第三十一話『さくらと木乃香に忍び寄る魔の手』
「さて・・・話してもらおうか、貴様等が木乃香を狙う目的とあのかなりの破格の力を持った羽の存在とやらを・・・」 星史郎がまた別の世界へ転移してシャオラン達の前から消えてしまった後、シャオランは桜やエヴァ達に今回の事件の事を話そうとしていた。 「はい、では先ずオレ達がこの世界の住人ではない事は分っていますでしょうか?」 先ず、自分がこの世界の住人でない事を確認するシャオラン、これが先ずわかっていなければ話にもならない。 「ああ・・・あのぬいぐるみ(ケロ)からも聞いているからな」 「そうですか、それでは話しましょう。近衛木乃香、貴方達の守る人を狙う理由はこの世界にあなたの言う羽があったからなんです」 「そうか、ではなぜ羽がある事と木乃香を狙う理由とが結びつくんだ?」 「はい、その羽はオレの大切な人の羽なんです」 その時桜はシャオランの言葉を聞いて気づいた。 この世界に自分ではない異世界の自分も異世界のシャオラン同様来ている。 その事から考えるにその羽が誰のものなのか考えつくのは簡単な話だった。 「大切な人の羽・・・それってもしかして」 桜は誰のものなのかわかったが、反射的にシャオランに聞いてしまう。 「はい、サクラ姫の羽です」 その瞬間、桜の顔はやっぱりと言う顔になり後ろでさよが頭の上に?マークを浮かべている。 だがエヴァはだいたい最初から分かっていたふうにマユを微動だにせず口を開く。 「そうか、異世界のサクラの力だったか、あの羽の力・・・桜の力であるといわれれば納得できよう・・・」 元より桜の魔力の大きさはレベル1000、これは極東最強と言われるほどの魔力を持つ木乃香と同等、この事からして羽の大きな力が異世界のサクラであってもサクラの力ならば説得力は十分にある。 「はい、―――でこの世界の巨大な魔物、リョウメンスクノカミといわれる鬼神を封印するために使われていました」 「そうか・・・リョウメンスクノカミ、そんな物にそのサクラの羽が封印に使われていたか、確か封印したのはナギだったな」 「え・・・ナギさんってたしかネギ君のお父さんの・・・」 「ああ・・・確か十八年前リョウメンスクノカミはナギと詠春が封印したと聞いていたが、よりにもよってサクラの羽を使いおってからに・・・」 エヴァは自分のコメカミに指を当てて少し怒り後で詠春をどう料理しようかと少し考える。 するとイキナリ一人の者が手を挙げた。 「あの〜さっきから私達の分らない話ばっかりされてもさっぱり分らないんですけど・・・」 手を挙げたのは美墨なぎさ、飛び入り参戦の彼女からしてみれば訳の分らないかっ飛んだ話、他のほのか・ひかり・真紅や翠星石もそうだろう。 「ああ・・・そう言えば貴様等は飛び入り参加だったな、だが説明するのも面倒だしこのまま黙って聞いておけ」 だがエヴァは子の通り面倒くさがって説明すらしようともしない。 「・・・そう言えばエヴァちゃん、この人達だれなの?」 シャオランの話に気をとられていて今頃なぎさ達の存在に気づいた桜、そこへエヴァは大体の三人の紹介をした。 「この歳にもなって変身してポーズを決めた恥ずかしい三人衆だ」 ―――がちょっと大体すぎた。 エヴァが紹介をした瞬間なぎさの顔は赤くなり頭の中の何かが少し切れてエヴァの前へ突撃した。 「・・・って違うでしょ、私は美墨なぎさベローネ学院の中等部三年!」 「なぎさ・・・抑えて抑えて・・・でも変身ポーズは恥ずかしいんですけど今だになぜか体が勝手に・・・」 「私は中等部一年の九条光と申します、以後よろしくお願いします」 大声でエヴァに迫りながら自己紹介するなぎさにそれを抑えるほのか、ひかりはなんともない様に自分の自己紹介をする。 「そして『選らばれし勇者』のメップルと」 「『希望の姫君』ミップルメポ〜」 「ポルンは『未来へ導く光の王子』メポ!」 「わ〜可愛い〜私は木之本桜です、皆さんよろしくね」 「あ・・・あの私は幽霊の相坂さよと申します・・・皆さん・・・よろしくお願いします」 ポルンを胸に抱きながら軽く自己紹介をする桜に対して、その桜の後ろに隠れながら丁寧に自己紹介するさよ、そしてさらにその後ろでは真紅と翠星石が少し愚痴をたらした。 「変な生物ばかりね・・・」 「幽霊やら吸血鬼やらぬいぐるみみたいのやら・・・今日は変な日です」 「オメーラモヒトノコトイエナイゼ」 本当に人の事が言えない真紅と翠星石、相手が幽霊やぬいぐるみならば真紅と翠星石は人形、それと同じく人形であるゼロからすかさずツッコミが入る。 「・・・でだ話を元に戻すぞ、リョウメンスクノカミあの鬼神の封印にあの羽が使われていたとするとかなりの魔力を持ったものでないと封印を解いて羽を取り出す事なんてできないだろう・・・」 「・・・はい、あの封印を解く事ができるのは並外れた魔力を持った者、それも最強クラスのものでないといけませんでした」 「そうか、だから極東最強の魔力を持つ木乃香を狙っていた訳だな」 「そうです、しかも封印を解くものが鬼神と言われるものでしたので・・・」 「そうだな、羽を取り出すために鬼神復活などと手を貸す奴など普通は居らんからな」 エヴァの言う通り『封印を解く=人間の脅威・敵となる者を世に出す』事から普通の人間の考えとしてシャオラン達に手を貸すなんて事は絶対にできない。 「・・・で貴様等、これからどうするつもりだ?」 「そうですね・・・」 【刹那&ミラー視点】 ―――ざっ! 「くっ・・・やはり相手も神鳴流、しかも二刀流はこの夕凪では苦戦してしまうな」 夕凪を持ちながら地面に着地する刹那、馬鹿長い夕凪ではやはり小回りの利く二刀流の月詠とやりあうのには少々苦戦する。 「野太刀は小回りが利きませんからね〜フフフフフフフ・・・」 (しかしどうする、今お嬢様を守っているのはネギ先生だとしても型紙、他の敵が仕掛けてくる様な事が有ればあぶない) 「あ・・・あれは!?」 刹那の目線の先にはさっきシャオランと戦いに行ったはずの桜の姿、だがそれは『鏡』(ミラー)であり桜ではなかった。 「ネギ先生・・・」 「あれっ・・・桜さん、戦いは如何したんですか?」 「いえっ・・・あのっ・・・私はミラーです、桜さんはまだ交戦中でして・・・」 「桜さん!・・・どうしたんですか戦闘は!?」 刹那は月詠の隙を突き戦闘を少し離脱してミラーの前に立つ。 「刹那さん、違いますよこの人はミラーさんです」 「あ・・・そうなんですか?」 「は・・・はい」 「くっ!」 ―――カキーン! 刹那はイキナリ背後から来た月詠の剣劇を夕凪で受け止める。 「先輩・・・話も良いですが私から目をはなしないでください〜」 「ミラーさん、ネギ先生、カモさんお嬢様をお願いします」 「はい」 「がってんでぃ!」 そして刹那はまた月詠との戦闘へと戻っていく。 「それでネギ先生・・・木乃香さんが眠ってしまっているんですがどうしましょう・・・」 「そうですね、僕も本体でなく型紙ですし・・・どうしよう・・・」 木乃香が眠ってしまっていてはどうしようもないミラーとネギ(型紙)・・・ 「しかし月詠と言ったな、どこか同じく神鳴流の刀子さんと似ているような気がするが」 「ふふふふふ〜・・・先輩そこは本編でもわかっていない事ですからふれないでください〜」 <そうそう>←作者の声 そんな電波が戦闘中に流れ他次の瞬間、刹那と月詠に聞いたことのある声が聞こえてきた。 「ふ・・・ふふふふふ・・・・」 「「こ・・・この声は!?・・・・」」 聞こえた声に二人同時にびくりと反応する刹那と月詠、この声は頭の片隅にある恐怖そのもの、もうすでにトラウマと言っていい程のもので二人は目で誰の声なのか確認しあう。 そして二人が恐る恐る振り返ると恐怖そのものの人物が目の前に立っていた。 「月詠はん・・・あれほど忠告しといたのにまだ敵はんに雇われたままどすか〜」 「つ・・・鶴子お姉様〜・・・ガタガタガタガタ・・・・」 二人とも手をお互いの肩に置きながらガタガタと震えだす刹那と月詠、その二人を尻目に鶴子は気軽に挨拶をしてくる。 「刹那はんも久しぶりどすな〜」 「あ・・・あの、どちら様でしょうか?」 「あ〜めっちゃ可愛いどすなぁ、刹那はんの先生どすな・・・ウチは元神鳴流師範の青山鶴子申します」 「神鳴流の元師範・・・刹那さんの師匠さんですか!?」 「神鳴流元師範か、こりゃあ良い助っ人だな兄貴」 初体面で鶴子の怖さを何もわかってはいないネギとカモ、だが神鳴流ではなくしかも敵でもない二人にとってはどうでも良いことであった。 「まあ・・・刹那はんが麻帆良学園へいくまではなんぼかは私が仕込んでましたどす、月詠はんはちょうど入れ違いでウチが面倒見る事になった子どすぇ、少しの間どすけど・・・」 「・・・と言うことは刹那さんともあの子とも知り合いと言うことですね」 「そう言えばあんさん・・・いや人違い見たいどすなぁ、発せられる気配が人間とは違いおますし」 一瞬で目の前に居る桜がミラーとはいかないまでも本人ではないと感じ取る鶴子、そこからも元神鳴流師範と言うことが伺える。 「―――とそうそう月詠はん刹那はん?」 「は・・・はい!」 何かを思いついたかのように刹那と月詠の二人に話しかける鶴子、二人は即座に背筋をピーンと伸ばし即座に軍隊バリに敬礼をする。 「前にも月詠はん達に言った様にウチはもう現役やない、だから二人が戦っているのに釘をさすなんて事はせえへん」 「そうですか・・・ほっ・・・」 ほっと一安心一息つく刹那と月詠・・・だが 「けど・・・戦って負けた方は罰として少々折檻をうけて貰いまぇ」 (せ・・・・折檻〜〜〜〜〜!!!!!!) だが鶴子のこの一言で二人は奈落の底へと叩き落され目の色が一瞬にして文字どうり殺気までと著しく違っていた。 「こ・・・これは100%負ける訳にはいかなくなりましたね・・・」 「先輩・・・私の為に死んでください〜」 100%もうすでに殺す気満々になってしまった二人、頭の中には殺らないと自分がお姉様に殺られるの一言しかもうない。 「な・・・なんか二人とも目の色が変わりましたね・・・」 「そうどすな、―――でちょっとネギはん、木乃香お嬢様を起こしますぇ」 「えっ・・・そんな事できるんですか?」 懐から一枚のお札を取り出してネギに見せる鶴子。 「元神鳴流師範代をなめて貰っちゃ困ります。そもそもお嬢様達が眠ってしまっていはるのはこの闇の力の気配が為どすからお嬢様も抵抗できるようにこのお札をはればこの闇の力の気配の中でも起きていられますぇ」 (でも木乃香姉さんが起きちまったらオイラ喋れねんだよな・・・) そして鶴子が木乃香にさっき取り出したお札を貼ると木乃香の体は一瞬光だし木乃香は何事もなかったかのように目を覚ました。 「あ・・・木乃香さん目が覚めましたか?」 「あれっ?―――それよりもネギ君、ウチいつの間に眠っても〜たんやろ・・・皆も眠ってもとるし・・・」 木乃香は周りを見回しながらネギにたずねる、すると鶴子は木乃香に話しかけた。 「久しぶりどす木乃香お嬢様」 「あ・・・鶴子さんや〜久しぶりです〜」 「あれっ・・・木乃香さんもお知り合いなんですか?」 「そうや、ウチがせっちゃんと始めておうた時鶴子さんも一緒にいたんや」 「それよりも・・・せっちゃん凄いな〜まるで時代劇の映画や〜」 木乃香が見ると刹那はまだ月詠と死闘を繰り広げていた。 そして数分すると眠っていたはずの知世や朝倉達普通の一般人達が起き始めた。 「う・・・う〜ん・・・」 「あ・・あれ?皆さん起き初めてしまいましたよ」 「これはいけませんどすなぁ・・・いつの間にやら闇の気配が消えてしもてます、ここは一旦二人の戦いをとめんと・・・」 ―――だが刹那と月詠はもうすでに周りがまったく見えておらず目の色がもうすでに真っ赤に変色してしまっている。 「これは無理どすな・・・もうすでに二人とも目の色が変わりすぎてどちらかの勝敗が決まらんと止まりまへんわ・・・たぶん」 「え〜〜〜!!!!」 ―――鶴子のおかげで一挙に魔法バレピンチのネギ・・・だったが、イキナリ粉みたいなキラキラ光るものがシネマ村に雪の如く散りまた力のない一般人達は眠りに付いた。 「「「「zzz〜〜〜」」」」」 「あ・・・あれ?・・・」 「凄〜い・・・皆いっせいに眠っていく〜なんか催眠ガスでもでとんのかな〜?」 「ネギ先生、これは『眠』(スリープ)さんです、桜さんが『眠』(スリープ)さんをお使いになられたのでしょう」 「それにしても凄い魔力どすなぁ・・・この魔力は木乃香お嬢様並みどす・・・」 桜が『眠』(スリープ)のカードを使ったおかげで何とか危機を通り抜けたネギ達、それを影で敵である千草とフェイトが見ていた。 「ぐぐぐ・・・今回に限って何故に青山鶴子がでしゃばっておりますんや」 「呪術教会本山に関連する事件ですから出てきても仕方がないでしょう」 「しかし、神鳴流最強の青山鶴子が敵となると・・・これは迂闊に手出しができまへんなぁ」 青山鶴子その者は裏の世界では知らぬものは居ないナギ・スプリングフィールド率いる『赤き翼』、鶴子がもう少し早く生まれていれば、ナギ・スプリングフィールドと会っていればその中の一員に加わっていてもおかしくない程の人物であり最強の剣士でもある。 「ここは僕が足止めをしてきましょう」 「聞いておりましたやろかフェイトはん、相手は青山鶴子足止めするだけでも命がいくつあってもたりまへんぇ」 「僕に任せてください」 「・・・・なにか足止めする作戦があるみたいどすな・・・ここは頼みましたぇ」 フェイトはそう言うと千草の横から離れ鶴子の前へ出て行く、一方ネギ達はと言うと・・・ 「はあぁぁぁーーーー!!!!!!」 「フフフフフフフ〜〜〜〜・・・・」 もうすでに後がないバリの戦いを繰り広げている刹那と月詠・・・ 「なぜかあの二人からは危機迫るみたいなものを感じますね」 「・・・はい」 「二人ともなかなかやりおますな〜、どちらが勝っても片方折檻どすからな」 その瞬間鶴子は千草の横から出てきたフェイトに気づき振り返った。 「はっ・・・なにもんどす!?」 「神鳴流元師範青山鶴子さんですね、少しの間足止めをさせていただきます」 「君は!?」 「この子誰や?・・・ネギ君知り合いなん?」 「始めましてフェイト・アーウェルンクスと申します以後お見知りおきを」 フェイトは挨拶をすると鶴子に対して少しお辞儀する。 「お見知りおきをってあんさんその姿本体とちゃいますな」 「おや・・・早くも気づきましたか、やはり世界最強の剣士と言われるだけの事はあります」 「貴方が今近衛木乃香を守られると少々こちらとしても脅威となってしまいます、ですから敵わないまでも全力で足止めをさせていただきます」 「そうどすか、その話からするとするともう一人仲間が居るみたいやな、けどウチはもう引退した身やあんさん達と戦闘する気はありまへん」 「そうですか、では近衛木乃香がどうなってもかまわないと」 そしてフェイトは木乃香に目を向けて臨戦態勢をとる。 だが鶴子は先述べた言葉に一つ付け加えた。 「それとこれとは話は別どす、あんさんの力もかなりのもんや今の刹那はんや今ここに居るネギはんの本体であっても足元にも及ばんほどの強さや、だからウチがあんさんだけでも手がだされへんように足止めをさせていただきますどす」 「そうですか、でも僕のする事は青山鶴子貴方を足止めさせる事だけです、良いでしょうここは二人そろって休戦みたいですね」 するとフェイトは臨戦態勢を解き休戦状態になる。 「そうどすか、ネギはんお嬢はん、ここはウチに任せて木乃香お嬢様は任せましたどす」 「あ・・・はい」 「あの・・・木乃香さんこちらへ」 「あれっ?・・・桜ちゃんどこ行くん?」 ミラーは木乃香の手を引きネギと共に何処か隠れられる場所へと逃げる。 そしてネギ達は何かお城の中へと入っていき隠れようとするのだったがネギ達より早く千草が護鬼を出して待ち伏せをしていた。 「ふふ・・・ようこそ木乃香お嬢様、フェイトはんもうまく青山鶴子の足止めをでてとるみたいやなぁ」 「おや?、そっちの坊やにこの世界の桜はんやな、両方とも小太郎はんやシャオランはんに足止めされとるはずやのに、そうか二人とも実態やないんやな、―――って事は手も足も出ん役立たずや」 一辺にして窮地に陥ったネギとミラーと木乃香、しかも実体ではないとバレてしまえば威嚇もできずにもう逃げる事しかできない。 「くっ!」 「どうしましょうネギ先生・・・」 そしていつの間にか屋根上まで追いやられたネギ達、後ろにもう逃げることはできないし前には千草と弓矢をこちらに向けている御鬼が居る。 「・・・どうやらもう逃げ場はないみたいどすなあ」 「聞ーとるかお嬢様の護衛桜咲刹那と青山鶴子!、この鬼の矢が二人をピタリと狙っとるのが見えるやろ!」 「うわ〜これはもうピンチどすな・・・」 ―――カキーン!ドドドドドカキーン! 千草の大声も周りが見えなくなってしまっている刹那と月詠二人にはまったく聞こえずエコーするだけだ。 「お〜い聞こえとんのか!!!・・・オイコラちょっと〜〜〜!!!!」 「はああーーー!!!」 「ふふふふふ〜〜〜!!!」 カキキキキーーーン! 何度呼べど叫べど刹那にはまったく聞こえておらず鶴子はまったくピンチやな〜とのほほんとしながら見ている。 「ま・・・まあええこれはこれで結果オーライや・・・」 「一歩でも動いたら射たせてもらいますえ、さあ大人しくお嬢様を渡してもらおうか」 千草は気を取り直してまたネギ達に木乃香を渡すように要求する。 「ネギ君、これもCG・・・とちゃうよねやっぱ・・」 「あ・・・あともう少しなのに・・・」 「えっ?・・・」 ネギが放った言葉に反応するミラー、するとイキナリ小さく黄色い物体が現われえた。 「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャジャーンや!・・・ネギ坊主とミラーのピンチにやってきたケルベロスや〜!」 「やっと到着しましたね!」 イキナリ現われたのはケロちゃん、そうケロちゃんはネギが型紙を出した後に心配だからやっぱりシネマ村の方へ向かってきていたのだ。 「な・・・なんや!?」 「ぐほ!?」 ケロちゃんに驚き振り返る千草と御鬼、その時御鬼は驚きのあまり弓から手を離してしまった。 「「あっ」」 「あー!!!何で射つんや!!」 「だってイキナリでてくるんだもん・・・吃驚♪」 可愛げにテヘへ♪と笑う御鬼に対して何してくれとんねん!と言う顔になる千草、だが弓矢は止まることなく一直線に木乃香の方へと飛んだ。 「お嬢様に死なれたら困るやろー!!!」 「木乃香姉ちゃん!!!」 もうすでにケロちゃんでも間に合わない、ネギは矢を止めようと手を出したが紙でできた手、矢はまったく衰えることなくネギの手を吹き飛ばして木乃香へと向かった。 「くっ」 「兄貴!」 (木乃香さ・・・) 腕を吹っ飛ばされた型紙のネギが後ろを振り返った時、矢はもうすでに木乃香の目の前まで来ていた。 だが・・・ 「木乃香さんは死なせません!」 ―――ダン! 桜に木乃香の事を頼まれていたミラーは木乃香を死なせまいと木乃香の前へ飛び出し矢を自分の体で受け止め矢は何とか先端がミラーの右肩を貫通したところで止まる。 「ミラーさん!」 「ミラー!」 (こ・・・これで良いんです・・・桜さんのお願いですから・・・) 矢に撃たれたミラーは矢の勢いのまま屋根上からそのまま何もない空中へと身を投げ出されまっさかさまに下の地面へと落下して言った。 「桜ちゃ〜ん!」 「あーーー!」 「木乃香姉さん!!」 ミラーが落ちた瞬間木乃香は条件反射のようにミラーを追いかけるようにお城の屋根上から飛び降りて桜姿のミラーをかばう様に抱きついた。 (あれ・・・木乃香・・・さん・・・) ミラーが木乃香に気づいた時木乃香とミラーは光に包まれ二人はゆっくりと地面へ落ちていき木乃香がミラーをお姫様抱っこするようにして着地した。 「桜ちゃん・・・よかった」 「あれ・・・なんともない、木乃香さん力をお使いになったんですか?」 自分も分らない巨大な魔力を使った木乃香、おかげでミラーは重症なはずなのに傷がなくなってしまっている。 「う・・・ウチ今何やったん?夢中やったから・・・」 「ミラー!」 「木乃香さーん!」 「ケルベロスさん」 ネギが型紙小版になり頭にカモを乗せてケロちゃんと一緒にミラーのところへ飛んでくる。 ケロちゃんはミラーの無事を確認するとホッと一息ついた。 「ホッ・・・大丈夫やったんやな、ミラーになんかあったらワイが桜にどやされる所やったで」 「ちょちょ・・・ケルベロスさん」 「ん・・・なんや?」 なにかミラーがケロちゃんに伝えようとしているがケロちゃんはそれが何かまったく気づかない。 そしてケロちゃんがなんかな?と後ろを振り返ると目の前に木乃香の顔がドアップであった。 「ぬいぐるみが喋っとるー!!!」 「わ〜〜〜!!!!おったんかいな木乃香姉ちゃん!」 「さっきからずっと居ましたよ・・・」 木乃香の存在になぜかイキナリ気づいたケロちゃん、ミラーはそんな大ボケなケロちゃんにツッコミを入れる。 「なあなあこのぬいぐるみさんって桜ちゃんがよく持っているぬいぐるみやね、どうやって動いとるん?」 「え〜え〜っと・・・ですね〜・・・」 「お嬢はんの式神みたいなもんどすな・・・・」 ミラーがどう言い訳しようかと考えてる時にイキナリ現われてそれをぶち壊す。 「つ・・・鶴子さん・・・」 「し・・・式神って凄いやんまるでアニメみたいやなぁ・・・で式神ってなんや?」 「ズコー!・・・知らんのかい!!」 言っておきながら式神の事を知らない木乃香、それにケロちゃんがコケながらツッコミを入れそれはまるで漫才みたいなものである。 「良いんですか、隠さなくて?」 「別にかまわんどす、どうせ木乃香お嬢様はここで知られなくても歳が来れば知る事になるお人やから」 木乃香も関西呪術教会の娘、歳が来れば魔法などの事を知る事がいずれ来る、それが早まっただけの事であるからなんら問題もない。 「なあなあ、名前なんて言うん?」 「まあええ・・・ワイは封印の獣ケルベロスや、木乃香姉ちゃんよろしゅーな」 「ケルベロス・・・ケロちゃんか〜、なんか始めてやない気がするけどよろしゅ〜」 「ケロちゃんて・・・桜と言い木乃香姉ちゃんと言いなんで女はワイを一目見てそんな蛙みたいなあだ名付けるんかな〜」 前々からケロちゃんをちゃんとケルベロスと呼ぶのはネギや小狼やユエやクロウ・リード(エリオル)男達ばかり、女はいつもケロちゃんと言うのだがケロちゃんにとってはツッコミどころ満載である。 「それよりも・・・そろそろ刹那はんと月詠はんの戦いを止めないけまへんな〜」 「ほんまや〜せっちゃんなんかまだやってるやん」 もう戦わなくて良くなっても今だに全力でぶつかりあっている刹那と月詠、二人はそれほどまで鶴子の折檻が嫌なのである。 「ほなワイが真の姿戻って止めてこよか?」 「いや・・・ウチが止めてきましょ、ケルベロスはんの場合二人を倒してまわな止められんやろ」 「そうなんか?・・・じゃあ姉ちゃんに任したわ」 鶴子はケロちゃんの前に手を出すと刹那と月詠のすぐ近くまで歩いていきもの凄い殺気を出して一言・・・ 「刹那はん月詠はん・・・や・め・な・は・れ」 その瞬間刹那と月詠は一瞬にして戦とうを止め、双方涙を流しながら抱き付き合った。 「ひ・・・ヒィィィィイ〜〜〜わ・・・わかりました〜〜〜!!!」 そして抱き付き合ってることに気づいた刹那と月詠は即座に離れ、月詠は周囲を見回すとその場から逃げるように離脱し始めた。 「そ・・・それでは私は退散させていただきます〜」 「月詠はん・・・次あった時まだ手を引いてなかったら・・・分りますやろ」 「に・・・逃げるです〜〜〜〜!!!!!」 「ガタガタブルブルガタガタブルブル・・・」 鶴子の一言で余計に逃げるスピードを増量して行く月詠、刹那は鶴子の異様な殺気にガタガタと震えている。 「す・・・凄いですね鶴子さん・・・」 「これはかの有名なにらみ倒しやな」 「だからケルベロスさん、漫画が違いますって・・・」 喧嘩○段の異名をとる人が出てくる漫画ではないのでケロちゃんにツッコミを入れるミラー。 「さて、他のお嬢さん方も起こしてご実家へ向かいましょか木乃香お嬢様・・・」 「木乃香姉ちゃんのご実家言うと関西呪術教会本山やな姉ちゃん?」 「そうどす、もともとウチがここに来たのは長の詠春はんに木乃香お嬢様たちを連れて来はるように頼まれたからどすから」 「へ〜そうやったんか〜、それならもうそろそろ桜達も決着ついてそこらへんのも起き出すころやしちょうどええやろ」 「ええ・・・桜さん達やネギ先生(本体)達と合流しましょう」 そして本当におき始めた知世達含む一般人達、それらが起きると鶴子は知世だけ連れてその場から退散した。 ―――そして、今回失敗した鶴子達は建物の陰に隠れていた。 「ああ〜〜〜怖かったです〜」 「本当に怖いお人みたいどすな青山鶴子と言うのは・・・」 「まあそ〜ですね〜神鳴流であの人に奇跡的に黒星を唯一付けられたのは妹さんの現師範青山素子お姉様だけですし〜」 「神鳴流であの人を怖がらない人なんて片手で数えられるぐらいしか〜」 「そうですね、あの方とは今後できるだけ戦いたくはありません、あのまま本当に戦っていたら今僕がここに立っていられたかどうかわかりません」 「さて・・・そんな事より今日の夜も行きますからちゃんと準備しとくんやで」 <第三十一話終> 『ケロちゃんの次回予告コーナー』 「こにゃにゃちわ〜!」 「今回もケロちゃんのの次回予告コーナーがやってきたで〜!」 「さて今回のゲストは・・・」 「この小説の高校の頃の部活と同じ水泳部の大河内アキラ姉ちゃんや〜〜〜!!!」 「おはようございます」 「さてさて〜今回は本編に一万字以上やってもたからもう時間がないからとっとと次回予告行くで〜!」 「さて次回のタイトルは・・・」 「『さくらとサクラと呪術教会』です」 「ついにであったさくらとさくら」 「そしてダブル桜に暴走する知世」 「小娘の折檻に長のおっちゃんは生き延びる事ができるのか〜〜!!!」 「が次回の見所です」 「さてもうそろそろ今回もおしまいですねケルベロスさん」 「そうやな・・・ん、さっきワイの事ちゃんと名前で呼んでくれんかったか?」 「え・・・そうですけど・・・ケルベロスさん」 「う・・・う・・・う・・・姉ちゃんだけや〜女でちゃんとワイの事名前で呼んでくれたのは〜」 「桜も知世も初めからケロちゃんケロちゃん・・・アスナ姉ちゃんも木乃香姉ちゃんもそうやった・・・」 「ゼロッちと茶々丸の姉ちゃんはちゃんと呼んでくれんのにロボットと人形やったし」 「この小説で始めて名前で呼ばれた〜〜〜〜!」 「そんなに喜ばなくても・・・」 「さてそれじゃあそろそろおしまいやな」 「もうあと一週間くらいで夏休みも終わりやけど魔術×魔法はまだまだ続くで〜」 「それじゃあアキラ姉ちゃんも一緒に〜〜〜!!」 「ほなな〜」「さようなら」 <終> |