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ネギまStrikerS 月下の守護者 オープニング それは昔の話なの 投稿者:紅蓮さん 投稿日:06/16-14:37 No.2547  

雨が、振っていた。
 大粒の雨が、少年の体に降り注いでいく。
 雨は少年のほてった体から熱を奪っていく。そして少年に冷たさという安らぎを与えていた。

「・・・ったく、死ぬかと思った」

 雨によってもたらされる冷たさを堪能しながら、少年はそうはき捨てた。
 雨粒は少年の体を流れていく。そこには明確な色が浮かんでいた。
 赤。少年の体中にある傷口から流れて出てくる血が、雨粒に流されていく。そのままできる朱色の川を少年はぼんやりと眺めていた。

「・・・でもさ、もうちょっと早く助けに来てくれない? いや、マジな話で」

 少年は、自分から生まれる色から視線をそらすと、恨めしげな目つきで隣にいる少女をにらんだ。
 そんな少年の視線に対し、金の髪を持った少女は、

「やかましい。貴様がもっとまともに戦えんからだろうが」

 と、冷たく返した。
 そして少女は後ろを振り返る。
 戦闘の後が色濃く残る森の中。見たこともない衣装を着けた者たちが、大勢倒れていた。

「それ以前に、なんだこのいきなりの謎集団は!! あんな魔法見たことも聞いたこともないぞ!!」

「いやぁ、なんか襲われてるのを見てて、会話から悪いやつがいい人をたこ殴りしてるのがわかったらさ? 連絡だけ入れて教えどうりにやってみたんだけど・・・」

「・・・君がたこ殴りにされちゃったってわけか」

 少年の言葉に納得しながら、一人の男性が、肩にボロボロの男を抱えて現れた。

「タカミチ。そっちの男は?」

「大丈夫。気絶してるみたいだけど、命に別状はなさそうだ」

「まあ、むしろこの馬鹿下僕の方がダメージ大きそうだがな」

「せめて馬鹿従者にして」

 少女のあまりの言い方に、慣れているとは言えど少年はさすがにこたえたらしい。思わず涙を流して改善を求めてみる。

「・・・やれやれ。これはまた面白いことで」

 唐突に、人の声が響いた。
 その声に三人はすばやく振り返る。
 先ほど打ち倒した者たちと似た格好をした集団がそこにいた。
 一歩前に出るのは、メガネをかけた切れ長の眼を持つ女性。

「すまない。敵意はないから攻撃は勘弁してくれないか?」

 女性は両手を上げて敵意のないことを示してから、周囲を見渡す。
 倒れる集団と、抱えられている男たちを見て、女性は思わず目を大きくする。

「すごいな。トレジャーがはぐれたときはどうしたものかと思ったが、リンカーコアも持っていない君たちがよくもここまで・・・」

 その発言が、少年を見てとまる。

「君は・・・」

「・・・へ?」

 凝視しながらの発言に、少年は思わず情けない声を上げた。




 これが、少年が異世界にわたる第一歩となる。




「・・・んにゃ?」

 ふと、時空管理局所属魔導師、中島=R=小雨は目を覚ました。
 目の前にあるのはスタンバイモードのパソコン。モードを解除してみたら、そこにあるのはデバイスの設計データであった。

「・・・あぁ。そういえばデバイスの調整を終わらせて眠っちまったんだっけ」

 目をこすりながら、小雨は眠る前のことを思い出していた。
 確か変則型の魔導師のデバイスを調整してから、マニュアルを作成し終えたとこで目を休めようと閉じていた。
 そのときに眠ってしまったらしく、愛用しているブルーベリーサプリの瓶が倒れている。コーヒーも完全に冷めてしまっていた。

「・・・ブラックだから冷やせばアイスコーヒーになるか?」

 だらしがないことを考えながら、小雨はとりあえず瓶を戻す。

「かれこれ四年間もお勤めご苦労さん。最初はちょっと勉強したらさっさと辞める気だったのにな」

 何気に愛着がついてしまい、本気で辞めるのに時間がかかってしまった。結局やめる前に、自分が作ったデバイスの整備マニュアルまで作っている。
 自分の優柔不断さに苦笑しながら、小雨はデータを整備を依頼した魔導師のモバイルに送ると、そのままデバイスをとりにいくように伝えた。
 ある日、魔法使いの従者としての生活を送っていた小雨は、異世界の魔法の存在を知った。
 好奇心を抑えられなかった小雨は、仮契約をいったん解除して時空管理局まで赴いた。そして数年間、魔法知識を習得した小雨は、これを気に時空管理局を辞めることを決意したのだ。

「・・・さて、荷物も片付け終わったしな。とっとと辞表を提出してやめるとしますか」

 そういって、小雨は荷物を抱えて立ち去ろうとして・・・。

「なんやて!? あの陸士教導隊がレリックとジュエルシードをもって脱走!?」

 いきなり、衝撃的な発言を耳にした。




 目の前にいる少女は八神はやて。現在、起動六課の隊長にしてSSランクの実力を持つ、最強クラスの魔導騎士である。

「・・・しかも逃げ場所は地球!? ・・・うん、とりあえずそっち行くから、情報整理たのむな? ・・・うん、まかせたわ」

 通信を終えたはやては、そのまま駆け出そうとする。
 小雨は思わず呼び止めた。

「ちょ・・・八神さん!? ストップストップ!!」

「ふわぶっ!?」

 ・・・訂正。思わずつかんでとめてしまった。
 思わずバランスを崩してはやては転倒。勢いあまって小雨はさらに宙を舞い、地面に激突した。
 中島=R=小雨と八神はやて、両名悶絶。

「あいたた・・・」

「し、失礼しばした八神さん。・・・何事でずか?」

 顔を抑えて立ち上がるはやてに、小雨は鼻血を出しながら問いかけた。

「あ、小雨さん? ・・・実はあなたにとっても大変なことになったんよ」

「陸士教導隊が・・・脱走でしたっけ?」

 陸士教導隊。陸士部隊の訓練を主に行う教導隊で、そのシステムゆえに魔導師の数も質も優れた部隊である。
 小雨も、陸士時代に何度も世話になったのでよく覚えている。一部の部隊には友達付き合いもしていたはずだ。

「もしかして・・・」

「うん。脱走者は・・・」

 その後の発言は、予想の範囲内だった。

「総合SSランク魔導師、クロウリー=テリオン一佐とその直属部隊や」

ネギまStrikerS 月下の守護者 ネギまStrikerS 月下の守護者 第一話 機動六課、出向

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