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魔法先生と超能力生徒の友情物語九番目「声」(×MOTHER2) 投稿者:土星 投稿日:04/13-22:27 No.304
吸血鬼騒動の犯人、エヴァンジェリンを捕まえるべく寮の屋根に追い詰めたネギだったが、
エヴァンジェリンのパートナーである茶々丸に妨害されエヴァンジェリンに敗北してしまったネギ……。
そんな彼は今、不思議な夢を見ていた。
九番目「声」
明日菜とネスに助けられ、無事に寮に着いたネギは一人夢を見ていた。
「ここは一体……」
ネギが今見ている夢はとても不思議で不安になるものだった。
その夢は周りは真っ暗で人影一つ無く足下には水が広がり、ただ暗闇の中にネギが一人立っているというものだった。
するとネギの眼の前に何かの映像が出てきた。それはネギがエヴァンジェリンに負けた映像だった。
「これは……そうか、僕は負けたのか……」
ネギは一人呟き、その映像を見ながらエヴァンジェリンに言われたことを思い出していた。
『所詮貴様は親の七光りなのだからな』
「……僕は、所詮ナギ・スプリングフィールドの劣化品でしかないのかな……」
ネギはそう自分を責め、どんどん表情が暗くなっていった。
すると……、
『そんなことはありません』
どこからか声が響き、それはまるでネギの脳に直接語りかけているようだった。
「誰です!? どなたかいらっしゃるんですか!?」
『落ち着きなさい、私は敵ではありません』
その声はネギを諭す様に語りかけ、ネギも声の主から敵意を感じないことに気づき安堵の息をついていた。
そしてその声はネギに再び話し始めた。
『申し訳ないのですがあなたの過去を見させていただきました』
「僕の過去を、ですか?」
「はい、「六年前」のことも含めて……』
声の主の「六年前」という言葉とともにエヴァンジェリンとの戦いが映っていた映像は別のものを映し出した。
ネギはその映像を見た途端、体が震え始めた。
その映像はネギの故郷が焼き尽くされ、村の住民が石になっている映像だった。
『あなたは六年前村を魔族に滅ぼされ、魔族と、魔族を召喚した魔法使いに村の皆の仇をとるため血の滲む想いで魔法の勉強をしました。しかし……』
その声は一旦話すのをやめ、再びエヴァンジェリンの映像を映した。
そしてまたネギに、だが先ほどよりも強めの声で話しかけた。
『あなたはあの吸血鬼に負けてしまった。それはあなたが復讐の心を忘れ、心の闇が弱まっていたからです』
「復讐の心……」
『思い出すのですあの屈辱を……、あなたはまたあの様な惨めな思いをする御つもりですか!?』
ネギはその言葉を聞き六年前のこと、エヴァンジェリンとの戦いでの気持ちを思い出し、心がざわついていた。
だがネギは……、
「僕にはその復讐をするための力がありません、それに僕の夢は魔族に襲われた時助けてくれた父さんの様に強くなることです」
ネギはまだ迷いがあるようだったが、はっきりと自分の成し遂げたいことを暗闇に向かって言い放った。
だが暗闇から聞こえる声はまるで囁くようにネギに話した。
『そうですか……、ではその父よりも強くなれるといったらどうします?』
「えっ!?」
ネギは最強の魔法使いである父、「サウザンドマスター」よりも強くなれると聞き、その言葉を信じられないような顔をしていた。
『もしあなたが私の力を受け入れればあの吸血鬼やあなたの父など足下にも及ばず、この世に存在する魔族全てを滅ぼすことも可能です。無論村を滅ぼした魔法使いも……』
「あ……、う……」
ネギは自分の目標である父を越え、それに村を滅ぼした魔法使いや魔族をも滅ぼせると聞き、10歳の少年にはとても甘美な話に戸惑っていた。
『まだ迷いがあるのですね……、ではあなたが危機に陥ったとき僅かですが力を貸しましょう、そしてまたいつかあなたに問います……』
「は はい」
『ですがお気をつけなさい、近いうちに人間側の伝承が伝わり始めるでしょうから』
ネギは何のことかと思い首を捻ったが、声の主の声は掠れ始め上手く聞きと取れなくなっていった。夢が覚めようとしているのだ。
そしてネギは慌てて声の主の名前を聞いていた。
『わ…しの名は………』
だが声は殆ど聞き取れなくなり、名前を聞くことができなかった。
『ま……逢……ましょう、私の……よ』
ガバ!!
「あ あれ? 今なにか変な夢見てたような……」
ネスは布団から飛び出すように跳ね起き、周りを見ながら夢だったことに気づき窓の方
を向いた。
外はもう大分明るくなっていて、木乃香はまだ寝ていて明日菜は新聞配達のバイトに行っているようだ。
するとネギはロフトベットからおりて適当に目玉焼きをつくり簡単に朝食を済ませた後、スーツに着替えどこかに向かっていった。
明日菜帰宅……、
「ただいま~」
明日菜は新聞配達から戻り、最早くたくたで足取りもふらふらの状態だった。
何故なら彼女は新聞を配達しているにも関わらず、スクーターも(元々乗れん)自転車も使わず自分の足で走って新聞を配っているのだ。
その所為か彼女は全力で走れば、自動車レベルの速度の出るネギの杖とほぼ同じ速度で走れるようになってしまい、蹴りもうら若き乙女としてどうなのかという程の脚力が付いてしまったのだ。(ほっといてよ! by明日菜)
そんな明日菜は二度寝をしようと二段ベッドにのぼり、昨日のネギの様子が気になりロフトベットを覗き込んだが、ネギはもうどこかに行った後でベットはもう無人であった。
それに気づいた明日菜は朝早くからネギがいないことに慌てて木乃香を起こしていた。
木乃香はとりあえず自分も自覚していない明日菜の保護者パワーを落ち着かせ、朝食を済ませた後ネスの所に向かっていった。
ネギが見た謎の夢……。
いったいこれは何を意味しているのか今の状況では誰にも分からない。
だが一つ分かっていることがある。それは主役であるネスの出番が無かったことだ。
「し 主役なのに……」
To Be Continued
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