第6話 錯綜するA 投稿者:TWIN,S 投稿日:04/08-04:02 No.51
仮面ライダー、4年前封印が解かれたアンデッドを再び封印する為に人類基盤史研究所、ボードと呼ばれる組織がジョーカーの能力を再現したライダーシステムを使い戦う戦士。
確認された仮面ライダーは4人、ボードが作ったギャレンとブレイド、アンデッドが作ったレンゲル、そしてカリス。
しかし、今目の前に居るのは仮面ライダーを追い続けた白井虎太郎ですら始めてみるものだった。
倒れていたフロッグアンデッドが起き上がるのを確認した仮面ライダーは右手に持っていた金色の剣で斬りかかる。
先の戦いでダメージを受けていたフロッグアンデッドは反撃出来ず仮面ライダーの猛攻を受ける。
そして仮面ライダーは剣を左手に持ち替えると剣の柄のカードホルダーを展開させた。
ホルダーから1枚のカードを取り出し、剣の横の部分にスリットさせると、カリスと同様の機械音が発せられた。
「<MIGHTY>」
宙に光の壁が出現し仮面ライダーに吸収されると金色の刀身が輝きだした。
仮面ライダーがその輝く刀身でフロッグアンデッドを斬り付けるとフロッグアンデッドは倒れアンデッドの印が開く。
そして仮面ライダーはホルダーから1枚カードを取り出しカリス同様フロッグアンデッドを封印した。
皆が呆然とする中、仮面ライダーは腰のバックルに手をやりカバーを閉じた。
すると、前方に光の壁が出現し仮面ライダーが通過すると鎧と仮面が消え去り一人の男性が姿を現した。
「久し振りだな、虎太郎、始。」
突如現れた男に声を掛けられた虎太郎と始だったが、男の姿を見た虎太郎は興奮気味な声を上げた。
「た・橘さん!」
ネギま!剣(ブレイド) 第6話 錯綜するA
「橘さん、確か医学の研究をするからと言って、違う研究所に行った筈じゃ…。」
「ああ、しかし烏丸所長に呼ばれ、とある理由で一時復帰することになった。」
「ふ・復帰で・でも…い・今のは…?」
虎太郎は橘が変身していた謎の仮面ライダーについて聞こうとしたがそこに始が割って入った。
「橘、此処に来たということは、お前も知っているんだな。」
何の事についてかは話さなかったが橘は始の質問に答えた。
「アンデッドの事か?」
「ああ、何時からだ?」
「半年前だ、烏丸の研究室でとある事件がおきた…そして、さっき言ったとおり俺は烏丸に呼び出された。」
「しかし今日に至るまでアンデッドサーチャーに引っかかる事は無くアンデッドの行方を知る事は出来なかった…。」
始は質問に答えに納得は出来なかったが、今度は橘が始に話し掛けた。
「それよりも、アンデッドサーチャーには多くのアンデッドが確認されていたが……お前がやったのか?」
「いや、俺じゃない…今の俺はジョーカーにはなれないし力も使えない。」
ジョーカーになれないという言葉に橘は反応した。
仮面ライダー以外でアンデッドを封印できるのは、統率者とジョーカーだけである。
「どういうことだ、ジョーカーの力も無しにどうやって封印出来るんだ?」
「封印をしたのは……カリスだ。」
「カリスだと、お前は今ジョーカーの力は…ま・まさか…」
信じがたい顔をしている橘に対して始はカリスの正体を明かした。
「…そうだ、剣崎だ…。」
剣崎の名前を聞いて橘の表情は変わり始に問い詰める。
「あいつは、剣崎は今何処にいるんだ?」
「……わからない…今の俺に剣崎を追う事は出来ない。」
「…そうか、すまない。」
素直に謝る橘であったが落胆の色を隠すことは出来なかった。
「知り合いですか?」
「うん、叔父さんと始さんの友達。」
橘と話している始達に代わって天音が夕映の質問に答えていると突如携帯の着信音が鳴り響いた。
「もしもし、橘です。 はい、システムの具合は良好です。 今、アンデッドを1体封印しました。」
「それと、広瀬が開発した新しいアンデッドサーチャーも何とか起動してるみたいです…。」
電話越しに一通りの報告を終え、電話を切った橘にエヴァは歩み寄る。
「オイ、貴様はアイツ等と何か関わりがある様だな、話を聞かせてもらおうか。」
「誰だ、君は?」
「この学園の秘密を知る者、そして学園を護る者とでも言えば良いかな。」
自分の事を名乗ったエヴァは始に目を向けて話し掛けた。
「そこのお前は坊やと一緒に来たと言う事はある程度は分かるだろうこの学園の秘密を。」
「ああ、なんとなく。 そして君も魔法使い、他の子達もそれに関与する者達か…。」
「そうだ、まあ私は悪い魔法使いだがな…」
新たな魔法使いの遭遇に虎太郎は興奮の声を上げる。
「君も魔法使いなの? こんな小さな子が…やっぱり女の魔法使いは小さい子が多いんだな…」
「それで、呪文はどうやって唱えるの? こうやってピーリカ・ピリ・ララ…とか?」
完全に自分の世界に入っている虎太郎にエヴァの怒りの声が上がった。
「貴様、吸血鬼にして闇の福音とまで呼ばれた私に良い度胸ではないか…それに私は子供ではない少なくとも数百年は生きておるぞ!!」
エヴァの圧倒的な迫力に虎太郎は恐怖を覚えた。
「ひい~、ご・ごめんなさい。 ……でも数百年て始に比べたら若いな……。」
「何だと、オイ貴様は一体幾つだ?」
「……数えた試しは無い…1万年毎の戦いがもう数え切れないほど行われてるからな…。」
「……マスター、桁が違いますね…。」
「うるさい!!」
エヴァ達の問答を聞いていた橘は少し気難しそうな顔をしていた。
「魔法使いに吸血鬼だと…まるで御伽噺だな…。」
「…まあ、とにかくあんな連中が突然現れた理由を貴様は知っている、その事を教えてもらおうか…。」
「橘、その事は俺も聞きたい、何故奴等の封印が解けたのか。」
「それと、彼女達にも話して上げてくれ、奴等はこれからもこの学園に現れる。」
橘は少し考え込んだがやがて…。
「……分かった、これから烏丸所長と広瀬を呼ぶ、そこで全てを話す。 そっちの方も俺が来るまでに何があったのか教えてくれ。」
「良いだろう、此処で話すのは何だからそいつ等と私の家で話そう。」
エヴァの家の位置を教えて貰った橘は、電話で烏丸達を呼ぶと一行もエヴァの家へと向かう。
そして、遠目から橘の事を見ていた明日菜は…。
「ちょ・ちょっと若いけど良いかも……。」
「明日菜、30代に近ければ誰でも良いのか?」
因みにフロッグアンデッドを見て卒倒した楓も刹那と真名に連れられてエヴァの家へと連れられて行った。
ネギ達が住む寮へと続く帰り道、学園都市であるが故この辺りは夜になると静寂が辺りを包み街灯だけが静かに灯っているだけとなる。
この薄暗い道を古菲は歩いていた、普通の生徒ならば一人では気味悪がって歩きたがらない通りも、中国武術研究会の部長である彼女にはどうでも無かった。
「ふぅ、挑戦者達の相手してたら、すっかり遅くなってしまったアルよ。」
「でも、どいつも今一つ手応えが無いアルな。 何処かとても強い奴居ないだろか?」
一人不満を漏らしながらも歩いている古菲の前から、一人の少女が歩いて来た。
この時間に向こう側から人が歩いて来るのも珍しかったが、古菲が更に興味を持ったのは少女の服装であった。
真っ黒なゴシックロリータ調のドレスを纏い、目深に被った帽子で顔を見る事は出来ない、しかも夜なのに日傘を差している少女は前に居る古菲に気づかないのかそのまま彼女の横を通り過ぎようとする。
古菲はそんな彼女の横を通り過ぎたその時、突如背後から殺気を感じ取る。
振り向くと通り掛かった少女が持っていた日傘を古菲目掛け突き刺そうとしてきた。
「!!」
古菲は日傘を捌くと少女を取り押さえようとする。
少女は古菲の動きを察したのか、持っていた日傘を手放し素早く間を取った。
「何処の誰だか分からないアルが、不意打ちとはあんまりアルよ!」
古菲の言葉を無視し少女は間を詰めて蹴りを放つ。
しかし、古菲は鍛えられた動体視力で簡単に蹴りを見切ると素早く少女の懐に飛び込み、少女を後ろから押さえ込んだ。
「そんな服を着て戦おうなんて言うのが間違いアルよ! それにアンタには功夫が足りてないアル!」
「弱い奴相手に戦うこと出来ないネ。 出直してくるよろし!」
古菲は少女に告げると押さえを解いて少女を解放した、しかし少女はまだ戦う意思を無くしてなかった。
解放された少女は再び古菲と間合いを取ると懐から奇妙な機械を取り出し、更に1枚のカードを取り出す。
そして、カードを機械に収め腰に添え機械から出てきたベルトが巻かれると機械から奇妙な音が発せられる。
ベルトから出る音を聞いた少女は左手を顔に当て、右手をバックルに添えると今度は左手をゆっくり下ろし始めた。
「まだやるアルか! こうなったら…。」
彼女の行動に不審を抱きながらも気絶させようと間合いを詰め一撃を繰り出そうとした瞬間、少女は一言呟きバックルのカバーを開いた。
「変身!!」
「<OPEN UP>」
機械音と共に古菲の前方に光の壁が出現し古菲を吹き飛ばした。
吹き飛ばされた古菲はすぐ起き上がり、少女の方を見ると古菲を吹き飛ばした光の壁は少女に近づき、そして通過した。
すると、目の前にいた少女の姿は消え、代わりに深い緑色の鎧を纏った戦士が現れた。
「アイヤ! お前、ネギ坊主と同じ魔法使いアルか?」
古菲の問いに答える事無く戦士は古菲に襲い掛かり、先程の少女とは比べ物にならない威力の蹴りが放たれた。
古菲は何とかガードしたが完全に受けきる事が出来ず、足を摺りながら吹き飛ばされた。
「(な・何て威力アル、さっきとは段違いな強さね!)」
接近して間合いを詰めた古菲は戦士の顔目掛け拳を放つ、しかし戦士は寸での所をかわす。
拳をかわされた古菲は今度は蹴りを放つがこれもかわされ以後、拳や蹴りを連続で放つがどれも戦士には当たらなかった。
古菲が攻撃を繰り返す中、戦士は何もせずに攻撃をかわし続けるだけでやがて体力が尽きた古菲が間合いを取る為に下がった。
「(ど・どうなってるアル、何故拳が当たらないアルか? まるで最初から攻撃するのが分かってるみたいアル!)」
古菲は焦っていた拳のスピードには自身があったのもそうだが、フェイントも仕掛けたのに全てが読まれていたからだ。
今度は静観していた戦士が仕掛けてきた、戦士は3枚の刃が付いた杖を取り出すと古菲目掛けて振り下ろす。
古菲は難なくかわしたが、かわすのを予測していたかの如く古菲を追撃した。
「くっ……!」
戦士からの攻撃をかわした古菲は腹部を押さえた、直撃こそしなかったが衣服が破れそこから薄らと血が滲み出ている。
戦士は更に攻撃を続けた、古菲も必死にかわし直接当たりはしないものの身体の至る所に切り傷が徐々に増えていった。
「(ま・まずいアル。 さっきの女の子とは段違いネ! こうなったら…)」
「(硬気功!)」
圧倒的不利な状況の中、古菲は最後の一撃を放つ為、左腕に気を貯めた、左腕でガードしてその隙を突いて渾身の一撃を放つという作戦だ。
しかし、戦士はそれすらも予測したのか攻撃を止めると右腰からカードを取り出し杖の石突の部分にスリットした。
「<BLIZZARD>」
戦士が杖を翳すと猛吹雪が当たり一帯を襲った、あまりにも予想外な事に何も出来ず古菲は吹雪に飲み込まれてしまう。
勝利を確信していたのか戦士はこれ以上は何もせず立ち尽くしていた。
しかし、古菲は猛吹雪を掻き分けて後方から戦士目掛けて飛び込んできた、視界の悪い吹雪の中を移動して背後に回り込んだのだ。
「(ちとばかり寒かったアルよ)」
「(後ろを狙うのは気が進まないけどこれで決めるね!)」
戦士の背後目掛け古菲の渾身の一撃が放たれた。
しかし、古菲の一撃が決まる前に古菲の腹部に戦士の持っている杖の石突の部分が当たっていた。
「(な・何で、コイツは後ろから狙う事も分かってたアルか?)」
腹部を押さえながら後退りする古菲に対して、戦士は杖の石突の部分にカードをスリットしていた。
「<RUSH>」
宙に現れた光の絵を吸収すると戦士は古菲目掛けて突進してきた、戦いで受けたダメージが大きい古菲にはこれに対応する術が無かった。
古菲と戦士が戦っている通りの街灯の上で何者かが二人の戦いを見ていた、人影は戦士の戦いを見て満足げに微笑んでいた。
「(成果は上々ですね、しかも彼女の特性か新たな能力まで備わったようです。)」
「(訓練は此処まで良いですね、奴と戦う時もこの調子でお願いします……レンゲル…。)」
成果が良かったせいか人影の口元に笑みが浮かんでいた。