「「「「「「……………」」」」」
ガイアセイバーズとガーディアンエルフ、そしてヴァリム軍は異様な沈黙に包まれていた。
誰もが、信じられない、有り得ないという表情で、ユニサスに跨ったゴッドJフェニックスを見ていた。
「き、機龍さん………本当に………機龍さん何ですかっ!?」
やっとの事で我に返ったネギがそう声を挙げた。
「ああ、正真正銘………神薙 機龍だ」
それに機龍は、しっかりと答えた。
「色々と話したい事もあるだろうが、まずは目の前の危機を片付けてからにしないとな」
そう言って、ヴァリム軍の方へと視線を向ける。
「か、神薙 機龍!! よもや生きていたとは!!」
フラットエイトが始めて狼狽した様子を見せる。
焦っているのか、やや口調も荒い。
「別に、死んだなんて言った覚えはないがな」
皮肉めいた笑みを浮かべて言い返す機龍。
「ぐうう………フッ、まあ、良いでしょう。最初の一撃には驚きましたが、今さらPFが1機増えたところで、どうということはありません」
悔しそうにしていたフラットエイトだったが、すぐさま冷静さを取り戻し、嘲笑を浮かべる。
「アナタがどんなに頑張ったとしても、所詮は無駄な足掻き………」
「黙れっ!!」
「!!」
機龍の気迫に思わず後ずさるフラットエイト。
「そして聞け! 我が名は機龍! 神薙 機龍! 我こそは………邪悪を断つ剣なりっ!!」
そう叫びながら、ゴッドJフェニックスは右手で左腰の刀を抜くと、切っ先をヴァリム軍に突きつけた。
「お前達は我が零式斬魔刀によって、今日この地で潰えるのだッ!!」
「え、ええい!! 小癪な! 全軍攻撃!! あの目障りなPFを叩き潰せっ!!」
フラットエイトの命令に従い、ヴァリム軍の全機体がゴッドJフェニックスに攻撃を開始した。
砲弾、ミサイル、レーザー、ビームの雨霰が降り注ぎ、大爆煙が上る。
しかし、次の瞬間!!
「ハアッ!!」
何事もなかったかのように、爆煙の中からユニサスに乗ったままのゴッドJフェニックスが飛び出してきた。
そして、そのまま大地を疾走する。
多脚戦車部隊、数十機の地上PF隊が、その前に立ちはだかったが………
「押して参る!!」
横に回ったものはゴッドJフェニックスの刀によって斬り捨てられ、正面に立ったものはユニサスに文字通り蹴散らされた!!
接近戦は不利だと悟ったのか、ヴァリムPF部隊は距離を取って射撃攻撃を仕掛けてくる。
だが!!
「フェニックス………ゴォォォォーーーーガンッ!!」
左腕に炎の弓が出現した。
そして、右手に持っていた刀を納刀すると、同じく炎の矢を形成し弓に掛けた。
炎の弦を引くと、1機のヌエ目掛けて放った。
放たれた炎の矢はヌエを貫き、その後ろにいた他のPFを何機も貫通し、爆散させた!!
「もう一丁!!」
間髪入れず、2発目の矢が放たれる。
ヴァリムPF軍は慌てて散開するが………矢は途中で何本にも分裂し、数十機を射抜いた!!
「す、凄い………」
「たった1機でヴァリム軍を蹴散らしている………」
その光景に驚愕に包まれるネギ達。
「ぬううううううっ!! カイゼル!! 何をやっている!!」
「敵新型PFの能力は未知数です!! 作戦の立てようがありません!!」
「ええい!! 言い訳をするなっ!!」
苛立ち気に叫ぶフラットエイト。
「俺に任せろ!! ヒャハハハッ!!」
ハイな笑い声と共に、ビックボムのタルカス・デストロイヤーが、ゴッドJフェニックス目掛けてグレネードランチャーを発射する。
「トウッ!!」
しかし、ゴッドJフェニックスはユニサスの背から飛んでそれをかわす。(ユニサスはそのまま、多脚戦車の排除に向かう)
「貰ったっ!! 喰らえっ!!」
しかし、タルカス・デストロイヤーは、それを読んでいたのか回避先に全武装の弾薬を叩き込んだ。
爆発が絶え間なく続き、ゴッドJフェニックスの姿が完全に見えなくなる。
「ああ!! 機龍さん!!」
「ヒャハハハッ!! やったぜ!! もう、跡形もねーだろうよっ!!」
誰もがそう思っていた次の瞬間………
[マイヤー!! 爆心地点にエネルギー反応じゃ!!]
タルカス・デストロイヤーの制御AI『ダイト』から警告が走る。
「何ィ!?」
驚きながら爆心地点に目を向ける。
やがて、爆煙が晴れと、そこには青白い半透明なバリアみたいなものに包まれ、まったくの無傷な姿をしたゴッドJフェニックスがいた。
「………それで終わりか?」
機龍は、そう言ってバリアを解く。
「ば、馬鹿な!!」
「攻撃とはこうやるんだ!! ボルテック………キャノォォォォォーーーーーンッ!!」
機龍は叫びと共に、ゴッドJフェニックスに両腕を腰だめに構えさせる。
すると、ゴッドJフェニックスの両肩装甲が展開し、レーザー発射口のようなものが露出する。
そして、そこにスパークが走ったかと思うと、途轍もないエネルギーの渦が放射された。
「うぎゃあぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」
まともにその渦に飲み込まれたタルカス・デストロイヤーは、ビックボムの断末魔と共に爆散した。
「チィッ!! 使えない奴め!!」
フラットエイトは苦々しげに言った。
「司令官!! 今の発言は聞き捨てなりませんぞ!! 必死に戦った同志になってことを………」
「やかましいっ!!」
「ッ!!」
抗議の声を挙げてきたカイゼルに怒り心頭といった感じの声で黙らせる。
「どうした? 最初のあの余裕はどこへ行ったんだ?」
そこへさらに追い討ちを掛けるように、機龍が挑発をしてきた。
「!! 黙れ黙れ黙れ!! 全軍攻撃だ!! 攻撃しろ!!」
最早冷静な判断が出来ないでいるフラットエイト。
*
一方、前線より遥か後方では………
「不味いわね………フラットエイト大将殿は取り乱しているわ」
「私も、よもやあの隊長くんが生きていたなんて、予想もしなかったわ………」
こそこそと話し合うフォルセアとヴェル。
「兎に角、一度フラットエイト大将殿のところへ戻りましょう」
「ええ、そうね」
そう言って、2機のオードリーは要塞島へと引き返していった。
「あっ!! ちょっと、御2人とも!! 待っておくんなはれ!!」
千草も、敵わないと思ったのか、2機の後に続く。
「フッ………最早、この戦いに美はないな………」
エンは、興ざめしたかのように姿を消す。
「み、皆、引き上げていくぞ………」
「これはちょっとヤバイかも………」
「に、逃げるか?………」
タルカス3人衆も、小悪党の直感で危険をヒシヒシと感じていた。
「テメェー等ッ!! 何ビビッてやがるんだ!! アーーンッ!!」
そんな3人衆に、ナインが苛立ち気な声を挙げながらジャック・ザ・リッパーを突き付ける。
「「「ヒイィィィーーーーーッ!!」」」
「これ以上、逃げ出す奴は、俺が叩き斬ってやる!! 分かったか!!」
「「「は、はいっ!!」」」
ナインに脅され、タルカス3人衆はヤケクソ気味に、前線のゴッドJフェニックスに突撃して行った。
「むっ!? タルカス3人衆か!?」
「こうなったもう自棄だーーーーっ!!」
「必死になって覚えたフォーメーションを見せてやるわっ!!」
「よーーーしっ!! 行くぞーーーーーーっ!!」
ロベルトの掛け声と共に、3機のタルカスが1列に並ぶ。
「「「うおぉぉぉぉーーーーーーっ!! ジェットス○リームアタァァァァーーーーックッ!!」」」
「アホかっ!!」
それに対して、お約束どおりに先頭のロベルトを踏みつけて3人衆の後ろに飛ぶゴッドJフェニックス。
「ぬおっ!! やっぱり、わしを踏み台にしおったっ!!」
「喰らえっ!!」
一気に後ろに回ったゴッドJフェニックスが、後ろ腰から抜いた精霊銃を連射する。
エネルギーの弾丸となった精霊が、ホーミングしながら3機のタルカスの至るところを撃ち抜く。
「「「やられたぁぁぁぁぁーーーーーっ!!」」」
情けない台詞と共に、タルカスは3機とも爆散した。
「ダーーーッ!! 使えねーな、オイ!!」
忌々しげな声を挙げるナイン。
とそこへ、艦隊と飛行PF部隊から一斉砲撃が、ゴッドJフェニックスを襲う。
「おっととっ!!」
「全部隊!! 弾幕を張れ!!」
現場指揮担当のカイゼルは、冷静に指揮を取っていた。
艦隊と飛行PF部隊による砲火の嵐で、徐々にゴッドJフェニックスを追い詰める。
何とか回避しているゴッドJフェニックスだが、何時までも避けられる弾幕量ではない。
「不味いな、こりゃ………」
[少尉。神霊モードを発動させてください]
「神霊モード?」
ジェイスの言葉に首を傾げる機龍。
[ハイパーモードに代わる新たなモードです。現在のエネルギー値ならば、発動可能です]
「よし、分かった………神霊モード!! 発動!!」
[Yes!!]
機龍の命に答え、ジェイスは神霊モードを発動させた。
すると!!
ゴッドJフェニックスの紅と純白のカラーリングの間に、鮮やかな青色のラインが入っていく。
さらに、マニュピレーターの甲の部分と頭部のフェイス部分にも同色の紋様のようなものが浮かび上がる。
続いて、ウイングが精霊エネルギーに包まれ、青白く発光する。
最後に、胸部のカバーのような部分が展開し、クリアグリーンの宝玉のようなもの………精霊が集まってできた霊石『精霊石』が露出し、『義』の文字が浮かび上がる。
[発動完了!!]
「これが神霊モードか………成程、分かるぞ………もの凄い力を感じるぜ!!」
神霊モードの凄さをその身で感じる機龍。
「外見が変わった!?」
「何をやっている、カイゼル!! ただのこけおどしだ!! 攻撃を続けろ!!」
「りょ、了解!!」
ゴッドJフェニックスの変化に戸惑うカイゼルだったが、フラットエイトの半ば狂った威圧感に押され、攻撃を続行する。
しかし………
「もうその手は通用せん!!」
ゴッドJフェニックスは、青白い光の尾を引きながら超光速で飛行する!!
まるで真・ゲッ○ーロボの真・シャ○ンスパークの如く、慣性の法則をまるで無視した急制動、急発進、急旋回で砲火の中を潜り抜けていく!!
「な、何だ、あの動きは!? 物理法則を完全に無視しているぞ!!」
あっ、と言う間に、ゴッドJフェニックスは敵陣営の中心に陣取った。
「!! 全艦!! 照準合わ………」
「遅い!! スピリット・フラァァァーーーッシュッ!!」
カイゼルが命令を出すよりも早く、ゴッドJフェニックスが全身から放射したエネルギー波が艦隊と飛行PF部隊を飲み込んだ!!
一瞬にして、艦隊と飛行PF部隊は消滅した。
「なっ!! たった一撃で、あれだけの艦隊と飛行PF部隊を全て………」
後方にいたので難を逃れたデプスチャージのブリッジで驚愕するカイゼル。
「カイゼルッ!! まだ地上部隊が残っているだろうが!! 攻撃を続けろ!!」
「し、しかし!!」
カイゼルが、何か言いかけた時………
「まだまだ行くぞーーーーっ!!」
ゴッドJフェニックスは、地上部隊目掛けて急降下した。
そして、1機のゼクルヴの角を引っつかむと頭部を地面に叩きつけ、そのまま低空飛行しながら引き摺り回す!!
多脚戦車と地上PF部隊が、巻き込まれながら破壊されていく!!
やがて、耐久限界を通り越したゼクルヴの首がもげ、ボディは大爆発を起こした。
「ほら、喰らえっ!!」
外れた頭部をデプスティンガー(バトルモード)の1機に投げつけ、撃破する。
そこへ、それに怒り狂ったかのようなGF部隊と地上PF部隊が攻撃を加える。
「そんなハエが停まりそう攻撃が当たるかっ!! 精霊翼!!」
しかし、ゴッドJフェニックスはこれまた巧みな動きで回避しながら、光輝く翼で擦れ違い様にGF2機を切り裂く。
だが、恐れを知らぬ無人部隊は、怯まずにゴッドJフェニックスに攻撃を加える。
「チッ!! 面倒な奴等め………一気に片付けてやる!! アァァァーーーカシック・アルティマァァァーーーーーッ!!」
機龍がそう叫ぶと、ゴッドJフェニックスの前の空中に、魔法陣が出現する。
そして、その魔法陣から炎の鳥………神霊獣『フェニックス』が出現する。
「行くぜぇぇぇーーーーーっ!!」
そして、そのフェニックスの身体の中へ飛び込むように、ゴッドJフェニックスが融合した。
炎の不死鳥となったゴッドJフェニックスは、敵機を次々と貫きながら、戦場を駆け抜ける!!
ゴッドJフェニックスが駆け抜けた後には、元は敵機だったドロドロに融解した残骸だけが転がっていた。
結果、ものの数分で地上部隊は全滅した。
「ち、地上部隊までもが、あっさりと………」
驚愕に包まれているカイゼルの前に、融合を解除したゴッドJフェニックスが現れる。
「!!」
「こちらは、アルサレア帝国軍、特殊追撃部隊セイバー小隊小隊長。そして、機甲兵団ガイアセイバーズ総隊長の神薙 機龍だ」
デプスチャージの通信モニターに機龍の顔が映し出される。
「何と………君があの部隊の隊長か。若いな………」
機龍を見て、そんな言葉を漏らすカイゼル。
「前線指揮官か………アンタは少しは話が分かるようだな。この戦いの決着は着いた。大人しく引き上げて貰いたい」
「ほんの少し前には、私が君の部隊に降伏を勧めたのだがな………まさか、ほんの数十分で立場が逆転するとはな………」
カイゼルは、自嘲気味な笑みを浮かべる。
「たが、その申し出は受けられない」
「何故だ!? もう勝負はついただろ!!」
「司令官から攻撃を続けろという命令が出ている」
「あんな司令官の下にいて、何とも思わないのか!?」
「例えどんな司令官であろうと、上司であるならば、私はその命令に従わなければならない………それが軍人というものだよ」
「そうか………それがアンタの意地か」
最早語る言葉はないという両者。
「ならば、お互いの意地を賭けて………」
「ああ………勝負といこうじゃないか!!」
ゴッドJフェニックスは二刀を構え、デプスチャージは超高硬度螺旋衝角『ユニコーン』を回転させる。
「機関最大!! デプスチャージ………全力突撃っ!!」
ゴッドJフェニックス目掛けて全力で突撃する!!
それに対して、ゴッドJフェニックスは刀を持ったまま、両手を合わせる。
すると!!
二刀が光に包まれ、天を衝かんばかりの巨大な剣へと変化した!!
「咆えろ………零式斬魔刀!!」
脇構えを取り、一気にブースターを全開にして最大スピードでデプスチャージに突っ込む!!
「ぬあぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」
「必殺っ!! 斬魔刀・一文字斬りぃぃぃぃーーーーーっ!!」
2人の掛け声と共に、ユニコーンと横薙ぎに振った零式斬魔刀が激しくぶつかり合った!!
一瞬の均衡の後………零式斬魔刀がユニコーンを破壊した!!
「!!」
驚愕するカイゼル。
だが、まだ機龍の勢いは止まらなかった!!
「うおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!」
機龍の気合の声と共に、零式斬魔刀の刃はデプスチャージ本体へと斬り込み、そのまま横一文字に斬り裂いた!!
「………見事だ」
カイゼルがそう言った瞬間、真っ二つになったデプスチャージは爆発四散した。
「我に………断てぬものなしっ!!」
決め台詞と共に、零式斬魔刀を二刀の状態に戻し、納刀する。
「「「「「「やったぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」」」」」」
ガイアセイバーズとガーディアンエルフ隊から歓声が挙がった。
「敵ながら………見事な漢だった。惜しい命を亡くしたな………」
カイゼルに称賛を呟く機龍。
[少尉………敵艦の爆発寸前にハッキングを行い、脱出装置を強制作動させました]
「何っ?」
[運が良ければ生きているでしょう………余計なお世話だったかもしれませんが]
「いや、ナイスだ、ジェイス。あの男なら、新たな生を歩めるさ」
「凄い!! 凄いですよ、機龍さん!!」
と、そこへ、ガイアセイバーズから通信が入ってきた。
「あれだけの大軍を、1人で全滅させちまうなんて………流石、ダンナだ!!」
「皆、大丈夫だったか?」
ゴッドJフェニックスは、ガイアセイバーズとガーディアンエルフ隊の方を振り返る。
と、そこへ!!
「油断したな!! 神薙!!」
猛スピードで突っ込んで来たジャック・ザ・リッパーが、一気にゴッドJフェニックスを肉薄した!!
「っ!?」
「俺の事をすっかり忘れていたみたいだな!! 今度は羽だけじゃなくて、機体ごとバラバラに切り裂いてやるぜ!!」
ジャック・ザ・リッパーの右手に握られたジャック・ザ・リッパーの刃がギラリッと鈍く光り、ゴッドJフェニックスに迫る。
「機龍さんっ!!」
そして………
ガキャーーンッという音が響いて、ジャック・ザ・リッパーとゴッドJフェニックスが激突した。
「なっ!!」
「「「「「「えっ!?」」」」」」
ナインとガイアセイバーズ、ガーディアンエルフ隊は揃って驚愕の表情を浮かべた。
ジャック・ザ・リッパーの刃は、ゴッドJフェニックスのガードに出した右腕に僅かに食い込んだだけで止まっていた。
「いって〜〜〜………ちょっとチクッとしたぞ」
まるで裁縫していて針で刺したみたいに言う機龍。
そして、ゴッドJフェニックスの左手を、ジャック・ザ・リッパーの刃に掛けると、バギャッと握り潰した!!
「うおっ!! ジャック・ザ・リッパーが!?」
ナインが驚いた瞬間!!
「ハアァァァァーーーーーッ!!」
左手を一旦引くと、握り拳を作り、正拳突きを繰り出した!!
ゴッドJフェニックスの拳が、ジャック・ザ・リッパーの腹部に突き刺さる!!
「ぐぼはっ!!」
コックピットが歪み、コンパネに半分押し潰される形となるナイン。
「こ、コンチクショウ………」
ナインは、激しい憎悪の篭った目でゴッドJフェニックスを睨む。
「勝負あったな………」
右腕の損傷が自己修復していくのを確認しながら、ナインに言い放つ機龍。
「フ………フフ………フフフ………アーッハハハハッ!!」
「? 何が可笑しい?」
「へへへ………笑わずにいられるかってんだ! テメェーの部下の女をよ………1人、預かってるぜ」
「部下? 女?………!! まさか!!」
驚愕の表情を表す機龍。
「確か………龍宮とか言ってやがったかな、冷血ババアの奴………」
「貴様っ!!」
「今頃、実験材料にでもされてるんじゃねーのか!? ヒャーッハハハハッ!! 可愛そうにな〜〜………ぐああぁぁっ!!」
ナインがそう言った瞬間………
ゴッドJフェニックスが、拳をジャック・ザ・リッパーに突き刺したまま、要塞島の方向に左腕を上げた。
「無限精霊拳!!」
機龍がそう叫ぶと、ゴッドJフェニックスの腕部が光に変わり、伸び始めた!!
「な、何だコリャァァァーーーーーーッ!!」
ジャック・ザ・リッパーに拳を突き刺したまま、腕は何処までも伸びていき………遂に!! ジャック・ザ・リッパーを要塞島の底部へと敲き付けた!!
「ギヤアァァァァァーーーーーーッ!!」
ナインの断末魔と共に、ジャック・ザ・リッパーは爆発四散し、要塞島も大きく揺さぶられた!!
「ぬおぉっ!! ナ、ナインッ!! オノレェェェェーーーーーーッ!!」
要塞島が揺さぶられ、よろめきながらもナインがやられたことに激昂するフラットエイト。
「フラットエイト大将殿!!」
「大将殿、冷静に!!」
と、そこへ、要塞島へと戻ってきたヴェルとフォルセアが、フラットエイトを宥める。
「何だ貴様等!! こんなところで何をやっている!! とっとと前線に戻れっ!!」
「落ち着いてください、大将殿!!」
「大丈夫です!! 我々にはまだ切り札があります!!」
「ですから!! ここは一旦退いて、態勢を立て直しましょう!!」
「ぐうぅぅぅぅ〜〜〜〜っ!!………神薙 機龍!! 貴様だけは、貴様だけは絶対に殺してやるぞぉぉぉぉーーーーーっ!!」
フラットエイトの叫びを残し、要塞島は麻帆良上空から離脱して行った。
「………真名………必ず助けてやる………必ずな!!」
機龍がそう決意した時、ちょうど都市の反対側の方で、大きな爆発が起きた。
「………あっちも終わったみたいだな」
その方向は、魔法先生、生徒達が戦っている方向だった。
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