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魔法使いと感染者(魔法先生ネギま!+ダブルクロス 2nd ):プロローグ 投稿者:天邪鬼・R 投稿日:07/21-10:45 No.955

俺の体に激しい衝撃が走る。
まるで、何かが胸から背中に突き抜ける様に。


違う。


実際に、俺は体を貫かれていた。
そう、眼前の化け物の腕に。


寒い。


傷口から血が止め処無く溢れる。
その流れ出る血の量に比例して、自らの体温を失っていく。
それと同時に、手足の感覚が消えていく。


聞こえない。


薄れていく意識の中、誰かの声が聞こえた様な気がした。
俺は力無く後ろを振り返る。
そこには二人の少女がいた。
彼女達は泣きじゃくりながら、俺に向かって何かを叫んでいる。
でも、既に俺にはその言葉を聞くだけの力は残って無かった。


守らないと。


そうだ、二人を守らないと。
俺は目の前の化け物達を狩る退魔師……の見習い。
まだまだ未熟者で、退魔の技なんての一つも使えないけど、…それがどうした。
友達を守るのに、そんな事は関係ない。
それに、今ここにいる男は俺一人、ここで逃げたりしたら男が廃る。


でも守れない。


守らなきゃいけないのに、それなのに…どうして体が動かないんだ。
嫌だ嫌だ、そんなのは嫌だ。
俺はあいつ等を守るんだ。


力が欲しい。


力が欲しい。力が欲しい。
戦う為の力が欲しい。
相手を打ち倒す力が欲しい。
誰かを守る力が欲しい。


不意に、体に激痛が走った。
どうやら化け物が、俺の体から腕を引き抜いたようだ。
奴は俺の頭を鷲掴みにして、そのまま飽きたおもちゃを捨てるかの様に、俺を近くの川に投げ捨てた。


ああ、なんて無力。


俺は彼女達を守れなかった。
きっと彼女達もすぐに殺されてしまう。
今俺に出来るのは、神に祈る事だけである。
奇跡が起こるように。
彼女達が助かりますように。


そして俺の意思は闇に消えていく。






はずだった…

魔法使いと感染者 1話

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