時空を超えた友情 最終章 第52話 南の戦い 中編 投稿者:TAKUMA 投稿日:04/27-00:28 No.398
-Side NANOHA アースラ ミーティングルーム
スフィンクス「それは不可能に近いと思います」
スフィンクスの言葉が部屋内に静かに響いた。
そんな中、なのはが恐る恐る手を上げる。
なのは「あ、あの……本当に駄目なんですか?」
スフィンクス「確かに私は冥府神一の頭脳を持ってますが……この世界の魔法構造まで知りません」
その言葉を聞いてなのはとヴィータ、そしてライダー達を除いた人達は理解出来た。
いくらスフィンクスが凄い知識を持っていても、それは『異世界』―――別世界の知識。
『マジレンジャー』と『リリカルなのは』では魔法構造自体で違うのでスフィンクスでも出来かねないと言うのだ。
その説明を受けたヴィータは、
ヴィータ「なら、この世界の魔法構造を覚えればいいじゃないか!!」
その言葉に答えたは真剣な表情をしたリンディだった。
リンディ「時間があれば出来る話だけど、今は時間が無いわ。 ましてや古代のベルカ式なんて、最低でも2週間以上掛かるわ」
リンディの言葉に「そっか」と落ち込むヴィータ。
そんな彼女を見たリインフォースが静かに口を開いた。
リインフォース「皆さん、色々と有難う御座います。 もう十分です。 コレが私の運命だと受け止めます……」
俯いて喋る彼女の顔は誰にも見えなかった。
いや、見なくても哀しい表情だという事は分かってる。
だが、スフィンクスの話はまだ終っていなかった。
スフィンクス「早合点し過ぎです。 私は『不可能に近い』と言っただけで『不可能』とは言ってません」
その言葉に一同の視線がスフィンクスに集まった。
リインフォースも顔を上げて彼女の方を見る。
その瞳には薄っすらと涙が見えている。
スフィンクス「要は彼女の『人格』が残れば問題無いんですよね?」
その言葉に一同が頷く。
スフィンクス「なら、問題ありません。 彼女の『人格』―――魂を『移植』させます」
一同『―――――ッ!?』
スフィンクスの言葉に一同が驚愕の表情を見せた。
回復が早かったリンディが直ぐに聞き返した。
リンディ「そんな事ができるんですか?」
スフィンクス「たとえプログラムの人格でも『魂』と言っても同然。 私の研究していた法術を使えば問題ないでしょう」
ナイ「スフィンクス様の研究って……」
メア「もしかして、『ン・マ様転生法』ですか?」
ナイとメアの言葉に部屋中の者達が固まった。
特に深雪は信じられないと言いたげに彼女を見ている。
すると一同の気持ちを察したのかスフィンクスが弁解の言葉を言い始める。
スフィンクス「研究していたと言っても和解前の話です。 今では必要無いですが」
和解前―――絶対神ン・マ転生を夢見ていた彼女達は、『神罰執行』という儀式でン・マを転生させようとしていた。
だが、その『神罰執行』も尽くマジレンジャー達に邪魔され転生どころではなかった。
そこで彼女は『神罰執行』の他の転生方法を探すべく研究をしていのだ。
スフィンクス「その結果、ン・マの様な強大な者は無理でも『魂』を操作する方法を作り出したのです」
なのは「魂を操作?」
フェイト「どういう意味なんですか?」
スフィンクスの説明に今一ピンと来ない、なのはとフェイト。
同じく説明を聞いていたヴィータに至っては頭から煙が吹いていた。
スフィンクス「つまりは『魂』を『転生』もしくは『移植』させる事ができるのです」
リンディ「そんな事が可能なんですか? 管理局の技術でも無理なんですよ」
管理局の面子を賭けてリンディが反論するが、スフィンクスは自信満々に返す。
スフィンクス「可能です。 私は仮にも冥府神の1人。 それに……………」
意味有り気に言葉を止めた。
その彼女が作り出す沈黙に一同が息を飲んだ。
同じく後ろの方で将棋をしている天道と巧の2人も興味を示している。
スフィンクス「この作品の作者に『ウィズダムカノン』を突きつければ容易い事です」
深雪・エヴァ「「そんな危険なネタを言うなーーーーー!!」」
リンディとエイミィがズッコケル中、ツッコミ慣れた深雪とエヴァが叫ぶ。
一方、リアクションしなかったなのは達は……
なのは「へぇ~ そういう方法があるんだ~」
フェイト(そ、それなら……作者をおど……お願いすれば、なのはと―――)
スフィンクスの言葉を関心しているなのはに、怪しい笑みを浮かべて恐ろしい考えをしているフェイトのエース2人。
一方、守護騎士の2人に至っては―――
ヴィータ「その手を使えば、はやての足が簡単に治るかも―――」
シグナム「うむ。 我が魔剣の力も貸すぞ、ヴィータ」
完全に信じ込み、臨戦状態に入っていた。
―――って、2人とも何故にコチラの方を睨んでるんディスカ!?
一方、魔法について無知なライダー達は……
巧「何か……凄く話がズレ始めてる気がするな」
天道「お婆ちゃんが言っていた……世界は自分中心に回ってる。 そう思った方が楽しいと―――王手だ」
巧「ああっ!?」
話そっちのけで将棋を指している巧と天道だった。
どうやらスフィンクスで負けた恨みを巧で晴らしていたのだ。
……………相変わらずの負けず嫌いである。
-アースラ はやての病室
はやて「そか……リインフォースが……」
全てを決めた一同はその足ではやての病室を訪れていた。
夜天の書の主であるはやてに報告する為に。
最初はリインフォースが居なくなる事を聞いた彼女は戸惑っていたが、
スフィンクスの「安心して下さい」という言葉と深雪の説得により納得して貰えた。
残る問題はリインフォースの新しい器なのだが―――
エヴァ「その辺は私に任せておけ。 知り合いに魔法に詳しい(マッドな)科学者が居る」
なのは「何か……今の言葉、何処と無く危険な感じを感じた」
フェイト「私も……」
自信満々のエヴァの言葉に不安を感じたかのはとフェイト。
流石はAAAの魔導師、危険感知能力もバッチリである。
―――ってか一種の詐欺でしょう。
はやて「エヴァちゃん……本当に大丈夫なん?」
エヴァ「だから大じょ……………ぶの筈だ」
はやて「エヴァちゃーーーーーん!?」
堂々と言い切ろうとしたエヴァの言葉が途切れた原因―――
それはドリルやらレーザーやら機械アームやら怪しい実験室に居る2人を思い出したからだ。
完全に不安を隠しきれないはやて。
そんなはやての肩にリインフォースが手を置いた。
リインフォース「主はやて……私はこの方達を信じたいと思います。 そして……主はやてとの再会を約束します」
はやて「リインフォース……」
リインフォース「……………それに他に目的もありますし」
はやて「何か言った? リインフォース」
リインフォース「いえ、なんでもありません」
小声で言ったリインフォースの呟きをはやては良く聞き取れなかった。
もし聞き取れていたら、彼女の視線の先にいる天道の意味が分かっていただろう。
天道「ん?」
こいつも肝心な所では鈍い様である。
なのは「それでね、はやてちゃん」
フェイト「私となのはの2人はこの人達に付いて行こうと思うの」
はやて「えっ!?」
突然のなのはとフェイトの発言に驚くはやて。
実は先程の話し合いの際、世界に危機に時空管理局が指を咥えて見ている訳にはいかないとリンディ達が言い出したのだ。
だが現在の管理局は人手不足で人材が居ない。
そこで嘱託であるフェイトと民間協力者であるなのはが行く事を決意したのだ。
小学3年生の彼女達でもAAAの魔導師、小隊10隊以上の戦力になる筈である。
はやて「そうか……うちも着いて行きたいけど……この足だから」
そう言って動かない自分の脚を見る。
既に呪いは解けたが、長い年月動かしてなかった為に多少のリハリビがいるのだ。
これは魔法でも無理な事なので仕方の無い事なのである。
―――とその時、はやてが何か思いついた様に言った。
はやて「そや♪ シグナム、ヴィータ」
シグナム「何でしょう、主はやて」
側で控えていたシグナムとヴィータがはやての方を向いた。
彼女達には分かってた、はやてが何を言おうとしているのかを―――
そして、自分達その言葉を待っている事を―――
はやて「明日も見てくれるかな!?」
一同『いい○も~―――って何でやねん!!』
はやてのボケに一同が同じツッコミを入れる。
対応仕切れなかったシグナムとヴィータはコケていた。
はやて「あかんで、シグナム、ヴィータ。 この位のボケはツッコまんと」
シグナム「お、お言葉ですが主はやて……其処は私達に行って来いと言う場面では……」
シグナムがヨロヨロと立ち上がりながら言った。
はやて「こういう場面にボケるんが『お約束』なんや」
ヴィータ「そんな『お約束』破いて溝にでも捨てちまえ」
思いっきり打ったのか、お尻を擦っているヴィータ。
その後ろでは天道が「只者じゃないな」という目付きではやてを見ており、
更に後ろでは巧が「こんな連中と共に行くのか」と余計に不安を覚えていた。
はやて「うちの答えは分かってるやろ? 思う存分暴れてき」
シグナム「はい。 主はやて」
ヴィータ「やったー!! また暴れられる~」
はやて「あ、それと2人ともなのはちゃん達の言う事をちゃんと守ってな」
はやてが根っからの戦闘狂の2人に釘を刺しておく。
これには2人とも大人しく承諾した。
なのは「よろしくね、ヴィータちゃん」
ヴィータ「ふん。 ま、よろしくしてやるよ」
一瞬そっぽ向こうとしたが、はやての眼光に気付き態度を変えてなのはと握手する。
一方、フェイトとシグナムは……
シグナム「お前との決着はまだ先になりそうだな、テスタロッサ」
フェイト「はい。 これが片付いたら何回でも勝負しましょう、シグナム」
ヴィータ達同様に握手するシグナムとフェイト。
和気藹々な4人を尻目にリンディは深雪になのは達の事を宜しく頼みますと頭を下げていた。
エヴァ「やれやれ、やっとコレで響鬼の世界に行けるな……」
スフィンクス「ですが、十分な戦力補充じゃないですか?」
エヴァ「……………そうだな」
そんな彼女達を見ていたエヴァが呟きに天道達を見ているスフィンクスが答えた。
超高速戦闘の仮面ライダーカブト、仮面ライダーファイズ。
ランクAAAの魔導師、高町なのは、フェイト・テスタロッサ。
守護騎士ヴォルケンリッターのシグナム、ヴィータ。
計6人のトラベリオン乗車が決まったのだった。
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-Side NEGIMA 南の地価闘技場
真名「嶋さん……」
岩陰から身を乗り出して男―――嶋の名前を呟く真名(睦月)。
嶋は全て知っているかにの様に真名の方を向いた。
嶋「久しぶりだね、睦月君」
真名「嶋さん……分かるんですか?」
嶋「僕はカードの中でずっと見ていたからね……中々面白かったよ」
そう言って含み笑いする嶋に真名は呆けている。
一方、その横で忘れられていたイフリートが動き出す。
イフリート「ガァァァァァ!!」
突然に現れた謎の人物に触発されたのか、身体の炎が更に紅く燃え上がり咆哮を上げた。
嶋達も何事かと、そちらの方を見るとイフリートの身体の目が怪しく光る。
『炎の眼光』に睨まれた嶋の身体が燃え上がる。
真名が嶋の名前を叫んで焦るが、嶋は燃えているのにも関わらず立っていた。
嶋「無駄だ。 その程度では不死者――アンデット――である僕は殺せない」
嶋が腕を振るうと竜巻が発生して炎を消し飛ばした。
その様子に驚くイフリートが更に『炎の眼光』で睨むが同じ様に消される。
流石にそのやり取りに飽きたのか嶋が口を開いた。
嶋「少し黙ってて貰おうか。 僕にも時間が無いんでね」
突然に嶋の姿がタランチュラアンデットの姿に変わった。
姿が変わり驚いて動きを止めるイフリートに向けて左腕を向ける。
――バシュゥゥゥゥゥ!!
左腕先より発射された大量の糸の塊がイフリートを絡め取った。
そのままイフリートの身体は壁に叩きつけられ動かくなった。
真名「や、やったのか……」
真名が恐る恐る物陰からイフリートを見てみる。
イフリートは必死に糸を剥ぎ取ろうとするが動けずにもがいている。
だが、動いても身体の炎が更に糸を凝縮させて動きを封じ込めていた。
嶋「僕が出来るのは動きを封じるまでだ。 もう時間が無い」
また元の人間体に戻った嶋がそう言った。
真名「時間が無いって……どういう事なんですか? 嶋さん」
真名の質問に嶋は何も言わずレンゲルを指差す。
すると其処には膝を着いて苦しんでいるレンゲルの姿があった。
真名「真名さん!?」
レンゲルに真名が駆け寄る。
その後ろから嶋も様子を伺いながら説明を始めた。
嶋「僕が外に出た事でカテゴリーAの負の力が強まったんだ」
真名「そうか! 嶋さんはカテゴリーAを抑える為に僕に―――」
真名の言葉に嶋が頷いた。
嶋「だが、龍宮さんの精神は強く思ってたよりもカテゴリーAを使いこなしている」
本来なら直ぐにカテゴリーAの呪縛に囚われ無差別に暴れている筈なのだ。
だが、レンゲル(真名)は上手くカテゴリーAを押さえ込み正気を保っている。
真名「それって……………僕よりも相性が良いって事ですか?」
嶋「そうなるな」
嶋のキッパリとした答えに真名(睦月)がショックを受けた。
そのまま岩隅でいじけて『の』の字を書いている。
嶋「兎に角、今の彼女なら『コレ』が使える筈だ」
そう言って嶋が取り出したのは真名の見覚えのある物だった。
真名「それは……………ラウズアブゾーバー……でも、何でソレが此処に?」
搾り出す様にソレの名前を口にする。
同時に疑問も浮かび上がった。
今現存するアブゾーバーはブレイドとギャレンの2機のみ。
レンゲルのアブゾーバーは完成したと聞かされていなかった。
寧ろレンゲルの場合はカテゴリーAの呪縛が強いので危険なのだが―――
嶋「いや、カードに封印されている間、暇だから作ってみた」
真名「マテマテマテマテマテ!!」
嶋のアッサリと爆弾発言に真名が慌てて止めに入った。
真名「嶋さん……『作った』ってどういう意味ですか?」
嶋「そのまんまの意味だよ。 君は少し勉強した方がいいのでは? 彼女が泣くぞ」
真名「僕の成績は置いといて―――アレって作れるもんなんですか!?」
嶋「前は烏丸所長と共に作ったからね作り方は覚えている。 カードも専門分野だ」
エッヘンと威張る嶋に真名は完全に呆れていた。
真名「―――ってか、カードの中ってそんな設備あるんですか?」
もっともな疑問をぶつけて見ると……嶋は勝ち誇った笑みを浮かべて―――
嶋「約5000坪のオフィスビル並の高さの大豪邸だよ」
真名「んな、馬鹿なーーーーーーーーーー!!」
其処にちゃぶ台が置いてあったら引っ繰り返す勢いでツッコむ真名。
嶋「けっこうな住み心地だぞ。 不死者だから餓死しないし、月1に内装工事の人達が来て設備が変わるから退屈もしない」
来るんだ……内装工事の人達……
真名「それだったら、何で封印されたままで居ないんですか……」
もっともな疑問である。
嶋「やっぱ人を狩るのは本能だからかな? 僕は面倒だから殺らないけど」
真名「……………」
額に指を当てて泣きながら首を振る真名。
完全に敗北感を感じていた。
嶋「そんな事より……レンゲル!! コレを使え!!」
レンゲルが嶋の放ったラウズアブゾーバーをキャッチする。
何とかカテゴリーAの呪縛に打ち勝ったレンゲル(真名)はソレを左腕に装着した。
前に資料(映像)でブレイド達の使用している所を見ていたので装着部分までは分かったが―――
肝心の使い方がさっぱり分かんなかった。
レンゲル「これ……どうすれば良いんだ?」
途方に暮れるレンゲルに駆け寄る真名。
カードデッキから『JACK』と『QUEEN』のカードを抜き取ってレンゲルに使い方を教えた。
その様子を見ていた嶋は「これで大丈夫だな」と呟いた。
2人が嶋の方を見ると嶋の身体は発光してカードへと姿を変えた。
そのままカードは回転しながらレンゲルの手元へと戻っていく。
真名「嶋さん……ありがとうございます」
『KING』のカードに向かって軽く頭を下げる真名。
同じくレンゲルも頭を下げて、大切にアブゾーバーにカードを収納する。
それを見届けた真名が頷いて元居た岩陰へと走っていった。
ゆっくりと立ち上がるレンゲル。
身体を軽く動かすと先程よりも軽く感じる、どうやら身体と精神が馴染み始めた様だ。
「これなら行ける」と確信する反面、一瞬戸惑いが生まれた。
レンゲル(このまま元に戻れなかったらどうしよう……)
余計な事を考えながらアブゾーバーから『JACK』と『QUEEN』のカードを引いた。
まずは『QUEEN』のカードをアブゾーバーに挿入する。
――〝Absorb Queen〟
そして、『JACK』のカードをアブゾーバーでラウズした。
――〝Fusion Jack〟
機械音声と共にレンゲルの身体が眩しい光を発光しだした。
ブレイド達は直ぐに姿が変わったのに対して時間が掛かっている。
失敗したか―――と真名が時間を気にしていた時だった―――
イフリート「ヴォォォォォ!!」
遂にイフリートが糸を引き千切り咆哮を上げた。
その手には遥かに大きな火炎弾。
イフリート「死ねぇぇぇぇぇ!!」
思いっきり火炎弾をレンゲルに向かって投げた。
火炎弾は一直線へと凄まじいスピードで迫り来る。
レンゲルはビクとも動かず火炎弾が炸裂した!!
――ドッゴォォォォォン!!
燃え上がる爆発。
それを見たイフリートが「殺ったか」と笑みを浮かべた次の瞬間―――
真名・イフリート「「―――――ッ!?」」
眩い閃光の中から現れたのは、まるで大きな翼を広げたレンゲルの姿だった。
時は少し遡り、真名(睦月)が懐かしの人と再会する少し前、
威吹鬼とギルスは冥府神トードと対じていた。
トード「僕の相手はお前達なんだな?」
そう言って自慢のハンマーを振り回し構えるトード。
立ち向かうは威吹鬼とギルスだ。
威吹鬼「葦原さん、早めに片付けますよ」
ギルス「分かってる。 向こうが苦戦する前にな―――」
そう言うギルスの視線の先には慣れない身体に苦戦しているレンゲルの姿があった。
一方、雄介―――クウガはサイクロプスを何とかして見ると言ってサイクロプスと対戦している。
威吹鬼とギルスは2人係りで弱そうなトードを真っ先に倒す事にしたのだ。
トード「早めにだと……このトード様の恐ろしさが分かってない様だな」
2人の舐めた意見に怒りを見せる。
威吹鬼「貴方の武器はその毒、それさえ気をつければ何とかなります」
トード「本当にそれだけ……かな!!」
トードの口から出た何かが威吹鬼目掛けて飛んでいく。
突然の事に反応が遅れた威吹鬼だが横のギルスがギルスフィーラーでソレを叩き落した。
威吹鬼「助かりました、芦原さん」
ギルス「気にするな。 それより、何だコレは?」
トードの口から出たソレの正体は長い舌だった。
正体を気付いた時には既にトードの口の中に納まっていた。
トード「次は外さないんだな」
ギルス「気色悪い奴め、切り刻んでやる」
地を蹴るギルスがトードに向かい走り出す。
その後ろから威吹鬼が援護射撃を放つ。
――ズダダダダダ
攻撃の手を止め、烈風の銃弾をハンマーを振り回し叩き落した。
その隙にギルスが背後に回り込み、ギルスクロウを振り翳す。
――ボヨ~ン
だが、ギルスクロウはトードの厚い脂肪に弾き返された。
ギルス「何!?」
トード「そんな攻撃、効かないんだな」
そう言ったトードがハンマーを振り翳しギルスを叩き飛ばした!!
ギルス「グァァァァァ!!」
その怪力で飛ばされたギルスは壁に叩き込まれる。
だが、その攻撃で威吹鬼の方に背中を向ける事になっていた。
威吹鬼「これでも喰らえ!!」
トードが振り向いた時には遅く、『音撃管・烈風』に『音撃鳴・鳴風』をセットしている。
威吹鬼「〝音撃射・疾風一閃!!〟」
――プピィィィィィ……ピィ!!
烈風から放たれた衝撃波がトードに直撃する。
本来なら、この直後爆発する筈なのだが……
トード「ああん、なんかやったんだな?」
ポリポリと腹を掻いて平気そうにしている。
威吹鬼「馬鹿な!! 疾風一閃直撃で無傷なんて―――」
トード「音を司る冥府神トード様に『音』の攻撃なんて効かないんだな!!」
ショックを受ける威吹鬼にトードが更にトドメを刺す。
トード「これは返すんだな!!」
そう言ってトードがハンマーを振るうと『疾風一閃』の衝撃波がそのまんま威吹鬼に襲い掛かってきた。
威吹鬼「うわぁぁぁぁぁ!!」
強烈な自分の必殺技を喰らい吹っ飛ぶ威吹鬼。
その姿を見てトードが高笑いを上げた。
トード「ぶわっははははは!! 僕を馬鹿にした罰なんだな!!」
見栄えは悪くても冥府神の1人……倒すには少々骨が折れると思った威吹鬼とギルスだった。
続く