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EXFile「暗い天使サンダルフォンⅡ」 投稿者:赤枝 投稿日:05/11-02:22 No.487
注1:これは徹頭徹尾ネタであり。今後の展開に一切影響を与えるモノではありません。
注2:こちらを読む前に「勇者皇光臨」「暗い天使サンダルフォン」の二話を読んでおくことをお勧めします。
注3:深く考えずに勢いだけで読みましょう。
EXFile「暗い天使サンダルフォンⅡ」
暗黒の空。
圧倒的な鬼気を放つ存在が、湖の中央に君臨していた。
封印から完全に解き放たれた、そのモノこそ――、
「アハハハハハハハ!! 成功や!! この力。このリョウメンスクナノカミの力さえあれば、もう怖いモノなんか一つもないわ!!」
それは鬼であり神であった。
それは神であり鬼であった。
名を、両面宿儺神。飛騨の大鬼神である。
身の丈60Mを超えようかという、その体躯はまさしく巨神。
人間の矮小さを嘲笑うかのようなその巨体はまさしく悪夢的な理不尽の顕現。
ただただ圧倒的な存在感を、ただ立っているだけなのに発狂しそうな程に強烈なプレッシャーを放っているあの存在に、どうして抗うことが出来ようか。
「くぅ!!」
誰もが諦めかけた。
敵いようもないその存在に、圧倒的で破壊的で超越的で破滅的なその鬼神の存在に、如何なる抵抗であろうとも意味を成さないであろうと言うことを理屈でも感情でも本能でもない何かで理解しそうになる。
しかし、諦めることは出来やしない。
此処より後に退路は無い。
ならば、此処で相対さねばならないのだ。
ありったけの勇気を振り絞る。ひびが入り、今にも壊れそうな心に楔を打ち、震える膝に鞭打って必死になって立ち上がる。
――しかし、
「ぐるぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
スクナの咆哮<ウォークライ>。
忌まわしき封印を破った事に対する喜び。
これから起こす破壊と破壊と破壊と破壊と破壊を、これから起こす虐殺と虐殺と虐殺と虐殺と虐殺を想像し、鬼の本能をまっとうさせんと吼えた。
「あ、ああ、あぁ…………」
ただの叫び声。ただの空気の振動。
魔力も何もこもっていない、ただの咆哮。
しかし、それは暴虐なまでに圧倒的。理不尽なまでに暴力的。
立ち上がろうとする勇気をへし折るに充分な威力を持っていた。
ネギが膝を付いた。
刹那の翼が堕ちる。
明日菜の心が折れる。
もう、だめだ。
自らの無力を嘆き、皆がそう思ったとき――
――どこからともなく、ハーモニカの音色が聞こえてきた。
圧倒的な鬼気をものともせずに、ハーモニカの音色はただただ静かに響き渡る。
悲しさを湛えた、けれども清廉たるその音色は、湖の畔に佇む青年によるものだった。
「何もんやっ!!」
千草が吼える。
漆黒のバイクにもたれた青年が、ハーモニカから唇を離す。
「俺はリューガ。リューガ・クルセイド――――正義の味方だ」
ハーモニカを懐にしまいながら、青年――リューガが答えた。
その表情に恐怖はなく、精悍なその顔には、力強く横一文字に結ばれた唇と、鋼の意思が宿る瞳があった。
それは、子供達を傷つけようとする悪鬼に対する無垢なる怒り。
それは、誰かの涙を止めようとする純粋な正義の顕現。
「正義の味方? そんな奴が、何の用や!?」
「決まっている。正義の味方は、悪を倒す。たとえそれがどんな強大な力であろうともな――」
「ふん!! ただの人間が、スクナを倒せるとでも?」
「ただの人間――もしそうだったら、俺はもっと幸せに生きることが出来たんだろうな。だけど、違う。俺はただの人間じゃない――」
リューガは機敏な動作で両腕を伸ばす。
指先まで伸びきったリューガの両腕は、ゆっくりと弧を描く。
そう、リューガ・クルセイドは決して『ただの人間』ではない。
「俺は――――改造人間だ!!」
『改造人間』!!
かつて『D∴D∴<ダークネスドーン>』の手によって囚われ、彼らの手によって改造された一人の青年。
それが、リューガの正体である。
かつての怨敵、変態紳士ウェスパシアヌスの手によって、リューガの心臓部には『出来損ないの無限心臓<Defective Deus Dynamo>』――通称DDDが埋め込まれている。
DDDは周囲の字祷子を吸収し、爆発的な魔力を生み出す魔導機関<エンジン>だ。皮肉にもDDDはリューガの怨敵ウェスパシアヌスの叡智の結晶。リューガにとって、DDDは忌まわしき過去の象徴だ。
だがしかし、子供達の涙を止めるため、人々の笑顔を取り戻すために、リューガはDDDを摘出しない。
平和を脅かす悪を、世界を狙う邪悪を斃す為に、怨敵が作り出した道具すら利用する。
それが、リューガの誓いだ。
何人たりとも撤回することが出来ぬ、鋼の意思によって定められた誓いである。
「破ァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
DDDから猛る魔力が、リューガ全身を滾らせる。
リューガの血が奮える。
その奮えは、理不尽に対する無垢なる怒り。
その奮えは、子供達を脅かす邪悪を許さない正義の哮り。
そして、DDDの生み出す膨大な魔力を使って――
「『暗い天使<サンダルフォン>』、変神!!」
――リューガは、変神する!!
リューガの叫びに応え、魔導書『屍食教典儀』が降臨、そのページをばらまきながら、リューガを鎧う。
幾重にも折りかさなるページは、強固な意志を持つ漆黒の装甲と化した。
悲しみと優しさを併せ持つリューガの顔は、どこか爬虫類を思わせる無骨な仮面によって覆われる。
仮面に浮かぶのは、怒りを表す鮮烈なる赤。
全身是総鋼鉄製の鎧。
眼光はまさしく刃鋼。そこに宿るのは鮮緑<グリーン>の光輝。
背後に浮かぶは、刀剣にも似た一二枚の天使の翼。
暗黒の織天使。最強の堕天使。
王国を司る、生命の樹<セフィロト>の根。
此処に、『暗い天使<サンダルフォン>』が降臨した!!
「か弱き子供を護るため、胸の鼓動が天を衝く!! サンダルフォン!! 悪の現場にただいま参上!!」
名乗りを上げたサンダルフォンは、傍らに止めていたモンスターバイク『忌まわしき狩人<ハンティングホラー>』に跨り、エギゾーストをかき鳴らした!!
「ははは!! そんなちっぽけなバイクで何をするつもりや!! そんなモンで、このスクナは倒せやせんで!!」
「さて、それはどうかな!!」
アクセルを捻る。18気筒魔導エンジンは、リューガの意思に応え、爆発的な動力を生み出す。
エンジンの哮りはリューガの哮りだ。
化け物じみた出力を、余すところ無く発揮して、ハンティングホラーは、一気に加速する。
「なっ!!」
千草が驚きの声を上げる、ハンティングホラーは、あろう事か水面を奔っている。
軽く見積もってもトン単位のその巨体を水面に沈めることなく疾走疾走疾走疾走。
水飛沫を背後に背負い、サンダルフォンが、ハンティングホラーが疾走する。
だがしかし、それだけでは、終わらない。
サンダルフォンがハンティングホラーのフロントタイヤをぐぃと持ち上げる。
「と、飛んだ!!」
それだけで、漆黒のタイヤが、宙を踏みしめ、そのまま滑走。
清廉たる水面から、暗黒の空へとハンティングホラーは舞い上がる。
そう、ハンティングホラーは、ただのバイクではない。
魔導書を搭載した一つの『魔導兵器』である。
「我吾ァァァァァァァ!!」
空に駆け上がったハンティングホラーは更に加速。
ハンティングホラーはサンダルフォンが編み上げた術式を前面に展開。
幾百幾千幾万の魔術文字が騎乗兵<ライダー>の使う突撃槍<スピア>の如き形状を編み上げる。
「スクナ!!」
流石に直撃は拙いと判断したのか、千草がスクナノカミに防御を命じる。
スクナノカミは四本の腕を使い、防御姿勢を取る。
だが、リューガは怯むことなく、スクナノカミの腹部めがけ最大戦速で、文字通り吶喊<ラッシュ>する。
激突!!
「グォォォォォォォォォ!!」
スクナノカミが悲鳴を上げる。
四本の腕から、スクナの体液が溢れる。
しかし、それは致命傷にはほど遠かった。
「ちぃ!! 流石に固い!!」
たちまちの内に、木乃香からの魔力供給を受けて、スクナノカミはその傷を癒す。
「くっ!! なかなかやるようやけど、その程度ではスクナは倒せまへんで、正義の味方さん?」
「とうっ!!」
リューガはハンティングホラーから飛び降りて、ネギ達の前に降り立った。
「三人とも、大丈夫か!?」
「な、なんとか。貴方は、誰なんですか?」
ぼろぼろになったネギが聞く。
「俺は九郎の戦友だ。アイツの頼みでな、君たちを助けに来た」
「九郎の?」
「ああ。奴にはいろいろと借りがある」
サンダルフォンはスクナノカミに向かって構えを取る。
「此処は俺に任せろ」
その背中、一二枚の翼を持つ鋼鉄の背中。
広く、大きく、そして強いその背中。
サンダルフォンの背中に、ネギは確信する。
――この人は、九郎と同じく強い人だ。
自分では手も足もでなかったスクナノカミに一撃を与えた魔術の腕前。
だが彼の強さの本質はそこではない。
彼の強さは九郎と同じくその『心』にある。決して折れない鋼の心。けれど人を思う優しき心。
自分が憧れる、何時かはこうなりたいと思うこの背中は、何処までも気高く雄々しく、何より頼もしかった。
「アイツは、お嬢様の魔力を使って、回復します」
「ああ、さっき見て分かった。あまり負担を掛けると、あの娘の命が危ない」
「どうするんですか?」
「決まっている――」
サンダルフォンは、構えを変える。
背中に浮かぶ羽が、字祷子の輝きを帯びて発光する。
「回復する暇も与えず、一気に叩き潰す!!」
振り向きもしないまま、サンダルフォンは、中空に駆け上がった。
そして、サンダルフォンは喚ぶ。
物語<ストーリー>に最低最悪のオチをつける、かの舞台装置を!!
鋼で彩られた機械仕掛けの神を!!
絶対無敵の破壊神を!!
「――――――来い!!」
どこからともなく新幹線、ステルス爆撃機、ドリル、そして白き骸のライオンが現れる。
地を駆け抜け、空を舞い上がり、地底を突き破りながら、各々がサンダルフォンに向かって接近してゆく。
そしてサンダルフォンは、口訣を唱えた!!
「究極合神<ファイナルフュージョン>!!」
発光!!
途方もない密度の光がサンダルフォンを中心に爆発する。
それは神聖なる光。
それは神性たる光。
それは、新生の光。
光が過ぎ去り、その場にあるのは一つの巨人。
その漆黒のボディは何処までも荒々しく、鋭角的なそのフォルムは何処までも禍々しい。
しかし、そのシルエットは、サンダルフォンと同じく、何処までも頼もしかった。
そして光の中から現れたソレは大気を奮わせ、己が体を震わせて、自らの『名』を叫んだ。
「餓皇骸餓!!」
「なっ!! 鬼械神<デウス・マキナ>やて!!」
鬼械神<デウス・マキナ>。
高位の魔導書が従える神の模造品。
乗り手にまさしく神に等しき力を与える理不尽の権化。
千草の顔が驚愕に歪む。
スクナノカミよりは幾分小さいものの、油断できる相手ではない。
こうなれば先制攻撃しかないと、千草が判断したときだった。
夜空にエレキギターの旋律が響き渡った。
奏者の気質を表すような、情熱的な音階。しかし狂気的な何かを孕んだ、悪夢的な音色。
同時に、地面が揺れ始めた。
「ふはーーーはっはっは!!」
どうしようもない笑い声が辺りに響き渡る。
「な、次から次へと、なんなんや一体!!」
やがて、湖底を突き破り、一体のロボットが出現した!!
「聞かれたからには応えて上げるが世の情け。我が輩こそは我が輩こそは我が輩こそは!! 世紀の大・天・才!! 知る人ぞ知る超・天・才!! ドクターウエスト!!」
ドラム缶のような寸胴ボディに四本の腕。その先に金ぴかに光り輝くドリルを備えたロボットが名乗りを上げた。同時にエレキギターをかき鳴らしたような音が辺りに響き渡る。
そのあまりにも馬鹿げたフォルムに、その場にいた全員が唖然とする。
「サーンダールフォーン。我が輩を放っておいて一人かっこよく決めようだなんて、そうは問屋が下ろさぬが故の物価上昇円高ドル安デフレーションなのである。このスーパーウエストじぇねしっく無敵ロボ28号を忘れて貰っては困るのである!!」
「ウエスト!! アレをやるぞ!!」
サンダルフォンがウエストのコメントをサクっと無視って、餓皇骸餓を通して叫んだ。
「アレ? アレというのはどのアレであるか?」
「ハンティングホラー!!」
サンダルフォンが空中に乗り捨てたハンティングホラーが、単身破壊ロボに向かって突貫してゆく。
「おお、アレに見えるは我が輩の造ったハンティングホラーではないか。うむうむ。相も変わらず素晴らしい性能であるな。流石我が輩。――ん? どうしてこちらに突っ込んでくるのであるか? いや、うそ、やめてお願い来ないで、そんな黒くて固くて兇悪なモノで我が輩を貫こうだなんてああそんなあんまりなのであーる!! ギャーーーーーーーーー!!」
「博士。うるさいロボ。――サンダルフォン、こちらエルザ。ハンティングホラー受け入れ準備完了したロボ。収容と同時に変形開始。以降自動操縦に切り替えるロボ」
「頼む!!」
「いやー!! 止めてお願い許して助けてママン!! 我が輩の純潔をそんなモノで――ブるァ!!」
破壊ロボのスピーカーから雑巾を地面に叩きつけたような粘着質な音が響く。
「さっさと脱出するロボよ。アレに巻き込まれたら、流石の博士もお陀仏――世のため人のためにはそれも良いかも知れないロボ」
破壊ロボの天井部にハンティングホラーが着地、同時に破壊ロボ内部にハンティングホラーが収容されていく。
ウエストを抱えたエルザが、破壊ロボから脱出する。
「準備OKロボ。サンダルフォン!!」
「良し!! 往くぞ!!」
――ハンティングホラーには、魔導書が搭載されている。
――その魔導書は、かつてのサンダルフォンの怨敵、変態紳士ウェスパシアヌスから最終決戦の後に奪い取った書であり、その題名を『エイボンの書』という。
――『エイボンの書』。
――氷河期以前に存在したハイパーボリア大陸の半島ムゥ・トゥーランに住んでいた魔術師エイボンの著作である。
――その記述は、かの慄然たる書『ネクロノミコン』にも記されていない――著者たるアブドゥール・アルハザードが意図的に削除したとも伝えられている――禁断の知識が数多く記された外道の書。
破壊ロボが変形を始める。
腕の先についていたドリルが爆圧ボルトによりパージ。
さらに、四本の腕と足が分離して、空中で合体。一つの巨大な拳を創りあげた。
――『エイボンの書』の著者たるエイボンは、とある『神』を崇拝していた。
――その神の名を、ツァトゥグア。
――超古代大陸ヒューペルボリアはヴーアミタドレス山の地下深くに眠る旧支配者が一柱。
――地を司る神性である。
――こと『エイボンの書』はツァトゥグアを詳しく言及しており、その記述量は言わずもがな。
破壊ロボの側面から一本の長大な棒が伸びる。破壊ロボの中程で外装がまっぷたつに割れ、両サイドにスライド。
巨大な円柱状のボディに長大な棒が生えたその様は、まさしく『ハンマー』そのもの!!
餓皇骸餓の右手が分離、
「破壊ロボ接続<クラッシャーコネクトォ>!!」
破壊ロボから分離した巨大な『掌を』再装着する!!
――そこに目をつけたのがかのマッドサイエンティスト、ドクターウエストである。
――彼は、地の神性たるツァトゥグアの特性を利用して、とある兇悪な兵器を創りあげた。
――地、すなわち重力を利用した特殊ツールを開発。
――正式名称を、魔導重力衝撃波発生装置<マギスティックグラヴィティショックウェーブジェネレイティングツール>。
餓皇骸餓が巨大なハンマーを模した形状に変形した破壊ロボを掴み取る。
――そして、その通称を、
「ツァトゥグアハンマーーーーーー!!」
そう、これこそがサンダルフォンが、餓皇骸餓が持つ最強の必殺兵器!!
世界に潜む邪悪を討ち滅ぼすために完成させた魔術と錬金術と科学の混血児。デモンベインの『レムリア・インパクト』と同様、敵を一撃にて必滅昇華させる為に造られた最強ツール!!
「な、なんや。この異常な魔力は!!」
餓皇骸餓のコックピット、サンダルフォンの心臓部に備え付けられたDDDが唸りをあげる。
その回転数は最早限界を振り切っている。
それでもなお回転速度を落とすことなく、それどころか更にその速度を上げてゆく。
DDDから放出される過剰魔力が魔術回路を疾走し、サンダルフォンが紡ぎ出す術式と、『エイボンの書』から発生する超々高密度高濃度情報が餓皇骸餓のボディを金色に染め上げる!!
「雄ォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」
DDDの回転数は最早無限。
生み出された魔力は天井知らずにその量を増してゆき、サンダルフォンは、その魔力を全てハンマーヘッドに集中収束させていった。
「グォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」
スクナノカミの咆哮<ウォークライ>。
しかし、それは先ほどの愉悦に歪んだ叫びではない。
これから引き起こされる破壊と破壊と破壊と破壊と破壊を、これから引き起こされる虐殺と虐殺と虐殺と虐殺と虐殺を思い、吼えた。
それは、恐怖を払拭せんする、必死の雄叫び!!
金色に輝く餓皇骸餓が、ツァトゥグアハンマーを振りかぶる。
そのまま大きく上昇し、目標――すなわち飛騨の大鬼神――に向けて全力降下<フルブースト>!!
ツァトゥグアハンマーから照射される魔導重力波は、強力な重力変動を引き起こす。その重力変動に曝された物質はどの様なモノであろうとも光子レベルまで分解され、完全に破壊される!!
更にサンダルフォンの必滅の意思がその効果に拍車を掛ける。魔術師<マギウス>の意思は、世界を塗りつぶす兇悪な猛毒だ。如何なる魔法も魔術も字祷子レベルまで分解され、完全に破壊される!!
すなわち、喩えどの様な物質的霊的な存在であろうと、この攻撃の前には無力!!
一切合切の容赦なく、有象無象の区別無く、在りしあまねく三千世界森羅万象を完膚無きまでにまとめて叩き潰す必殺技!!
その名も!!
「ツァトゥグア・クラッシャァァァァァァァァァァァ!!」
「くっ!! スクナぁ!!」
千草に言われるよりも早く、スクナノカミは防御姿勢を取る。
「両面宿儺神よ!! 光になれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
極光<ホワイトアウト>!!
ありとあらゆるスペクトルを持つ光が辺りを覆い尽くす。
光が過ぎ去ったその後、夜の闇が再び辺りを支配したその後。
そこに立っているのは、巨大なハンマーを湖の中心に突き立てた餓皇骸餓の姿だった。
全身の廃熱機構が働いて、至る所から蒸気を吹き出している。
あの鬼神の姿は何処にもなかった。
スクナノカミは文字通り、光となって、消えた。
「これが絶対無敵の狂気の力だ!!」
EXFile「勇者<ヒーロー>サンダルフォン」………………Closed.
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