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第2話 世界 投稿者:八尾 投稿日:06/23-13:32 No.2588

俺はタカミチさんとエヴァンジェリンさんに連れられて西洋風の町(ここが麻帆良学院というらしい)に入り、その中の一つの建物に入った。

現在俺の前には一つの扉がある。その上には「学園長室」というプレートがあった。

どうやらこの先に学園長という責任者がいるらしい。





「ちょっと待っていてくれ。学園長に説明してくる。エヴァ、彼を頼むよ」

そう言ってタカミチさんは先に中に入ろうとした。

「さっさと行ってこい」

エヴァンジェリンさんは偉そうに腕を組んで壁にもたれてる。

タカミチさんはそれを聞くと、扉を叩いて中へと入っていった。

俺もエヴァンジェリンさんの隣に行き背を壁に預けて腕を組む。

「おい、私の真似をするな」

何故か怒られた。

「これが一番楽な姿勢なんだ。眼を瞑ってくれ」

それを聞くと彼女はフンッと顔を向こうへ向けた。

暫くその状態が続き、

「二人とも、入ってくれ」

タカミチさんが扉を開けて俺たちを呼んだ。





中に入るとそこは思ったより広い部屋で、そこにはタカミチさんと一人の老人がいた。

・・・・・何かおかしい頭をしていた。

後頭部が異様なほど伸びている。
とりあえず今は考えることではないと、この学園の責任者の前まで進んだ。

「フォフォフォ、君が高畑君の言っていた青年か」

どんな説明をされたのかは分からないがとりあえず挨拶をする。

「谷川十六夜です」

そう言って頭を下げる。

「儂の名は近衛近右衛門。この麻帆良学園の理事長をしとる」

たしか理事長って学園長より偉かったよな。
ふとどうでもいいことを考える。

「さて、早速本題に移らせてもらうが、いいかの?」

理事長が少し姿勢を正して言う。

「ええ、もちろん」




「確か君はここが麻帆良学園と知らなかったそうじゃな」

「はい」

「じゃったら最後にいたのは何処か覚えているかの」

最後というと死んだときでいいのか?

「北極です」

「ふぉ?」

「は?」

「なに?」

三人ともこれには反応した。
まぁそうだろうな。

「北極かね?」

「はい。正確には北極の高度二千メートル付近ですが」

「貴様!ふざけているのか!!」

エヴァンジェリンさんが怒鳴ってきた。

「ふざけてなどいない。事実を言っただけだ」

「嘘を付け!誰がどう聞いてもありえんだろ!」

確かにそうだが、それ以外に言いようがない。

「まぁ落ち着け、エヴァンジェリン」

理事長が彼女を宥めてくれる。

「では、君はそこで何をしていたのかの?」

何をしていたって、北極の高度二千メートルでする事って一つしか・・・・いや、そう言えばあの雲は無かったな。そういえば気象制御衛星はどうなったんだ?
とりあえず本当のことを言って反応を見てみるか。

「気象制御衛星に挑みに行きました」

すると一瞬無言の時間があり、

「気象制御衛星?」

「はい」

学園長が不思議そうな顔をして聞いてきた。

「何じゃそれは?」

「は?」

「そんな物聞いたこともないわい」

いや、気象制御衛星って気象制御衛星だろう。
今時子供でも知ってるぞ。

ふと後ろの二人を見ると、二人とも不思議な顔をしている。
とりあえず説明をしよう。もしかしたら思い出すかも。

「西暦2179年10月に打ち上げられて、6年と7ヶ月後の86年5月14日に暴走したやつです。ご存じでしょう?」

すると三人とも驚いた眼で俺を見つめた。
俺、何か変なこと言ったか?

「2179年じゃと?」

そう言う理事長は眉毛に隠された眼を見開いている。

「ええ。そう言えば雲が無くなったようですが、気象制御衛星は正常に戻ったか誰かが落としたんですか?」

思いきってずっと疑問をぶつけてみる。
雲が無くなったのはいいことだが気になる。

そう言うと学園長はムゥと唸って何かを考えた後、

「良く聞くんじゃ谷川君」

真剣な顔をして俺に言ってきた。

「はぁ」

何か分からないので適当に返事をする。

「今は西暦2001年3月20日じゃ」

・・・・・まて。
一瞬で混乱した思考を落ち着かせる。
2001年?なんだそれは。
俺が最後に確認した日にちは2192年3月19日。
つまり俺は191年前に来たと言うことか?
ありえない。そんなことは不可能だ。
しかしそれならば雲のことは説明できるし気象制御衛星を知らないのも納得がいく。

俺は理事長の顔を見て、

「マジか?」

「マジもマジ。大マジじゃ」

頷く理事長。
他の二人の方を見ると、

「本当だ」

タカミチさんが肯定し、エヴァンジェリンさんは何も言わず俺を見ている。

俺は理事長に視線を戻し、

「俺は過去に来たと?」

信じたくない事を口にする。

すると理事長は少し考えるように顎髭を撫でた後、

「解らん」

オイ。

「解らんから一度君の記憶を覗いてみたいのじゃがいいかの?」

記憶を覗く?同調能力か何かか?確かに魔法士にはそう言ったことができる者がいると聞いたことがあるが、今の時代にそんなことが出来るはずがないと思うが。

俺が考えているのを無言の肯定と取ったのか、

「では頭をこちらに向けてくれるかの」

そういって手をこちらに向けた。
まぁいいか。確かに俺の記憶を見た方が話は早く進む。

だが一つだけ言いたいことがあった。

「見れると言うなら見せるが、ハッキリ言ってきついぞ、俺の記憶は」

「儂はこれまでもそう言う記憶を沢山見てきたし、自身も色々と体験したからのぅ。大丈夫じゃろ」

忠告を軽く流して笑う理事長。
一応忠告はしたからな。どうなっても知らんぞ。

そう言って俺は頭を理事長の手に持っていき、理事長は俺の頭に手を触れた。


その瞬間浮かんでくる記憶。

忙しく働く両親

青空

孤児院の仲間達

星空

俺にI-ブレインを埋め込む研究者達

太陽

所属先で出来た友達



戦場を駈ける戦友

鉛色の雲

敵として立ちはだかる兵士達

鉛色の雲

ただ戦うためにのみ作られた子供達

鉛色の雲

どこまでも続く死体の大地と血の海

鉛色の雲

それを乗り越え戦い続けた英雄達

鉛色の雲

戦後出会った様々な人々

鉛色の雲

最後に知り合った赤い少年

青空

最後にみた気象制御衛星とその防衛システム

何も見えない漆黒の闇


おそらくこれが理事長の見た俺の記憶だろう。

目を開けるとすでに理事長は手を離した。

理事長はおでこに手を当てて少し上を見る。

「学園長!?」

「おい、ジジイ!」

タカミチさんはすぐさま駆け寄る。何かおかしいと思ったのだろう。
エヴァンジェリンさんは動かないが驚いているようだ。

「大丈夫、大丈夫じゃ」

そう言ってタカミチさんが駆け寄るのを制して、

「これが、お主の記憶か」

「ああ。先ほど俺と同じ奴を見たのならそうだ」

理事長は顔をこちらに戻す。

「あれほど酷い記憶を見たのは初めてじゃわい。しかしこれで君が嘘を付いていないことが解った」

そうか、それは何よりだ。

「儂の推測だが、おそらく君は未来からでなく異世界から来たのじゃろうな」

異世界?別の世界ということか?

「理由は?」

「うむ、実はこの世界には『魔法』というものがあっての」

「魔法なら俺の世界にもあったが?」

「あれとはまた別の魔法じゃよ。簡単に説明すると君の世界の魔法は人工の、この世界の魔法は自然のものと言うのが一番しっくりくるかの」

いまいちよく解らないが、俺の世界にこの世界の魔法は無いと言うことか。

「まぁ、本来魔法は隠蔽されるもので一般人は知らなく、ただ君が会わなかっただけという可能性もあるが」

そこで一度区切り、

「魔法使いが力を合わせたのならあの雲を消すことが出来たであろう。そしてそれは例え正体がばれたとしてもする価値は十分にあったはずじゃ。だから儂は君が未来では無く別の世界から来たのだと信じたい」

そう自分に言い聞かせるように理事長は一度頷き、

「さて、谷川君。おそらく君はもう元の世界には変えれないじゃろう」

まぁ、そうだろうな。どうやって来たのかも解らないし。

「これからどうするつもりじゃ?」

そういえば考えていなかった。
そんなこと考える暇もなかったからな。

「・・・・・とりあえず何処かで働きますよ。それで金が貯まればこの世界を見て回ろうかと」

適当に思いついたことをそのまま言ってみたが、我ながらいい案だ。
見た限りこの世界は魔法の有無以外は俺の世界と変わらないように見える。
確か二十一世紀は結構平和な時代だったはずだ。
魔法士の力があればどこへ行っても大丈夫だろう。

「ふむ、では戸籍はどうするんじゃ?」

「ん~」

少し考え、

「まぁ、何とかなるでしょう」

必要になれば偽造すればいい。

「フム・・・・」

それを聞くと理事長はすこし考えるように顎髭を撫でて、


「もしよければここで働いてみないかね?」


そんなことを言ってきた。







それから二年後の2003年2月、一人の小さな先生が来るところまで話は進む。

魔法士は空を見上げる 第3話 紹介

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