最終回


後に、麻帆良大戦と呼ばれる戦役の後………

惑星Jと第二地球では、劇的な世界規模変化が起こった。



麻帆良大戦終結直後……

第二地球では、機甲兵団ガイアセイバーズの活躍が、魔法界本国にも知れ渡った。

その際に、研修中であるネギが、自分の受け持っているクラスの生徒達全員に魔法の事を知られてしまっていた事までもが、魔法界本国上層部の耳に入った。

上層部は直ちに、ネギをオコジョにして、クラスの生徒共々本国の収容所送りにしようと検討を始めた。

しかし………

それを知った魔法界本国住人達が、一同に反対運動を展開した。

住人達の間では、ガイアセイバーズは『紅き翼(アラルブラ)』に匹敵する英雄となっていた。

その上、あのサウザンドマスターの息子であるというのもあって、処罰などとんでもないという主張を繰り出した。

やがて、その運動の矛先は、下手をすれば地球が侵略されるという事態に対し、何ら対策を打たなかった魔法界本国上層部に向けられ、遂には『上層部無能説』までもが叫ばれた。

住人達の運動は、エスカレートの一方を辿って行き、とうとう現魔法界本国上層部の者達は全員責任を取らされ、退陣及び収容所行きとなった。

さらに、その後を継いで上層部最高責任者に就任したのは、何と!!

アルビレオ・イマだった!!

アルは、上層部の新しいメンバーとして選んだのは、ナギ、ヘルマン、近右衛門、詠春と見事に彼の知人ばかりだったが、皆英雄であった為か、住人達は誰1人として反対しなかった。

そして、新上層部は、今回の功績によって、ネギをマギステル・マギと認め、その証明書をネギへと送った。

だが、ネギはそれを辞退した。

理由として、自分がまだ未熟者である事、自分のパートナーがまだ学生なので、せめて高校卒業まで待って欲しいというものだった。

新上層部は、この意見を汲み入れ、ならばさらに修行を積ませるため、パートナーが高校卒業まで傍に居られるようにと、ネギには引き続き麻帆良学園都市で教職を担当させる事となった。

勿論担当は、元麻帆良女子中等部3−Aだった。





一方、惑星Jでは………

第二地球侵略作戦が失敗したヴァリムの国力は一気に衰退。

これによりヴァリムは、自国を維持することさえ難しくなっていた。

さらに、ヴァリムの国民達も、長きに亘る侵略戦争に疑問を抱くようになった。

やがて段々と反戦・反侵略の運動が強くなっていき、今まで衰えていたヴァリム共和国の穏健派政治家・軍人達が勢いを盛り返していった。

そして遂に!!

ヴァリム共和国内で、反戦・反侵略派達によるクーデターが勃発した!!

それを知ったアルサレアは、すぐさまクーデター勢力と協定を結んだ。

これによりヴァリムの強硬派は、国内外から同時に攻められる事となった。





半年後………

遂にヴァリムの強硬派を裏から操っていたガルスキー財団のギルゲフ=ド=ガルスキーが討伐された。

これにより、ヴァリムの強硬派は存在意義を失い、消滅。

その後、穏健派を主とする新生ヴァリム共和国が設立され、アルサレアと和平協定を結んだ。

ここに………長きに亘るアルサレア帝国とヴァリム共和国の戦争が終わった。

そして更に半年後………

アルサレアとヴァリムは、同盟を協定し、統一政府を設立。

隣接する小国も、次々にこれに参加し、『惑星J統一政府』が結成された。





同時期、地球でも………

魔法界本国最高責任者となったアルは、各国政府と秘密裏に接触し、徐々に魔法の存在を世界に認識させて行き、国際連合に代わる新たな国際組織『地球同盟国家』を設立。

魔法界を挙げての働きにより、全世界国がこれに参加。

遂に、人類の歴史始まって以来の、恒久的に平和な世界が作られたのである。





1年後………

基盤を固めた『惑星J統一政府』と『地球同盟国家』は、互いにコンタクトを取り始める。

そして、『惑星J統一政府』より『地球同盟国家』に送られたテクノロジーデータにより、『地球同盟国家』の技術力は大幅に上昇。

『惑星J統一政府』と同レベルまでに技術発展を遂げる。

遂に、星間航行船による両星間での交流が始まる。

それから半年後………

『惑星J統一政府』と『地球同盟国家』は協定を締結。

ここに、星間国家が誕生した。





そして更に半年後………

最早、惑星Jと第二地球との交流が当たり前になった頃………

麻帆良学園都市、女子寮近くの広場にて………

「皆さん、卒業おめでとうございます!」

「「「「「「おめでとうーーーーっ!!」」」」」」

ネギの祝辞に、全員が元気良く返事をした。

………遂にA組も、晴れて高校を卒業する事となった。

途中、やはり色々とトラブルはあったものの、ガイアセイバーズメンバーというクラス一致団結の元に乗り越えてきた。

そして、今日はその卒業記念パーティーである。

お祭り騒ぎ好きは変わらず、ドンチャン騒ぎを展開している。

「1番! 狛牙 勇輝!! 隠し芸やりま〜〜す!!」

「は〜〜い! 料理の追加、お待ち〜〜〜!」

「………ったく、相変わらず馬鹿騒ぎしやがって」

勿論、勇輝、ゼオ、ハクヤの3人も参加している。

因みに、現在勇輝は雪広家の執事、ゼオとハクヤは超包子の正店員と用心棒として働いている。

「お〜〜い!! 酒が足んね〜ぞ!!」

そして、ナギまでも参加している。(彼は、麻帆良から魔法界本国に出勤している)

「………父さん。仕事は?」

「バ〜ロ〜! こんなめでたい日に仕事なんかやってられっかよ!!」

「………ようするに、またほっぽりだしてきたんですね」

そして、そのほっぽりだされた仕事は、毎度の如く学園長に回されていた。(合掌)

「フフフ、別に構わんではないか。ほれ、ナギ。もっと飲め」

その隣でナギのコップに酒を注ぐ18歳ぐらいの容姿の金髪美女。

彼女の名は………エヴァンジェリン・A・K・スプリングフィールド。(!!)

旧姓マクダウェル。

ナギの妻であり、ネギの母親である。(爆)

中学卒業の日………ナギはエヴァの呪いを解く儀式を行なった。

元がテキトーに掛けた呪いな上、かなり強力だったため、超とハカセが惑星Jの技術を応用し、飛躍的に進歩した魔法科学の力を補助に使った。

しかし………その過程で思わぬ、事故が発生した。

何と!! 登校地獄の呪いだけ解くつもりが、吸血鬼の呪いまでも解いてしまったのである!!

しかも呪いが解けた瞬間! エヴァの身体が、15歳ほどに成長!!

その後も順調に成長し、現在のエヴァの肉体年齢は18歳となっていた。

この御都合主義的な奇跡は、後に『魔法と科学による悪夢』と呼ばれるようになった。(笑)

だが、元々吸血鬼である事を少なからず嫌悪していたエヴァには、生涯最高の喜びだった。

勿論、A組の生徒達も、それを我が事のように喜んだ。

晴れて2つの呪いから解き放たれたエヴァは、A組と一緒に高校へ進学。

その後、肉体年齢が16歳となった時、ナギと結婚。

高校生と主婦という二足の草鞋を履きながらも、立派に両立。

ちょっと前までは、茶々丸に任せっきりだった家事全般も、すっかり上達していた。

「サンキュー、ハニー!」

「嫌だも〜〜、ダーリンったら(照)」

………今では、すっかりナギにデレデレで、馬鹿夫婦状態である。

そこに、あの自称『悪い魔法使い』と言い、『闇の福音』と恐れられた面影は微塵も感じられなかった………

只1人の、幸せを手に入れた女だった。

「義母さんまで………ハアァ〜〜〜」

そんな両親の姿に、呆れたタメ息を吐くネギであった。

そんなネギも13歳となり、両親の特訓の御蔭もあって、今じゃすっかり逞しい青年になっていた。

その実力は、彼方此方の表裏問わずの機関からスカウトが来るほどだった。

また、機龍の影響か、最近では剣術にも手を出し始めている。

「まあまあ、ネギせんせー。良いんじゃないですか、今日ぐらい」

そんなネギの横で優しい笑みを浮かべているのどか。

この3年でグッと綺麗になり、大人の女性へと成長した。

「………そうですね、のどかさん」

そんなのどかの笑みを見て、ネギも笑顔となる。

高校生活の3年で、2人の絆はさらに深まり、遂にのどかはネギの正パートナーとなった。

その事に、涙を流した者もいたが、全員が心から祝福した。

2人はこの後、マギステル・マギとそのパートナーとして、魔法界へデビューするの事が決まっていた。

「それにしても………遅いね〜、機龍さん達」

「招待状はちゃんと送ったんだけどな〜〜」

記念すべき日と言う事で、A組は惑星Jにいる機龍達にも卒業パーティーの招待状を送っていた。

惑星Jとの交流が当たり前となった今、惑星Jは手軽な観光感覚で行ける場所となったが、流石に軍関係の機関には気軽に行ったりできるものではなかった。

幸いにも、アルが手を回してくれた御蔭で、連絡だけは取れるようになっていた。





因みに、機龍達の現在での立場は………

ジンとサクラは、惑星Jの戦争が終結後、退役。

その後、結婚する。

現在では、惑星J最速の届け物屋を営んでいる。

レッディーとゼラルドは、相変わらずガーディアンエルフとして第二地球と惑星Jの影の守り手として活躍している。

あと戦争が終わったので、傭兵業が廃業となってしまったシリウスも、現在はガーディアンエルフとして働いている。

アーノルドは参謀となり、アルサレア軍本部に籍を置いている。

レイは、士官学校の教官となり、自分の後輩となる若者達を自らの手で鍛え上げている。

そして、機龍は………

その類まれなる功績を認められ、戦死による物だった2階級特進をそのまま与えられ、さらにもう1階級昇進し少佐となる。

更に元帥直属の独立遊撃部隊長を任せられ、戦争終結後もヴァリム強硬派の残党狩りやテロリストの鎮圧など、治安維持に大きく貢献する。

今では若干21歳で大佐となっている。

今ではその強さは、アルサレアの英雄達………

シードラボ争奪戦の功績を認められ、首都警備隊長と成ったレガルドリーダー………ブレッド・アローズ。

Gエリア攻防の功績を認められ、近衛部隊長となったコバルトリーダー………リョウマ・ザン。

そして、アルサレア戦役での功績によって元帥となったグレンリーダー………セイジ・オオトリ。

あの3人にも匹敵するとされ、セイバーリーダー………神薙 機龍を加えた4人で、『アルサレアの4本刀』と異名を付けられている。

そう………今や機龍の実力は、前戦役の英雄達と肩を並べるほどになっていた。





「レイさん………」

「アーノルドさん………」

「レッディーさん………」

「ゼラルドさん………」

「シリウスさん………」

それぞれの思い人を恋しく思う夕映、千鶴、さよ、亜子、刹那。(発言順)

中でも1番恋しがっているのは………

「機龍………」

他でもない、真名だった。

その功績ゆえ、立場ゆえに、戦争終結後も忙しく働きまわらなければならなかった機龍。

レイ、アーノルド、レッディー、ゼラルド、シリウスは暇さえあれば麻帆良へと訪れ、恋人とデートに洒落込んでいたが、機龍は3年前に別れて以来、麻帆良どころか第二地球を訪れる機会さえ無かった。

そして、連絡すらも気軽に取れるものではなかった。

しかし、真名はそんな機龍に愛想尽かすどころか、益々愛しいという思いを募らせていった。

事実、この3年間で、真名に惚れて告白してきた男子生徒は、先輩・後輩を合わせて数十人にも上っていたが、真名はそれを全て断っていた。

古人曰く、愛とはお互いに合えず、離れている時ほど育つものである………というやつかもしれない。

「大丈夫でござるよ、真名殿。機龍殿はきっと来てくれるでござるよ」

「………ああ、そうだな」

今日の卒業記念パーティーの事は、勿論機龍に伝えてある。

それを受けた機龍は、何とか行けるようにと仕事を調整していた。

真名は、機龍は来てくれると信じていた。

と、その時………

天空に無数の光が見えた。

「!? アレは?」

光はやがて人型を成し、A組の卒業パーティーの場へと下りてきた。

「Jヘルです!!」

「まあ! Jクーロンも!」

「Jエアロ! レッディーさん!!」

「ゼラルドさんのJスパイラルパワードや!!」

「Jギルダー………シリウスさんですね」

「JブレイダーとJランチャー・サクラスペシャルもいます!!」

次々と着地すると、コックピットから飛び出し、駆け寄ってくるパイロット達。

「オーーイ!! 皆ーーーーっ!!」

「久しぶりだなーーーっ!!」

「元気だったか?」

「今日は招待してくれてありがとう」

「来たぜ、来たぜーーーっ!!」

「………懐かしいな」

「ヤッホーーーッ!! また会えて嬉しいよ!」

口々にA組との再会を喜ぶレッディー、レイ、アーノルド、ゼラルド、シリウス、ジン、サクラ。(台詞順)

「レイさん! よく来てくれました!」

「レッディーさ〜〜ん! 会えて嬉しいです〜〜!!」

自らも相手の元へ駆け寄って行く夕映とさよ。

「お待ちしておりました。アーノルドさん」

「はわわ、ゼラルドさん………(赤面)」

夫の帰りを迎える妻のように振舞う千鶴と、ゼラルドを見て赤面する亜子。

「フフ………相変わらずみたいですね」

シリウスの変わっていない様子に微笑する刹那。

「ねえねえ!! ジンさんとサクラさん結婚したんでしょ!! 結婚生活はどう!?」

「ほえ〜〜〜、そんなの恥ずかしくて言えないよ〜〜(照)」

サクラに結婚生活の様子を問い質す和美。

「どうしてJブレイダーとJランチャー・サクラスペシャルが?」

「退職金代わりに貰ったんだ。リーダーが便宜をはかってくれてな」

退役した2人が愛機のPFを持ってる事を聞くネギに、答えるジン。

皆、幸せそうな雰囲気だ。

しかし………只1人、戸惑ったような表情を浮かべている人物がいた。

(機龍が………いない?)

真名だった。

そう、他のメンバーはいるのに、何故か機龍の姿だけが無かった。

「龍宮くん」

そんな真名に、アーノルドが声を掛けた。

「あ、アーノルドさん………あの、機龍は?」

「それが………アイツも何とか休暇を取ることが出来たんだが、出発直前になってグレンリーダー………オオトリ元帥から直々に呼び出しを受けてな………急遽、そっちへ向かったんだ」

「え?………」

ショックを受ける真名。

(来れない………そんな………)

元帥直々の呼び出し………重要な事があったという事は重々承知している。

しかし、頭で分かっていても、気持ちが納得できるものではなかった。

(嘘吐き………来てくれるって言ったのに………機龍の嘘吐き!!)

思わず目尻に涙を浮かべる真名。

「真名殿………」

楓が何か言おうとした時………



突如!! 街の方で爆発が起こった!!



「!?」

「何っ!?」

驚いた全員が、爆発が起こった方に注目する。

すると何と!!

無数のヴァリム製PF軍団が、街を破壊していた!!

「!! ヴァリム軍のPF!?」

「強硬派の残党か!?」

「クッ!! 機甲兵団ガイアセイバーズ!! 出撃だ!!」

総隊長代理の真名が号令を飛ばす!



………機甲兵団ガイアセイバーズは、機龍達が去った後も解散していなかった。

思い出の部隊と言う事もあって、A組一同で魔法界に直訴し、魔法界の特殊部隊としてこの3年間存続してきた。

総隊長は、今でも機龍だと言う事で、代理という名目で立てられたは真名だった。

当初真名は、クラスを纏めるのだからネギかあやかが適任だと辞退しようとしたが、機龍の代理は真名しかいないというクラス一同の意見を受け、代理の肩書きを背負う事を決めた。



「「「「「「「了解」」」」」」」

真名の号令に答え、基地へと向かうA組一同。

「ちょっとちょっと、態々私達が出張らなくても、ここ最強の魔法使いが2人もいるんだから………」

と、美空が(またも)めんどくさがって、ナギとエヴァに任せようとしたが………

「ムニャムニャ………もう飲めない………」

「オエェェェ〜〜〜〜!!」

エヴァは酔いつぶれ、ナギは(自主規制)していた。

「…………」

「美空!! 急げ!!」

「うん………………これが最強の魔法使いの姿………」

美空は2人を一瞥し、A組達の後を追って行った。

「俺達も行くぞ!!」

「「「「「「了解!!」」」」」」

アーノルド達も、自分の愛機に乗り込んでいく。











「魔法戦艦バハムートU世!! 出撃!!」

バハムートの後継艦『魔法戦艦バハムートU世』が、麻帆良湖から発進する!!

そして、現場上空に到着すると、PF部隊が発進し展開する(愛機を撃墜されてしまった真名、アスナ、あやか、茶々丸は愛機だった機体のMk−Uに乗っている)。

「現場上空に到着!! PF部隊、レイさん達と共に展開しました!!」

「住民の避難、完了しています!」

「敵機数!! およそ1200機!!」

「残党にしては随分な数だな………」

オペレーター達からの報告に訝しげな表情を浮かべる真名。

と、その時!!

「!! 敵増援を確認!! 戦艦1!! GF多数!! さらに………!! 嘘! 式神!?」

「何っ!?」

和美がそう報告した時、上空からやたら継ぎ接ぎだらけの戦艦を中心に、多数のGFと式神が現れた。

「式神がいるって事は、敵に呪術使いが!?」

「この呪力………まさか!?」

「そのまさかや!」

不意に、聞いたことがある女の声が響き、全機の通信モニターに見覚えのある女の顔が映し出された!

「!! 天ヶ崎 千草!!」

そう………それは、天ヶ崎 千草の姿だった!!

「生きていたのか!?」

「あんさん等に恨みを晴らすまでは、ウチは絶対死にはせんで!!」

「「「その通り!!」」」

そこへまた、今度は別の声が響いて、3機の継ぎ接ぎだらけのタルカスが現れた。

「!! タルカス3人衆!!」

「お前達まで生きていたのかよ!?」

「ガーッハッハッハッハ!! 悪は不滅じゃ!!」

「千草ちゃんの言う通り、アンタ達に恨みを晴らさずにはいられないのよ!!」

「セイバーリーダーがいないのが残念だが………皆殺しにしてやる!!」

口々にガイアセイバーズに恨み言を言うタルカス3人衆。

と………

「例え、機龍がいなくたって………この街は………この星は………私達が守る!!」

真名が、先頭に出て、高らかに叫んだ。

「面白い………守ってみいや!!」

千草がそう言うと、やたら継ぎ接ぎだらけの戦艦が変形を始めた!!

「何っ!?」

「あ、アレは!? まさか!?」

全員が驚いている間に、戦艦はあっと言う間に巨大な人型に変形を完了し、大地に降り立った!!

「オーガル・ディラム………いや、オロチ!!」

そう………それは、麻帆良大戦時に機龍と真名によって倒されたはずの超兵器『オーガル・オロチ』だった!!

「いや〜〜、苦労しましたで。これだけの物を秘密裏に修復するのは。完全やおまへんが、アンタ等を叩き潰すには十分や!!」

「ぐう………全機散開!! 各個に敵機を迎撃しろ!! オーガル・オロチは………私がやる!!」

「龍宮さん!?」

「無茶ですよ!!」

「奴との決着は………私が着けなければならないんだ!!」

真名はそう言うと、GガンナーMk−Uでオーガル・オロチに突っ込んで行った!!

「龍宮さん!!」

「イカンッ!!」

慌てて援護に向かおうとするネギ達とジン達だったが、大量のPF、GF、式神部隊、そしてタルカス3人衆が立ち塞がる!!

「お前達の相手はワシ等じゃ!!」

「た〜〜ぷり可愛がってあげるからね!!」

「ウケケケケケ、お祈りでもしておくのだな!!」

「クッ!!」

「仕方がない!! まずはコイツ等を片付けるぞ!!」

そのまま、ネギ達とゼラルド達は、迎撃するのだった。











GガンナーMk−U(龍宮 真名)VSオーガル・オロチ(天ヶ崎 千草)………

「シュツルム・アングリフ!!」

オーガル・オロチに向かって、豪雨のように弾丸を浴びせるGガンナーMk−U。

「ぬあっ!! オノレ………喰らえっ!!」

オーガル・オロチも反撃にとばかり、身体のあらゆる箇所に付けられた砲台で弾幕を張る。

「そんな攻撃など………シュルター・プラッテ!!」

しかし、GガンナーMk−Uは素早く動いて回避し、シュルター・プラッテを2つ共投げつける!!

元々継ぎ接ぎだらけだったオーガル・オロチの装甲に、さらに傷が付く。

「うわっ!! この尼っ!!」

「幾らオーガル・オロチとは言え、ヤマタノオロチの力が無ければ、只のデカブツに過ぎん!!」

と、それを聞いた千草が、口の端を上げてニッと笑う。

「何言うとりますか? ヤマタノオロチの力が無いなんて………一言も言ってまへんで?」

「何っ!?」

「我を取り込め………ヤマタノオロチィィィーーーーッ!!」

何と!!

千草は自らを贄にして、ヤマタノオロチに取り込ませた!!

シャアァァァーーーーーッ!!

忽ち、オーガル・オロチは、背中から8本の蛇のような竜の首が生やし、真の姿を現した!!

「なっ!? 自分を生贄にして!?」

「フフフフ………ウチの恨みを………受け取れぇぇぇーーーーーっ!!」

シャアァァァーーーーーッ!!

血走った目をした千草の怒声と共に、8本の竜の首が、GガンナーMk−Uに襲い掛かる!!

「くっ!!」

何とか回避していくGガンナーMk−Uだったが、8本の竜の首は休む間を与えず、執拗に攻め立てる!!

と………

シャアァァァーーーーーッ!!

1本の竜の首が、口を開けてGガンナーMk−Uに噛み付こうとする!!

「!! このっ!!」

しかし、GガンナーMk−Uは、ランツェ・カノーネの2丁撃ちで、迎撃する!!

シャアァァァーーーーーッ!!

その隙に別の竜の首が、後ろからGガンナーMk−Uに噛み付いた!!

「!! しまった!!」

「ヒャアッハッハッハッハ!! このまま噛み潰してやるわあぁぁぁーーーーっ!!」

そのまま竜の首は、GガンナーMk−Uを噛み潰そうとする!!

バキバキと音を立て装甲がへこみ、火花が飛び散る!!

「う、うわあぁぁぁーーーーーっ!!」

コックピットが段々と歪んでいくのに悲鳴を挙げる真名。

「!! 龍宮さん!!」

「おっと! 行かせんぞ!!」

ネギ達が救援に向かおうとするが、タルカス3人衆とPF、GF、式神部隊が邪魔をする。

「クッ! ダメだ!! 抜けられん!!」

その間にも、GガンナーMk−Uはドンドンと噛み潰されていく!!

「コレで終いやあぁぁぁーーーーーっ!!」

「き………機龍ーーーーーーっ!!」

真名は、思わず最愛の人の名を叫んだ!!



その瞬間!!



「チェストォォォォォォッ!!」

気合の掛け声と共に、上空から1機のPFが降下してきて、手に持った巨大な剣で、GガンナーMk−Uに噛み付いていた竜の首を斬り落とした!!

「うわっ!!」

竜の口から解放され、地面に落ちるGガンナーMk−U。

「何やてっ!?」

驚く千草。

そのPFは、GガンナーMk−Uを守るように、オーガル・オロチとの間に着地した。

「き、貴様は!?」

「我が名は機龍! 神薙 機龍!! 我こそは………邪悪を断つ剣なりっ!!」



そう、そのPFは、ゴッドJフェニックス(神霊モード)………神薙 機龍の愛機だった!!



「き、機龍!!」

「スマンな、真名。遅くなった」

通信モニターに機龍の顔が映し出されると同時に、ゴッドJフェニックスがGガンナーMk−Uの方を振り向く。

「大丈夫か? 怪我はないか?」

「…………こ」

「こ?」

「この馬鹿あぁぁぁーーーーっ!!」

真名の怒声と共に、GガンナーMk−UがゴッドJフェニックスに飛び掛かった!!

「へっ!? あ! ちょっと!!」

「何が怪我はないか、だ!! もうちょっとで死ぬところだったんだぞ!! もっと早く来い、この馬鹿馬鹿馬鹿ーーーーっ!!」

そのまま、GガンナーMk−Uは、ゴッドJフェニックスに駄々っ子パンチをお見舞いする。(笑)

「痛ッ!! 痛ッ!! ちょ、痛ッ!! た、タンマ、痛ッ!!」

当然、人機一体操縦により、ゴッドJフェニックスとリンクしている機龍にもダメージがいく。

………恋人同士のじゃれ合いの様に見えなくもないが、やってるのがPF同士なだけに、奇妙な光景だった。

「「「「「「………………」」」」」」

その光景に、思わず呆然としてしまうネギ達とアーノルド達にタルカス3人衆。

と………

「人を無視して………何をイチャついとりますかあぁぁぁーーーーーっ!!」

無視されたからなのか、見せ付けられたからなのか、怒り心頭にGガンナーMk−UとゴッドJフェニックスを右足で踏み潰そうとするオーガル・オロチ。

「うおっ!!」

咄嗟に、ゴッドJフェニックスは、零式斬魔刀を盾にして、迫ってきたオーガル・オロチの右足を支える!!

「ぬおっ!! 生意気にな〜〜〜!! さっさと潰れてしまいなはれっ!!」

グググッと右足に重量を掛けるオーガル・オロチ。

「ぐうっ!! 真名、早く逃げろ!! そう長くは支えてられん!!」

「あ、ああ! 分かった!!」

慌ててその場を離れようとしたGガンナーMk−Uだったが………

逃げようとしたその瞬間、ボンッと黒煙を立てて、再び地面に倒れた。

「ア、アレ?」

「オ、オイ!? 真名! どうした!?」

「ゴメン………さっきの(駄々っ子パンチ)で、無理が祟っちゃったみたい………」

「何ですとっ!?」

「アハハハハ、アホちゃいまっか!!」

それを聞いた千草は、さらにオーガル・オロチの右足にさらに重量を掛ける。

「うおおっ!!」

何とか支えるゴッドJフェニックスだが、足が地面にめり込み始める。

「おお! セイバーリーダーがピンチじゃぞ!!」

「これはチャンスね!!」

「動けないところを一方的に攻撃してやる!!」

と、アーノルド達の相手をしていたタルカス3人衆が、一斉にゴッドJフェニックスに襲い掛かった!!

「マズイ! 今機龍は動けん!!」

アーノルド達も、入れ替われに入ってきたPF、GF、式神部隊に妨害され、救援に行けずにいた。

「「「セイバーリーダー!! 覚悟ぉぉぉーーーーーーっ!!」」」

タルカス3人衆は、動けないゴッドJフェニックスに一斉にバズーカを向ける。

「くっ!!」

あわや神薙 機龍、絶体絶命か!?



と、その時!!



「アルティメット斬ッ!!」

「カイザースラッシュ!!」

「ドラグーン! インパクトッ!!」

突如、3機のPFが現れ、それぞれ手に持っていた斬馬刀、エネルギーブレード、ツインソードで、タルカス3人衆を叩き斬った!!

「「「ギャアァァァーーーーーッ!! やっぱりヤラレ役かぁぁぁーーーーーっ!!」」」

などという断末魔を残して、爆散するタルカス3人衆。

「何やてっ!!」

千草が驚きの声を挙げると、3機のPFは、今度はゴッドJフェニックスを踏み潰そうとしていたオーガル・オロチの右足に取り付き、一気に引き剥がした!

「うおおぉっ!!」

仰向けに倒れこむオーガル・オロチ。

3機のPFは、ゴッドJフェニックスの周りに降り立った。

「よう! 大丈夫か、機龍」

「危機一髪だったな」

「加勢しよう、セイバーリーダー」

「ブレッド!! コバルトリーダー!! 元帥閣下まで!!」

そう、その3機のPFは、アルサレアの英雄達………『レガルドリーダー』ブレッド・アローズのJドラグーン・マックス。

『コバルトリーダー』リョウマ・ザンのJカイザー・インフィニティ。

そして、『グレンリーダー』セイジ・オオトリのアルティメットJフェニックスだった!!

「どうして皆さんがここに!?」

「魔法界の総帥、アルビレオ・イマ殿の要請を受けた。第二地球の最重要防衛地域である麻帆良が、大攻撃を受けている。防衛を援護して欲しいとのな」

機龍の問い掛けに代表して答えるセイジ。

「アルさんが!?………相変わらず手回しが早いな〜、あの人も………」

アルの手腕に、呆れるとも感心するとも取れる呟きを漏らす機龍であった。

「そんな事より………まずは片付けなければいけないモノがありますね」

リョウマが、起き上がりながら後ずさるオーガル・オロチの方を見ながらそう言う。

「ま、まさか、『アルサレアの4本刀』が揃ってしまうとは………」

最強のPF乗りの称号を持つ人物の集合に、若干青ざめる千草。



………なお、この異名が4人に付けられたのにはもう一つの理由があった。

4人の愛機全てが、カタナ(発展系を含める)系の武器を装備している事からも着ているのだ。




「さて………お前さんに選択肢を2つやろう」

千草に宣言するブレッド。

「な、何やて………」

「大人しく捕まるか………それとも、ボコボコにされて捕まるかだ」

「ふ、ふざけるな〜〜〜〜っ!!」

千草の怒声と共に、竜の首から一斉に火炎弾が発射される!!

「「「「シュワッチッ!!」」」」

それを飛んでかわすアルサレアの4本刀。(ゴッドJフェニックスはGガンナーMk−Uをお姫様抱っこして)

そのままJドラグーン・マックス、Jカイザー・インフィニティ、アルティメットJフェニックスは、板野サーカスばりに飛び回って撹乱する。

宛ら、Uキ○ーザウルスVSウ○トラ兄弟のような光景だ。

「ぬおっ!! ちょこまかと!!」

その間にゴッドJフェニックスは、GガンナーMk−Uを安全な場所まで移す。

「き、機龍!!」

「色々話したい事もあるだろうが、後にしてくれ。まずは、アイツを片付けないとな」

そう言って、機龍は板野サーカスに混ざって行った。

次々に迫る竜の首を、華麗に回避しているアルサレアの4本刀。

「よし! そろそろこちらから仕掛けるぞ!!」

「「「了解!!」」」

セイジの命に従って、全機は一斉に攻撃態勢に移る!

「零式斬魔刀! 大旋風ッ!!」

零式斬魔刀を横に構えて、独楽の様に大回転して、一気に4つの竜の首を薙ぎ払うゴッドJフェニックス。

「エネルギー注入!! レーザーブレード!!」

刀型のブレードにエネルギーを注入し、流れるような動きを見せると、青白く光る刀身で2つの竜の首を斬り落とすJカイザー・インフィニティ。(どこからともなく、『あの音楽』が聞こえてくる)

「二刀一心!! 我が敵を薙ぎ払えっ!!」

二刀の柄同士を合体させ、薙刀状のツインソードにして振り回すと、1つ竜の首とオーガル・オロチ本体の右腕を切断するJドラグーン・マックス。

「うおぉぉぉーーーーーーっ!! 一刀両断ッ!!」

上段に構えた斬馬刀を一気に振り下ろし、オーガル・オロチ本体の胸部に、大きな斬り傷を付けるアルティメットJフェニックス。

付けた傷から爆炎が上ったのを皮切りに、次々と小爆発を起こし、火花とスパークを散らせるオーガル・オロチ。

「あ、アホなっ!! ウチは負けへん!! 絶対に負けへんのやあぁぁぁーーーーーっ!!」

しかし、執念でアルサレアの4本刀へ襲い掛かる千草。

だが………

「咆えろ………零式斬魔刀!!」 

「唸れ!! 斬馬刀!!」

「斬り裂け!! エネルギーブレェェェーーーード!!」

「我に力を………ツインソォォォーーーード!!」

アルサレアの4本刀は、それぞれの愛刀を構え、出力を全開にしてオーラを発する!!



そして!!



「天空宙心!! 運命列断剣!!」

「必殺!! カイザーダイナミック!!」

「秘剣!! 流星落とし!!」

「奥義!! 斬魔刀!! 稲妻重力斬り!!」

アルサレアの4本刀の必殺技が、連続で炸裂した!!

「ギィヤァァァーーーーーーッ!!」

千草の叫び共に、オーガル・オロチはゆっくり仰向けに倒れていき………大爆発した!!

その爆炎を逆光に、それぞれの構えを取ったアルサレアの4本刀のPFの姿が浮かび上がる!

「「「「我等に………敵無し!!」」」」

「「「「「「「やったーーーーっ!! イエーーーーイッ!!」」」」」」」

千草がやられた事で、操っていたPF、GF、式神部隊も、全て消滅・機能停止していく光景に、全員が歓声を挙げたのであった。











「キリキリ歩け!!」

「「「「トホホ〜〜〜〜〜………」」」」

「全員逮捕、っと」

その後、千草とタルカス3人衆は取り押さえられ、リョウマとブレッドによって連行されて行った。

「やれやれ………これで本当に終わったな」

その様子を見ながら機龍は呟いた。

と、そこへ………

「機龍!!」

「ん? おわっ!!」

呼ばれて振り向くと、機龍は真名に抱き付かれた。

「お、オイ、真名! こんなところで………うむっ!?」

「うん………」

機龍の言葉を遮り、半ば強引にキスする真名。

「………プハッ!! ちょ、どうしたんだ、一体?」

「………かった」

「え?」

「会いたかった、機龍」

そう言って真名は、機龍の胸に顔を埋める。

「真名………」

そんな真名を、ギュッと強く抱きしめる機龍。

「ゴメンよ、遅れて」

「機龍………」

やがて、2人は抱擁を解くと、ジッと見詰め合った。

「ただいま………真名」

「お帰り………機龍」

そう言って、微笑む2人。



………と、

そこで、拍手が聞こえてきた。

「へっ?」

「あ………」

2人が聞こえてきた方向を向くと………

「ヒューヒュー、お熱いね! 御2人さん!!」

「「「「「「ヒューヒュー」」」」」」

何時の間にやら集まっていたA組+レイ達が、2人に向かって冷かしを飛ばしていた。

「ッ〜〜〜〜!!(赤面)」

「不覚を取ったか………」

茹蛸のように赤面して、頭から湯気を立てる真名と、きまりが悪そうに頭を抱える機龍であった。

「おっと、お取り込み中だったかな? セイバーリーダー」

更にそこへ、グレンリーダー………アルサレア帝国軍最高司令官、セイジ・オオトリ元帥までもがやってきた。

「げ、元帥閣下! こ、これはどうも、お恥ずかしい所を………」

慌ててセイジの方へ向き直ると、直立不動の体勢で敬礼する機龍。

「あ、アレがアルサレア帝国軍最高司令官にて最強のPF乗り………」

「「「「「「「「グレンリーダー………」」」」」」」」

流石のA組も、相手が相手なだけに、緊張した面持ちになる。

「ハハハ、そう緊張しなくもいい。ところで………現在の機甲兵団ガイアセイバーズの責任者は誰だい?」

「え? あ、私ですが? 機甲兵団ガイアセイバーズ隊長代理の龍宮 真名です」

やや上った様子で、一歩前に出る真名。

「うむ………実は、君達の存在が『惑星J統一政府』と『地球同盟国家』で問題にされていてな」

「え?………」

「君達は民間人だ。民間人があれ程の強大な戦力を所有しているというのは、些か危険と思われている………よって!」

「本日を持って、機甲兵団ガイアセイバーズをアルサレア帝国軍の指揮下に置くことになった」

セイジの言葉を、機龍が続けた。

「!! そんな!!」

「ちょっと、いくら何でも一方的すぎるわよ!!」

「これは決定事項だ」

抗議の声を挙げるA組に淡々と言うセイジ。

「き、機龍さん!! 機龍さんはそれで良いんですか!?」

「命令なら仕方ないだろ。軍人にとって、上官の命令は絶対だ」

軍人らしい意見を返され、押し黙るA組。

「よって、現責任者である君は解任。アルサレア軍より、新たな責任者を派遣する。以後、ガイアセイバーズの扱いはその責任者に一任する。君達は、その者の指揮下に入ってもらう」

「………断る!!」

と、ここで真名が、熱り立ったような声を挙げた!

「!! 龍宮さん!!」

「ほう………」

「ガイアセイバーズは………私達と機龍達が、苦楽を共にしてきて築き上げた絆の部隊だ!! それを、いきなりやって来て指揮下に入れる? 新たな責任者を派遣する? ふざけるな!!」

正面切ってセイジに食い掛かる真名。

ネギ達やアーノルド達は、かなりヒヤヒヤしながらその様子を見ている。

そんな中、セイジと機龍は、何やら薄っすらと意地の悪い笑みを浮かべていた。

「例え、アルサレア軍の元帥だろうと………私達と機龍達のガイアセイバーズを好きにはさせない!!」

「フフフ………ハッハハハハ!!」

と、真名が啖呵を切ると、セイジは突然笑い出した。

「!! 何が可笑しい!!」

「いや〜〜、すまない。私にそこまで意見してきたのは、グレン小隊の同僚以外には、君が初めてだよ………セイバーリーダー、良い仲間を持ったな」

「ありがとうございます、元帥閣下」

「「「「「「「??????」」」」」」」

何がなんだか、理解できないA組。

「あの………何がどうなってるんですか?」

そんな一同を代表するように、おずおずと尋ねるネギ。

「つまりだね………アルサレア軍より派遣する新たな責任者というのは………」

「俺の事だよ」

機龍が、笑いながら自分を親指で指差した。

「「「「「「「ええっ!?」」」」」」」

「へっ?」

その言葉に驚くA組と、呆気を取られる真名。

「つまり………簡単に言うと」

「今日から俺は、機甲兵団ガイアセイバーズの総隊長に復帰し、第二地球に留まる事になったってわけさ」

「!! 機龍!! お前、分かってて黙ってたな!!」

「いや、だって、言う間も無かったからさ………」

喰って掛かって来た真名を宥めながら、機龍は飄々と言うのだった。

「うう………申し訳ありません、元帥閣下。数々の御無礼、どうかお許しを………」

「ハハハ、気にしないくれたまえ。私も、ちょっと言い方が悪かったからな………では、公務が控えてるのでな。これで失礼させてもらうよ。また会おう、セイバーリーダー。そして………ガイアセイバーズ」

セイジはそう言って背を向け、去って行った。

機龍達は、その後ろ姿が見えなくなるまで、敬礼して見送った。

「さてと………そう言えば皆、今日は卒業パーティーをやってたんだろ?」

「あ! そうだった!!」

「じゃあ、戻ってパーティーの続きをしようよ!!」

「「「「「「「賛成ーーーっ!!」」」」」」」

そう言って、A組とジン達は、パーティーをしていた広場に戻って行った。

「じゃあ………俺達も行くか」

「ああ………」

機龍と真名も、寄り添いながら歩き出した。

「………機龍」

「ん? 何だ、真名」

「これからは………ずっと一緒だ」

「ああ………そうだな」










自らの青春と命を真っ赤に燃やして戦い続けた男と女の物語は、今、終りを告げた………

2人は、自ら掴み取った平和の中で生きて行くだろう………










THE END




















オマケ(妄想)

数年後………

ある昼下がりの麻帆良の街の一角に立つ純和風の一戸建て………

入り口に下げられている表札には『神薙家』と書かれていた。

「よ〜〜し! 掛かって来い!!」

その庭で、剣道着に身を包み、ハチマキを巻いて両手に竹刀を持ったその家の主人………神薙 機龍が、同じように剣道着を着て、両手に竹刀を持った双子と思わしき少年と少女を前にしてそう言った。

「「やあぁぁぁ〜〜〜〜っ!!」」

それに反応し、気合の掛け声を発しながら、機龍に突撃する少年と少女。

そして、子供とは思えないような二刀流で、機龍に攻撃を加えていく。

「ハハハ、甘いぞ!」

しかし、機龍は、それを楽々と往なし、2人の頭を竹刀で軽くパコッと叩いた。

「うわっ!」

「痛っ!」

尻餅をつく2人。

「まだまだだな、2人供」

「むう………精進が足りませんでした」

「もうヤダ〜〜! 父上が強すぎるよ〜〜〜」

自分の未熟さを恥じる少女と、愚痴を漏らす少年。

「機龍。その辺にしといてやれ」

と、そこへ、家の縁側から、褐色の肌をした長い髪の女性………機龍の妻、神薙 真名が姿を見せた。

「あ、母上〜〜。また、ガン=カタ教えて〜〜〜」

それを見た少年の方が、そう言いながら懐からオモチャの拳銃を取り出して、真名に駆け寄った。

「父上、もう一度お願いします」

少女の方は、再び竹刀を構える。

少年と少女は、まるで機龍と真名を小さくしたような外見をしていた。

機龍に良く似た少年の名は、神薙 竜矢(りゅうや)。

真名に良く似た少女の名は、神薙 瑠奈(りゅうな)。

機龍と真名の子供達だ。

「やれやれ………この分じゃ、次の神薙二刀流の継承者はお前になりそうだな、瑠奈」

「本当ですか!? ありがとうございます!! 父上!!」

因みに、竜矢は母親っ子気味、瑠奈は父親っ子気味だ。

「そうそう、機龍。懐かしい人から手紙が着てたぞ」

と、竜矢の相手をしながら、真名がポケットから封筒を取り出した。

「え? 誰からだい?」

「宮崎のどかと………ネギ先生からさ」

「おお!! あの2人からか!! 懐かしいな」

真名から封筒を受け取り、中身の手紙を検める機龍。

「ねえねえ、母上。ネギ先生って確か………」

「昔、一緒に戦っていたっていう………」

「ああ、そうだ。初代ガイアセイバーズのメンバーさ」

聞き覚えのある名前に質問してきた子供達に、誇らしげに語る真名。

現在機龍は、2代目の機甲兵団ガイアセイバーズの総隊長を務めている。

初代のメンバー………A組は、既に解散していた。

ある者は自らの行くべき道を、ある者は最愛の人の連れ人となり、その人と同じ道を歩んでいった。

「ほう〜〜、アイツ等も遂に結婚か」

と、手紙を読んでいた機龍が声を挙げた。

手紙の内容は、ネギとのどかの結婚式への招待状だった。

2人は現在、マギステル・マギとその従者として、世界中を飛び廻り、彼方此方で奇跡ともいえる活躍をしていた。

「本当か!? 機龍」

「ああ。近々、こっちに帰ってきて、結婚式を挙げるらしい。勿論、初代のメンバーも、全員呼ぶそうだ」

「そうか………久しぶりに皆に会えるわけか」

「そうだな………」

懐かしそうな表情を浮かべる機龍と真名。

「父上! 母上! 僕達も行って良い?」

「行って良い?」

竜矢と瑠奈が、聞いてくる。

「ああ。勿論良いぞ」

「こういうモンは、大人数の方が盛り上がるからな」

「「わ〜〜〜い!!」」

はしゃぐ2人に微笑みを漏らしながら、機龍は縁側に腰掛け、その隣に真名が座った。

そのまま2人は、空を見上げた。

雲1つない青い空が、どこまでも広がっていた。

「………平和だな〜」

「ああ………私達が掴み取った平和だ」

「この平和が、何時までも続くと良いな」

「そうだな………」

そう言って、真名は機龍に寄り掛かった。

機龍は、そんな真名の肩に手を回すのだった。










THE HAPPY END


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