第29話



杖に乗り、ネギは千草を追い、まっしぐらに飛んでいた。

「兄貴!! 感じるかこの魔力! 奴ら何かおっぱじめやがったぜ!? 急げ!」

「分かってる、加速!!」

呪文を唱え、一気にスピードを上げる。

(アスナさん! 刹那さん! 龍宮さん! どうか御無事でいてください!………そして、機龍さん! 早まらないでください!!)

残った一同を心配しつつ、ネギはさらに加速する。


バトルフィールド・機龍

「ファイヤ!!」

機龍の掛け声と共にショットガンを発砲するフェニックス。

アシュラを1機、スクラップにした。

[ショットガン、残弾0!! 敵機、残り273機!!]

「サーマルプラズマライフルを転送要請!!」

[Yes!!]

弾切れしたショットガンを捨て、秘密施設から転送されたプラズマライフルを取り、ヴァリムPF軍団に掃射する。

「戦いは爆発だーーーー!!」

「むっ!!」

タルカス・デストロイヤーから放たれたナパームミサイルをシールドで防ぐ。

[シールドにダメージ!! 残り耐久力、54%!!]

「まだまだ!!」

怯まずに応戦する。

「さあ、来い!! 神薙機龍が相手だ!!」


バトルフィールド・アスナ、刹那、真名

「このぉ!!」

ハマノツルギでまた1匹、鬼を送り帰すアスナ。

「神鳴流奥義………百烈桜華斬!!!」

退魔の剣、神鳴流の技を炸裂させ鬼を斬り捨てる刹那。

「シュツルム・アングリフ!!」

そして、アーティファクトの名、トロンベ(竜巻)のごとく、踵のローラーで高速移動しつつ、ランツェ・カノーネで鬼たちを撃ち抜き、あるいは銃身の先端の刃で叩き斬る。

鬼たちの数は確実に減っていった。

「ひゃ……150体の兵が3分で半ばまでも……!? ば……化け物か! この嬢ちゃんたち!!」

「あんたが言うな」

意外なアスナたちの強さに戸惑う鬼たち。

状況はアスナたちが有利かと思われた。

「よーし! いける!! 後はネギがこのかを取り返して来て、機龍先生が勝ってくれれば………」

とアスナが言いかけた時、カラスのような鬼が大剣で斬り掛かってきた。

「ぎゃ!?」

何とか防ぐものの防戦一方となる。

「む………烏族!? アスナさん!!………くっ!!」

強敵の出現に苦戦するアスナを援護しようとする刹那だが、自分も手だれが相手なので気が抜けない。

真名も自分の相手に手いっぱいのため、助けに行けない。

「なかなかやるなあ嬢ちゃん! しかし某は今までの奴とはちと出来が違うぞ!?」

ガードを空けられ、連撃を叩き込まれ、吹き飛ぶアスナ。

「あうっ!!」

背中を強か打ち、涙目になる。

「つぅ〜〜〜〜〜っ!!」

「アスナさん!!」

「神楽坂!!」

刹那と真名の心配を受けながらも立ち上がるアスナ。

「だ……大丈夫………これぐらい、機龍先生の苦労に比べれば………」

アスナの言葉に反応するかのように機龍が戦っている場所からの爆炎と爆音が激しくなる。

「………そうですね」

「あっちは命を張っているんだ。私たちも頑張らないとな!!」

「行くわよ〜〜〜〜!!」

再びカラスのような鬼に向かって行くアスナ。

真名と刹那も奮闘する。


バトルフィールド・ネギ

「見えた!あそこだ!!!」

ついにネギは眼下の祭壇にいる2体のPFと足元の人影、そして、空に上がる光の柱を捕らえる。

「こ、この強力な魔力は……!? 儀式召喚魔法だ!! 何か、でけえもんを呼び出す気だぜ!!!」

驚き叫ぶカモ。

「兄貴、急げ!! 手遅れになる前に!!」

「大丈夫、いける!! まだ間に合うよ!」

と、更に加速しようとしたその時、背後から黒い影が迫って来た。

「え!?」

影は犬の形となり、ネギに襲い掛かる。

「風楯………!!」

ガードが間に合わず、撃墜される。

「わああっ!?」

落下するネギ。

「くっ!! 杖よ……風よ!」

しかし、魔法で風を起こし、地面に叩きつけられることは回避する。

だが、そこに現れたのは………

「ようネギ。へへっ、嬉しいぜ。まさか………こんなに早く再戦できる機会が巡ってくるたぁな」

「!! 君は!!」

「ここは通行止めや!!  ネギ!!」

「コ………コタロー………君!!?」

そう、犬上小太郎だった。

(こ、こいつは……マズイ!!!)


バトルフィールド・機龍

「どわっ!!」

シールドが破壊され、よろけるフェニックス。

[シールド欠損!! 機体ダメージ35%!! 稼働率12%低下!!]

「マシンガン転送要請!! 敵の残りは!?」

[216機です!]

再び弾切れしたプラズマライフルを捨てると、今度はマシンガンを転送してもらう。

シールドがなくなり、空いた左手には刀を持つ。

シールドだけでなく、各部の装甲もかなり損傷している。

特に右肩のアーマーは吹き飛び、内部が露出していた。

「ヒャアハハハ、そろそろ限界か!? 散り様は俺が派手に決めてやるぜ!?」

嘲笑うビックボム。

「お断りだ!! まだ、散り行くつもりはない!!」

そう言って、近くにいたイリアに横薙ぎに斬り掛かり、胴から真っ二つにする。

「俺が散り行くとき………それは惑星Jと第2地球に平和が訪れたときだ!!」


一方、その頃、機龍たちの戦場から少し離れた森の中にて………

「来てくれたですか!!」

「ネギ坊主とクラスメートの危機でござる。駆けつけぬ方がおかしいでござるよ。ニンニン」

「私は強い奴と戦えるなら何でもいいアルよ!」

バカレンジャーのリーダー、バカブラックこと綾瀬夕映を筆頭に、バカブルー・長瀬楓、バカイエロー・古菲が集まっていた。

本山が爆撃されたとき、爆音と振動で気絶していたと思われた夕映だが、実はすぐに意識を取り戻し、事の一部始終を聞いていたのだ。

もちろん、全てを理解できたわけではないが、危機が起こっているということだけは理解できた。

フェニックスが飛び去った後、本山の者たちの目を盗み、こっそりと消えると、武闘四天王の残り2人、楓と古に応援を要請したのだ。

「とにかく、急ぐでござる。機龍殿がついているとは言え、油断は禁物でござる」

「………機龍!? 今、機龍と言ったか!?」

突然、後ろから楓と古の後ろから声が響いた。

楓と古が振り向くと黒い軍服に、裏地が赤で表地には剣を銜えた狼のマークの入った黒いマントを羽織り、後ろ腰に刀身が包帯に巻かれた大剣、両脇腰には巨大な拳銃を持った、ロングの銀髪に左目が赤、右目が青のオッドアイの男がいた。

(!! いつの間に!? 全く気配を感じなかったでござる!!)

男の接近に気づかなかった自分を呪う楓。

もし、この男が敵なら、ネギたちを助けに行くどころか、自分たちの身が危ない。

「機龍とは神薙機龍のことか!?」

「………だとしたらどうするでござる」

殺気を出しながら、臨戦体勢に移る楓と古。

「むっ………」

殺気を当てられ、反射的に後ろ腰の大剣に手を掛ける男。

少しの間、睨み合いが続く。

と、その時、

「ジン〜〜〜!! どうしたの〜〜〜!?」

と言う声と共に現れたのは、背中から天使のような純白の羽を生やした(羽毛まで散っている)、桜色のカラーリングの重装備のロボットだった。

「「「なっ!?」」」

意外な人物? の登場に固まる楓たち。

「サクラ、PFごと出てくるな。驚かれてるぞ」

「ほえ?」

と、いち早く復活した夕映が思わず呟いた。

「ふぇ、フェニックス………??」

そう、そのロボットはシネマ村、そして、本山で機龍がフェニックスと呼び出していたロボットに酷似していた。

「ほえ? 違うよ、私のはJランチャーだよ。Jフェニックスじゃないよ〜」

「ツッコムところが違うだろ………しかし、Jフェニックスを知っているということは、やはり、君たちの言う機龍はリーダーのことだったのか」

「リーダー?」

「どういうことでござる?」

と、事情を問いただそうとした時、爆発音が聞こえてきた。

「!! サクラ!!」

「わかってる!! ランくん!!」

[はい、サクラさん。今の爆発はPF同士による戦闘のものです]

自機のAIが状況を知らせる。

「やっぱり!!」

「間違いない! この星でPF同士で戦うとしたらリーダーと………」

「ヴァリム軍ね!!」

「お主たちは一体!?」

状況について行けない楓たち。

「時間がない!! 議論は行きながら話す!!」

爆発音のした方向に走り出す一同。


この出会いが、後に勝利の決め手になるとは、この時、楓たちは知るよしもなかった。


NEXT


新キャラ・メカ紹介
ヴァリム側

名前:ハクヤ・ロウ

性別:男

年齢:18歳

階級:少尉

武器:鎖、体術

所属:ヴァリム共和国軍強行侵略偵察部隊ヘルキラーズ小隊小隊員

趣味:強敵と戦うこと

備考:白髪を無造作に伸ばしている。

孤児だったのをヴァリム軍の特殊兵士訓練所に拾われる。

鎖を使った喧嘩殺法を得意とする。

数々の戦線で多大なる戦果を挙げていたが、それに満足できず、ヘルキラーズ小隊へと志願する。

強い者と戦うことを何よりの楽しみにしており、第二地球で出会った機龍を今まで出会ったことのない強敵と認め、宿敵(ライバル)としている。

常に対等・正々堂々を心がけ、宿敵との勝負のためなら組織の作戦も無視、最悪妨害するというどこまでも戦う漢。

上層部からは問題児扱いされている。


機体名:シロヤシャ

搭載AI名:シェン

動力:呪術融合炉

装甲材質:錬金護符合金

基本武装:錬金護符合金製チェーン(右腕装備 伸縮自在)

炸裂式ボールディング・バンカー(左腕装備 爆薬入りの杭を敵に打ち込み、内部から破裂させる)

ギルレッグ(両足装備)

ベアリング弾内臓バックパック(背部装備)

備考:ハクヤの専用機。

格闘戦に特化したヤシャ。

機体は白色に染まっている。

ハクヤの主義により、近距離による攻撃のみを行なう。

かなり柔軟な動きを得意とする。

呪術で動力と装甲が強化されている


名前:ビッグボム・マイヤー

性別:男

年齢:20歳

階級:中尉

武器:手榴弾、ダイナマイト、火薬系武器

所属:ヴァリム共和国軍強行侵略偵察部隊ヘルキラーズ小隊小隊員

趣味:爆破、爆発を見ること、火薬いじり

備考:スキンヘッドの頭に派手なバンダナを被り、レンズがやたら鋭い形をしたサングラスをした筋肉質体系。

爆破による破壊を何よりも快楽としている危険な男。

とにかく派手に、そして残忍な爆破を好む。

その存在自体が爆発な奴。


機体名:タルカス・デストロイヤー

搭載AI名:ダイト

動力:呪術融合炉

装甲材質:錬金護符合金

基本武装:ミサイルポット付きバックパック(背部装備)

バズーカ(右手装備)

グレネードランチャー(左手装備)

ハンドボムポット(両肩装備 広域手榴弾放射ポット)

ナパームミサイルポット(両足装備)

備考:ビッグボムがカスタマイズしたタルカス。

灰色のボディー全体が火薬武器の倉庫。

かなりの装備のため動きは鈍いが、その分、装甲が厚く、撃破は困難。

その名のとうり、全ての敵を破滅させるもの(デストロイヤー)。


名前:ヴェル・へラー

性別:女

年齢:不明

階級:大尉

武器:大鎌、電磁鞭

所属:ヴァリム共和国軍強行侵略偵察部隊ヘルキラーズ小隊小隊長

趣味:弱者を甚振ること、高みの見物

備考:赤いロングストレートの髪型。

外道が形になったような奴。

目的のためには手段を選ばない。

高飛車で冷酷。

全てのものを自分の役に立つか立たないかの基準で見ている。

惑星Jにいた頃は、フォルセア・エヴァと共にマンマシン計画に携わっていた。

魔法や呪術の力に目をつけ、ヴァリムの兵器として利用しようと企む。


機体名:デビルオードリー

搭載AI名:ヘル

動力:呪術融合炉

装甲材質:錬金護符合金

基本武装:ダークウイング(背部装備 悪魔型の翼)

インフェルノ・サイズ(右手装備)

エレクトロ・ピュート(左手装備)

火炎放射機(後ろ腰携帯)

備考:ヴェル専用の銀色のオードリー。

残虐性に溢れた機体。

かなりの高機動型で、今までにこの機体に傷をつけた者はいない。

高度なステルス機能も搭載している。


前へ 戻る 次へ