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交わる異能者たち プロローグ II (魔法先生ネギま!×GS美神) 投稿者:海老 投稿日:04/08-03:53 No.42




交わる異能者たち  

     プロローグ II





あるところにバンダナを巻いたお兄さんと、マッチョのお兄さんがいました。
ある日、二人はキレイなお花畑の上で楽しく鬼ごっこをしていました。





――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――





「んなわけあるかい ボケぇぇぇ!!!」



「なにが違うんだい? いとしのハニー。僕の胸に早く飛び込んでおいで~♪HAHAHAHA~」



「男はイヤヤァァァぁぁ!! 誰かヘルプ・ミィィィ!!!」




勇ましく(?) 森の中に飛び込んでいった横島が、何故このような事態になっているかというと……





~ここから回想~





森に入ってから数分……目の前には木々ではなく、草や花が咲いている開けた場所に横島は出た。
それだけをみると本当にキレイなのだが………ちょうど広場の中心に人間の子供ぐらいの繭(まゆ)があり、周りとはミスマッチしているせいか、せっかくの美しい景色も怪しく見える。
問題の繭の表面には何かの体液みたいなドロドロとしたものが付着しており「エイ○アンでも出てくるんじゃないの?」と思わせるほどの異様さをかもし出している。
ちなみに魔力も一緒にかもし出している。




「うげ~、なんだアリャ?」




横島が興味本意で近づくと、それに呼応するように繭にもヒビがはいりはじめた。
ヒビが入るにつれ溢れ出ていた魔力も徐々に上がり、さっきまでが下級魔族より上だとしたら、今では中級魔族ぐらいはある。
横島はその魔力の強さに腰を引かせながらこれからのことを考え始めた。




(どないしよ……。この魔力はちょっと反則気味な気がするんやけど……。てか、その前に一人じゃ確実に死ぬでしょ!! あ~逃げよっかな~)




などと逃げ思考で考えてると携帯が



プルルルル  プルルルル



「ん? メールや、誰からやろ? 美神さ…ん………………パタン」




内容を読んだ後、無言で携帯を閉じた横島の顔は真っ青を通り越して白くなっていた。
内容は美神からのもので……一言……。




『にげたら地獄見せるわよ……』




美神が地獄を見せるといったら中途半端な地獄はみせない。それをみたら『恐怖公』アシュタロスも漏らすほどの地獄を見せる。
前に一回だけそれを体験した横島はショックのあまり『水着美人だらけの相撲大会』を録画し忘れたほどである。
むろんそれを出されたら逃げ出すわけには行かない。むしろ逃げないで立ち向かったほうがマシである。
横島は昔の特攻隊よろしく、胸に忠誠ではなく恐怖を抱いて敵に突っ込んでった。
目にはひとすじの涙を浮かばせて………。




「死に花や~!! 男の死に花や! みせたるで……祖国 (美神さん)の恐ろしさを見せたるで~!!!」




繭よりも危ない雰囲気をかもしだしながら、いたるところから体液をだしてる横島をみたらルシオラも泣くぞ……多分。
そして繭のほうはというとヒビの隙間から白い煙を出し、その煙にじょうじて孵化しようとしていた。
さすがに横島も気づいたのか、その煙に気づき瞬時に木の後ろまでダッシュして草むらの中に頭を突っ込んだ。
そして煙のなかに敵のシルエットがボンヤリと映ると、横島の方も急いでちかくの葉っぱで身をかくし「ワイは草なんや、ワイは草なんや……きれいな花を咲かす草なんや!」と自己暗示をかけるように呟きはじめた。

両者は動かずに、相手の出方を待っている。

そんな中……風が吹き魔族を隠していた煙が少し無くなった。中から現れたのはエイ○アンみたいに口をあけ威嚇している奴ではなく、さらにプ○デターみたいに変な仮面をかぶっている奴でもなかった。

すらっとした小鼻。大きくパッチリした両目。潤んだ唇。さらりとした長い髪の毛。

そう! 中から出てきたのは美形なお姉さんの顔だった!!!
それを確認するや否や、ギネス記録に喧嘩を挑むぐらいな速さで飛び掛る横島。




「そこのお姉さ~ん! ボク横島忠夫って言うんだヨロシク!! こんなとこであったのもなんかの運命かもね! どうだいあっちにテントがあるから一緒に熱いアバンチュールでも」




高速……いや神速とでも言うべきか!? 瞬時にル○ンダイブと共に服を脱ぎ、飛びかかった横島。
普段ならここで幻の右ストレートが入って失敗するか、他の要因で成功などありえないのだが何故か今回は成功してしまった。キーやんもとうとうヤキがまわったのか?




「お姉さん!! 抵抗しないってことはOKってことなん…で……す……ね、って筋肉?」




抱きついたはいいが、女性特有のやわらかさが無い……あるのは波打つ胸筋、盛り上がる上腕二頭筋、引き締まった背筋。
横島が不思議がっていると突風が吹き、真実を教えてくれた。
全ての煙がなくなりそこにいたのは女性ではなく………半裸の筋肉マッチョ美形野朗であった。



「…………」


「いきなりお誘いとは積極的だな。むぅ、やはり美しい筋肉は罪なのか? なぁ、少年よ」


「…な……」


「な? はて『な』と何だろう?」


「な……なんてこった――!! 男に抱きついちまうなんてええぇぇぇ!! 嘘やああぁあぁ、これは夢なんやぁぁあぁああぁ!!」



それだけ叫ぶと横島は失神してしまった。





―横島の脳の中―





「隊長!! メインエンジンをやられましたあああ!!」


「っく! すぐに技術チームを送れ。敵はすぐそこまで来ているんだぞ!!」



プゥ――ン  プゥ――ン   危険  危険



「どうした――!! いったい何があった!?」


「変態で ゲフンゲフン! 大変です!! 敵が目と鼻の先ではなく、口の先に行こうとしてます!」


「なにー!! モニターに映せぇぇぇ!!」





―現実世界―




「おい、少年よ。起きてくれないのかね? さっきの『な』について教えてくれたまえ」


「――――」


「ふむ、起きないか………ならば目覚めのキスを」




―また脳の中―




「技術チームはまだかぁぁぁ!!! 「総司令官、技術チームから連絡が」まわせ!!」


『煩悩パワーが著しく減っております、そちら方で何とかしてください』


「っな!? 止むをえん、わかった。貴重データルームにある画像データを全艦隊に送れ!! すぐにだ!!!」


「イエッサー。………総司令官、エネルギー元の量まで補充終了。全システム起動させます!!」




―現実世界―




横島が再起動してまず目に入ったものが自分にキスをしようとする筋肉魔族のどアップ顔だった。
唇を突き出して迫ってくる顔は、その辺の三流ホラー映画より数段怖い。



「ンギャ――!!! なにやっとんねん!?」



  ヴァッコオ―――ン!!



横島の文珠『爆』を顔面にうけた筋肉魔族は「アウチッ!」とふざけた悲鳴をあげ倒れこんでしまった。
その隙に奴の半径5m以内から離れた横島は、いつでも戦闘………イヤ、抹殺できるように構えた。
顔面ゼロ距離爆発だったんで、できれば深手を負っていてほしかったが……ムクッっと起き上がった筋肉魔族は宣戦布告の言葉を吐くわけでもなく、まして不意打ちを非難することもいわずにこう言った。



「私は基本的にそっちの趣味は無いんだが………まぁ、君がそういうプレイをしたいのならばしょうがない、このバリアを使わせてもらおう!」



そして何処からだしたか分からないが、丸いスイッチを「ポチッとな」なんて臭いせりふを言いながら押しだした。
動作自体は間抜けだが展開されたバリアは回収目標である「宇宙のタマゴ」の応用版であった。
究極の魔体のときと同様、いかなる攻撃も通さない無敵のバリアである。



「お、おまえ、いったい何処でそれを手に入れた!?」


「え? ………知らないおじさんに魔界でもらったんだが……少年もほしいのかね?」


「………ふ、ふ~ん。で、おまえ元々魔界にいたんか? せやけどその繭から出てきたやん」


「あぁ、あれか………あれは『ドコデモ繭』だよ。アレに入ると行きたい所にいけるし、でるときは白い煙付きだから宴会にもピッタリな商品なんだよ」



魔界の科学も日々進んでるもようで……。
何気に、ドコデモ繭の内側には『開発者:アシュタロス』と書いてあるとかないとか。



「だからいい加減『な』の意味について教……ん!? なんだねコレは?」



急にしゃがみこみ何かを拾った筋肉魔族は首をかしげた。
その手に握られていたのはなんと!! 横島の文珠であった。しかも中に書いてある文字は『惚』
横島がル○ンダイブの際に、相手に飲ませようとして落としたやつを拾ったのである。



「あっ! オマエに飲ませようとした文珠!! 落としちまったのか……」


「なに、少年が私に飲ませようとしてくれた物なのか!? むぅ、ならば飲むしかないだろう」


「ちょ、ちょっと待て!!」



  ゴクンッ



横島の制止の声も聞かずに飲んでしまった。それはもうおいしそうに。
筋肉魔族は飲み終えた後、目をトロ~ンとしたまま動かなくなった。
本能でヤバイと感じた横島は、その隙に逃げ出そうとするがなぜか体が動かない。



(っく。なぜ体が動かんのだ? 今のうちに逃げなければいけないというのに!! もしや、これが宇宙意志なんか!?)



横島が宇宙意志(?)と闘っている間に、筋肉魔族は動き出した。
焦点のあわない目で歩いてるからか足取りは危ない。更に麻薬中毒者みたいによだれをたらしているので、街中を歩いていたら即刻逮捕だろう。



「フフ、フフフフフ、HAHAHAHA! いっただっきま~す!!!」



掛け声と共に飛びかかる先にはやはり、横島の姿。
いまだに宇宙意思 (?) と悪戦苦闘しているが、動くようになるまで後ちょっとだろう。



「後もうちょいで動ける………ふぅ~、やっと動けたって、エェェ―――!!」



持ち前の条件反射でなんとかかわした横島。あと少し遅かったらどうなっていたことやら……。
ギリギリのとこでかわした横島はそのまま転がり込むと、すばやく身を起こして前方に視線を向けた。
その先には手をワキワキさせながら、近づいてくる筋肉魔族がいる。
それを見た横島は背中に悪寒が走りながらも



(ワイがセクハラするときあんな感じになるんやろか? ……今度からはちょっとセーブしよかなぁ)



などと考えていた………現実逃避とも言うが。
しかし相手は現実逃避をさせるつもりはないのか、はたまた目の前のエサが早くほしいのか知らないが、魔族としての身体能力をフルに使って横島を追いかけ始めた。





~ここまでが回想~





そんなこんなで数十分もの間、魔族から逃げ回ってる横島だが流石に疲れてきたらしく足がもつれて転んでしまった。
そんな好機を見逃す魔族ではなく今年一番の大ジャンプをみせると、そのまま突っ込んできた。



「さぁ、逝こうじゃないか!! 未知の世界へ―――ッ!!」


「あ、あ、こっちくんな~!」



横島は半泣き状態で回避するそぶりを見せない……否、できないのであった。
もう人として表の世界で生きてけないと思った瞬間、目の前に飛び込んでくる2つの影があった。



「先生! 大丈夫でござるか!?」


「死にたいの!? ヨコシマ!!」



影は叫ぶと横島のことを後ろに突き飛ばした。



「うぅ、涙で前が見えんけど……その声はシロタマ!? やっと来てくれたんか!」



横島を突き飛ばした影の正体は事務所の同僚のシロとタマモだった。
普段はいがみ合うことばかりの二人(二匹?)だが仕事のときではいいコンビネーションを見せてくれるまで成長した。
しかしまだ甘く、目の前に敵がいるにもかかわらず「「略すんじゃない(でござる)!!」とツッコンだりしている。


筋肉魔族の方はというと、新しく現われた女に対して喜ぶのではなく逆に怒り始めた。



「女に用はないんじゃあああ!! フンッ!」



そう、筋肉魔族が好きなのは男なのである。よって邪魔な女は排除しようとシロに攻撃を仕掛けた。
それを霊波刀で受け止めようとするシロであるが重大なことを知らない。
筋肉魔族は「宇宙のタマゴ バリアver」を使っているため触れたものは全てすい込まれてしまうのだ。
それはシロの場合でも例外はなく、触れた霊波刀の先から引きずりこまれていった。



「な、なんでござるぅ!?」



シロを助けようと手をつかんだタマモだが、たいした抵抗もできずに一緒に引きずり込まれていってしまう。
それを見た横島はなんとか助けようとしたがタマモの声に制止された。



「ヨコシマ! とりあえず美神の所に行ってきて」


「っな! まずはお前らの救出の方が先だろ!」


「大丈夫だから。スピードも遅くなってきてるし。それにホラ、ヨコシマだけじゃ不安だから」



タマモの言うとおりで、引きずり込むスピードは遅くなっている。
といっても体の半分はもう見えなくなっており、シロなど既に全体が見えなくなっている。
明らかに今すぐ助けた方が良い。それはタマモも分かっている。が、横島でも助けられないと分かってるからこそ、ここで美神を呼んで来いと言っているのだ。
命を懸ける仕事をしてきたのだ、何時でもこのような事態に陥ってもいいように心構えぐらいは出来ている。さらに仲間の命を必要以上に危険にさらす様なまねは絶対してはいけない。
だからこその判断だった。



「大丈夫だから(でござるから)美神(殿)と合流してきて(くだされ)」



無理して言ってると分かっているからこそ、その声が切実なものだと分かる。
そして横島はそれを聴いたことがあるからこそ、前と同じようにしたくはなかった。
自分が救えなかった女性………もう後悔しないために横島は手を伸ばした。



「もう、目の前でだれも失ったりはしねえぇぇ!!!」



タマモの手をつかみ助けようとした瞬間、今までゆっくりと引きずり込んでたのが急に早くなった。
横島は引きずり込まれる中、二人かしっかりと抱きしめ



(絶対にオレが護ってみせる!!!)



と心に誓った………。





―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――





なぜか気を失っていた筋肉魔族は、気がつくと誰もいない草原に立っていた



「おや? ボクのハニーはどこへ行ってしまったんだい?」



この魔族がなぜ気絶をしていたかというと……。
魔族自身、バリアがどのような能力を持つのかさえ知らずにいたため、シロが消えていくのにビビリ気絶していたわけである。
まぁ、そのおかげで引きずり込むスピードも落ちたわけなのだが、横島がタマモの手をつかんだ時に本能が男の気配を感じ、気絶しているなか興奮したためスピードがあがってしまったのである。



結果………横島たちはタマゴに飲み込まれ、そして草原には……変態筋肉魔族が残るだけになった






<異世界 ~麻帆良学園~>





朝の新聞配りを終えた神楽坂明日菜は、寮に帰る途中にあこがれのタカミチに出会い一緒に帰るところだった。



(朝から高畑先生に会えるなんて………いい事ありそう♪)


「ところでアスナ君、今度から中3だろ? ネギ君は先生をうまくやってるかい?」


「え……えぇ、まぁ 何とかがんばってるみたいですけど……」


「そうか。あと春休みも残りわずかだ、病気などにならないようにね」



タカミチの言うとおり今は春休みである。
休みのせいか道路を歩いてるものは2人以外には誰もいない。明日菜にとってはうれしいことである。

その後も雑談などをしながら歩いていると、急に周りが張り詰めるような空気に変わった。
明日菜は戸惑っていると、となりのタカミチは空を見上げて動かない。
なんだろうと思い明日菜も見上げてみると、空には黒い亀裂がはしっていた。しかしそれは注意してなければ見えないほどの細さであり、明日菜にもやっと見える程度だった。

また魔法関係かと思い見ていると、亀裂が急に開いて中からなにかが落ちてきた。
落ちてきたものはちょうど近くの林に落ち、地響きとともにその林から鳥達が飛び立つ。
明日菜はボーっとしてそれを見ていたが、タカミチは亀裂から何かが落ちたときに行動しており、林に向かって走り始めていた。



「ちょっとどこに行くんですか~?」


「アスナ君はここで待っていてくれ!」



これだけ言うと林の中に駆け出していってしまった。
明日菜もただ黙って見てるのは性に合わないのか、溜息をつくとタカミチの後を追い林の中に走っていった。





                    つづく

交わる異能者たち 交わる異能者たち 第壱話 「やってきたよ煩悩魔人 横島忠夫!!」

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