第3話 沈黙のA 投稿者:TWIN,S 投稿日:04/08-04:00 No.48
カリス、またの名をマンティスアンデッド、1万年前のバトルファイトにおいて容赦ない冷酷な戦法を用い圧倒的な強さで伝説とまで呼ばれた者。
4年前の戦の時、始はカリスの姿と力を使いジョーカーとしての使命を、後に自分が愛する者達を守る為に戦った。
「……カリス…。」
カリスは自分の名を呼んだ始の姿を一目見たが、すぐに目を逸らしアンデッドに立ち向かっていった。
ネギま!剣(ブレイド) 第3話 沈黙のA
サメのアンデッドであるハンマーヘッドアンデッドに向かってカリスは正拳突きを放つ、正拳突きが当たると大振りの一撃そしてその反動を利用して回し蹴りを決めた。
カリスの連続攻撃を受けたハンマーヘッドアンデッドを加勢する為、ラクダのアンデッド、キャメルアンデッドがカリスに立ち向かった。
「…今だ、天音ちゃん、こっちへ。」
カリスがアンデッドと戦っている内に始は天音を連れて駆け出した。
天音を連れて走る始は今の状況を考えていた。
「(何故カリスが、いやアンデッドが人間を庇う…確かにアンデッドの中には人間に友好な者もいた。)」
「(しかし、あのカリスに限ってこんな事は…ま・まさかあいつは……!!)」
「は・始さん、あ・あれを!!」
結論を考え出だそうとした始であったが、天音の声によって遮られる。
天音が声を出しながら指を刺して訴えていた先には、ネギ達が鹿のアンデッド、ディアーアンデッドに襲われようとしていた所だった。
「ラス・テル マ・スキル マギステル」
「魔法の射手(サギタ・マギカ)」
「光の3矢!!(セリエス・ルーキス)」
魔法を放ち必死に応戦するネギ、当たれば威力の有る攻撃もディアーアンデッドの雷に掻き消されてしまう。
「無理だぜ兄貴、あの雷の前じゃ魔法が効かないぜ!!」
「そうです、それにもうこれ以上魔法を打つのも危険です。」
魔法を連続で打った事によりネギの魔力と体力は著しく低下していた。
「こ・この、来るな!!」
ネギ達を庇おうと石を投げる虎太郎だが効く筈もなくディアーアンデッドはゆっくりとその距離を縮めてきた。
「(どうする、ヒューマンアンデッドの状態では……!!)」
その時、過去の戦いの記憶が蘇る、ヒューマンアンデッドと戦っている姿、次にネギが魔法を放つ姿、始の中の何かが閃かせた。
「ひぇ~~~、も・もう駄目だ!!」
歩み寄ってくるディアーアンデッドに絶望するカモであったが、突如ディアーアンデッドの背後が弾け飛んだ。
突然の衝撃に驚きつつディアーアンデッドは背後を向くと、そこには体の周りに幾つもの光を携えた始の姿があった。
「あ・あれは魔法の射手(サギタ・マギカ)」
「し・しかも無詠唱呪文であれだけの数を、あれならば相手より早く当てられるぜ!」
「(さすがに、すぐには全力は出せないか、でもこれなら多少なりとも戦える。)」
始はさらに、魔法の射手の追撃を放ちディアーアンデッドに立ち向かった。
一方、カリスの方は二振りの片刃剣を繋げたような弓、カリスアローを使いハンマーヘッドアンデッドを追い詰めていた、ハンマーヘッドアンデッドは僅かな隙を突き反撃に出ようとしたがカリスアローで防がれてしまった。
逆にカリスはカリスアローの前部に付いているフォース・マズルから高熱のエネルギー矢、フォースアローを放つとアローが命中したハンマーヘッドアンデッドは倒れ、腰に有るアンデッドの印が開いた。
アンデッドの印が開いたのを確認すると右腰より一枚のカードを取り出しハンマーヘッドアンデッドに向かって投げつける、投げたカードはハンマーヘッドアンデッドの胸部に突き刺さると光を放ちハンマーヘッドアンデッドを吸収した。
ハンマーヘッドアンデッドを吸収したカードは再びカリスの下へと戻る、戻ってきたカードには姿は違うがハンマーヘッドアンデッドの絵が描かれていた。
「い・今のは!?」
「やった!! アンデッドを封印したぞ!」
アンデッドが消えた事に困惑する夕映と封印したのを見て喜ぶ虎太郎を尻目に、カリスはベルトのバックルの部分を外しカリスアローに取り付けた。
そして、今手に入れたハンマーヘッドアンデッドのカードをバックルの中心部にスリットした。
「<CHOP>」
甲高い機械音と共に宙にハンマーヘッドアンデッドの絵が浮かぶとカリスの身体に吸収され、同時にカリスは高くジャンプしキャメルアンデッドに向かって鋭い手刀を放った。
ハンマーヘッドアンデッドの力を借りた強力な手刀を喰らったキャメルアンデッドのベルトが開くとカリスは再びカードを放ちキャメルアンデッドを封印した。
始の意外な攻撃を強いられていたディアーアンデッドは2体が封印されたのを見て立場が逆転したのを理解したのか、高台から飛び降りた。
続いて逃げたディアーアンデッドを追いかけるようにカリスも高台から飛び降り姿を消した。
「あの力は…やはりお前なのか……?」
始が呟いた高台は今までの喧騒が嘘の様に静寂に変わっていた。