第30話
バトルフィールド・アスナ、刹那、真名 鬼たちを相手に押していたアスナ達だったが、次第に強い鬼達が出てきて、次第に形勢は鬼達へと傾いていった。 「このっ!! このっ!!」 カラスのような鬼相手にハマノツルギを振るアスナ。 しかし、鬼は巧みにかわし、逆にアスナの腕を取り宙吊りにする。 「あっ!!………や………離しなさいよ! このぉ!!」 宙吊りされた状態でカラスのような鬼の腹を蹴とばすアスナ。 しかし、まったく効いていない。 「アスナさん!! くっ!!」 振り下ろされた棍棒を刀で受け流す刹那。 「神鳴流の嬢ちゃんはわしらが相手じゃ」 オヤビンと呼ばれていた鬼とさっきまで相手をしていた狐面を被ったような鬼が立ちはだかる。 真名も相変わらず複数の手だれを相手に苦戦していた。 (くっ!! 状況が悪くなった!! このままでは!!) と、刹那が思案していた時、森の先から光の柱が上がる。 「!? あ、あの、光の柱は!?」 「どうやら雇い主(クライアント)の千草はんの計画は上手く行ってるみたいですなー。まあ、ウチには関係ありまへんけどなー、刹那センパイ!」 驚く刹那の前に月詠が現れる。 「つ………月詠!!(こんな時に!!)」 状況は一瞬にしてアスナ達の劣勢となった。 (くっ、仕方ない!! ここは最早、あの力を使うしか………) しかし、その時!! 突然茂みから現れた人影がアスナを宙吊りにしているカラスのような鬼の前に立った。 「何!?」 「ホーーーーー!! アタァ!!」 驚くカラスのような鬼の腹に鉄拳を叩き込む。 「ごほっ!!」 「きゃっ!!」 衝撃でアスナを離し、宙に浮かび上がるカラスのような鬼。 「アーーーータタタタタタタタタ!! アーーーータタタタタタタタタ!! アーーーータタタタタタタタタ!! アーーーータタタタタタタタタ!! オワッタァ!!」 さらに鉄拳を連打で叩き込み、カラスのような鬼を吹き飛ばした。 「どわーーーっ!!」 ドサッと力なく大地に叩き付けられるカラスのような鬼。 「………お前はもう死んでいるアルよ」 「ひでぶー!!」 お約束の台詞と共に消えて行くカラスのような鬼。 「くーふぇ? アンタ、どうしてここに!?」 現れたのはクーだった。 「アイヤー、それは話すと長いアルが………」 「そんなのゆっくり話している時間はないぞ!!」 背中合わせに固まるアスナたち。 鬼たちはそれを取り囲むように展開する。 「クー、折角来てくれたのに、どうやら、無駄になりそうだな………」 珍しく弱気な台詞を吐く真名。 「アイヤー、それが、来たのは私だけじゃないアルよ!」 「「「えっ!?」」」 バトルフィールド・機龍 二刀流に戦法を変えたフェニックスは、バトルフィールドを飛び巡る。 「うおぉぉぉーーーーーー!!」 気合一閃にヴェタールを唐竹割りにするフェニックス。 ヌエが放ったキャノンをジャンプしてかわす。 「爆発は男のロマン〜〜〜〜!!」 が、タルカス・デストロイヤーの放ったグレネードランチャーに当たってしまう。 「ぐわっ!!」 左のウイングを破壊され、失速するフェニックス。 「コナクソ!!」 地面擦れ擦れで何とか体制を立て直す。 [左ウイング破損!! 推力23%低下!! 機体ダメージ53%!! 機能44%低下!! DANGER!! DANGER!!] 既にコックピットにはハザードランプが絶えず点滅し、警告音が鳴り響く。 計器やコンパネも所々、火を噴いている。 バトルフィールドの所々には、撃つ尽くした銃器が散乱していた。 「左ウイングへのエネルギー供給カット!! 残りの敵の数は?」 [159機です!!] 軋む機体を奮い立たせ、レーダーを確認する。 レーダーは未だに赤い点を無数に映し出していた。 「ヒャアハハハ、やるじゃねえか!! 300機はいたPFがもう半分ぐらいやられちまった!! けど、とうとう終わりだな! 精々派手に吹っ飛ばしてやるぜ!!」 ビックボムに合わせるように残りのPF軍団が一斉にフェニックスに照準を定める。 (………無念………ここまでか………) バトルフィールド・アスナ、刹那、真名、クー 「どういうことだ!? ここに来ているのはお前だけじゃないのか!?」 「実は、その………」 「なーに、ごちゃごちゃ言っとるんや! もう、おしまいにしようか、お嬢ちゃん?」 クーと真名の問答を遮って言うオヤビンと呼ばれた鬼。 「まー、安心しとけ。死なない程度で済ませてやる」 と、オヤビンと呼ばれた鬼がそう言った、その時!! 突如! 空中からアスナ達を囲むように展開していた鬼に6つの銀色の光が降り注ぐ!! 「ぐわぁーーーー!!」 「何やぁーーーー!!」 それだけでもかなりの鬼が消滅した。 「えっ!?」 「あれは!?」 「何だ!?」 驚くアスナ達。 「何事だ!!」 鬼達も慌てて自分の近くの銀色の光が降った場所を見る。 そこにあったのは……… 「剣?………だと!?」 奇妙な形をした剣が地面に突き刺さっていた。 そして、次の瞬間!! 今度はアスナ達の傍に黒い人影が舞い降りた。 「「「!!」」」 アスナ達が驚いて注目したのも束の間。 その影は、鬼達に降り注いだ物と似通った剣を持つと、手近な剣へと目にも留まらぬスピードで移動し、空いていた方の手で地面に突き刺さっていた剣を抜く。 そして、両手の剣を振り、一瞬でその周りにいた鬼を消滅させる。 さらに、アスナ達の横を通り過ぎ、再び地面に突き刺さっていた剣へと移動しながら、最初に取った剣を元から持っていた剣に合体させる。 再び空いていた方の手で地面に突き刺さっていた剣を抜くと、またもや両手の剣を振り、一瞬でその周りにいた鬼を消滅させる。 そうして、全ての剣を合体させた頃には、鬼の姿は1匹もいなくなっていた。 代わりに黒い軍服に、裏地が赤で表地には剣を銜えた狼のマークの入った黒いマントを羽織り、7本の剣を合わせた大剣を持った、ロングの銀髪に左目が赤、右目が青のオッドアイの男がいた。 おそらく、鬼達は何故自分がやられたことさえ覚えていないだろう。 呆然とする月詠とアスナたち。 「おお!! さすがアルね、ジン!!」 そんな中、クーは男に話し掛ける。 「………ジン?」 反射的にその名を呟くアスナ。 「な! 何者ですか!? あんさんは!?」 我に返った月詠が叫んだ。 男は大剣を肩に担ぐと月詠の方を見て、深く、静かに言った。 「アルサレア帝国軍特別追撃部隊セイバー小隊小隊員………ジン=ミスラトル准尉!!」 バトルフィールド・機龍 「ヒャアハハハ!! 華麗に散れーーーー!!」 「くっ!!」 身構える機龍。 と、その時!! 空から白い何かがヒラヒラと降ってきた。 「あん!? 何だ?」 「羽根?」 それは純白の羽根だった。 次の瞬間!! 閃光が走り、遅れて爆発が起こり、ヴァリム軍のPFが数十機大破した!! 「何ーーーーー!!」 「コレは!?」 [高出力のビーム兵器による射撃です] さらに今度はミサイルの雨が降り注ぎ、またもヴァリム軍のPFが数十機大破した!! 「何だってんだ!! チキショウメ!!」 そして、再び純白の羽根が舞い散り、天使の羽根を生やした、桜色の重武装PFが降臨した。 「Jシリーズ!? アルサレア製か!?」 [Jランチャーのカスタム機と思われます] フェニックスを庇うようにヴァリム軍のPFに立ち塞がるJランチャーのカスタム機。 「何なんだ、テメェは!?」 逆ギレ気味に叫ぶビックボム。 Jランチャーのカスタム機は外部スピーカーを通じて言い放つ。 「アルサレア帝国軍特別追撃部隊セイバー小隊小隊員………サクラ=キサラギ准尉です!!」 バトルフィールド・アスナ、刹那、真名、クー、ジン 「アルサレア!?」 「セイバー小隊!?」 「じゃ、じゃあ! ひょっとして機龍先生の!?」 再び驚くアスナ達。 月詠を見据えるジン。 ただそれだけで月詠はその場から動けなくなる。 (す、隙がありまへん!! ただ立っているだけやとゆうのに………) と、ジンは左手を月詠に向けると、一指し指でクイックイッと挑発した。 「!! なめるのも大概にしなはれ!!」 激昂してジンへと突撃する月詠。 ジンは大剣………バスターブレードを両手で頭上に構える。 そして、月詠が目の前に来た瞬間!! 勢いよく振り下ろした!! 「!!」 咄嗟に大太刀と小太刀で防御をとる月詠。 が!! バキンッと音と共に月詠の二刀は粉々に砕け散り、直撃しなかったにも関わらず、月詠の身体は森の方へと勢いよく吹き飛んだ!! そして、そのまま木にぶつかる!! しかし、それでは終わらず、ぶつかった木を破壊すると、さらに7、8本の木を圧し折り、派手に粉塵を上げる!! 目を回し、気絶する月詠。 その光景に唖然とするアスナ達。 「………少しやり過ぎたか」 ((((あれで少し!!)))) バトルフィールド・機龍 「アルサレアだと!?」 驚くビックボム。 「サクラくん!? サクラくんか!! どうしてこの星に!?」 機龍も以外な人物の登場に驚く。 「転送装置の修理がやっと終わって、今さっき転送してもらったんです! そしたら、山の中に出て、どうしようかなって思ってたらジンが人を見つけて………」 「ジンくんも来ているのか!?」 「テメー等!! 俺様を無視して話すんじゃねー!!」 ビックボムが会話に割り込む。 「とにかく!! テメーもアルサレアならまとめてブッ潰してやる!!」 「そんな怖いこと言う人は!!」 そう言って、サクラはJランチャーの左腕に装備したシールド付き2連ビームガトリング砲を向ける。 「お仕置きだよ!!」 そして、爆音を発てて連射する。 次々に爆散するヴァリム軍のPF。 「うぉおぉぉぉぉぉーーーーーー!!!!」 慌てて逃げだすビックボムのタルカス・デストロイヤー。 3分後……… ヴァリム軍のPFは全てスクラップと化していた。 「あ、いっけなーい! リーダー機のタルカス、逃がしちゃった!!」 「………流石だな」 呆気取られて言う機龍。 バトルフィールド・ネギ 小太郎と激しく争うネギ。 (こんなことしている場合じゃない!! 急いでこのかさんのところに行かないと!!) 執拗な小太郎の追撃に焦るネギ。 (こうなったら!!) ネギは小太郎へと突進した。 (一撃で決める!!) 小太郎に組み付くと空へと放り投げる。 「たあっ!!」 それを追い、ネギも空に飛ぶ。 「ビックベン………」 「2度も同じ技をくらうかい!!」 ビックベン・○ッジを掛けようとした迫ってきたネギを錐揉みしてかわす。 そして、背後に廻り込むと、両手でネギの頭の両脇を掴み、右膝を背中に押し付ける。 「えっ!?」 「あん時のお返しや!! くらえ!! カーフ・ブラ○ディングや!!」 そのまま、全体重を掛け、ネギの上半身を地面へと叩き付ける!! 「がはっ!!」 地面にめり込むネギ。 小太郎はその間にバッと距離をとる。 「兄貴!!」 「ぐう、ぺっ、ぺっ!!」 起き上がり、口に入った土を吐き出すネギ。 「これで終わりや!!」 狗神を召喚しながら突撃する小太郎。 が、その時!! ネギと小太郎の間を遮るように巨大手裏剣が地面に突き刺さった。 「何!?」 驚いた小太郎の前に人影が現れ、掌底で小太郎を突き飛ばした。 「がっ………残像!? 分身攻撃!? なっ……何者や!?」 「手裏剣に分身!? まさか………あっ!?」 ネギは近くの木の枝の上に立つ人影を見つける。 「な………長瀬さん!! 夕映さん!?」 それはチャイナ服姿で夕映をお姫さま抱っこしている楓だった。 「大丈夫でござるか? ネギ坊主」 いつもと変わらぬ糸目の優しげな笑みを浮かべる楓。 「ど、どうして長瀬さんがここに!? それに、夕映さんはどうして!?」 「ええと、それはその………」 「そんなことはどうでもいいでござる。ネギ坊主、お主が今、やらねばならぬことはなんでござるか?」 その言葉にハッとするネギ。 そして自分の使命を思い出す。 「………このかさんを助けることです!!」 「ならば、ここは拙者に任せて、行くでござる!!」 「ハイ!!」 光の柱の昇る地点に走り出すネギ。 「あっ、待て、ネギ!!」 小太郎が後を追おうとするが、楓が阻止する。 「邪魔すんなや………俺は女を殴るのは趣味とちゃうんやで……?」 「ふ………コタローと言ったか、少年………ネギ坊主を好敵手と認めるとは、なかなかいい目をしているでござるな」 そう言いながら、楓は分身を1人出現させる。 ぎょっとする夕映。 「………だが、今は主義を捨て、本気を出すのがいいでござるよ………今はまだ、拙者の方があのネギ坊主よりも強い」 そして一気に16人に分身する。 「甲賀中忍、長瀬楓、参る!」 一瞬驚く小太郎だが、ニッと笑うと 「上等ォ!!」 無数に狗神を呼び出してぶつかる。 戦いは最終局面へ………… NEXT |