HOME  | 書架  | 

当サイトは「魔法先生ネギま!」関連の二次創作投稿サイトです。ネギま!以外の作品の二次創作も随時受け付け中!

書架

[]

交わる異能者たち プロローグ  1 (魔法先生ネギま!×GS美神) 投稿者:海老 投稿日:04/08-03:53 No.41

歯車が1つなくなった。
大切な人を1人亡くしてしまった。
欠落したものは気づかぬまま、闇に落ちていった。





交わる異能者たち 

         プロローグ  1





まだ朝といっていいぐらいの時間帯。
普通の大人たちは急いで仕事をするか、家事をするかの中、1人の男が大通りをボーっとしながら歩いていた。
服装は変わっているものの、頭に巻いた赤いバンダナは変わらない男の名は横島忠夫。
卒業と同時に正社員として美神除霊事務所に雇われており、GSランクの方も見習いからF、Eとだんだんと上がっている。
今はBランクとなり、給料もそれなりに良くなっている。ランクも上がるにつれ一人での依頼も多くなってきた。

今日も一人での仕事も終わり、報告するために事務所に戻る最中である。




プルルルル プルルルル




「おっ! 電話だ。誰やろ?」




給料も増えたし仕事の関係上、持っていたほうが良いとのことなので購入した携帯電話。
画面をみると雇い主の美神令子からである。
急いで出ないと後でやばい事になるので目にもとまらぬ速さでボタンを押す。




「はい、もしもし横『遅い!!!』ひぃぃ、すいません」




急いで出たがもうご立腹のようで……。
横島は電話なのに頭をヘコへコ下げている。





「まったく……帰ったら折檻ね。それより今すぐ私たちの所に来てちょうだい! 場所は分かるでしょ? 人手が足りないのよ」


「ハ、ハイ!! 今すぐそちらに行かせてもらいます!!」




美神と他のメンバー達はオカルトGメンの依頼で、小笠原諸島付近の海へ「究極の魔体」の破片を回収しに行っている。
なんでもその破片が周囲の霊脈を汚染しているので回収してほしいとの事。
普段はそんなめんどくさい事はやらない美神だが、美神より怒ると怖いといわれる美神美知恵が直に言ってきたので、断れずに承諾したのだ。

それに一応…当事者である。その辺の責任感が少しはあったのかもしれない。





決して依頼金が高かったからではない………      多分





<小笠原諸島付近>





海の上に浮かぶ空母……

その上には「アシュタロスの乱」のときのメンバーが集まっていた………それと隅っこの方にオカG隊員が、身を寄せて集まっている。
そんな中ひときわ目立つのが、まだ春といえ少し肌寒いのに必ず着ているボディコン姿の美神令子である。
そしてその母親の美神美智恵もまた目立っている。
二人が目立ちすぎてタイガーが薄くなっているが………その辺はしょうがないだろう。




「令子、横島君は来れるって?」



「大丈夫だって。急いで来いって言っといたから、後ちょっとで来るんじゃない。まぁ、これなかったら折檻だけど」



よくとおる美声で話している親子だが、その内容はかなりひどいことを言っている。

たしかに早くは来いって言ったが、都心から小笠原までかなりの距離である。どんなに早くとも2,3時間はかかるはずである。

が、他の人たちはその言葉のことを気にしていないようだ。
なぜなら横島には「文殊」という秘密兵器(?) がある。
この文殊というものは、キーワードをいれて指向性を持たせることによって莫大なエネルギーを生み、使い方によっては神をも葬りさる万能宝具である。





などと言ってる内にちょっと離れた場所が光、中から横島が出てきた。




「横島くん!! 少し遅かったけどなにしていたの?」




2,3分で来れたのだからほめてやってもいいと思うが……。
美神には遅かったようで、横島をど突きまわしてる。
まぁ実際、文殊を使えばもっと速くはこれたはずである。




「だって探すのに時間が掛かったんッスよ! 小笠原諸島付近っていったい何処ッスか?アバウトすぎッスよ」


「っな#……言い分けしない!!!」


「ひいぃええぇぇぇ!!」




たんなる理不尽な折檻なのだが、それを文句も言わずにうけている横島は大物かもしれない………決してMではないはずだ。
しかし照れ隠しといっても、原形をとどめないほど殴らなくてもいいと思うが……これは横島のセクハラ以上に犯罪な気がする。 

美神は肩で息をしながら『横島』であった物体を放り出すと母・美智恵のところまで戻った。




「来たわよ……横島くん」



「あんなにやんなくても良いんじゃない。そんなにやると愛想つかれるわよ。いいのおキヌちゃんにとられちゃっても」




美智恵が意地悪そうに笑いながら言うと、美神は顔を少し赤くさせ睨みながら答えた。




「横島くんとはそんなんじゃないわよ!! 第一、なんで丁稚ごときに私が気を使わせなきゃいけないのよ!!」




美神が隣で丁稚と雇い主の主従関係に熱く語っているなか、美智恵はその様子を見て溜息をついている。




(令子がこんな調子だと………ハァ~、こうなったらヒノメに頼るしかないわね……)




横島にそんな趣味はないと思うぞ、美智恵さん!! あってはあらないのだ! 犯罪だから……。 




「それより横島くん!! いつまで寝てんの!!」




あんたがやったんだろなんてツッコミはいれてはいけない………多分、半殺しにされると思うから。鬼と化した守銭奴に。
しかしそれより恐ろしいのはグチャグチャのブニュブニュの物体がほんの数秒で、横島になる事の方だろう。
一体、どんな構造をしているのかが気になる体である。父・大樹もこれだけの回復力を持っていることから、横島家の男子は人外的なタフさが必要なのかもしれない。


そんな疑問は脇においといてといった感じで、美智恵は話し出した。




「え~と、電話でも説明したとおり、先の大戦で散らばった魔体の回収が今回の依頼の内容です。依頼主は神界・魔界の上層部からです。
本来ならば神族や魔族の方たちがやるのが筋なんですが……反デタント派の方たちにいい口実を与えるやらなんとかで、今回は来ておりませんので充分、注意してください」



「で、なんで私たちが呼ばれたワケ? 回収だけだったらオカGの隊員だけで出来るはずなワケ」



「小笠原さんの言うとおり、回収だけなら大丈夫なんだけど………残骸の負の気に誘われた悪霊がかなりいるのよ。まぁ、力はたいして強くないけど数が多いから」




実際、弱いといってもランクで言うとCかBぐらいの奴らもいる。しかし、その辺を心配しないのはこのメンバーだからだろう。
特に横島と美神がいれば上級魔族にも勝てるのである。人界最強メンバーといえよう。



さっき美智恵が言ったように神界と魔界からの支援は出ていない。
人間たちが回収したものを上層部が受け取るという簡単な段取りらしいが、危険な作業でもある。
なぜなら魔体の残骸といっても、ただのゴミではない。
一つの欠片だけにでもかなりの魔力がこもっている。更にあの「宇宙のタマゴ」の残骸もある。
これを狙っている反デタント派はかなりいるだろう。
だが神族も魔族もちゃんとした証拠がないと動くことが出来ないという。結構人間から見れば迷惑な話である。
だからさっき小笠原エミが言ったとおり人界最強メンバーが呼ばれたわけである。




「メンバーは



 A班    小笠原さんとタイガー君。このチームは雑魚霊を相手にして下さい。霊体撃滅波があれば、かなり楽になると思います。



 B班    唐巣神父とピート君、そして……冥子ちゃんね。このチームも雑魚霊を相手にしてください。間違っても強い奴と戦ってはいけません……絶対に



 C班    西条くんと魔鈴さん、そして雪之丞君。このチームはC~Bクラスの相手をしてください。まぁ、なにも無い時は……他のチームの支援にでも行ってください。



 D班    令子の事務所の全員ね。でも横島くんはもらうわよ。このチームは遊撃隊になってください。できれば唐巣神父の所の支援に行ってあげて………神父の髪のためにも。



Dr、カオスとマリアちゃんは回収作業を手伝ってちょうだい。残りのオカGの隊員も手伝ってくれると思うわ」




この割り振りに異議はないようで、みんな黙って開始の合図を待っている。……雪之丞だけちょっと不服そうだが。
しかし一人だけ納得いかない人がいるようで、そこには霊力とは違うオーラが目に見えそうなほど漂っていた。
いわずと知れず美神令子である。




「ちょっと遊撃隊なのはまだとして、なんで横島くんは別行動なの!!」


「しょうがないじゃない。どんなハプニングが起きるか分からないから、文殊使いの横島君には待機していてもらいたいわけよ。それ文珠はみんなに渡してもらうし、別に令子から取り上げるなんて言ってないじゃない」



「むぅ……」




実際、正論なので言い返すことの出来ない美神。
しかしなにげに最後のとこを否定してないので、少しは脈ありなのか?


   

「他に意見が無いのならば解散です。あ、横島くんはさっき言ったとおり残ってね」



「うい~っス」





<…数時間後…>





美智恵と雑談をしていた横島だが、美智恵がオカGの隊員に呼ばれてから何もすることがなく暇をもてあましていた。
他の人たちはそれぞれ船に乗り、悪霊を除霊している。
横島はというと本部のテントで寝ていた。
何故誰も注意しないかというと……本部とは名ばかりで、通信器具やらは全て空母に入っているので、隊員は全員空母に入っている。
だから本部には誰もいないのである。




なごやかに寝ていた横島だが近くに違和感を感じ、すぐに飛び起きた。
感覚を研ぎ澄ますとこの島の中心部から感じる。そしてこの違和感が魔力だと気づくのにそれほどかからなかった。
しかも何気に強力である。ワルキューレには匹敵しないとはいえ、下級魔族よりは少し上である。




「くそッ!! この場合は緊急時対応要員の俺が真っ先に行くべきなのか? とりあえず美神さんに連絡入れるか」




プルルルル プルルルル




「もしもし美か『横島くん!!』ハイっ!?」



『電話してきたってことは、あんたも感じたのね。今から遊撃隊の私たちが援護に行くからその間がんばって足止めしといて。とりあえずシロとタマモを先に行かせるから、あんたもさっさと魔族のところに逝ってらっしゃい!! わかったなら切るわよ。じゃね!』




ツ――― ツ――― ツ―――




美神は一気に言い終わると切ってしまった。




「あっ!! ちょっと待ってくださいよ! てゆーか最後の『逝ってらっしゃい』って字ちがくない!? この場合シャレにならないですよ!? てか電源切ってるし…………ドチクショおおおぉぉぉ!!」




横島忠夫 享年 19歳 「まだ死んどらんわああぁぁぁ!!!」





叫び声をあげながら走っていく後姿はだんだんと森に溶けていった。
この後……人生最大の危機が来るとは知らずに………





                    つづく

交わる異能者たち 交わる異能者たち プロローグ II

  HOME  | 書架top  | 

Copyright (C) 2006 投稿図書, All rights reserved.