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魔法先生と超能力生徒の友情物語八番目「敗北……」(×MOTHER2) 投稿者:土星 投稿日:04/08-05:51 No.115  

ネスとネギは「桜通りの吸血鬼」を捕まえるべく犯人を待ち伏せしていたが、そこに現れたのはネギの生徒、出席番号26番 エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルだった……。



八番目「敗北……」





「障壁を展開して尚この威力……、流石に奴の息子なだけはある」



その言葉を聞きネギは意表をつかれた顔をしていたが、すぐにエヴァンジェリンに何故こんなことをしているのか聞きだしていた。

だがエヴァンジェリンは「いい魔法使いと悪い魔法使いがいる」とそれだけ言って、ネギ達に向かって液体が入っている二つのフラスコを投げ呪文を唱えた。

すると突然二つのフラスコが爆発し、白い霧の様なものが出てきた。それと同時にネギとのどかの服が凍りつき、凍った部分がどんどん砕け散ってしまった。

ネギは魔法障壁で抵抗したので上着の袖が砕け散る程度で済んだが、のどかは魔法使いでもなんでもない上に気絶しているので、服も下着も全て砕けていた。残っているのは靴下ぐらいである。

そんなスッポンポンな状態ののどかに気づいたネギは、どうすれば良いのか分からずただ顔を赤くし、何の意味もなく左腕を上下に振っていた。



すると、のどかを送ろうと考えて追いかけてきた明日菜と木乃香が後ろからやってきていた(ネスは白い煙に隠れてしまって見えない)。

だが明日菜と木乃香の見た光景は、ネギが下から上まで素っ裸ののどかを抱えているという有り得ないものだった。

その光景を見た木乃香は本気で言っているのか冗談かは分からないが、「ネギが吸血鬼だったのか」などと言っていつものワイワイ騒ぐ状況になりかけたが、逃げようとしているエヴァンジェリンにネギが気づき「後を追います」と言って人間では有り得ない速度でエヴァンジェリンを追いかけていった。

そしてネスは……、



「あれ、僕置いてけぼり?」



忘れられていた。





ネスをすっかり忘れているネギは、エヴァンジェリンに追いつき空中戦を繰り広げていた。



「ラス・テル マ・スキル マギステル 風精召喚! 剣を執る戦友!」



呪文を唱えると同時にネギの周りにネギそっくりの風の精霊が8体出現し、エヴァンジェリンに向かって飛んでいった。



風の精霊たちはどうやらかなり追尾性が高い呪文の様で、エヴァンジェリンが壁や地面などの激突スレスレの場所を飛んでも精霊たちは確実にエヴァンジェリンを追っていた。

そしてネギは、先程から魔法薬を触媒を使っていることからエヴァンジェリンの魔力が低いことに確信を持ち精霊たちで追い詰め、ネギの得意な呪文の一つ「風花・武装解除」でエヴァンジェリンの黒マントを吹き飛ばし、飛べないように下着姿にして寮の上に着地させた。



「これで僕の勝ちですね。 何故こんなことをしたのか教えて貰いますよ。 そしてお父さんのことも……」



エヴァンジェリンを追い詰めたネギは事件を起こした理由と、己の父について聞き出していた。

それに対しエヴァンジェリンはもったいぶらせる口振りで話そうとはせず、勝ったと信じ込んでいるネギに「勝ったと思っているのか」と強気な発言をしていた。

ネギはその言葉を聞き、腹を括った顔をして呪文を唱え始めた。

呪文もほぼ完成しきって、エヴァンジェリンに「戒めの風矢」を撃とうと前に出た瞬間、何者かが上から降ってきてネギにデコピンをして魔法を妨害していた。

ネギは後ろによろめき、妨害した相手を見てみるとそれは、出席番号10番 絡繰茶々丸だった。



エヴァンジェリンの話を聞くと、茶々丸はエヴァンジェリンのパートナー、ミニステル・マギという魔法使いの従者らしい。

ミニステル・マギは魔法使いの詠唱時間を稼いだり、攻撃を防いだりするためのものらしく、パートナーのいないネギにはとても相手が悪かった。

そしてエヴァンジェリンは茶々丸にネギを捕らえさせ、事件の真相をネギに話し始めた。



エヴァンジェリンは15年前、ネギの父親「サウザンドマスター(千の魔法使い)」という世界最強の魔法使いに敗れて以来呪いを掛けられ、魔力も極端に封じられた挙句この麻帆良学園に閉じ込められているらしい。

そしてその強大な魔力で掛けられた呪いを解くにはそのサウザンドマスターの血縁者の血が大量に必要らしく、ネギがこの学園に来ると聞いて以来ずっとネギを倒す為に生徒たちの血を集めていたらしい。

ところが、今夜ネギを襲う計画を練っていたらしいのだが先日ネスが現れ、集めた魔力の殆んどを消費し、魔法薬を使うハメになったらしい。



そのことを話し終えたエヴァンジェリンはネギの首筋に噛み付き、血を吸いはじめた。

すると後ろから明日菜が屋根の上を猛スピードで走ってきて、エヴァンジェリンたちを蹴り飛ばした。

顔面を蹴り飛ばされたエヴァンジェリンは「あぶぶぶぶーーー」とか言いながらすっごい顔から滑っていた。エヴァンジェリン、すべてのシリアスを笑いに変える女(笑



「貴様! なぜここがわかったのだ!」



空を飛んでいる間に明日菜が追ってきている様子は無かったというのに、寮の屋根の上に自分たちがいることがわかった明日菜にエヴァンジェリンはとても驚いていた。





それを説明するには今から10分前に遡る。



明日菜はエヴァンジェリンを捕まえるために走っていったネギを追いかけようと思っていたが、ネギはすでに見えないところまで行ってしまっていて、無理に追いかければ尚更追いつく出来なくなってしまうので明日菜はただじっとしておくことしかできない状態だった。



「明日菜、ネギ君一人で大丈夫かなー?」



「て言ってももうどこに行ったかわからないし……」



木乃香は全裸状態ののどかを抱えてネギの安否を心配していたが、肝心の明日菜もただ何も出来ない自分が歯がゆいといった感じだった。

その時……、



「僕で良かったら力を貸そうか」



突然煙の中から声がしたかと思えば、ネギに置いてかれてしまったネスであった。

ネスは煙の中からまるでヒーローの様にカッコよく歩いてきて頼れる男といった感じだったが、明日菜はのどかが裸だったことを思い出し、



「あっちいけーー!」



「SMASH!!」



とりあえずネスを煙の中に殴り飛ばしておいた。





ひとまず木乃香とのどかを家に帰らせて、明日菜はネスと話をしていた。

ネスが先程言っていた「力を貸そう」というのは、超能力でネギの場所を教えてくれるという。

ネスは一年前より発達した超能力の力でネギがどこにいるかはおおよそ把握できるらしい。

しかしハッキリとはわからずそこがどこかはわからないので、ネギの位置を教えるかわりに明日菜に道案内をしてもらうということだった。

明日菜はこれを了承し、早速ネギを追いかけることにした。



そして寮の屋根の上にいることがわかった明日菜とネスは、PSIの一つ「テレポート」で一気に屋根まで瞬間移動し、エヴァンジェリンに襲われているネギを発見した明日菜は即刻エヴァンジェリンを蹴飛ばしたということだ。





「ということはあの小僧もここにいるのか!?」



「ネス君のこと? すぐ後ろにいるよ」



明日菜に言われ後ろを振り向くと、そこには肩にバットを担いで仁王立ちしているネスの姿があった。

エヴァンジェリンは急いで距離を取り、茶々丸の所まで離れていった。

ネスはそれをただ見ているだけで、立っているだけで力の差を感じさせる様な威圧感をだしていた。



「元気だねー、昨日あれだけ戦ったのにまだこんなことしてるんだ」



「だまれ、呪いを解くためにはネギ先生の血が必要なんだよ」



エヴァンジェリンはなんとも無いように話しているが、実際はこうやってネスと話しているだけで恐ろしいほどのプレッシャーを感じ、今にもつぶれてしまいそうな状態だった。

すると茶々丸が突然エヴァンジェリンを抱きかかえ、ブースターで上空に飛び上がった。



「マスター、状況がよろしくありません ここは一度引きましょう」



「ぐっ……そうだな、今回は引くとしよう」



エヴァンジェリンは茶々丸の言うとおりにし、引き上げることにしたようだ。

だがエヴァンジェリンは飛び立つ前に、血を吸われて立ち尽くしているネギに上空から話しかけていた。



「ネギ先生、今日は引くが次やりあうときは貴様の命は無いと思え 所詮貴様は親の七光りなのだからな……」



そう言うとエヴァンジェリンは高笑いをしながら闇の空へと消えていった……。





エヴァンジェリンと茶々丸が飛んでいき、ネギは先程の言葉が悔しかったのかその場で悔し涙を流していた。

明日菜はかけよりエヴァンジェリンをたった一人で追いかけたことを叱ろうとしたが、ネギのことを気遣い、ネスが明日菜を止めていた。



「(僕が強ければ、こんな思いをしないで済むのに……!)」



ネギは心の中で、己の力の無さを悔やんでいた。



そしてネギは明日菜とネスにお礼を言って、寮へと帰っていった。



ネスと別れ、明日菜とネギが部屋に帰ったときには既にのどかは自分の部屋に帰った後で、木乃香はネギたちの無事を心配してまだ寝ていなかった。

だがネギは木乃香に心配をかけたことを謝罪したあと、普段は明日菜と同じベットで寝ているのに今日はロフトに上りそのまま寝てしまった。



木乃香は明日菜に何かあったのかと聞いていたが、明日菜はよくわからないと言ってネギの方を見て首を傾げていた。

神楽坂明日菜、男心はまだよくわからない15歳の乙女。





ネギたちが就寝した頃、世界樹では異様な形をした物体に乗っている人物が一人呟いていた……。



「けっけっけ……あの赤毛のガキ、「あのお方」の器に使えるかもしれないな」



そいつは意味深なことを言った後、方向を変え、



「まあ決めるのは「あのお方」しだいだからな」



と言って、異様な物体は何処かへと飛び去っていった……。





ネスと明日菜に助けられ、なんとか事無きを得たネギ。

だがその日の悔しさはあまりにも強く、そして深かった……。



ネギは果たして立ち直れるのか!?

そして謎の人物が言っていた「あのお方」とは……?





To Be Continued

魔法先生と超能力生徒の友情物語 魔法先生と超能力生徒の友情物語九番目「声」

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