第6話
カモが来て3日がたった。 ネギの使い魔となったカモだったが、はっきり言ってたいした戦力にはならなかった。 本屋こと宮崎のどかと仮契約させようとしたり、アスナと仮契約し、茶々丸を二人がかりで倒そうとしたが失敗に終わった。 そのうえ、実のところは下着ドロして逃亡してきたのだと言う。 茶々丸を襲撃した次の日、このかが出かけた隙に3人と1匹はアスナたちの部屋に集まっていた。 「お前、何しにきたんだよ?」 呆れて言う機龍。 「ダンナ〜、そりゃきついでっせ」 「でも、本当じゃない」 「ぐわっ!!」 アスナにドドメをさされる。 「とにかく、絡繰くんを襲撃したことがマクダウェルに知られたらマズイ」 「そうっスね。報復に来られたらカタギの衆にも危害が及ぶ可能性が………」 「!! ちょっ、ネギ!!」 突然叫んだアスナの見ている方を向くと、ネギが杖で窓から飛び立とうとしていた。 「!! ネギ先生!!」 「うわあぁ〜〜ん!!」 窓から飛び立つネギ。 と、 「でりゃあぁぁぁーーーー!!」 なんと機龍は窓からジャンプしてネギの杖の後ろを掴んだ。 「神薙先生!?」 「なんて無茶な!!」 そのまま飛び去るネギと機龍。 「大変!! 早く追わないと!!」 「合点っス!!」 「ネギ先生! 落ち着いて!!」 「もうほっといてください!!」 言い争いながら飛んでいる二人。 「逃げたってなんの解決にも………って、前、前!!」 「えっ!?」 言い争いに夢中になり、目の前に迫った木に気づかなかった。 「うわっ!?」 「うおっ!?」 激突し、落下する二人。 「くっ!!」 とっさに機龍は左手でネギを掴み、右手で手近な木の枝を掴んで落下を防ぐ。 「ふ〜〜……」 一安心の機龍。 が、次の瞬間、ベキッと音をたて、枝が折れた。 「いい!!」 「えっ!?」 再び落下する二人。 「うわ〜〜〜!!」 「お約束〜〜〜!!」 幸いなことに、川に落下したため怪我を負うことはなかった。 「ぷはっ!! ネギ先生、大丈夫ですか?」 「ゲホッ、ゲホッ、な、なんとか」 山の奥地にしか見えない秘境の森の中に落ちた二人。 「まいったな〜(汗)」 「あうぅ、杖もなくしちゃった。……どうしよう」 「とりあえず、その辺を見てみましょう。何か役にたつ物があるかも」 辺りの茂みをあさってみるが、何も出てこない。 「何もないな………ん!!」 「どうしました?」 「何か近づいてきます………」 「ええっ!!」 慌てて機龍の後ろに隠れるネギ。 機龍はマグナムを取り出す。 しかし……… 「!! しまった! 湿気てる!」 「ええっ!!」 川に落ちたとき、火薬が湿気てしまったようだ。 なおも接近する気配。 そして、影が茂みから現れた。 「ひっ!!」 「くっ!!」 と、その影が話しかけてきた。 「おや? 誰かと思えば……ネギ坊主に機龍殿ではござらんか」 「! 君は」 「な、長瀬さん!!」 3−Aのクラスメイト、長瀬楓だった。 「うわ〜〜ん、助かりましたーーーーッ」 思わず楓に抱きつくネギ。 「おとと、よしよし。先生、落ち着くでござるよ」 「なんにせよ、助かった」 楓の修行場へと案内された二人。 ネギの様子を心配した機龍は一日ここで過すことにした。 「すまんな、突然やってきて不仕付けな願いしちまって」 「かまわないでござるよ、ニンニン」 「………君、忍者なのかい?」 「なんのことでござるか?」 白々しくとぼける楓にそれ以上追求しない機龍。 (………ま、いっか) いいのか!! 「それでは、修行開始でござる」 その後、機龍たちは楓の修行に付き合い、一日を過ごした。 川で魚を取ったり、山菜を取ったり(楓が分身してた)、絶壁の上のキノコを取りに行ったり、ハチミツを取ろうとして熊に襲われたり(機龍がキ○肉ドライバーで撃退)した。 なんだかんだありながら楽しく過ごし、ネギに笑顔が戻ってきた。 「湯加減はどうですか? ネギ先生」 「はい、とってもいいです」 「それはよかったでござる」 日が暮れたころ、楓の入れた露天風呂ならぬドラム缶風呂にネギは入っていた。 ちなみに、機龍は薪をくべ、楓は火加減を調節している。 「あれ? 薪が残り少ないな。ちょっと取ってきますね」 「あ、機龍さん!」 森へと消えていく機龍。 「大丈夫でござるよ。機龍殿なら」 「でも………」 「それよりもネギ坊主」 「はい?」 「拙者もフロに入らせてもらうでござるよ」 「えっ!!」 森の中で薪拾いをする機龍。 と、気配を感じ振り向くと楓が立っていた。 「長瀬くんか。どうかしたか?」 「お主、何者でござるか?」 「………なんのことだ?」 目を鋭くする機龍。 「お主の身のこなしは戦う人間の動き………それも自衛官などという平和ボケしたようなものではなく、まるで昨日まで戦場にいたような者のものでござる」 「…………」 「もし、お主がネギ坊主に危害を加えることがあれば………」 クナイを手に構える楓。 「拙者が相手になるでござる」 睨み合いが続く。 と、機龍は肩をすくめるとため息をついた。 「やれやれ、まいったな。安心しろ、そんなことはしないさ。俺は子供は結構好きなんだ」 「本当でござるか?」 「俺の名にかけて誓うぜ」 楓を見据えて言う機龍。 「わかったでござる。どうやら、信用できそうでござるな」 「そう言ってもらえると、助かる」 「では、御免」 ボンと音をたて消える楓。 「分身か………鋭い子もいたもんだ」 薪を持って森を出る機龍。 「おまちど〜」 「ご苦労様でござる」 「………………(赤面)」 「ネギ先生、のぼせたんですか?」 赤面しているネギを見て言った。 「い、いえ!! なんでもないです!!」 「はあ………??」 「ニンニン」 その後、ネギと楓はテントで、機龍は外で寝た。(楓がいっしょでいいと言ってきたが、断った) 一夜明けて……… 「ん………朝か」 朝日で目を覚ます機龍。 と、先に起きていたのか、ネギが杖を持って佇んでいた。 その顔は爽やかな笑顔だった。 「ネギ先生」 「あ、機龍さん、おはようございます」 「吹っ切れたみたいですね」 「はい。僕、がんばります!」 「その意気ですよ。いざって時は俺も手を貸しますよ」 「はい、ありがとうございます」 「それじゃ、帰りますか」 「はい」 杖に乗り、飛び立つ二人。 その様子を楓はテントの隙間から窺っていた。 (行くでござるか………) 「魔法使いって本当にいるんでござるなー、拙者も人のコトは言えんでござるが」 (機龍殿………頼んだでござるよ) 途中、遭難しかけてたアスナとカモを拾い、二人は麻帆良へと戻った。 決戦の時は近い……… NEXT |