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ねぎFate 姫騎士の運命 第一話 投稿者:ガーゴイル 投稿日:04/09-04:54 No.188

「ふぇ~。此処が新しく通う学校かぁ」

私――衛宮霧羽――の前には、広大な敷地が広がっていた。





ねぎFate 姫騎士の運命 第一話





先ずは自己紹介。

私の名前は【衛宮 霧羽】。花も恥らう十四歳。

父は魔術使いの【衛宮 士郎】、母は元英雄の【アルトリア・エミヤ】――又の名を【アーサー王】。

先ず親からして普通じゃないし、私自身の生い立ちも普通じゃない。

私が生まれる前、何でもお父さんとお母さんは異世界からこの世界にやってきて、私を産んだらしい。

――え? 何でお前の両親はそんな事が出来るんだ? だって?

それは、お父さんの使う【魔術】のお陰。



【投影】――魔力によって物体を複製する魔術。



通常なら中身が無く、直ぐ消えてしまうガラクタを生み出すだけの魔術なのだけど、お父さんは違う。

剣――もしくは刃のついたものなら、お父さんは完璧に複製してしまうのだ(宝具ならワンランク落ちるらしい)。

勿論、何時まで経っても消えない。

お父さんはこの魔術を使って、平行世界を移動する力を持った剣を投影したみたい。

――それで、その剣を暴走させた挙句、この世界に辿り着き、私が産まれた。

寝物語に、お父さんとお母さんがよく話してくれた。

ちなみに、如何やら私はお父さんと同じ力を持ってるみたい。

五、六歳ぐらいの時、お父さんの持っていた包丁を投影して、見せたのだ。

お父さんとお母さん、とっても驚いてた。

それから私は、お父さんからは魔術、お母さんからは剣術を習い始めた。

始めは二人とも渋っていたけど、今では私の成長が嬉しいみたい。

――勿論、無闇に使うな、って厳重注意は受けたけど。

性格は、自分では結構真面目だと思うんだけど、周りの人は「おきらく」だって言う。

一寸ひどい。

そんな私の目標は――



「――良し! この学校では絶対……友達百人作るぞ~~!!」



ともだっちひゃっくにんでっきるかな♪





「――どうも始めまして、近衛老。衛宮士郎です」

「妻のアルトリアです」

頭の長い老人に、士郎とアルトリアは会釈した。

霧羽は勿論いない。

本来なら彼女も一緒に此処に居るはずなのだが、はぐれてしまったのだ。

ちなみに霧羽は自分が迷子だとは少しも気付いていない。

話を変えよう。

この世界での衛宮家での仕事――それは何でも屋。

シロウの信念に反する事以外なら、何でも請け負う万屋。

今回の依頼は、この老人からなのだ。

「フォフォフォ。遠い所すまんのぉ。――早速じゃが、仕事の話に入ってもいいかの?」

老人――麻帆良学園長――の目が変わる。

口調は穏やかだが、有無を言わせない気迫が篭る。

「実は言うとの――異世界人である君たちを危険視する声が、西と東から上がっておるのじゃよ」

「――それで、俺たちを如何すると?」

士郎の目つきが変わる。

何時でも投影できるよう、回路に魔力を蓄える。

アルトリアの方も、何時でも宝具を出せるよう、油断無く構えた。

「そう殺気立たんと、話は最後まで聞いてほしいのう。――じゃが、わしの依頼を受けてくれるのなら、責任持って衛宮一家の安全を保障しようという訳じゃ」

「……その依頼とは?」

厳しい目つきで、アルトリアが言う。

しかし学園長は何時もの飄々とした態度で、

「なに、ただの護衛じゃよ」

と、言い、何枚かの写真を取り出した。

写真には、茶髪にメガネの少年、鈴の髪飾りをつけた少女、黒髪のおっとりとした少女……などなど。

「この写真の子達が所属する、【麻帆良学園 女子中等部 2-A】の護衛を請け負ってほしいんじゃ」

写真を受け取り、ざっと見通す士郎とアルトリア。

「【魔法】絡み――ですか?」

「その通りじゃ」

士郎の問いに、学園長は重々しく頷く。

「この少年――名をネギ=スプリングフィールドというんじゃがの、世界でもトップクラスの魔力の持ち主なんじゃ。その為、狙っている奴が多くてのぉ――他にも、うちの孫の木乃香や明日菜ちゃんといった世界有数の潜在力保有者が、このクラスにおるんじゃよ。――それで、異世界の魔法――いや魔術使いであるお二人に、護衛をお願いしたいんじゃ」

しんみりと、言う学園長。

本気で子供たちのことが心配なのだ。

「……なら最初っから素直に頼めば良いでしょうが」

「こう言えば、君たちは断ることが出来んじゃろう?」

「(この狸ジジイ…)」

しれっとそう言う妖怪狸ジジイに、半ば殺意を覚える士郎。

「――ご老人。何故女子中等部に、少年が居るのですか?」

ネギの写真を見ていたアルトリアが、首を傾げつつ言った。

学園長は何でも無いように言い放った。

「何、その子は今日から、この学園で先生をすることに為っておっての。――ちなみに、2-Aの新担任じゃ」

「「………え?!」」

夫婦仲良く、その場に固まった。





その頃、娘の霧羽ちゃんは……

「そっかぁ、ネギ君は先生なんだ。じゃあ、ネギ先生って呼ばなくちゃね♪」

「べ、別に良いですよ。僕の方が年下ですし…」

「そう?」

行き成り件の本人と仲良くなっていました。

事の経緯はもの凄く単純。

迷子になった霧羽と、これまた迷子になったネギとがぶつかったのが切っ掛け。

話してみると、お互いの目的地が一緒だったので、二人仲良く目的地である学園長室を探しているのだ。

「けどこの学校って広いし、人も一杯居るよね~。これなら友達百人も夢じゃないかも♪」

「友達百人ですか? うわぁ、凄い夢ですね~。僕も友達出来るかな……」

「もう出来てるじゃん。私とネギ君は、もう友達だよ!」

少しネガティブになったネギに、霧羽がにっこりと笑いかける。

つられてネギも、少し笑った。

「そうそう、人間笑顔が大事だよ――あ、あの子達に訊いてみよっか?」

霧羽が指差したのは、黒い長髪の少女と鈴がアクセントのツインテールの少女。

――この後、ネギは自らの放った一言により、最悪の運命を経験する。

鈴の少女も然り。



「何であんたみたいなガキンチョがぁ――っ!!」

「まーまー、明日菜」

「は、はくちんっ!」

「―――っ!?(魔力!? ……まさかネギ君って…)」



……運命は、廻り始めた(一応)。





ま、そんなこんなで時間は過ぎ――

霧羽は汗を掻いて棒立ちになっていた。

(き、緊張するなぁ~~)

ガラにも無く、霧羽は緊張してカチコチに固まっている。

何故なら…



「か、金沢から転校してきました、衛宮霧羽ですッ! 皆さん宜しく!!」



転校生一大イベント、【ご挨拶】の真っ最中だからである。

よろしくー! と脳天気な声がクラス中から返される。

……早く馴染めそうだな、霧羽。





あの後ネギ達と別れ、熟年教師高畑に連れられて2-A教室に辿り着いた霧羽。

ネギが罠に掛かったり、あまりの可愛さゆえに女生徒達に揉まれたりなど、紆余曲折は有ったが、まあ其れは如何でも良い話。

――むしろ、この次の方が重要だった。

「――え~~と、授業を始める前に、僕と同じ新任の先生を紹介します」

再び生徒達が色めきたった。

(へ~~。またネギ君みたいな子かな?)

机に凭れ掛かり、【タレ霧羽】と化した霧羽が、ぼ~と考えた。

「それでは、どうぞ」

がららっ、と音を立てて、扉が開く。

瞬間、



ごがすきゃんッ!!



一瞬目の前がブラックアウト。

痛そうな音を立てて、机ごと霧羽は床にダイブした。

その場に居る全員が、霧羽の突然の奇行に目を丸くした……只一人を除いて。

「……キリハ。転校早々ふざけるのは、あまり感心しません」

その唯一の例外が、眉を顰めて、床に転がるキリハを叱責した。

「――誰の所為だと思ってるのッ! つーか、こんな所で何やってんのッ!? お母さん!!」

「「「「――お母さんッ!?」」」」×クラスほぼ全員。

霧羽の心からの絶叫に、新任の先生――アルトリア・エミヤ――は簡潔に、答えた。

「先生です」

もうすごくあっさりと。

霧羽が何か言い出す前に、アルトリアは言葉を続ける。

「学園長にご挨拶に言ったら、教員をやらないかという誘いを受けたので、引き受けたのです。――何処も人手不足だと聞きますし、我が家の家計も少々赤字なので渡りに船でした。――私の担当教科の世界史で、赤点を取ったら許しませんよ、キリハ」

淡々と答えるアルトリア。

結果霧羽は……真っ白な灰に。

もう燃え尽きたぜ、って感じで、椅子にへたり込んでいた。

「――という訳で、本日付で世界史担当と為りました【アルトリア・エミヤ】です。――知っての通り、其処の【衛宮 霧羽】は私の娘に当たります。娘が迷惑をかけるかもしれませんが、宜しくお願いします」

ぺこり、と会釈。

再び、よろしくー! と大声で返事する2-A一同。

――その時、灰に為っていた霧羽は嫌な予感を感じ取った。

「…お母さん。まさか、お父さんも後から来るんじゃ……」

「その心配には及びません。来ませんよ、シロウなら」

アルトリアの言葉に、胸を撫で下ろす霧羽。

……しかし、

「今日は新居選びで忙しいそうですから、シロウの挨拶は明日になります」

「ミギャアァァァ―――ッ!!」

次の台詞で、地獄に叩き落される霧羽だった。

ちなみに士郎の担当は体育だったりする。

……霧羽、転校早々、哀れなり。





――この後行われた歓迎会で、クラスの親睦が深められたのが唯一の救いである。

ちなみに歓迎会のメインイベントは…



「――ふ。母の力、特と見なさい! キリハッ!!」

「……下克上しちゃるッ!」



……衛宮親子の大食い対決だった。

――こうして、衛宮一家の麻帆良学園での生活が始まったのであった。

「……俺の出番は?」

ごめん忘れてた。





日常とは意識しない最良の宝。

はてさて、学園都市を舞台に、我等の姫騎士はどのような物語を紡ぐのか。

全ては、運命の流れるままに……

ねぎFate 姫騎士の運命
ねぎFate 姫騎士の運命 第二話

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