第14話



茶々丸と騎士との睨み合いが続く。

「絡繰くん! 気をつけろ!!」

「心配するな。茶々丸はあんなポンコツには負けん」

自信満々に言うエヴァだが、機龍は不安を覚える。

と、ここで騎士が動いた。

茶々丸に体当たりを見舞う。

「ハハハハ、そんな攻撃が茶々丸に当たるか!!」

しかし、

[あ!?]

「なっ!?」

茶々丸はもろに食らってしまう。

「ええい!! 茶々丸!! 何をやっている!!」

「落ち着いてください、エヴァンジェリンさん!!」

飛び出して行きそうになるエヴァをネギが抑える。

「ほら、まだ病み上がりだから本調子じゃないのよ」

「だといいが………」

弁護するアスナに機龍は疑念混じりに言った。


その後も茶々丸は不調を続けた。

簡単に避けられる攻撃を喰らい、倒れる際には受け身を取らず、見当違いな技をお見舞いしようとして自爆する。

「おい、幾らなんでもおかしいぞ。アレじゃまるで素人の戦い方だ」

「そんな!! 茶々丸には超高性能コンバットプログラムが内臓されてるのに!!」

慌ててノートパソコンを開き、茶々丸の状態をチェックするハカセ。

その間にも、茶々丸は騎士の攻撃を喰らい続ける。

「茶々丸さん! ロケットパンチよ!!」

見かねたアスナがアドバイスを飛ばす。

はっ、としたように自分の腕を見る茶々丸。

騎士が接近する。

「むこうから飛びこんでくるとは好都合だ!! 茶々丸!! ロケットパンチでボコボコにしてやれ!!」

「出るぞ!! ロケットパンチ!!」

誰もが騎士にロケットパンチを決める茶々丸の姿を想像した。

が、

[????]

騎士が困惑する。

「………えっ!?」

「な………!?」

「何をやってるんだ、絡繰くん!?」

機龍たちも呆然とする。

「ロケットパンチを………」

「手で投げつけるなんて………」

なんと、茶々丸は自分を腕を自分で外して、騎士に投げつけたのである。

反動で返ってきた腕を再び騎士に投げつけるという行為を繰り返す茶々丸。

「これは!?」

パソコンをいじっていたハカセが驚愕する。

「どうした? ハカセ」

「………コンバットプログラムが………消去されてる!!」

「何だと!?」

エヴァが驚愕する。

「それじゃ、今の絡繰くんは戦闘のことを一切知らない素人だというのか!?」

「私としたことが………こんなことに気づかなかったなんて………ゴメン、茶々丸………」

「ハハハハ!! 所詮、東洋のロボットなどその程度よ!!」

高笑いが響き、機龍たちの反対側方にスキンヘッドと貴族ヒゲに単眼眼鏡を掛けた、スーツに蝶ネクタイという鉄○28号のビック・ファ○ヤ博士にそっくりの男が現れる。

「!! 何者だ、貴様!!」

「私の名はバーニング博士」

(………名前までファ○ヤ博士と似たり寄ったりだな)

こんな時に検討違いなこと思う機龍。

「東洋の辺境の島国に世界一のロボットがいると聞いてきたが、とんだ見当違いだったな。そんな、鉄クズみたいま物が世界一のロボットだとは片腹痛いわ!」

「!! 茶々丸さんは鉄クズじゃありません!! 僕の………大事な生徒です!!」

バーニング博士に反論するネギ。

「フン、馬鹿馬鹿しい。ロボットは人間に使われてこそ意味がある。それを大切だ? 生徒だ? くだらんな。葉加瀬聡美とやら、貴様はとんだ落ちこぼれ科学者だな。ハハハハ!!」

ネギの言葉を否定し、ハカセを侮蔑するバーニング博士。

「……………」

耐え切れず涙するハカセ。

[…………うな]

と、声が響いた。

「何?」

その声の主は茶々丸だった。

「絡繰くん!?」

「茶々丸!?」

「茶々丸さん!?」

間接の隙間から湯気を噴き出す茶々丸。

[ネギ先生を…………ハカセを…………笑うな!!]

叫びと共にブースターを全開にして騎士に体当たりする茶々丸。

「むおっ!? バーニングII世!!」

(………ロボの名前までファ○ヤII世そっくりかよ)

秘かに心の中でつっこむ機龍。

茶々丸は倒れた騎士に馬乗りになると、顔面めがけてパンチを振り下ろす。

ガンガンという音と共にバーニングII世の兜が変形していく。

だが、茶々丸の拳もひび割れていく。

しかし、茶々丸はかまわず殴り続ける。

「ちゃ、茶々丸………」

あまりの茶々丸の変わりようにエヴァさえ言葉を失う。

「マズイネ! あのままじゃ、逆に自滅するネ!!」

「ちゃ、茶々丸さん!! 落ち着いて!!」

しかし、アスナの声が聞こえないのか、茶々丸は攻撃を続ける。

「ええい!! いい気になるな!! バーニングII世!! 振り払え!!」

パワーに任せて茶々丸を投げ飛ばすバーニングII世。

[うっ!!]

背中から地面に叩きつけられ、よろめきながら起き上がる茶々丸。

その隙をつき、騎士は突進すると茶々丸の首めがけて、剣を横なぎに振る。

「あぶなーい!!」

「茶々丸!! 避けろー!!」

「だめだ!! 間に合わん!!」

が、その時、ネギが飛び出し、茶々丸に飛びついて騎士の攻撃をかわさせた。

「うわっ!!」

[!! ネギ先生!!]

もつれ合って倒れこむ二人。

庇った時に斬られたのか、ネギの頬から血が流れる。

「ネギ先生!!」

「ネギ!!」

「ぼーや!!」

思いがけない展開に驚く一同。

「大丈夫ですか? 茶々丸さん」

[ネギ先生………どうして………?]

ネギを支えながら起き上がる茶々丸。

「茶々丸さんは鉄クズなんかじゃない………茶々丸さんは………僕の生徒です………生徒を守るのは………僕の役目です!!」

[!!!!]

その時、茶々丸の中で何かが弾けた。

「え………うそ、そんな!!」

パソコンの画面を見て驚愕するハカセ。

「どうしたネ、ハカセ!?」

「コンバットプログラムが………修復されていく!!」

「何だと!!」

横で聞いていたエヴァも思わず驚愕する。

「茶々丸が自分でプログラムを修復させているのっていうの!? ありえないです!!」

「ありえないことを可能にする………ネギ先生の師弟愛と勇気が………絡繰くんに奇跡を起こしたんだ!! これぞ友情パワー!!」

機龍が拳を握って語る。

「………アニメみたい」

呆れるアスナ。

[コンバットプログラム………修復完了!!]

茶々丸が拳を握る。

「茶々丸さん!」

[ネギ先生!]

「ええい、なんだか分からんが、とにかく、バーニングII世!! そいつらを片付けろ!!」

二人に突進するバーニングII世。

「いきましょう!!」

[! はい!!]

二人はその突進を横にかわすと、ネギが右腕、茶々丸が左腕を掴み、ネギが腹、茶々丸が顔面にキックをお見舞いする。

「なっ!?」

驚愕するバーニング博士。

しかし、二人の攻撃は終わらない。

ネギが離脱し、茶々丸は素早く背後に回ると、バーニングII世の腰に乗り、足を絡めると腕を背中に持ってきて締め上げる。

「! あれは!!」

「「「「パ○・スペシャルだ!!」」」」

そのままバーニングII世の腕をバキッとへし折る。

力なく地に伏せるバーニングII世。

「うわぁ!! バーニングII世!!」

悲鳴を挙げるバーニング博士。

「今度は僕の番です!!」

ネギは倒れたバーニングII世を素早く持ち上げると、背中から両肩に担ぎ、右腕で首、左腕で右腿を固定して締め上げる。

「「「「タワー・ブ○ッジだ!!」」」」

再び驚くアスナたち。

メキメキと音がしたかと思うと、バーニングII世は腹から真っ二つにへし折れた。

「決まった!!」

バーニングII世だった残骸は床に落ちると、機能停止した。

「やりましたね! 茶々丸さん!!」

[はい! ネギ先生!!]

ガッチリと握手する二人。

「なんということだ!! バーニングII世があれしきのロボットに敗れるとは………くっ、覚えていろ!!」

お決まりの捨て台詞を吐いて、逃げようとするバーニング博士。

しかし、後ろを向いて走り出した途端、壁にぶつかった。

「な、なんだ!?」

思わず見上げると、それは壁ではなく、いつの間にか回り込んでいた機龍だった。

「おっと! いまさら逃げるなんて都合が良過ぎるぜ!!」

「ぬお!?」

すばやく機龍はバーニング博士を右肩に逆さに担ぎ上げ、両腿から固定してジャンプする。

「「「「あれは!?」」」」

「くらえ、キ○肉バスター!!」

身体を床に叩きつける機龍。

「グハッ!!」

衝撃でバーニング博士は気絶した。

「まいったか、悪党!!」

全員が一瞬、機龍の額に肉のマークが浮かびあがったように見えたのは錯覚だと信じたかった。


その後、バーニング博士は警察に引き渡され、事件は無事解決した。

ハカセにベ○ークローを作ってもらい、ス○リュードライバーの練習をするようになった茶々丸に、エヴァが頭を悩ませたということ以外は………(笑)


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