のナイとメアにまで言われる始末。

 流石に横暴過ぎたかと少し反省するエヴァ。



スフィンクス「見た所、あの魔獣はこの世界に悪影響を与える強大な『負の魔力』を感じます」



深雪「それなら丁度良いわ。 あの魔獣からので十分でしょう?」



 『防御プログラム』を見て見解を出したスフィンクスの言葉に深雪が賛同する。

 スモーキーもその案に賛成し、ナイとメアも自分達が犠牲にならなければ問題無いと言い張った。

 それを聞いたエヴァが恥ずかしそうに軽く咳払いをして誤魔化した。



スモーキー「―――てな訳で姐さん。 ボコボコにしちゃって下さいニャ!!」



エヴァ「任せろ!! アーハッハッハッハッハッ!!」



 そう言って車窓から飛び出すエヴァ。

 いくら『デストラクション・ファイヤー』でも致命傷を与えないと吸えないのだ。



スフィンクス「仕方有りませんね。 私も行きましょう」



 そう言って飛び出すスフィンクス。

 そして残った深雪とスモーキーにナイとメアは……



深雪「今回は私もでましょう」



スモーキー「Σ(0w0;)ウェ!?  マジッスか!?」



ナイ「うそ~」



メア「マジ~?」



 深雪の出陣宣言に驚くスモーキー達。



深雪「私も暫く身体を動かしてなかったので、運動がてらにね」



 そう言ってマージフォンを取り出す深雪。



深雪「天空聖者よ、我に魔法の力を!! 魔法変身、マージ・マジ・マジーロ!!」



 ――〝マージ・マジ・マジーロ〟



 白い魔法陣によって深雪の姿が『マジマザー』へと変わっていく。



スモーキー「本当に行くんですかニャ?」



 スカイホーキーを取り出すマジマザーに再度確認するスモーキー。



マザー「……………誰かがストッパーにならなければならないでしょう?」



スモーキー「行ってらっしゃいませ!!」



 マジマザーの言葉に速攻で土下座するスモーキー。

 前科2犯の彼女達を放っておく訳にはいかないのだ。

 そう言う訳でトラベリオンの車窓から飛び出るマジマザー。

 最終的に残ったスモーキー達は……



スモーキー「さて、魔法変形の準備でもするかニャ」



ナイ「わ~い。 私に運転させて~」



メア「ズルイ~ 私も私も~」



 完全に信用されていないエヴァ達。

 それは、この世界で『魔法戦隊マジレンジャー』が放映されている事を知らない所為か、

 もしくはトラブルが起きる事を前提に完全に諦めているかの2つだった。













 対比として2:8で後者である事は秘密である。













-海上



 時はトラベリオンが現れた直後まで少し遡る。

 なのは達の言葉に呆然となるクロノとザフィーラの2人。

 だがアルフとユーノだけはなのは達と生活したいた為か少しは知っていた様である。

 クロノは殆ど調べ物か本部に行ってたので知らなかったのだ。



クロノ「なのは達はアレを知っているのか?」



 遥か遠くのトラベリオンを一瞥しながら質問するクロノ。



なのは「知ってるも何も、有名だよ!!」



 いくら彼女達が大人ぶったって、まだ小学3年生である。

 年齢的もギリギリと範囲内の彼女の日曜の朝は早い。

 その為に『かいけつゾロリ』から『スーパーヒーロータイム』、『ふたりはプリキュア』と見るのが習慣になっていた。

 それは、なのはだけに言えた事でなく、なのは達に影響されて見出したフェイトも同様だった。

 彼女にとって早起きは苦ではない上に面白いので見続けている。

 はやてもなのは同様に見ていた性質で最初に影響されたのは意外にもシグナムだった。

 主にリビングで寝ている事の多い彼女の日曜の朝はTVの音で起こされる。

 初めのうちは子供番組だと言い張っていたのだが、戦っている戦士達を見て熱くなり……終いにはハマった。

 次に元より早起きのシャマル、そしてベットにはやてが居ない事わ気付いたヴィータの順でハマった。

 ちなみにザフィーラは体力を温存する為に深い眠りに入る為に気付かなかったという……

 ま、大人の彼から見れば気付いても興味が無いのだが。



クロノ「その……『魔法戦隊マジレンジャー』のロボットだと言うのか? アレが……」



 一通り説明を受けたクロノが信じられない目でトラベリオンを見ている。

 なのは達がほぼ同時に滅茶苦茶言ってたのを1発で理解したのは流石は管理局の執務官である。

 同じく聞いていたザフィーラは途中からそっぽを向いて受け流していた。



リンディ『それが本当なら心強い味方じゃないの?』



クロノ「て、提督―――!!」



 緊張感の無い声にクロノが非難の声を上げる。

 その後ろではなのは達が騒いでいる。



なのは「―――って事はマジシャインさんが来ているって事だよね」



フェイト「握手貰えるかな……?」



 目を輝かせるなのはに自分の手をゴシゴシと拭いて顔を紅くするフェイト。



はやて「ウチは魔導書にサインでも貰おうかな~」



 ――〝やめて下さい。 マイスターはやて……〟



 恐ろしい事を言うはやてにリインフォースが非難の声を上げている。



ヴィータ「あたしは別に……………その……嬉くなんか……ゴニョゴニョ」



シャマル「あらあら。 ヴィータちゃんたら顔が赤いわよ」



ヴィータ「し、シャマル!!」



 そっぽを向くヴィータだったがシャマルに指摘されて更に赤くなった。

 その視線はチラチラとトラベリオンに向いていたのは言うまでも無い。



シグナム「…………………………」



 一方、シグナムはジッとトラベリオンを見ている。



シグナム(もしかしたら……『あの人』と手合わせできるのか?)



 シグナムの言う『あの人』とは、彼女がハマった原因『ウルザード』の事である。

 時期的にクリスマスの現在はマジレンジャーもクライマックスに入っている時である。

 よって、もしかしたら……と思ったのだ。



ユーノ「―――てか皆……プログラムの事を忘れてない?」



アルフ「完全にそっちのけね……」



ザフィーラ「うむ……」



 ユーノの言葉に呆れ言葉のアルフとザフィーラ。

 ―――とその時、トラベリオンから飛来する小さな光が2つ輝いた。



なのは「あ、もしかしてマジレンジャー!?」



 ワクワクドキドキとその物体を見る一同。

 だが、次第に近づく物体が人物だと確認できた時だった―――



なのは・フェイト・はやて・ヴィータ「「「「あーーーーー!!」」」」



 大声を上げたのは、なのはを始めフェイト、はやて、ヴィータの4人だった。

 その大声を聞いたクロノは「喜んでいたのでは?」と疑問に思っている。

 更に彼女達は大声を上げた上に各々の武器を構える―――飛来する物体に向けて。

 それは意外にもシグナムやシャマルも同様だった。



クロノ「ど、どうした? 味方じゃないのか?」



 なのは達の豹変に慌てながらも止めに入るクロノ。

 今は余計な事をしている場合ではないのだ。



なのは「あの人達、悪い人達だよ!!」



クロノ「何!? そうなのか?」



 なのはの言葉にクロノがフェイト達に聞くと、フェイト達も同様に頷いた。



フェイト「あの人……確か冥府神とか言う人だった」



はやて「そや。 後ろに居るのは冥府神のスフィンクスや!!」



ヴィータ「もう1人は知らねーが、とにかく最悪な敵だぜ」



 フェイト、はやて、ヴィータの言葉を聞いたクロノが厄介になったと額に手を当てた。

 無理も無い、この中で『週間少年マガジン』を読む人は1人も居ないのだ。

 精々小学3年生の少女が読むといったら『りぼん』や『なかよし』『ちゃお』とかが限界である。

 誰かが『マガジン』の『ネギま!』を読んでいたら状況は変わったのかも知れないが……



アルフ「―――で、クロノどうすんの? なのは達は既に戦闘モードだし」



 戦闘状態のなのは達とは違いプログラムの方を向いているアルフ。



クロノ「分かってる。 仕方ない……『デュランダル』の凍結魔法でプログラムを押さえ込んで時間稼ぎする」



ユーノ「だ、大丈夫なの? そんなんで……」



 カードから戻した氷結の杖『デュランダル』を機動させるクロノにユーノが話しかけた。



クロノ「分からない……けど、同時に両方を倒すのは無理だ。 アルフ、ユーノ、ザフィーラ、手を貸してくれ」



アルフ「分かったよ」



ユーノ「うん」



ザフィーラ「心得た」



 デュランダルを構えるクロノの後ろで3人が各々の魔法陣を展開する。



クロノ「いくぞ……デュランダル」



 ――〝OK, Boss〟



 クロノの問い掛けに淡々と答えるデュランダルだった。













 同じく、なのは達も各々の攻撃を開始していた。



なのは「〝アクセルシューター!!〟 シュート!!」



 ――〝All right Accel Shooter〟



フェイト「〝プラズマランサー〟 ファイヤ!!」



 ――〝Plasma Lancer, Fire〟



はやて「〝ブラッディダガー!!〟 いけぇ!!」



 ――〝Blutiger Dolch〟



 ――バシュバシュバシュバシュバシュ!!



 光の弾と稲妻の槍と赤い刃の雨をエヴァ達に向けて放った!!



エヴァ「―――ッ!? 〝氷盾!!〟」



 飛んできた攻撃に咄嗟に防御魔法を展開して防ぐエヴァ。

 封印が解けた彼女の力なら3人の攻撃もギリギリに防ぎきれた。



エヴァ「ちぃ、いきなり攻撃されるとはな……」



スフィンクス「どうしますか?」



 追いついたスフィンクスが横に並んだ。

 今までも攻撃は受けて来たが、今回は相手が相手である。



エヴァ「……………どうも、殺る気がしないな」



 流石に女・子供が相手だと鈍るエヴァ。

 それは改心したスフィンクスも同様だった。



 ――〝Schlangeform〟



シグナム「はぁぁぁぁぁ!!」



 そう言っている間にも駆け寄ったシグナムのデバイス『レヴァンティン』の連結刃『トュランゲフォルム』の攻撃が2人の間を通っていった!!

 そのまま刃は2人の後ろで転回して再び2人を襲い掛かる。



スフィンクス「仕方有りませんね…… 掛かって来ると言うのなら―――」



 ――ガギィィィィィン!!



 手持ちの杖でレヴァンティンの攻撃を弾くスフィンクス。



エヴァ「反撃だ!! 〝魔法の射手 氷の50矢!!〟」



 ――バシュバシュバシュバシュバシュ



 全力のエヴァがなのは達に向けて『魔法の射手』の雨を放つ。

 突然の攻撃に舌打ちをするシグナムだが、なのは達の実力は知っている為にそれ程心配はしてなかった。



なのは「レイジングハート!!」



 ――〝Wide Area Protection〟



シャマル「クラールヴィント!!」



 ――〝Ja. Protection〟



 なのはとシャマルの2人掛かりの防御魔法にて『魔法の射手』を防ぎきった。



フェイト「今の……魔法?」



ヴィータ「あいつ等、魔法使いの敵じゃなかったのかよ!!」



 エヴァの攻撃を魔法と判断したフェイトとヴィータが驚愕の声を上げた。

 その言葉は聴力の良いエヴァの耳にも聞えていた。



エヴァ(魔法使いの敵だと……………まさか―――)



 『ボウケンジャー』や『SEED DESTINY』の世界と違って冷静なエヴァの脳裏に1つの可能性が過ぎった。

 そうとも知らないなのは達は……



なのは「こうなったら、『スターライトブレイカー』で一気に決めないと―――」



フェイト「なのは、カードリッジが足りなくなる……」



はやて「フェイトちゃんの言う通りや。 この後に防御プログラムの残ってんで?」



なのは「でも……このままじゃ……」



 現在のカードリッジは6発入りのマガジンが2つだけである。

 『スターライトブレイカー』1発だけで決まれば問題無いのだが、確実に勝てる可能性は無かった。

 どうする―――と一同が頭を捻った時だった。









マザー「両方とも刃を収めなさい!!」









 一陣の白い風が両陣の間に割り込んだ。

 その正体は一足遅くトラベリオンを飛び出たマジマザーだった。



なのは「あ、あの人―――」



フェイト「マジレンジャーのお母さん……」



はやて「ほんまや」



 マジマザーの登場に各々の武器を下げる3人。

 出番の少なかったマジマザーも結構覚えられているものである。



マザー「貴女方にお聞きします。 貴女方の世界で『魔法戦隊マジレンジャー』という番組が放映されてませんか?」



 どうやらマジマザーもエヴァ同様に気付いた様である。



なのは「は、はい……」



 おずおずと同様しながらも答えるなのはにフェイト達も頷いた。

 それを確認したマジマザーは視線をエヴァとスフィンクスに向けてアイコンタクトを取った。

 2人も納得したのか各々の武器を下げる。

 どういう事なのか訳の分からないなのは達。

 1番オツムの弱いヴィータに至っては軽くショートしていた。



マザー「良く聞いて下さい。 私達は『マジレンジャー』の世界―――つまり異世界から来たんです」



一同『なんだってーーーーー!!』



 マジマザーの発言に驚きの声を上げるなのは達。

 アースラのリンディ達も驚いている。

 そんな彼女達を尻目にマジマザーが用件を淡々と説明していく。

 今現在、全世界を通じての危機で『アームドセイバー』を取りに行く途中で魔力が少なくなり補給したいと―――

 その説明を聞いたなのは達は円陣を組んで会議を始めた。



なのは「ねえねえ、『アームドセイバー』って確か『仮面ライダー響鬼』のだよね?」



フェイト「うん……そうだった」



 なのはの言葉に頷くフェイト。



はやて「じゃ、あの人らの言う事はほんまなん?」



シグナム「分かりません……ですが……」



 はやての言葉にシグナムが何か言いたげに言葉を止めた。

 「何なん?」とはやてがシグナムの顔を覗き込むと、代わりに答えたのはシャマルだった。



シャマル「これは未確認情報ですが、ここ最近の異常気象は謎のマイナスエネルギーの影響だと……」



エイミィ『その事は管理局でも調査対象で確認されている事だよ』



なのは「じゃ……あの人達の言っている事は本当なの?」



 シャマルとエイミィの言葉になのはの視線がエヴァ達に向けられた。



エヴァ「だから言っているだろう!! 私達は魔力の補給に立ち寄ったんだと」



 イライラ気味のエヴァが怒鳴り、気迫に押されて「ごめんなさい」と何故か謝るなのはとフェイト。

 そんなエヴァを宥めるスフィンクスが何かを見て口を開いた。



スフィンクス「何やら……言い争いしている場合じゃない様ですね」



 スフィンクスの言葉に一同が彼女の視線の先―――防御プログラムに集中した時だった―――









魔獣『グォォォォォォォォォォ!!』



 ――バチバチバチバチバチ!!









クロノ・ユーノ「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」



アルフ「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」



ザフィーラ「ぬぉぉぁぁぁぁぁぉぉぉ!!」



 防御プログラム―――この際、魔獣と呼ぶに相応しいだろう。

 デュランダルで凍結した魔獣に突如、黒い雷が落ちて周囲のクロノ達も黒い雷の直撃を受けたのだ!!

 激しいダメージに気を失った4人が海に落下し始める。



シャマル「いけない!! クラールヴィント!!」



 ――〝Ja〟



 シャマルの声に答えたクラールヴィントが風で4人を浮かし自分達の方に誘導する。

 気絶している彼らの身体を診るシャマルが、



シャマル「駄目。 内部がズタズタにやられてる」



 軽く診断したシャマルの結果に重くなる一同。

 どうやら一命は取り留めてる所が不幸中の幸いだ。



はやて「シャマルは4人を安全な所に連れて行って、出来るだけの治療を」



フェイト「それなら……アースラに―――」



シャマル「分かりました」



 はやての命令を受けたシャマルが4人を連れてフェイトの言う通りに転移魔法でアースラに飛んだ。

 その間にも黒い雷に包まれた魔獣が身体を変化させていた。



なのは「何なの……あの黒いの」



スフィンクス「恐らく強大なマイナスエネルギーでしょう。 それがあの怪物に力を与えてます」



 なのはの言葉に答えるスフィンクス。

 彼女の言う通り、その魔獣は余計な部分を体内に取り込んで凝縮し小さくなり、

 4本足から2本足へと変え、その背中には大きな1対の黒いの様な触手を生やし、

 顔は獣の顔から、まるで2本の角を生やした悪魔の顔……

 その姿を見て1番に驚いたのはスフィンクスとマジマザーだった。



スフィンクス「あ、あれは……」



マザー「絶対神……ン・マ……………」



一同『―――――ッ!?』



 そのマジマザーの言葉に一同の言葉が消えた。

 絶対神『ン・マ』……それはマジレンジャーの世界で最強にして最悪の敵。

 インフェルシアの『総てを司る』恐怖の絶対神なのだ。

 今は2m少し大きい位だが、その身体から発する『恐怖』が離れている自分達にも襲い掛かる。



シグナム「高町なのは、テスタロッサ、主はやて……大丈夫か?」



 少しずつ震えている3人にシグナムが声を掛ける。

 そんな彼女も心の中では感じ取れる恐怖で一杯だった。

 だが、目の前の少女達を不安にさせまいと堪えている。

 ―――とその時、ン・マがコッチを向いた。

 その大きな口を広げ……口内に黒い弾が集結している。



シグナム「―――ッ!? レヴァンティン!!」



 ――〝Explosion. Panzerschild〟



ン・マ『ヴォォォォォォォォォォ!!』



 ――バシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!



 逸早くン・マの行動を予測したシグナムがカードリッジを使用してシールドを展開する!!



 ――バヂィィィィィ!!



 激しい閃光を発して、ぶつかり合う黒い砲撃と赤いシールド。

 だが、シグナムの方が簡単に押され始めている。



ヴィータ「グラーフアイゼン!!」



 ――〝Panzerhindernis〟



エヴァ「〝氷盾!!〟」



 直ぐに動いたのはショートしててン・マの事を聞きそびれたヴィータと戦歴の長いエヴァだった。

 2人の防御魔法が更に加わり押されていた勢いも弱まるが、少しずつ押されている。



なのは「レイジングハート!!」



 ――〝Yes, Wide Area Protection〟



フェイト「バルデッシュ!!」



 ――〝Defensor Plus〟



 なのはとフェイトのシールドが更に加わって漸く砲撃が相殺された。

 相手が1人なのに対して5人掛かりで漸く互角の力に驚く一同。

 だが、スフィンクスだけは違った。



スフィンクス「おかしいですね……」



 その様子を見ていたスフィンクスは苦虫を噛み潰した様な顔をしている。



スフィンクス「もし、アレが絶対神ン・マなら、この程度で相殺できる訳がありません……」



 いくら5人の魔導師ランクがAAA並に高くても、相手は絶対神……神にも等しき力を持っているのだ。

 現に伝説の天空聖者の力を得たマジレンジャーでも敵わなかった。

 それがこうも簡単に相殺させられたのだ、力が足りないのか、まだ未覚醒状態なのか……



エヴァ「どっちにしても叩くなら今―――って事だな」



 そう言うエヴァだが、ン・マは興味を無くしたのが飛び去っていく。

 その先にあるのは―――なのは達の住んでいる鳴海市だった。



マザー「いけない!! もし、ン・マが未覚醒で力不足なら―――」



スフィンクス「―――ッ!? 街を食べる気です!!」



一同『―――――ッ!?』



 マジマザーとスフィンクスの言葉に驚愕の一同。



ヴィータ「駄目だ、駄目だ、駄目だ!! あそこにははやての家が―――!!」



 駄々っ子の様に反対するヴィータ。



なのは「そうだよ!! 絶対に止めなきゃ!!」



フェイト「……………止めます」



 なのはとフェイトもデバイスを握る手に力が入る。



シグナム「だが……コチラも戦力が足らな……」



はやて「大丈夫や。 故人の格言曰く『絶対、大丈夫だよ』や」



一同『いや……ソレは故人じゃないし、格言でも無いって』



 シグナムの言葉を遮ったはやてのボケに一同が同時に突っ込んだ。

 しかし、そのお陰で場の空気も和んだ。



なのは「なら……行くよ、皆!! えっと―――」



 エヴァ達の方を見て言葉を詰まらすなのは。



エヴァ「エヴァンジェリン・A・K・マクダウィル。 エヴァでいい」



スフィンクス「私の名は冥府神三賢神の1人、スフィンクスです」



 素直に自己紹介する2人になのは達も名前を言うのを忘れていた事に気付いた。



なのは「あ、高町なのはです」



フェイト「フェイト・テスタロッサ……」



はやて「八神はやてや。 よろしゅうな」



シグナム「守護騎士ヴォルケンリッター剣の騎士、シグナム」



ヴィータ「同じく鉄槌の騎士、ヴィータだ」



 お互いに自己紹介を終えた一同がン・マを目指して飛びだった!!













-鳴海市 市街地



 一方、市街地に逸早く到着したン・マが次々と建物を飲み込んで己の糧にしていた。

 その様子を上空で見ていたなのは達が攻撃を開始する!!



なのは「〝ディバインバスター・エクステンション!!〟」



 ――〝Divine Buster Extension〟



 ――バシュゥゥゥゥゥ!!



 レイジングハートの先端の3つの光点が集中して物凄い光の砲弾を放つ。



エヴァ「〝魔法の射手 氷の50矢!!〟」



 ――バシュバシュバシュバシュバシュ!!



スフィンクス「〝魔法の砲弾 氷の20弾!!〟」



 ――ドンドンドンドンドン!!



 更にエヴァの氷の矢とスフィンクスの氷の弾丸が加わり、ン・マに襲い掛かる!!



 ――ドォォォォォン!!



 避けもせず直撃のン・マは軽く凍っているが無傷に近かった。

 だが、その隙に後ろにヴィータがスタンバっていた。



 ――〝Explosion. Raketenform〟



 カードリッジをロードしたグラーフアイゼンが変形して片方がスパイク、もう片方がロケットの形状になった。



ヴィータ「〝ラケーテンハンマー!!〟」



 ロケットエンジンで加速させ、回転しながらン・マに向けてスパイクの方を打ち込んだ!!



 ――ズガガガガガ!!



 片手で『ラケーテンハンマー』を受け止めるン・マ。

 だが、この程度は想定の範囲内の出来事だった。



 ――〝Explosion〟



シグナム「〝紫電一閃!!〟 てぇぇぇぇぇい!!」



 何時の間にか懐に入っていたシグナムの炎に包まれ剣がン・マの腹部を捕らえた!!

 だが、ン・マの空いている手で受け止めるが気迫で押しているシグナム。

 その隙に背後に金色の髪の少女が現れた。



フェイト「疾風迅雷!!」



 ――〝Sprite Zamber〟



 ――ザクゥゥゥゥゥ!!



 隙の出来たン・マの腹部を一閃!!

 一同が「やった!!」と喜ぶ中、フェイトは苦虫を噛み潰した様な顔でザンバーを持っている。

 その先端は……………ン・マの腹部で受け止められていた!!



一同『―――――ッ!?』



ン・マ「ヌォォォォォ!!」



 ――ゴゴゴゴゴ!!



フェイト・シグナム・ヴィータ「「「うわぁぁぁぁぁ!!」」」



 ン・マの咆哮と共に発せられた衝撃波に吹っ飛ぶ3人。

 なのは達が駆け寄ろうとするよりも速く近くに倒れているフェイトの前に立つン・マ。

 その背中の羽の触手が伸びて先端が倒れているフェイトを狙っていた。

 動けないフェイトに間に合わないなのは達―――完全に絶対絶命だった。













 だが、『美少女』のピンチには『ヒーロー』が現れるのが『お約束』だった。













 ――ブロロロロロ……ヴォォォォォン!!



 突然に走ってきた赤と銀の2台のバイク。

 その内の銀のバイクが前輪で触手を払い除け、もう片方の赤いバイクがン・マを跳ね飛ばした。

 そのまま走りドリフトで止まる2台に一同の視線が集まる。



ン・マ「何者ダ……………」



 あまりのパワーに跳ね飛ばされたン・マが問い掛けた。

 すると赤いバイクに乗っていた青年がヘルメットを取り、バイクから降りた青年が天に向けて指を指した。



天道「天の道を往き、総てを司る男…… オレの名は天道総司」



青年「何を馬鹿な事を言っているんだ」



 銀のバイクに乗っていた青年がヘルメットを取って降りた。



天道「お婆ちゃんが言っていた…… 例え相手が敵でも挨拶は大事だと」



青年「分かった、分かった…… さっさと行くぞ」



 天道のペースに呆れモードの青年が携帯を取り出す青年。









 そのまま携帯に『5』『5』『5』『ENTER』の順で押す青年。



 ――〝Standing by〟



 機械音声が鳴り響く中、携帯を折り畳んだ青年が携帯を天に掲げる。



青年「変身!!」



 発声と共に巻いていたベルトのバックル部分に携帯―――ファイズフォンを叩き込んだ。



 ――〝Complete〟



 赤い閃光―――フォトンストリームが青年―――乾巧の身体を包み込んだ。









 一方の天道も何処からか飛んで来た『カブトゼクター』を掴んだ。



天道「変身」



 同じくカブトゼクターを右手に持った天道がベルトのバックル部分にセットする。



 ――〝HENSHIN〟



 同じくカブトゼクターから発する機械音声と共に天道の身体を装甲が包み込む。









 文字通り『変身』した2人を呆然と見詰める一同。

 そう……彼らこそ『美少女』を助ける為に現れた『ヒーロー』









 その名は……









フェイト「……………仮面ライダー……………?」



 静まる空気の中、1番近くに居たフェイトの呟きが、その場に響いたのだった。









 続く。

時空を超えた友情 / 時空を超えた友情 最終章 第49話 タッグ結成なの

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