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ねぎFate 姫騎士の運命 第二十話 投稿者:ガーゴイル 投稿日:05/27-00:13 No.613

「……成る程。其の本の力でねぇ……」
ネギたち一行は石段を抜け、大岩が乱立する河川の上流へと場所を移していた。
身体を休め、話し合う為だ。
――のどかと一通り情報交換が終わり、霧羽は嘆息した。
のどかが言うには、ロビーでの会話を盗み聞きし、カードの使い方を知った。
そして、其の力を使って、後を追って来たというのだ。
「――駄目だよ、のどかちゃん。今回は助かったから良いけど、下手したら死ぬかもしれないんだからね」
少し表情を引き締め、諭すように言う霧羽。
肩の傷には、既に包帯が巻かれていた。
念の為、龍朝の部屋から医療具を一通り持ち出しておいたのだ(無断で)。
「……ごめんなさい」
項垂れ、謝るのどか。
霧羽の言う事はもっともだ。
彼女は一般人。
冗談抜きで、死ぬ危険性が在るのだ。
「――霧羽、あんまり苛めるんじゃないの。あんただって、人の事言えないじゃないの」
そう半目で言うのは、明日菜だ。
手に持った缶に口を付けつつ、其の視線は責めるように霧羽を射抜く。
……幾ら言っても自らを省みない、友人への抗議の視線だ。
霧羽は冷や汗を垂らし、
「だ、だから今回は不可抗力だって!」
霧羽の必死な言葉に、明日菜は、全く、と不機嫌に肩を竦めた。
「……あー、それでね、のどかちゃん。ぶっちゃけ言うけど、もう完全に巻き込まれてるから。カタがつくまで、一緒に行動してね」
「――霧羽さん!?」
霧羽の言葉に、ネギが驚きの意を唱える。
霧羽は面倒くさそうに、
「此処まで知られちゃったら、しょうがないでしょ。其れに、どっちかっていうと一緒の方が安全だよ」
ね、とウインク。
ネギは仕方ない、と頷いた。
「のどかちゃんも、異存無いね?」
霧羽の言葉に、のどかも頷きを返す。
「しかしこいつは使い方によっちゃ異常に強力なアイテムだぜ! いやー、強力なパートナーが仲間に入って良かったぜ!!」
「「黙れエロガモ!」」
余計な事を口走るカモに、W乙女キックが炸裂。
奇妙な呻きを漏らし、ナマモノは地に沈んだ。
「――ってな訳で、君も一緒だよ。あ、拒否権無いからね」
そう言って、笑顔の霧羽は、脇に転がして置いた縄芋虫――小太郎――の頭を撫でた。
何かムガムガ言ってるが、霧羽は意にも留めない。
「ちなみに逃げようとしたら――お仕置きだね」
えがおがこわい。
其の一言に籠められた圧倒的なプレッシャーに、小太郎は屈服した。
耳は伏せられ、見えないが尻尾は折り畳まれているだろう。
――彼は知らない。
後に、これ以上のプレッシャーを持つ女性と邂逅する事に。
其の女性の、飼い犬と化す事に。
知らない方が幸せだろう。
霧羽の言葉に、他の面々も顔を引き攣らせていた。
その時――
「あ……ッ!?」
ちびせつなの姿が、ぶれる。
全身にノイズが奔り、身体が霞む。
「ど、どうしたのッ!?」
不意の出来事に、明日菜が驚く。
「本体の方で何かが……連絡が途絶………ッ!」
瞬間。
軽い音を立てて、ちびせつなは形代に戻ってしまった。
其れを見たカモは、
「――こ、こりゃマズい。刹那の姉さんのほうに、何かあったな」
冷や汗を浮かべ、言う。
一同、声を揃え、
「「「「え――――ッッ!!?」」」」
叫んだ。


ねぎFate 姫騎士の運命 第二十話


「面白い所に逃げ込みましたな~」
「ああ。――人は多いけど、好都合やな」
男女が言葉を交わすのは、電柱という非常識な場所。
非常識な二人は、更に会話を進める。
「――月詠。あんまり、はしゃぐんやないで。ただでさえ人目に付くんやからな。其れに何時も何時もアンタとゆーやつは……」
「お説教は堪忍な~。ほな、お先に~」
女――月詠――は強引に話を打ち切り、跳躍。
尋常ではない脚力を駆使し、目の前の施設――シネマ村――の塀を超え、内部へと消えていった。
残された男――ナナシ――はヤレヤレと首を振り、
「……絶対何かやらかす気や、アイツ。……ムッチャ嫌な予感がするわー」
大きく溜息を吐き、
「しゃーないか。わいは、わいのすべき事をするだけ……」
僅かに笑みを浮かべ、ナナシは月詠の後を追う。
――想いを、胸に秘めて。


木乃香はご機嫌だった。
如何いう経緯か解らないが、大好きな幼馴染と昔のように一緒に居られるからだ。
今居る場所はシネマ村で、互いの衣装が時代の掛かった物だ。
他のメンバーは、刹那が振り切ってしまい、何処に居るか解らない。
……心配やわ。
心中ではそう思うが、楽しくてしょうがない。
まるで、昔に戻ったみたいだ
……昔のように……
木乃香は、ふと表情を曇らせた。
もう一人、思い出したからだ。
自分も刹那も大好きだった、彼の事を。
何時も自分たちを楽しませてくれた、彼の事を。
外国に行ったきり戻って来なかった、彼の事を。
――木乃香の表情を見て、剣士の扮装をした刹那が心配そうに、
「如何なされました、お嬢様? お気分を悪くされたのなら、其処の茶屋で――」
「ううん。そういう訳やないんや、せっちゃん」
木乃香は力無く微笑み、
「――かんちゃんの事、思い出してたんや」
其の言葉に、刹那の表情も曇った。
彼女も木乃香同様、彼の事を気にかけていたのだ。
「神無(かんな)、ですか……」
彼女の言った名に木乃香は、せや、と頷いて、
「――何処に居るんやろ」
二人は、過去を思い出す。

――黒い髪に、白磁の肌。
瞳は、僅かに赤を帯びた黒。
何時もあどけない笑みを浮かべ、楽しそうにしていた彼。
カラクリが大好きで、家からよく其れ等を持ち出して、自分達に見せてくれた。

「――覚えてますか? あの時、彼が持って来た、弓射ち人形……」
「覚えとるえ。――せっちゃんが壊した、あの人形やろ」
「……あれは神無が悪いんです。神無が、私の事を馬鹿にするから……」
「あははは。……けど、かんちゃんちっとも怒らんかったな~。ブツブツ文句は言っとったけど、人形もすぐ直してもたし……ほんま、かんちゃん、優しかったわ~……」
二人は思い出す。
――別れの日の事を。


『――外国に行く事に為ったわ』
花びらの舞う庭園で、少年――【秋月 神無】――は、二人の少女に告げた。
其の言葉に、二人の少女は呆然とする。
彼は、苦笑を浮かべ、
『独逸でな、おっきい人形博覧会があるんや。其れに、おとんの作った人形が出る事になってな……いい機会やからって、そのままそっちに住む事になりそうなんや』
言葉に、少女等は、悲しみを見せる。
神無は慌てて、
『な、泣くなや! 別に一生会えん訳でも無し、大丈夫やッ! ――そや!! そんなら、約束しよか』
彼はそう言って――


「――確か……」
木乃香が、約束を思い出そうとした、その時、

馬車が、二人の目の前に飛び込んでくる。

――刹那の瞳が、険の一文字に変わる。
馬車から、人影が降りてくる。
降りてくるのは古めかしいドレスを身に纏った、眼鏡をかけた少女。
――禍々しき闘気を纏った、少女だ。
彼女は扇子で口元を隠し、にこりと笑い、
「どうも――、神鳴流です~~」
神鳴流剣士、月詠登場。
――戦乱が、始まる。


「……あのいくさ馬鹿。行き成り何目立つ事しでかしとるんや……」
物陰から月詠と刹那のやり取りを盗み見しつつ、ナナシは溜息混じりに呟いた。
ナナシは、刹那に手袋を投げ付ける月詠を見やり、
「――まあ、経緯はかなり不味いけど……芝居に見せかけるちゅーのは中々やな。ほな、わいも準備せなな」
サングラスを掛け直し、彼はその場から踵を返した。
――向かうのは、衣装屋だ。


更に……
「――如何します? このままでは……」
「大丈夫だ。コレを見てくれッ!」
「こ、コレは……ッ!?」
「コレを使えば……」
――シネマ村、衣装屋裏からの中継でした。


そして――
何時の間にか付いて来ていた綾瀬夕映・早乙女ハルナ・朝倉和美・雪広あやか・那波千鶴・村上夏美も加え、刹那と木乃香は決闘の地――日本橋――へとやって来た。
――相手である月詠は、既に橋の上に佇んでいた。
嫌悪を伴う殺気を放ち、無意味な笑みを浮かべて。
「楽しくなりそうですなー。……ほな、始めましょうかー、センパイ……」
月詠は笑みを崩さず、構えもせず、
「このか様も刹那センパイも……ウチのモノにしてみせますえ――」
夕日に照らされる其の顔は、血に濡れているようだ。
木乃香は、其れを見て、僅かに怯える。
「せ……せっちゃん。あの人……なんかこわい。き、気ぃつけて……」
刹那は、其の言葉に僅かに照れ、
「……大丈夫です、お嬢様」
刹那は、優しい笑みを木乃香に向け、
「何があっても――私が、お嬢様をお守りします」
其れは、決意。
家臣として、友として。
――絶対に、この優しい少女を傷付けさせない。
刹那は、焔と剣を瞳に宿らせる。
烈火は敵を焼き、大事な人を護る紅蓮の心。
刃は敵を斬り、盾と為る錬鉄の決意。
彼女は焔を纏う、剣刃の鳳と為った。
――映画のようなワンシーンに、群衆から拍手と歓声が巻き起こった。
「桜咲さんかっこいいわねー、あやか」
「ウチの部に来てくんないかなー」
千鶴と夏美も、感心したように言う。
……あやかに至っては、感涙までしている。
「桜咲さん! ――お二人の愛、感動いたしましたわ!! お力をお貸しします!!」
「だから違いますって!! 私とお嬢様はそういう関係では――」
モウぐだぐだだ。
「――なら、お嬢ちゃん達の相手はわいがしようか?」
声が響く。
瞬間。

奇妙な風切音が響き、何かの影が宙を躍る。

数は六つ。
其れ等の影は、あやか達と橋を仕切るかのように、大地に快音を響かせた。
飛来物の正体は――
「――歯車?」
鉄製の其れ等を見つめ、訝しげに呟く刹那。
……手裏剣代わりにこんなモノを?
刹那の思考を他所に、再び声が響く。
「止めとき止めとき。今のはワザと外した……引っ込まんと、次は中てるで」
脅すように言う声。
そして、声の主が現れた。
音も無く其れは、橋の欄干の上に、直立していた。
紫ラメ入りの羽織を着た、赤の烏帽子を被った男。
顔は、道化師の仮面に隠れて解らない。
月詠は彼を一瞥し、
「……派手派手やな~~」
「し、仕方ないやろ! サイズ合いそうなのがコレしか残ってへんかったんや!!」
男は微妙に情けなく言い、仮面を外した。
仮面の下から現れたのは――白髪の青年。
ちなみに、サングラスは標準装備だ。
男――ナナシ――は、あやか達の方を向き、
「――素人さんお断りや。そっちの剣士のお嬢ちゃん以外は、大人しくしとき。なぁに、危害は加えんさかいに――安心しいや」
言って、今度は視線を木乃香に移す。
何も言わない。
只、黙って、彼女を見つめる。
「――やっぱ、こうなるんか……」
溜息を混ぜ、小さく呟くナナシ。
其の呟きは、誰の耳にも届かなかった。


……あれ?
木乃香は、心中で微かな疑問を覚えた。
理由は、目の前の青年。
けばけばしい色の羽織を着た彼を目にした途端、木乃香は胸に小さな蟠りを感じたのだ。
其れは、一言で表すなら……既視感。
……何処かで、会ったような?
彼女は、胸に小さな疑問を覚えた。
徐に口を開き、黙ったままのナナシに問う。
「――あの、ええですか?」
ナナシは、黙ったまま何も言わない。
構わず、木乃香は言葉を続ける。
「……どっかで、ウチと会った事ないですか?」
――ナナシの返事は、
「……いえ。他人の空似とちゃいますか?」
否定の意。
何の感情も感じさせない声だ。
――ちがう。
木乃香は、直感的にそう思った。
何が違うかは、解らない。
だけど、そう感じる。
――しかし、木乃香は何も言えなかった。


ナナシは、苛立っていた。
……何で、こんなに動揺してまうんや。
決めたはずだ。
どんな事があろうと、護ると。
嫌われようが蔑まれようが、護り通すと。
正体を明かさず、悪役に徹し、彼女等を護ると。
……わいは一度“死んだ”んや。"死人”は名乗ったらあかんのや。
湧き上がる感情を押し殺し、ナナシは木乃香に恭しく礼をし、
「……始めまして、このか嬢。わいは其処の似非金持ちに雇われた、用心棒兼旅芸人でございやす」
名乗り……
「――以後、お見知り置きを」
人形のような笑みで、そう言った。


新たな敵の登場に、観客もヒートアップ。
「燃える展開だね――ッ!」
ハルナもヒートアップしている。
其の隣で、夕映が、
「……服のセンス悪すぎです」
「其処のおちびちゃんシャラーップやッ!! つか、わいの話聞いてなかったんかい!!」
びしぃッ! と余計な一言を呟いた夕映を指差し、叫ぶナナシ。
「――ちび……」
夕映さん、顔を真っ赤にしてプルプル震えています。
「ゆ、夕映ッ! 落ち着きなって……」
爆発しそうになっている夕映を、宥めるハルナ。
ナナシは、そんな二人を見て、嘆息し、
「――遊びやないんや。わいの相手には力不足やで、お嬢ちゃん達」
言って、跳躍。
月詠の隣に降り立ち、彼は言葉を続ける。
「月詠、殺すんやないで。人目があるし、後々が面倒やからな」
「解ってるわ~~」
ほんまかいな、と胡散臭そうな視線で見やるが、月詠は笑顔で受け流す。
彼はヤレヤレと肩を竦め、
「――さぁて、わいは如何するかな?」
――その時、

『――為らば、我々がお相手しよう』

声が、響いた。
よく通る、男性の声。
何処から聞こえてくるかは、解らない。
更に、再び声が響く。
今度は、女性の声だ。

『よ、世を惑わす貴様等の悪行――見過ごす訳には行かないッ!』

微妙に照れの入った其の声は、若干震えていた。
「――誰や? 姿くらい見せんかい」
ナナシの問いに、声が答える。

『――いいだろう……』

――時間が流れる。
声が途絶えると同時に、群衆の中の一人が、
「――あ!? あそこ!!」
声を上げ、虚空に指を向けた。
其の先に在るのは――半鐘台。
其の屋根の上に、何時の間にか二つの影が存在していた。
――片方は、赤い衣服と黒いアーマーに身を包んだ、白髪の男。
もう片方は、蒼い衣服と白銀の鎧を着込んだ、金髪の女性。
――どちらも、鎧と同じ色のバイザーで顔を隠していた。
はっきり言おう。

――無茶苦茶怪しい。

微妙に呆れた表情のナナシが何か言おうと、口を開いた其の瞬間――
――巨大な声が、大空に轟いた。

「天が呼ぶ! 地が呼ぶ! 人が呼ぶ! ――悪を倒せと我等を呼ぶ!!」
「勧善懲悪! 一刀両断! 焼肉定食! ――見よ! 正義の炎は紅く燃えている!!」

屋根上の怪しい二人は、ババッ! とポーズを決めつつ、

「謎の正義の味方!【アーチャー】!!」
「お、同じく!【セイバー】!!」

名乗りを上げ、大きく跳躍。
明らかに人外の脚力で飛び上がった彼等は、苦も無く日本橋の上に着地。
人間技ではない。
地に降り立った彼等は、声と動きを合わせ――

「「二人合わせて――英霊戦隊ッ! エミヤンジャーッ!!」」

――決めポーズ! 
同時に、背後の空間が爆発。
赤と蒼、二色の爆炎が轟音を響かせた。
「――さあ、覚悟しろ!」
「色々な意味で、ちょっと待てや!!」
紅い戦士――仮に“アーチャー”――を指差し、叫ぶように突っ込みを入れるナナシ。
周囲の観客は――呆気に取られ、固まっていた。
当然だ。
こんなのが突然出て来たら、誰だってこうなるだろう。
「――何をやっているんですか、衛宮先生……」
逸早く硬直から復帰した刹那が、アーチャーに向かって言う。
アーチャーはバイザーの下で目を見開き、
「――私はアーチャー! 決して【衛宮 士郎】などと言う、色黒ナイスガイではない!」
正体丸解りな正義の味方は、叫ぶように答えた。
其れに続くように、セイバーも、
「わ、私もアルトリアなどと言う、クールビューティーではありません!」
ばらしているのと同義だ。
「……もーいいです……」
無駄だ、と判断した刹那は、投げやり気味に話を切り上げた。
「――もーええか?」
律儀に待っていたナナシが、アーチャー等に問う。
月詠も、微妙に引き攣った笑みで抗議している。
「――そろそろ始めようや」
――気配が張り詰める。
月詠は符と刀を構え、ナナシは身構え、刹那は夕凪と模擬刀を抜き――
「――刹那君、君は姫を。此処は――私達が受け持とう」
刹那の手を押さえ、アーチャーが言う。
刹那が抗議の言葉を紡ぐ前に、セイバーが、
「貴方は、姫の身の安全を第一に考えて下さい。――貴方の剣は、何の為に在るのですか?」
其の言葉に、刹那は詰まり、そして……
「――お願いします」
引き締めた表情で言い、木乃香の方を振り返る。
刹那は、木乃香の手を握り、
「――行きましょう、お嬢様」
「えっ――けど……」
木乃香は、心配そうな顔でアーチャーとセイバーの方を見やる。
アーチャーとセイバーは既に背を向け、月詠・ナナシと対峙していた。
刹那も、其れを見て――
「彼等は、大丈夫です。――だって……」
刹那は、微かに微笑んで。
「――“正義の味方”、ですから」
刹那と木乃香が駆け出すと同時に、戦闘は開始された。


月詠は喜びに打ち震えていた。
本来の目的であった刹那に逃げられ、自らの標的は突然現れた謎の女へと変わってしまった。
――正直、今回は外れかと思っていたが、中々どうして……
「……楽しいわ~~」
連撃、斬鉄、刺突、斬空。
数々の技を惜しげも無く繰り出し、月詠は喜びを露にし、笑う。
殺気と狂喜を表にした、狂った笑みだ。
そんな月詠に対するのは――

「――破ァァァァッ!!」

不可視の剣を振るう、白銀のバイザーを装着した蒼き装束の女性。
謎の正義の味方、セイバーである。
連撃を受け流し、斬鉄を突きで迎え撃ち、刺突を受け止め、斬空を斬り抉る。
其の一撃一撃が、正に神秘。
神速の応酬が、繰り広げられていた。
剣を振るうセイバーは、眉を顰め、
「――もったいないですね。其の力を正しき方法で振るうならば……さぞ立派な、剣士になれたでしょう……」
「別に興味在りませんわ~。ただウチは……強い人と戦いたいだけですえ~」
可愛らしい化物たちが蠢く中、剣を交える二人の貴婦人。
片方は闘いに餓えた凶笑の剣士。
片方は自らを剣とする正義の味方の片割。
一撃一撃が必殺とも言える、ぶつかり合い。
――闘いは僅かに、セイバーの方へと傾きつつあった。
「……あかんわ~」
月詠は緊迫感が全然無い声でそう言い、
「――“おままごと”続けてたら、勝たれんわ」
――気配が変わる。
直感的に、セイバーは剣を右側に構えた。
瞬間。
ゾンッ、と空間が割れた。
セイバーの剣に、月詠の長刀が交差していた。
段違いの、剣速だ。
明らかに、違う。
セイバーは、改めて月詠の表情を見る。
其処には――

狂鬼が居た。

眼球の白と黒が反転し、口端は不気味に攣り上がって肉の紅を晒し、全身からどす黒い気配を噴出させていた。
――一般人たちは、ひい、と悲鳴を上げて後退りした。
先程とは、桁違いの殺気。
――鬼。
正に、妖物に等しい。
「――本気で行かな、負けるわ……」
白刃に等しき気配を詰め込んだ、不気味な声。
――人か如何かさえ、不確かな声だ。
「力を求め過ぎたが故に、闇に堕ちたか……」
セイバーは険を帯びた声で言い、剣の切先を月詠に向け直す。
「堕ちたんやないです……“昇華”したんや……」
くくく、と肩を揺らして笑う月詠。
彼女は幽鬼のように腕をぶら下げ、
「人の力から――其の上の力に……ッ!」
瞬速。
橋板が歪み、轟音が鳴る。
同時に、月詠の声が響く。
「二刀連撃斬鉄閃――咬牙……ッ!」
鉄をも断つ刃撃。
セイバーは背後から襲い掛かる其の刃を、剣で受ける。
――だが、
其の刃の上に、更に刃が重なる。
鉄同士が打ち鳴らされる音が、響く。
――衝撃を重ねる事に、威力を倍増させる技。
しかし、セイバーの剣には通用しない。
神秘其の物であるこの聖剣には、通用しないのだ。
月詠は瞬間的に効果が無いと悟る。
故に、動作を次の攻撃に繋げる。
攻撃の反動を利用し、セイバーと距離を取る。
二刀を交差型に構え、
「二刀斬空閃―――十文葬刃」
十字形の衝撃波が、セイバーを襲う。
橋の幅より増大した其れは、木材を飲み込み、牙を剥く。
――避け切れない。
セイバーの姿は、十字の悪魔の中に消えた。


セイバーと月詠が死闘を繰り広げているのを視界の端に映しつつ、アーチャーはナナシとの戦闘を開始した。
――派手な術は使えない。
投影は最低限に抑え、体術を中心に戦うしかない。
一瞬の間にそう判断し、アーチャーは思考を実行する。
――脳内で、撃鉄が落ちる。
同時に、彼の身体が組み変わる。
人から――魔術使いへと。
「――投影、開始(トレース、オン)」
神経に、魔力と強烈なイメージが奔る。

創造の理念を鑑定し、
基本となる骨子を想定し、
構成された材質を複製し、
製作に至る技術を模倣し、
成長に至る経験に共感し、
蓄積された年月を再現し、
あらゆる工程を凌駕し尽し―――
ここに、幻想を結び一振りの剣と成す―――

現れたのは、白と黒の双剣。
悲しみの物語を綴る、悲運の夫婦剣。
――過去、弓兵が愛用していた幻想の一つ。
アーチャーは口端を皮肉に吊り上げ、
「やろうか、カラクリ使い。――仕掛けの仕込みは充分か?」
「ほざけや」
銀の光が奔る。
一気に距離を詰めた、アーチャーの白剣――陰剣莫耶――の太刀筋である。
刃は吸い込まれるように、拳を構えたナナシの腕に決まり、

断ち切った。

悲鳴が、観客から巻き起こる。
ごろんと大地に転がった二の腕が、妙に生々しい。
――だが、アーチャは眉を顰めた。
理由は二つ。
腕を切られたというのに、ナナシの表情が全く変わっていない事。
そして……

……手応えが妙だ。

斬った感触が肉のものではなく、陶器と木材のような、硬い感触。
――ならば、
「――イイ腕してるな、アーチャーはん。腕斬られたの、コレで二度目や」
落ちた腕を拾い上げ、ナナシはカラカラと笑った。
腕の断面は、ワイヤーと歯車で構成されていた。
「――ほんなら、わいの戦闘スタイルを見せようか」
言って、彼は懐に手を入れ、取り出したのは――
「……符?」
アーチャーは訝しげに言う。
ナナシは其れに構わず、符を大地に置く。
そして、
「我術“口寄せ”――召喚、【はの三番】……ッ!!」
朗々と声が響くと同時に、大地に変化が起こる。
――符を中心に、土が盛り上がる。
大地を突き破って現れたのは――
黒い、直方形の物体。
表面に白字で【はの三番】と書かれた其れは、見た目で言うならば、棺桶に近い。
――そして、
箱の表面を突き破って、現れたのは――
腕。
陶器に近い表面素材が使われた其れは、曲線を描いて飛び、ナナシの無事な方の腕に収まった。
「――義肢、排出(パーツ、イジェクト)」
声と同時に、壊れた腕から軋むような音が鳴り、根元から外れる。
そして、新たに来た腕を代わりに装着した。
カチリ、と音が響き、次の瞬間には生き物の如く、自在に動いた。
「――さぁて。こっからが、“カラクリ廻しのナナシ”の真骨頂や」
言った瞬間。
彼は踏み込み、一気に距離を詰める。
新たな腕を振りかぶり、アーチャーの中心線を狙う!
「――甘い」
動きを完全に見切り、アーチャは黒い刃――陽剣干将――を翳し、
「――悪いが、其の腕も斬り落とさせてもらう」
――腕を迎撃する。
だが、しかし……
其の動きは、完遂されなかった。
何故なら、アーチャーの刃が迫ると同時に、ナナシの腕が――
「――カラクリパーツ・“鎌鼬”」
展開、変形した。
二の腕が縦に割れ、中から現れるのは、金属。
――波紋を光らせる、鋭利な刃である。
“鎌鼬”の名に恥じない其の刃は、真っ向からアーチャーの黒刃を迎え撃つ。
金属の軋む音が、耳を打つ。
「……自らの四肢を、武器へと変えたか」
「――全てを失って、得た力や。そう簡単に負けへんで」
刃越しに、会話する二人。
両者とも、同じ表情で。
何処か浮かない、憂いを含んだ表情で。
「――一気に行くで」
会話を打ち切り、ナナシは変形していない腕を、懐に突っ込む。
出された手に握られていたのは、二枚の符。
彼は取り出した符を、地にばら撒き、
「――【ほの二番】、【ろの三番】……召喚ッ!」
地が割れ、二つの黒い柱が突き上がる。
其々の黒い側面には、白字で其々のナンバーが描かれていた。
「――義肢、交換(パーツ、エクスチェンジ)」
“鎌鼬”を其のままにし、ナナシは逆の腕を破棄。
アーチャーの莫耶とぶつかり、砕け散った。
そして、【ほの二番】と書かれた箱が爆散し、中から腕が飛び出す。
見た目は他の腕と同じ。
――接合すると同時に、力を発揮する。
「――カラクリパーツ・“魍魎”」
螺旋状にパーツが展開し、一瞬で組み変わる。
形成されたのは、螺旋状の刃を持つ、円錐型の金属。
一言で言うなら――
「――ドリルだと!?」
唸りを立てて高速回転する其れを視認し、アーチャーは驚愕した。
「漢の燃える闘魂―――受けてみいやッ!」
アーチャーが退くと同時に、螺旋刃が空間を抉る。
――大地に突き立った其れは、豪快に土を巻き上げる。
「――全身武器の固まりだな」
言った台詞に、アーチャは苦笑した。
――まるで、自分のようだな。
アーチャーは、ナナシに奇妙なシンパシーを感じていた。
自らを削り、力を得たモノ。
――英霊へと至った、未来であり過去である自分の姿を思い出し、アーチャーは己の気を引き締める。
「――一つ聞こう」
「何や?」
アーチャの問いに、ナナシが聞き返す。
アーチャは、声を鋭利にし、
「――君には、護りたいモノが在るか?」
ナナシの動きが、一瞬乱れた。
しかし、彼は直ぐに調子を取り戻し――
「――在る」
一言で、答えた。
更に彼は言葉を続け、
「わいは其の為に――戦っているんや」
ナナシの返答に、そうか、とアーチャーは答え、
「――君と私は、酷く似ている」
アーチャーは、思い出す。
磨耗した弓兵。紅き騎士。壊れた理想のナレノハテ。
意図的に、彼の口調を意識し、アーチャーは言う。
「――故に、決着を付けよう。私と君は、お互いが正しく、そして――間違っているのだから」
台詞と同時に、橋の方で轟音が奔る。
――セイバーが月詠の一撃に、飲まれた音だ。
ナナシは音の方を見やり、
「――ええんか? 相棒さん、あれじゃあ死ぬで」
「いや、そうでもない」
アーチャーは皮肉な笑みを浮かべ、
「――あれは……私の妻は、そんなにやわではない」


――決まった。
月詠は確信していた。
神鳴流の“技”を自分流にアレンジし、“業”へと昇華した―――其の、一撃。
まともに喰らえば、絶命は必死。
月詠は、そう確信していた。
だが――
煙が晴れる。
薄煙が霧散し、木材の欠片が散らばった其処には――
「――――ッ!!?」

セイバーが、立っていた。

服装は傷付き、鎧は煤に塗れていた。
バイザーは罅割れ、機能が失われていたが、些細な問題ではない。
――五体満足。
少しも変わり無いセイバーが、その場に佇んでいた。
何で、と月詠は驚愕する。
無事なのはまだしも、無傷とは。
――何故?!
「――無駄です」
端的に、セイバーが答える。
「……この身に刻まれた力は劣化し、私は人と為った。だが……」
彼女は胸に手を当て、
「力が無くなった訳では在りません。生半可な“魔力”や“気”の一撃では、私は倒せません」
この身に英霊して刻まれた、数々のスキルとステータス。
異能とも言える其の力の殆どは、人に為ると同時に大幅に下落した。
――技術的な物以外の全てが。
しかし、無くなった訳ではない。
――其の一つが、対魔力スキル。
“気”や“魔力”を使った一撃では、セイバーに致命傷を与える事は難しい。
其れに、セイバーには聖剣が在る。
――彼女を倒すには、其れ相応の準備が必要なのだ。
「――さて、堕ちた剣士よ……」
セイバーの凜とした声が、月詠の耳朶に入る。
同時に、月詠の視界からセイバーの姿が掻き消えた。
――速い!
月詠の反応速度を超えた、瞬速。
自らの二刀を抜き放つ、其の前に――

「――身の程を、知りなさい」

打撃。
延髄に剣の柄を叩き込まれ、月詠の視界は天地が逆転して映り――
闇に、閉ざされた。


月詠が大地に倒れたのを見届け、ナナシは言う。
「――あれが、あんたの嫁さんか。美人やな」
「ああ。見た目は良いが――中身も勿論イイ」
「惚気んな、アホ」
呆れ気味に返し、ナナシは構える。
右手は刃、左手はドリル。
背後に、未開封の黒い箱。
対するアーチャは、両手に白黒の双剣。
アーチャーは、双剣を真っ直ぐ構え、
「――往くぞ」
だが――

「ほら、アレ見てアレ――ッ!!」

闘いは、観衆達の声に中断された。
皆の視線、其の先には……

弓を構える異形の怪物、其れを操るアクの陰陽師、剣士に護られる姫君。

城の天守閣の上で、決戦が繰り広げられていた。
「「―――な……ッ!?」」
図らずしも、唱和する二人だった。


……しくじった。
刹那は、自らの失策に臍を噛んだ。
怪物の群れを掻い潜り、逃げ回った結果、辿り着いたのは……
敵の罠である、天守閣。
先程までのファンシーな妖怪とは明らかに違う、真為る妖。
夕凪を抜き、木乃香を護ろうとする刹那。
だが、
「――動いたらあきまへんえ。一歩でも動いたら……射ちますえ」
弓を引く化物を使役し、妖しげに笑う千草。
千草は、ニヤリと笑い、
「……お嬢様の身を案じるなら、手は出さんとき! ――さあ、大人しくお嬢様を渡してもらおか」
勝ちを確信し、高圧に告げる千草。
勿論刹那の答えは、否である。
だが……
(お嬢様を……危険に晒す事は……)
血が滲むぐらい夕凪の柄を握り締め、唇を咬む刹那。
――口元を、血が伝わる。
其れを見て。木乃香が、
刹那の口元を、着物の袖で拭った。
そして、刹那の目を真っ直ぐ見つめ、
「――大丈夫や、せっちゃん」
彼女は微笑し、
「ウチの事は気にせんといて。――せっちゃんなら、大丈夫や」
力強く優しい笑み。
刹那は、思う。
――護りたい。
この笑顔を、護りたい。
刹那は決めた。
故に、剣を取る。
――刹那は、改めて心に喝を入れた。
其のやり取りに、千草は顔を顰め、
「――何グズグズ言っとるんや。早いとこお嬢様を……わぷッ?」
言葉が、遮られる。
突風だ。
速く、重い風は、屋根に立つ全ての存在を揺らす。
――そう、全てを。
木乃香がバランスを崩し、刹那が其れを支えた――その時。
妖物が、矢を放った。
【動いたら射れ】。
命令を忠実に実行したのだ。
しかし、千草にとっては予想外この上ない。
「何で射つんや――ッ!? お嬢様に死なれたら困るやろ―――っ!!」
千草の絶叫が、空に響く。
しかし、起こった事象には関係無い。
弓は轟砲のような唸りを上げ、空を穿つ。
――そのまま真っ直ぐ、木乃香の胸を狙い……!

――弾………ッ!

着弾。
しかし、木乃香は無傷だった。
何故なら……

「――大丈夫ですか、お嬢様」

――木乃香を庇った刹那の肩に深々と突き刺さり、貫通していたからだ。
木乃香は、一瞬理解出来なかった。
いや、理解したくなかった。
目の前で、親友が矢に射抜かれ、そして……
「――よかった。このちゃ……ん……」
笑みのまま、転落していく姿を。
――下の見物客達が、悲鳴を上げた。
理解出来た其の瞬間、木乃香は――
「―――せっちゃ――――んッ!!」
刹那の後を追い、身を投げ出していた。


――この光景を見たナナシの行動は素早かった。
「――義肢、交換(パーツ、エクスチェンジ)」
両の腕を外し、唯一残っていた箱の中身を呼ぶ。
「――来いッ! 【ろの三番】ッ!!」
箱が弾ける。
爆と共に現れたのは――漆黒の鳥。
三つの瞳と足を持った、巨大な怪鳥。
カラクリ仕掛けの鳥は、嘶きを上げる。
「――カラクリパーツ……“八咫烏”ッ!!」
言葉と同時に、大鳥――八咫烏――は変形を始めた。
パーツが組み変わり、次の瞬間には――巨大な排気管を備えた、漆黒の翼が其処に在った。
瞬間的に、合一。
――漆黒の弾丸が、空を翔る。
飛ぶと同時に、衝撃波が大地を薙ぎ払う。
目指すのは――天守閣。
彼は、翔る。
――護る為に。
――掛け替えの無い二人を、護る為に。
彼は――空を翔る。


――誰もが惨事を予想した。
だが――其の予想は覆された。
二人の少女を、何者かが救った。
其れは――漆黒の大鳥。
両の手を翼に変化させた、半人半鳥の青年。
彼は翼の下に在る第二の腕――鉤爪の付いた腕で、優しく二人を抱きとめた。
――そして、其のまま凄まじい速度で、シネマ村の外れへと消えたのだった。


「――往ったか」
空へと消えたナナシを見送り、アーチャーは感慨深げに言った。
「――あの二人が、彼の護りたい存在、か」
成る程、と頷き、彼は妻の方へと振り返る。
「――セイバー、そっちの方は如何……」
言葉が途切れる。
何故なら……
「……シロウ、助けてください」
観客の皆さんに取り囲まれ、涙目に為っている妻の姿を見たからだ。
如何やら、先程の闘いに興奮した観客にサインやら握手やら求められているようだ。
「……何をやって――って!? 俺も?! さ、サインは勘弁して――つか、と、通して下さーいッ!!」
――二人の姿は、人の中に飲まれ消えたのだった。
ちなみに、月詠は千草に回収されたようである。


シネマ村の外れ――人気の無い墓地――に、白い光が迸る。
癒しの光。
友の危機に、木乃香の秘められた力が覚醒したのだ。
慈愛の光は、傷付いた刹那を癒していく。
――流石やな。
其れを脇から見ていたナナシは、感心した。
――“この”に、ピッタリの力や。
声には出さず、思う。
治療が、終わった。
――さて……
面倒な事になる前に、退散。
ナナシはそう思い、そして、
「――あの……」
呼び止められた。
木乃香だ。
木乃香が、何か言いたげに、ナナシを見つめていた。
「……何や」
ぶっきらぼうに返す、ナナシ。
木乃香は、はにかんだように、
「――ありがとう。助けてくれて……」
礼の言葉。
「…………ッ!!」
ナナシの顔に、感情が走る。
そして、木乃香は再度息を吸い、
「――やっぱ、何処かで会った事無いかな?」
不安げに、ナナシを見る木乃香。
ナナシは――

「―――――」

何も告げずに、その場から去る。
頭上に張り出していた木々を伝い、あっという間に消えた。
「………あ……」
タイミングを逃し、刹那を抱えている木乃香は、目線でナナシを追おうとする。
――だが、直ぐに見失ってしまう。
刹那が目を覚ますまで、木乃香は言葉も無く、其の場に膝を附いたまま、俯いていたのだった。


――カラクリ廻しの葛藤。
彼は一度死に、全てを失いました。
故に、彼は護りたいのです。
――自分が生きていた時の、最も大切な存在を。
次回はもう一人の根性無しの物語。
意思が希薄な水の少年と、龍を名乗る青年の決闘。
次回は、如何に……

ねぎFate 姫騎士の運命
ねぎFate 姫騎士の運命 第二十一話

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