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第7話 閉ざされた聖域 投稿者:TWIN,S 投稿日:04/08-04:03 No.52

エヴァの家で合流した烏丸と広瀬を加えた橘達は半年前に起こった出来事を話していた。



「カードとレンゲルバックルが盗まれた!!」



その事件の内容を聞いた虎太郎は驚きの余り声を上げた。





ネギま!剣(ブレイド) 第7話 閉ざされた聖域





虎太郎の声に驚く一同だが烏丸は話を続けた。



「4年前、ジョーカーとハートの2を除く52枚のカードを完全に封印する為に私と広瀬君でボードストーンの研究を始めた。」

「ボードストーン…なんですかそれは?」

「バトルファイトにおいて最後の1人が決まった時、残りのカードは全てボードストーンに封印され1万年後に自動的に解除される、言わば檻みたいな物だ。」

「その通り、私達はチベットで研究用のボードストーンを採取して帰ってきたら、研究室は荒らされ、多くの資料と共に隠していたカードとレンゲルバックルが盗まれていた。」

「ふむ、カードというのはさっき見たアンデッドを封印していた物の事だな、してレンゲルバックルとは何だ?」



バックルの事を知らないエヴァに広瀬が説明する。



「バックルとは仮面ライダーに変身する為に必要な機械のことよ、バックルとカテゴリーAのカードを使う事によって変身できるの。」

「でもカテゴリーAも盗まれてしまっては…あと、レンゲルバックル以外の2つは無事だったの。」

「そういえば、さっき橘さんは見た事の無い仮面ライダーになっていたけどあれは?」

「カードが盗まれた直後、私は広瀬君に新たなアンデッドサーチャーの開発を頼み医学研究をしていた橘君を呼び戻した。」

「そして、橘君と二人でアンデッドの封印が解かれた時に備えて、これの開発に着手した。」



烏丸がアタッシュケースを取り出し、ケースを開けると中には3枚のカードと3つのバックルが入っていた、それを見た虎太郎は驚きの声を上げた。



「れ・レンゲルバックル……しかも3つも…。」

「橘…このカードは…。」

「これは地獄の番犬ケルベロスか、これも…3枚有るな。」



カードの1枚を取り眺めるエヴァだが、烏丸は3つのカードとバックルについて話し始めた。



「そう、天王寺が造った人造アンデッドケルベロスのカードだ、これだけは何故か無事だった。」

「そこで、私達はこのカードを分析し、ケルベロスの強大な力を3枚のカードに分け、融合係数が低い者でも変身が可能な状態にした。」

「元々、融合係数が高くない天王寺が融合する為に作られたアンデッドだ、さっき俺が変身したグレイブはその中の1枚で遂最近完成した物だ。」



新たなバックルの説明を聞いた虎太郎はバックルとカードを持ち興奮気味の声を上げる。



「そ・それじゃあ、これを使えば誰でも仮面ライダーになれるて言うこと?」

「そうだ、従来のシステムみたいに封印したカードを使う事は出来ないが、ケルベロス自身が強い戦闘力を持っている。」

「さっき使ったのはケルベロス自身の物だがそのカード1枚でもアンデッドを撃破する事は可能だ。」



橘の説明を黙って聞いていた一同だが、心境は虎太郎と変わらなかった。

先の戦闘で仮面ライダーの力は強力である事と自分達の力じゃアンデッドに対抗するのは難しいのが分かっていたからだ。



「それでもう2つは誰が使うの、やはり始と睦月?」

「いや、後の2つは完全に完成はしていない、それと睦月は今日本には居ない。」



橘の説明によると元レンゲルの装着者、睦月は戦いの後出席不足で留年してしまったが恋人である望美の援助を受けて次の年に無事卒業。

その後医学研究をしている橘と同じ道を歩む為、橘の薦めで望美と共に橘が卒業したサウスハービー大学に留学した。

因みに望美は睦月に付き合う為に卒業した年はわざと浪人していた。



「それに、睦月にはもう関わらせたくない。 あいつにとって仮面ライダーとしての記憶は嫌な思い出の方が多いからな…。」

「そうだね…そ・それでバックルは後どれ位で完成するの?」

「大体は完成しているが、後の細かい調整が不完全だ。」

「そうだ、私と橘君とでは人員が少ない、それに研究設備が不十分なのでな…。」

「そ・そんな~」



バックルが未完成と知り落胆の声を上げる虎太郎であったが、そこにエヴァが。



「設備と優秀な科学者が居れば良いのか、ならば心当たりがあるぞ。」

「優秀な科学者てまさか彼女達こと?」

「ああ、あの二人なら科学者としては優秀だからな。」

「それにあんなのがまだ居るなんて考えたら悠長に完成など待ってられん…しかし。」

「始と言ったか、貴様は何故此処にアンデッドとやらが来るのを予測できるのだ?」

「そうだよね、始がアンデッドが出現した事を知る事は出来たけど、何処に現れるかは予測出来ないだろうし…。」



二人の質問に対して始は表の方に顔を向ける。



「此処からでは見えないが、この学園にある巨大な樹があるだろう。」

「それって、世界樹のこと?」

「世界樹と言うのか…あれはアンデッドにとって聖域と呼ばれる場所だ。」



始はバトルファイトに於ける世界樹について話し始めた。

バトルファイトが始まると共にアンデッド達は世界樹から発せられる力を便りに移動し、その道中でアンデッド同士の戦いが行われる。

やがて勝ち残った強豪アンデッド達が世界樹の近くでさらに熾烈な戦いを行い、残った2体のアンデッドが世界樹の木の下で最後の戦いが行われた。



「そして、勝ち残った者が地球での繁栄を許された…。」



世界樹の話を聞いていた虎太郎が。



「それが本当ならば何故4年前にアンデッド達は此処に現れなかったの?」

「それなんだが、目覚めた俺達にあの樹から発せられる力を感じ取る事が出来なくなっていた。」

「実際に俺も天音ちゃんに連れられて来るまで此処が聖域だとは思いもしなかった、だから4年前はアンデッド同士を感じ取れる力を頼って戦いは行われていた。」



始の話を聞いていた刹那は一つの推測が思い浮かんだ。



「もしかして、この学園に張られている結界の影響ではないでしょうか?」

「有りうるな、学園に張られた多数の結界が世界樹の力とやらを外部に出せない様にしたのかも知れん。」

「そうか、しかし俺が出会ったアンデッドはこの場所を知っていた…だから奴等は必ず此処に現れる。」

「なるほど、前々から此処は他の地に比べると段違いの魔力を発していたが、まさか地球の覇権を賭ける所だったとは…。」

「そうなると、アンデッドの封印を解いたのは此処が聖域だと知っている者だよね…一体誰が…?」

「…分からない、聖域の事を知っているのは、統率者とアンデッドだけのはずだ…。」

「まあ良い、それともう一つ…剣崎とは何者だ?」



剣崎という言葉を聞くと始達は言葉を失った、しかし今回の件に剣崎という者が深く関わっている事を察したエヴァは聞かずにはいられなかった。



「今知る限りでは奴はアンデッドと敵対している、そしてお前達の事も知っている。」

「そうでありながら、何故お前達、特に相川始の前に現れる事を拒むのだ?」

「奴は味方か? それとも奴等と同じ敵か?」

「…剣崎は……あいつは敵なんかじゃない!」



エヴァの言葉を聞いた始は声を荒げ、そして剣崎について話し始めた。



剣崎が仮面ライダーとして人類の幸せの為に戦った事。

人をそして自分を護る為に人間を捨てアンデッドになった事。

未来永劫、一人で生き続ける事。



「…剣崎は……人と…俺の為に、終わる事の無い孤独な戦いを選んだ…。」



話を聞いていた一同は剣崎が背負った余りにも過酷な運命に言葉が出せずにいた、木乃香は涙を流し、エヴァも心当たりがあるのか此処とは違う何かを見ていた。



「わかった…奴は、剣崎と言う者は敵ではないという事だな。」

「夜も遅くなって来た所だし今日は此処までにしよう…貴様達、今日は此処に泊まるといい。」

「明日、ジジイに頼んで泊まる所を用意させてもらう。 それと、さっき言った奴等にも会わせるとしよう。」



エヴァの言葉で今日の所は解散となり、ネギ一行は虎太郎達が車で寮まで送って行く事になった。

帰る途中、始のバイクに乗って帰る事になった天音に始は声を掛けた。



「…天音ちゃん……僕の事、何時から知っていた…?」



始は自分がアンデッドである事を一度も話した事がなかった、アンデッドである事が知られるのを恐れていた。

突然の質問に少しの間黙り込んでいたが天音は意を決して話し始めた。



「剣崎さん達の事を知ってから…薄々そうじゃないかと思ってた…でも、さっき言った事は本当だから…。」



寮に着くまで二人は一言も話さなかった、しかし寮に着くと始は天音をバイクから降し優しそうな笑顔で天音の頭を優しく撫でた。



「ありがとう…それと、おやすみ天音ちゃん。」



天音は始が見えなくなるまで笑顔で見送った、その姿を見ていた真名は。



「本当にアイツは奴等と同種なのか…?」

「さあ、でも彼が良い奴であるのには変わりないでござるよ。」

「そやな、その剣崎さんて言う人が信じたんやから。」

「そうです。 でも、剣崎さんて言う人はすごい人ですね…皆の為に永遠に続く戦いを選んだんですから…。」



ネギ達が部屋に戻った頃には既に夜の九時を回っていた、その後夕食と入浴を済ませると就寝時間ギリギリであった。

普段は新聞配達のバイトがある明日菜だが明日は休みだったので皆と同じ時間に寝ることにした。



「ふう、今日は散々な一日だったわ…。」

「そやな、あん中の誰かが優勝すると、うちらに代わって繁栄することになるて言うてたな。」

「冗談じゃないわ、少なくともオコジョのアンデッドが勝ち残って世界中エロオコジョだらけになるのは勘弁してほしいわ。」

「姐さん、それはあんまりだぜ…。」

「ほな、そろそろ寝よか。」



実際オコジョのアンデッドは居ないのだが、カモの抗議を無視して床に就こうとしたネギ達であったが突然ドアチャイムの音が鳴った。

誰かと思いながらドアに近づく木乃香であったが、待ってられないのか今度はドアを直に叩き出した。

木乃香があわててドアを開けると血の気が引いた青い顔をした夕映が飛び込んできた。



「ね・ネギ先生…の・のどかが…のどかが帰って来ないです…。」

「な・なんですって!!」

「ハルナにも連絡したんですけど、来ていないそうです。」



寮生活なのだから基本的に夜の外出は許可が必要となる。

夕映達、図書館探検部は時によって夜通しで探検に望む事もあるがのどかが1人で行く事はありえない。

ましてや真面目なのどかが無断外泊など更にありえないことであった。



「さ・探しに行きましょう!」



ネギの言葉に明日菜達も同意し、着替えて寮の入り口に向かうと夕映が呼んだのか刹那達が待っていた。

寮から出て学校に向かおうとしたが、向こうから明かりを灯した何かが近づいてくる。

近づいて来たのはさっき自分達を寮まで送ってくれた始であった、ネギ達に気づいたのか始はネギ達の前でバイクを止める。



「は・始さん、実は…。」

「この子は此処の寮の子か?」



ネギの言葉が言い終えないうちに、始はネギ達に聞き返した。

あわてていたので誰も気が付かなかったが、始の後ろには身体中に傷だらけの少女が始に身を預けていた。

始の背に寄り掛かっている少女の姿を見てネギはショックを受けながら大声で少女の名を叫んだ。



「く・古老師!!」

ネギま!剣 / 第8話 学園の秘密

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