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魔法使いと感染者(魔法先生ネギま!+ダブルクロス 2nd ):1話 投稿者:天邪鬼・R 投稿日:07/21-11:20 No.956

ここに一人の少年がいる。
少年の名は黒堂 瞬。
一見何処にでも居そうな、黒髪長身の少年である。

目覚まし時計の激しい金属音と共に、その少年は目を覚ました。
その表情から気分爽快…というよりは、どこと無く不機嫌そうに見えた。
その理由は簡単、見ていた夢が悪かったせいだ。

「はぁ…また、あの時の夢か」

少年が幼かった頃の夢。
無力で誰も守れなかった、少年の過去。

「神様ってのは意地悪だよな…」

少年は不貞腐れた様に呟く。

当時、どうしようもない致命傷を受けた少年は、ある異能に覚醒する事で一命を取り留めた。


奇跡は起きた。


戦う力は手に入った。

相手を打ち倒す力も手に入った。

誰かを守る力も手に入った。

では、彼女達を守れたのか?


否。


力が手に入ったのは、おそらく既に全てが終わっている、そんなタイミングだった。
そう、気が付くと何処かの病院に収容されていた瞬は、数日間そこで眠っていたそうだ。
遅すぎたのだ。どんな大きな力が手に入ろうと、事が終わってしまっていては、全くの無意味である。
あの時、戦う術のなかった彼女達に、生き残る術は無いだろう。
現実は無情。運よく正義の味方でも通りかかる、そんな都合のいい事なんて起こるはずも無いのだから。

あの時少年の望んだ二つの願い、叶えて欲しかったのは力よりも、彼女達の無事。

だから少年は再び呟く、後悔と失意を持って。

「やっぱり神様ってのは意地悪だ」

何で自分だけ生き残らせたのか、自分一人生き残らせるよりは、彼女達二人を生き残らせた方がいいだろうと。


そこで軽快な電子音と共に一通のメールが届いた。







瞬はある部屋の前に立っていた。
そこは瞬の上司の部屋である。



下流で発見された瞬は、ある組織が擁する病院へと運ばれた。
たまたま瞬の発見者が、瞬と同じ異能の者だったのである。

その後、瞬は自分の異能について、詳しいことを聞かされた。
そして、この組織の存在理由と目的を聞かされ、一晩考えた後この組織に入る事にした。

退魔組織に戻るという道もあったが、瞬はそれを選ばなかった。
退魔組織では、この異能の制御方法と鍛錬方法が解らないとういのもあるが、
何よりも、二人の友を守れなかった自分が、どの面を下げて帰ったらいいのか、解らなかったからである。


自分はここで強くなる。今度こそ、守りたい者を守れるように。


瞬はそう、己に誓った。




「失礼します」

そう言いながら瞬は部屋の中に入って言った。

部屋の中は、三十代前半の男性が一人、椅子に座っていた。
男性の前の、少し大きな机には、所狭しと書類やファイルが積み上げられている。

「お久しぶりですね、瞬君」

「お久しぶりです霧谷さん、数ヶ月ぶりくらいでしょうか」

目の前の男性、霧谷雄吾の軽い会釈に対して、同じく軽く会釈をして返す瞬。

「さて、貴方に新しい任をこなして頂きたいのですが……その前に一つ質問があります」

そう言って、霧谷は真剣な目で瞬を見つめる。


「貴方は魔法使いの存在を信じますか?」


そう霧谷は真面目な表情で言った。

時は二十一世紀。
科学が発達し、もはや魔法など夢や妄想の産物と言われるこの時代。
魔法使いの存在を信じるか?そう霧谷は問いかけてきた。

ここで正常な者なら、霧谷が狂ったか、日々の大量な仕事で精神的に参っているか、そう判断しただろう。

しかし瞬は違った、かつてある退魔組織に見習いとはいえ、一年ほど身を預けていたのだ。
当然魔法使いの存在は知っている。

ただ、存在を知っているだけで、どこで何しているとか、どこに居るとか詳しいことは、流石に知らなかった。
単に忘れているだけかも知れないが、既に七~八年も前の事、覚えていろと言う方が無理である。

だから瞬の答えは、

「信じますよ。たぶん会った事もあります、なにぶん昔の事ですから、詳しい事は全然覚えていませんけど」

霧谷の予想を完全に裏切るものだった。

「本当ですか!?」

「こんな事で嘘ついても、意味が無いじゃないですか」

驚く霧谷に、瞬は苦笑しながら答えた。
瞬自身も、自分が言った事を信じてもらえるだなんて、欠片も思っていなかった。

「しかしそれなら話が早い、実は最近、世界中で我々と違った能力者、そうオーヴァードではないにも拘らず、超常
 現象を引き起こすもの達と、幾度か小競り合いが発生しましてね」

そう言いながら、霧谷は深いため息を一つつく。

「我々としても、無駄な争いは望む所ではありません。幸い、幾つか情報を得る事ができました」

「じゃあ、俺の任務は…」

「麻帆良学園…そこに魔法使い達が潜伏しているようです。貴方には、魔法使い達が一体どういう集団なのか、潜入
 調査して欲しいのですよ」



こうして俺は、何時もの様に任務をこなす。

友人達と他愛も無い話をしたり、恋愛なんかをしてみたり。
本来ならば普通に手に入る日常。

しかし俺が失ったもの。

この道を選んだ時から覚悟していた、自分に平穏な日常はないと。
あるのは仮初の日常、こんな任務の時のみ見れる一時の夢。

いつの間にかそこに居て、いつの間にか居なくなる。
自分はそんな存在だ。忘れられて当たり前の存在。

これからもずっと、それが続くと思っていた。

魔法使いと感染者 :2話

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