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魔法先生と超能力生徒の友情物語十六番目「裏の者として」(×MOTHER2 オリあり) 投稿者:土星 投稿日:09/17-20:49 No.1288  

 魔法使いを圧倒する宇宙人、スターマンDXを底知れぬ力で圧倒したネス。
 敗北したスターマンDXは捕虜として魔法使い側に一時的に入ることになった。
 
 
 だがネスが戦っている間、ネギたちは何をしていたのか。それを今回は見ることにしよう。
 
 
 
 十六番目「裏の者として」
 
 
 
 ネスがタカミチと合流しスターマンDXと戦っている頃、ネギは意識を取り戻していた。
 
 
 「すいません皆さん。ご迷惑をかけてしまって……」
 
 
 ネギは気絶してしまい皆の足止めをしてしまったことを謝罪していた。
 信二と龍宮はネギの体を気遣い少し休憩することを勧めたが、ネギはそれを拒み先に進むことにした。ちなみに気絶する原因を作ってしまった刹那は、謝る気は更々ないようでそっぽを向いていた。
 
 
 
 
 ネギ達は先に進み、信二は歩きながらネギに話しかけていた。
 
 
 「でもネギ、一体どうしたの? いきなり叫び声を上げて気絶したけど」
 
 
 信二はなぜ意識を失ったのかをネギに聞いたが、ネギはどうやら何故自分でも気絶したのかよく分からないらしい。だがとても、なにかどす黒い何かがネギの中を埋め尽くした、ということだけは覚えているようだ。
 
 
 一方、少し離れて歩いている刹那は龍宮に説教を受けていた。
 
 
 「ネギ先生は私たちと違って戦う道を選んでいるわけじゃない。ネギ先生が力不足なのも仕方ないだろう。お前らしくないぞ、刹那」
 
 
 どうやら刹那は先ほどのネギを責めていた件で怒られているようだ。
 しかし刹那は悪びれる様子も無く龍宮を睨みつけ声を鋭くして話した。
 
 
 「自分らしくないのはお前のほうだろう」
 
 
 「何?」
 
 
 「例えネギ先生が戦士で無かろうが、ネギ先生は魔法使いだ。魔法の世界は危険だというのにネギ先生は「力はいらない」と言った。それは本当にこの世界の危険性を知らないということだ。そんな何も知らない人にこの世界にいて欲しくは無い」
 
 
 刹那は完全にネギを軽蔑しきっているようで、この発言もネギを心配しているからではなく、ネギがこの世界にいるということ自体が嫌なのだ。
 刹那がこれほどまでに覚悟や魔法関係の知識が無いネギを嫌うかは何か理由があるのだろうが、今はまだ語るときではない。
 
 
 「無知であれば敵に付け込まれる。だから何も知らないような人がこの世界に入ればいつか周りに被害を出すかもしれない。いつかの私のように………」
 
 
 刹那は何かを思い出すように夜空をそっと見上げた。
 何も事情を知らない人から見ればその姿はまるで小さな女神のようで美しく瞳に映るが、刹那と比較的親しい龍宮から見ればその表情はとても寂しく、悲しく、そしてどこか悲壮感を漂わせているように映っていた。
 
 
 「龍宮、私は……」
 
 
 「刹那、私はお前の過去に何があったのか知らないし、知ろうとも思わない。お前が話せば私は聞くし、話さなければ聞かない。互いに深入りはせず、困れば互いに力を貸す。それが私たちの関係だ」
 
 
 龍宮は「だが」と加え、
 
 
 「言わせて貰うなら、あれは唯の八つ当たりにしか見えない。気持ちの整理が着いた時でもいいからネギ先生に謝っときな」
 
 
 龍宮に諭され、本心では全く納得していないが同い年のクラスメイトに延々と説教されるのも癇に触るので、渋々ながらも刹那は頷いた。
 
 
 
 
 こんな感じでパッと見、面倒見の良いお姉さんがやんちゃな子供たちの夜の森の探索に付き合っているという微妙に微笑ましい光景だが、実際はそのお姉さんは拳銃を持った凄腕の鉄砲使いの僅か14歳の乙女で、吊り目の背の低い女の子は単なる発育不全なだけでちょっと性格のキツイ剣士の14歳の乙女で、茶髪の少年はちょっと洒落っ気のある唯の子供のように見えるが実は魔法使いで、赤い髪の子供は魔法使いの上に10歳で中学三年生の女の子たちの先生で、その四人は森の探索ではなく宇宙人退治に来ているという何とも奇妙なグループなのだ。
 
 
 まあそんなことはどうでも良く、この四人は敵の司令塔の場所へ着々と近づいていた。
 しかしその途中その目的地の方向からあまり清潔に使われていないトイレよりも凄まじい悪臭が漂ってきた。
 
 
 「あの、龍宮先輩……、本当にこっちでいいんですか? なんというか、未だに汲み取り式の公衆トイレよりもキツイ臭いがするんですけど……」
 
 
 「君は中々表現が上手いな。だが一応私や刹那はまだ14歳の女なのだからそういう表現は控えるようにしてくれ」
 
 
 一応乙女の恥じらいというものは龍宮にもほんの少しはあるようで、この状況で一々そんな注意している暇があるのだろうかと信二はツッコミたい気持ちではあるのだが、そんな龍宮に全く似合わない台詞を言わせてしまったのも自分なのでツッコムことは出来なかった。
 
 
 「で でも龍宮さん、流石にこれは辛いですよ。本当にこっちなんですか?」
 
 
 「それは間違いない。この臭いの方向から強い力を感じているからな」
 
 
 戦闘のプロだけあって察知能力も優れているようだ。
だがしかし、ネギも信二もこの時計らずして同時にこう思った。
 
 
 ((それって力っていうより、臭いで感知してるんじゃ……?))
 
 
 しかしこんなこと口に出すのは失礼千万であり、そもそも失礼というかそれ以前に言葉にすれば即座に銃弾を叩き込まれそうな気がして二人はそっとその小さな胸の中に秘めておこうと心に誓った。
 
 
 
 
 そして進む途中何度もその悪臭に吐きそうになりながらも、四人は何とか目的地にたどり着いた。
 しかしそこで四人が目にしたものは、この世のものとは思えぬ最悪のものだった。
 そこには本当に形容しがたいのだが、何と言うか巨大なヘドロの塊にも見えるし、大勢の酔っ払ったサラリーマンの嘔吐物の塊みたいにも見える。
 そしてそのぐちゃぐちゃの塊は床に落としたスライムの様に広がっていて、その中心にはたらこ唇があり、鼻の様なものがあり、一番上には目もある。ちなみにその体の色は濁った青色である。
 
 
 「ゲェップ。貴様らがこの世界の力の持ち主か。ゴゲェップ!」
 
 
 最悪だ。喋りながらゲップをしている。
しかもその体は地面に広がりながらも龍宮が見上げるほどあるのでその臭いも半端じゃない。
 
 
 「お前、ォェッ……、がこの騒ぎを、ゥェッ……、起こしたのか……?」
 
 信二は吐きそうになりながらも何とか質問することが出来た。
 しかし信二は質問しておきながら切に思った。
 
 
 (頼むから喋るな。紙に書けコノヤロー)
 
 
 しかし今喋れば本当に吐きそうなので信二はもう口も開きたくなかった。
 しかし臭いはそれを許さんばかりに襲ってくる。
 もしこの場にネギの相棒のオコジョ、カモミールがいればその自慢の嗅覚は一ヶ月は使い物にならなくなっていただろう。
 
 
 「グゲエップ! そうだ。俺様はスターマンDXと共にこの辺り一体を滅茶苦茶にするために来たんだ」
 
 
 「なんでそんなこと、………!! もう駄目! 龍宮先輩お願いします!」
 
 
 とうとう限界が来たようで、信二は木の裏に隠れた。ちなみにネギは信二の背中を擦っている。
 龍宮は何で私なんだと文句を言いたいところではあったが、どちらにせよこれは誰かが聞かねばならないことなので、仕方なく龍宮は信二の替わりに聞くことにした。
 
 
 「目的はなんだ? 地下にあるメルキセデクの書か?」
 
 
 メルキセデクの書とはこの麻帆良学園にある、図書館島の最深部に保管されている最高級の魔法書である。
 読めば頭が良くなるとは言われているが実際そんな下らない事のためには使われてはおらず、それに読んだだけでは頭は良くならないと学園長からも立証ずみである。
 
 
 「メル……? そんなもの知らぬわぁ! 俺たちは唯壊しに来ただけじゃ! このボケェェップ!」
 
 
 もう最悪とかそんな次元じゃない。
 言葉とゲップが完全に繋がった。しかもそれで貶された。プライドはズタズタである。
 龍宮は別に知らないやつから馬鹿と罵られても無視するだけで気にすることは無いが、こいつにだけは馬鹿にされたくないのか眉を引く着かせている。
 
 
 「貴様は一体何なんだ? 今まで戦ってきた魔物とは明らかに違う」
 
 
 「俺様は別の世界より来た。「ギーグ」様を蘇らせるためにな」
 
 
 「ギー……グ? 誰だそれは?」
 
 
 「今から死ぬ奴に教えても無駄なだけだろう。それよりも今は何とか少しでも生き長らえることだけ考えな。ゴゲェェップ!」
 
 
 するとそいつは体からそのヘドロの塊の様なものを身体からまるで弾丸のように無数に飛ばし、龍宮たちは伏せて交わし、信二とネギは木の裏に居たので当たらなかった。
 しかしそのこうげきは見かけによらず強力で、このヘドロの弾丸が当たった大木は当たったところから完璧に折れている。
 龍宮は驚きつつも反撃しなければやられるので、気を籠めた弾丸を敵に向けて撃ち込んだ。しかしそいつの形状上弾丸はあまり効果は無いようで、弾丸はそいつの体に飲み込まれていった。
 
 
 「ゴゲェェップ! そんなもん効くかこのボケェェップ!」
 
 
 龍宮はもう泣きたかった。
自慢の射撃が全く無力なうえになんでこんな存在自体が不快なやつに馬鹿にされなければいけないのかと。
 
 
 「龍宮しっかりしろ! こいつ本当に強いぞ! ネギ先生、春野君援護してください!」
 
 
 刹那は愛刀「夕凪」に気を注ぎ、神鳴流の奥義の一つ「斬岩剣」で斬りかかり、ネギと信二は「白き雷」と「紅き焔」で刹那を援護した。
 しかしやはりそいつのドロドロの身体に勢いを吸収されダメージは無かった。
 
 
 「ゲボゲボゲボ! そんな攻撃がこの『ただいまゲップー』様に効くかぁ!」
 
 
 今のは笑い声なのだろうか。いや、それよりも気になるのは『ただいまゲップー』というやつだ。
 それは名前なのだろうか。
 
 
 「俺様はかつて人間のガキに二度も倒された。最初の名は『ゲップー』、そしてそいつに復讐する為に修行して『帰ってきたゲップー』となり、そしてこれが俺様の最終進化! 『ただいまゲップー』というわけだ! ゲボゲボゲボ!」
 
 
 もう少しマシな名前は思いつかなかったのだろうか。
そんな名前で戸籍登録なんてしようとしてみろ。門前払いは目に見えている。
それにこいつの部下はこの『ただいまゲップー』をなんと呼んでいるのだろう。フルネームは少し面倒くさいぞ。
 
 
「貴様らを肩慣らしに殺した後にネスを殺して、そして邪魔する奴を殺してゆっくりギーグ様を捜すとしよう」
 
 
 どうやらこのゲップーを昔倒したのはネスのようだ。
恐らく一年前のネスの冒険の途中で戦って負けたのだろう。
 
 
 ゲップーは身体の一部を太い触手の様に伸ばし、刹那に向けて攻撃してきた。
 刹那はそれを足に「気」を籠めて短い距離を一瞬で移動する特殊な移動方法、「瞬動」で交わしそのまま再びゲップーの懐に飛び込み、野太刀に雷を帯電させ、絶大な攻撃力て敵を薙ぎ払う神鳴流の奥義「雷鳴剣」でゲップーを斬り裂いた。
 しかし結果は先程と同じでなにも効果はなく少し身体の一部が飛び散っただけだ。
 ネギと信二はその間に呪文詠唱を始めていた。
 
 
 「ラス・テル マ・スキル マギステル 光の精霊17柱 集い着たりて敵を撃て 『魔法の射手・連弾・光の17矢』!」
 
 
 「サンド・デザート・アントライオン 火の精霊21本 集い着たりて敵を焼き払え 『魔法の射手・連弾・火の21矢』!」
 
 
 ネギの光の矢はゲップーの身体を貫いたものの直ぐにゲップーの身体は元に戻り、信二の火の矢はゲップーの身体に当たり、ゲップーの身体が多少焦げていた。
 どうやら破壊系の魔法や攻撃は効果は無いようだが、こういった何かを燃やしたりする魔法は多少なりとも効果があるようだ。
 それに気付いた龍宮はすぐさま信二の攻撃を主とした戦いに移行し、信二を完全に攻撃に回し、ネギは皆の援護と信二に防御魔法、龍宮と刹那は信二の詠唱の時間稼ぎという戦い方となった。
 
 
 ネギは対物理障壁である「風盾」を全員に発生させ、刹那はゲップーのヘドロの弾丸を刀で弾き、龍宮は銃弾でそれを落としている。
 その間に信二は魔法詠唱を行いゲップーに炎系の魔法を発動しゲップーを攻撃した。
 
 
 「サンド・デザート・アントライオン 来たれ地獄の炎 焼き払え 『炎の槌』!」
 
 
 「炎の槌」は手から巨大な炎の玉を発生させそれを相手にぶつける上位古代語魔法である。同種の魔法を挙げるならば雷系の上位古代語魔法の「雷の斧」だ。
 信二はこの麻帆良に来てからというものの己に厳しい修行を課せ二年間修行を頑張ってきた。
 その成果もあり、魔法学校卒業時は「魔法の射手」以外の魔法はたったの一つしか出来ず他の魔法生徒からも落ち零れ呼ばわりされていたが、今ではそんなに多いわけではないが結構な数の魔法を使いこなせるようになった。
 そしてこの「炎の槌」という上位の魔法は信二の修行の集大成ともいえる。
 
 
 しかしその信二の渾身の一撃も空しく、ゲップーの表面がほんの少し焦げただけで、肝心の威力はその身体に吸収され意味が無かった。
 ゲップーを倒すには焼き払う炎と、吸収しきれないほどの威力を兼ね備えた魔法が必要だが、信二の最も威力のある魔法は「今の状態」ではこれが最高である。砂の魔法ならあるだろうが砂では意味が無い。
 
 
 「ゲボゲボゲボ! この程度の炎でこの俺様を焼き付くそうなど片腹痛いわ! これが攻撃というものだ!」
 
 
 ゲップーは突然大きく息を吸い始め身体を膨らませたと思ったら、膨らませた身体にビー玉サイズの無数の穴が開き、何かその穴の奥で光っていた。
 
 
 それがなにか気付いた刹那は全員に自分の後ろに隠れるように指示し、神鳴流の対魔戦術絶対防御の「四天結界・独鈷錬殻」を張って信二とネギに障壁を独鈷錬殻に上乗せするよう指示した。
 
 
 そして限界まで身体が膨らみきったゲップーは、その無数の穴から白い閃光を発射した。
 その閃光はあらゆる物を吹き飛ばし、その閃光は信二とネギの障壁を難なく貫き、刹那の障壁に当たった閃光は障壁を消し飛ばしつつも軌道が逸れて別の方向へと飛んでいった。
 
 
 ゲップーの攻撃も終わり、その攻撃の後は悲惨なものだった。
 閃光が通り過ぎた地面の上はその衝撃で抉れているし、大木に命中しても威力は全く衰えずそのまま真っ直ぐ飛んでいった。
 もしかしたらその直線コースに仲間がいないかと心配ではあるが今はそんな場合ではない。
 森はその閃光で壊滅的なものとなり、地面はボロボロで、辺り一帯の木は殆ど吹き飛んでしまった。
 その威力にネギは腰を抜かし、座り込んでいる。
 
 
 「ゲボゲボゲボ! これが俺様の修行の成果だ! この力で俺は復讐を果たしギーグ様の最強の部下となるのだ! ゲボゲボゲボゲボ!」
 
 
 ネギは既にその圧倒的な力の差に意気消沈し諦めていた。
 しかし刹那と龍宮、信二までもが立ち上がり再び戦おうとしていた。
 
 
 「何やってるんですか皆さん!?」
 
 
 「見ての通り、戦おうとしているんです」
 
 
 ネギは立ち上がって刹那の服の裾を掴んで声を荒げていたが、刹那はそれでも淡々とした声で返答した。
 
 
 「ネギ先生も死にたくないのならば杖を取って援護してください」
 
 
 「何言ってるんですか! こんなの、勝てるわけ無いじゃないですか! 攻撃も効かず、威力も違いすぎる……。勝ち目なんてありませんよ! このままじゃ死ぬだけです! 早く逃げましょう!」
 
 
 ネギは何とか皆を説得しようと叫んだ。しかしその選択は間違っていた。
 今この場で逃げれば大きな被害が出る。
 一般人は死に絶え、魔法使いも全滅しかねない。
 ならばこの場で逃げるわけにはいかない。
 今この場でゲップーを少しでも力を多く使わせて、次に戦う魔法使いに少しでも勝機を持たせなければならない。
 それがこの裏の世界に存在するものの使命でもある。
 
 
 なのにネギは逃げることだけ考えてしまい、思考回路が完全に麻痺している状態でこの場では全く役に立たない状態になっていた。
 
 
 それを見た刹那はネギの頬を叩き、一言告げた。
 
 
 「失望しました」
 
 
 ネギはその言葉で完全に体中の力が抜けて膝を着いてしまった。 
 
 
 刹那はすぐに正面を向いて刀を構え、龍宮は銃口をゲップーに向け、信二は魔法詠唱を始めていた。
 
 
 戦法はさっきと同じで刹那と龍宮が攻撃を防ぎ、その間に信二が攻撃するというものだったが、ゲップーも同じ手は喰わず身体から触手のようなものを信二のところまで伸ばし、触手と身体からヘドロの弾丸を飛ばし全員を攻撃した。
 
 
 一応「気」で攻撃を緩和することは出来たが、やはり防ぎきれるようなものではなく、刹那はアバラの骨が数本折れているし、龍宮は腕の骨が砕け、信二は魔力だけでなく障壁も張っていたので骨折などは無かったが身体が弾き飛ばされ地面に転がった。
 
 
 しかしそれでもまたゲップーに攻撃し、少しずつでも相手を疲労させて別の魔法使いの為に三人は何度も立ち向かっていった。
 そして刹那と龍宮は気を消費した攻撃を幾度なく繰り返し、遂に力尽きた。
 
 
 信二は後ろで魔法詠唱を行っていたのでダメージも少なく、魔力も高いので信二はまだ立つことが出来ていた。
 しかし一人では呪文を詠唱することも出来ず逃げ回ることしか出来なかった。
 
 
 ネギは膝を向いて俯き起き上がる様子はない。
 ネギは既に戦うことを諦め最早唯の人形同然だった。
 
 
 すると信二は今まで避けていたが、刹那と龍宮を抱えネギの元へと駆け寄った。
 
 
 「ネギ、何か強力な魔法障壁張れる?」
 
 
 ネギはボソッと聞き取れるか聞き取れないかくらいの声で、数分持続する竜巻を発生させて攻撃を防ぐ『風花旋風風障壁』と答えた。
 
 
 「他に魔力の限り耐えることの出来る魔法障壁は無いかな?」
 
 
 「『風陣結界』なら………。でも……」
 
 
 ネギは言葉を続けようとしたが、唇を信二の人差し指で塞がれ言葉を続けられなかった。
 
 
 「確かに勝ち目は無いのかもしれない。でも何かを考えられる間は戦わなくちゃ。今僕たちは別の魔法使いに勝機を持たせる為に戦ってるけど出来るなら戦って勝ちたいんだ。僕だってまだ、死にたくないから」
 
 
 信二は言葉を続けた。
 
 
 「取って置きの魔法がある。危険だから本当は使いたくなかった。この魔法は覚えたばかりの頃、制御しきれずに大事な友達を失ってしまった魔法だから。でもそんなことを言ってる場合じゃない。僕に覚悟が無い所為で、先輩達がこんな目に逢ってしまった。だから、覚悟を決めなくちゃ」
 
 
 ネギはタカミチと話しているときの信二を思い出していた。
 あの信二は身長も大して変わらないのに自分よりもずっと大きく見えた。
 それは多分覚悟の違いだったんだろう。
 中途半端な覚悟しているネギには、強い覚悟を持った信二は自分よりもずっと大きな存在に見える。
 現に今、ネギには信二がとても大きく見えているのだから。
 
 
 「ネギも覚悟を決めてくれるなら、僕も頑張れる。だからネギ、先輩たちを障壁で守ってて欲しい」
 
 
 ネギは迷ったような表情をしたが、ネギの眼に再び光が灯り、強い意思を籠めて頷いた。
 
 
 「ありがとう。……サンド・デザート・アントライオン」
 
 
 ネギは信二の魔法詠唱が始まると同時に、地面に魔方陣を発生させ風の障壁をドーム状に展開する魔法障壁、『風陣結界』を展開した。
 それを確認した信二は声高らかに魔法詠唱を行った。
 だがそれは誰も聞いたことのない詠唱だった。
 
 
 「来たれ火の精霊 我に纏いて敵を滅ぼす力を与えたまえ」
 
 
 そして信二の周りに炎が発生し、それが信二に纏わりついていく。
 そして魔法詠唱を完成させた。
 
 
 「『戦火の咆哮』!」
 
 
 
 信二が使ったこの魔法。
 それはかつて自分の大事な者を失った魔法。
 信二は誰も知らない魔法を用いて何をするのか。
 
 
 To Be Continued
 
 
 〈おまけ〉
 
 土「さあ! 話のシリアス感を全てぶち壊しにするおまけコーナー!」
 
 ポ「このコーナーは私とジェフとプー、そしてetc.でお送りする雰囲気を考えないコーナーです」
 
 土「すでに物扱い!? ひでえ!」
 
 ポ「ていうか何で生きてるのよ。前回とんでもないことになったのに」
 
 土「どせいさんに治して貰った」
 
 ポ「ヨカッタネ」
 
 土「棒読み!?」
 
 ジ「まあまあ、とにかく早く企画を進めようよ」
 
 土「納得いかないが仕方ない。それじゃあまずはこのコーナー」
 
 
 土「「今回のお話について」。まずはポーラ」
 
 ポ「ネギ君が少し情けないことになってるわね」
 
 土「主人公は挫折するものです。ましてやまだ10歳だから迷うこともあるんでしょう。はい次ジェフ」
 
 ジ「信二君は大事な人を失ったって言ってるけど、どういうこと?」
 
 土「お前は答えにくい質問ばかりするな。ん~、近いうちにその話をするつもりだから待ってろ。次は今回初めて喋るプー!」
 
 プ「大きなお世話だ。今回は自己解釈が入ってるな」
 
 土「『風陣結界』か? まあ二次創作だから許容の範囲だろ。ていうかこれくらい許されないと二次創作なんて出来ねえよ」
 
 
 プ「なあ土星よ。前回お題を言ってなかったが良いのか?」
 
 土「それがさー、その辺を修正しとこうと思ったんだけど入れるとこ無くてねぇ。だから今回から気をつけるってことで」
 
 ジ「それじゃあ次はいつもお馴染みのこのコーナー」
 
 
 ポ「『マザーあいうえお作文』今回のお題は……、土星発表しなさい」
 
 土「ふふん、やはりお前は俺が居ないと何も出来ないな」
 
 ポ「御託はいいからさっさとしなさい」
 
 土「え~、今回のお題はマザーシリーズの天才系キャラの必需品である「メガネ」」
 
 ジ「天才キャラって、僕は別に」
 
 土「謙遜しなさんなって。それじゃあ最初はジェフ! はい始め!」
 
 
 ジ「え~と「メ」ガシラ(目頭)に~」
 
 ポ「「ガ」ツンと頭突きをしてくる」
 
 プ「「ネ」コ」
 
 
 土「ゲボゲボゲボ!」
 
 ポ「その笑い方やめなさい! ていうかなんで猫が頭突きしてくるのよ!」
 
 土「しかもお前ん家の猫な」
 
 ポ「私のとこの猫は一日中屋根の上で寝てるわよ!」
 
 プ「それでは次のお題はネギまで活躍中の桜咲刹那が使う「カタナ」」
 
 ジ「次回もゲストは必要ありませんが、出して欲しいというキャラがいるのなら感想掲示板に書いて置いてください。作者が頑張れば出てきます」
 
 ポ「それでは」
 
 全員「「「「さらば!!」」」」
 
 
 To Be Continued?

魔法先生と超能力生徒の友情物語 魔法先生と超能力生徒の友情物語十七番目「狂気」

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