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第5話 寮長 投稿者:八尾 投稿日:06/26-09:52 No.2601
「おかえり、遅かったわね」
彼女の名は茶々丸撫子。
名前で解る通り俺のクラスにいるエヴァの従者、絡繰茶々丸と同じガイノイドであり、彼女の姉にあたるロボットである。
彼女はとあるバグの持ち主で、俺が麻帆良に来て一ヶ月くらいたったある日彼女を中心とした騒動に俺は巻き込まれて、最終的に俺と彼女がドール契約をして(俺自身はこの世界の魔法は使えないが、エヴァ曰く方法を知っていればすることは可能らしく、俺を媒介にして彼女に魔力を送るくらいはできるらしい。現在撫子は魔力とゼンマイで動いている)この騒動は終わった。
そして現在、彼女は俺の部屋に居候中である。
ちなみに彼女のバグとは、
「何かしんないけどアスナとコノカの部屋に幾つか荷物が届いてたわ。とりあえず中に入れといたけどあれ何?」
マスターである俺には勿論のこと、制作者の葉加瀬と超などの工学部の皆さん、学校の先生方や学園長まで全員に対して敬意を全く持たず話すという、何処かのヤンキーがそのまま大人になったような話し方をするということである。
そのため見た目は茶々丸が成長した彼女の大人バージョン(耳だけは短く、髪の中に隠れている)で、中身がヤンキー。彼女と同じく表情は余り変えないが、話し方がため口とギャップのあり過ぎる存在となっている。
「新しく新任の教師が来てな、彼女たちの部屋で暮らすことになったらしい」
「先生と生徒が一緒にか?」
「ああ。実は彼、まだ子供でな」
「子供?そんな奴が教えられるのかよ?」
「大学卒業程度の学力は持っているらしいし、彼が担当するのは英語。その子はイギリス人だから自分の国の言葉を教えるんだ。多分大丈夫だろう」
ふーん、と言うと彼女はファッション雑誌を置いて立ち上がり、台所へ向かいながら
「晩飯は食う?」
と聞いてきた。
「いや、その先生の歓迎会をしてな。そこで食べた」
「・・・・・・おいこら、いらないときは連絡しろって何時も言ってるだろ」
「……すまん」
「まぁいい。今日はカレーだったからな。明日にまわす。今度からは気を付けろ」
俺の晩ご飯は彼女が作っている。
元々お世話ロボットとして作られたため、世話好きであり家事全般は得意らしい。
しばらくして、コンコンとドアを叩く音が聞こえてきた。
俺がドアを開けると、そこにはネギ君と近衛がいた。
「あの、ボク、今日からアスナさん所でお世話になります、ネギ・スプリングフィールドと・・・・ってあれ?十六夜さん?どうして管理人室、というか女子寮に?」
どうやら彼らはこの寮の管理人に挨拶に来たらしい。
彼は丁寧にお辞儀をして挨拶をしたが、顔を上げて俺の顔を見た瞬間に首を傾げてきた。
「俺がこの寮の管理人だからな」
「え!?そうなんですか?」
「ああ」
「でもこのかさん、ここの管理人に挨拶をしておいた方がいいって……。十六夜さんだったら別にいいんじゃ・・・・・」
そう言いながらネギ君は近衛の方を見る。
「ちゃうちゃうネギ君。ここには谷川先生の他にもう一人管理人がおるねん」
「え、そうなんですか?」
近衛が言っているのは撫子の事だろう。
「おい、誰が来たんだ十六夜?」
本人が奥からやって来た。
「ん?」
彼女の眼がネギ君を捕らえる。
「えっと・・・・」
いきなり出てきた女性にうろたえるネギ君。
撫子の方は先ほど話したばかりなのですぐに彼が誰なのか気づいた。
「ああ、あんたさっき十六夜が話してたガキか」
「え、あ、はい。今日からアスナさん所でお世話になります、ネギ・スプリングフィールドと言います」
ガキと呼ばれて自分の事と一瞬解らなかったようだが、自己紹介をするネギ君。
「そうかそうか。私は絡繰撫子。こいつの――――」
と言って俺の頭の上に手をのせて、
「―――世話と、こいつが学校に行っている間この寮の管理をしている」
そう、こいつは俺の世話以外にこの寮の管理をしている。
毎日簡単に寮全体を掃除して浴場の整備等をして、本来俺がやるべき事を全部やってくれるのだ。
「あ、そうなんですか。――――あれ?確か絡繰って・・・・」
「私の妹があんたのクラスにいるな」
「え、ちょっと待ってください」
ネギ君がクラス名簿を広げる。
「えっと…あ、ありました。出席番号十番、絡繰茶々丸さん」
「そうそう、そいつ」
「へぇ~、ご姉妹なんですか」
しばらくその名簿ネギ君を見ていたが、ふと顔を上げて、
「あれ?でもどうして管理人さんが二人もいるんですか?十六夜さんは教師なんだから別にやらなくてもいいと思いますが」
それは事情を知らない者からよく質問される事だった。
そしてその時周りに二年A組の人がいたら必ず彼女たちは―――――
「ちゃうよネギ君。撫子さんは正式な管理人と違うんよ」
「え、でもさっき・・・・」
「この人はね、谷川先生の恋人やねん」
こう言うのだ。
何故か二年A組の奴らには俺と撫子が恋人同士に見えるらしい。
まぁ確かに同じ部屋には住んでいるが、相手はメカだぞ?っていつも思う。
しかし俺が何度否定しても彼女たちは「またまた~、恥ずかしがって」みたいな事を言って俺の言葉をスルーする。
しかも何故かこの時撫子はその言葉を否定せず、じっと黙っているだけだ。
これらの事もあり、最近は否定するのが面倒くさくなって適当に言わせている。
「へぇ~そうなんですか」
それを信じて俺と撫子の顔を交互に見るネギ君。
本当は違うんだぞ。なぜか知らんがそんな尊敬の眼差しで俺を見るな。
その後この寮の説明を撫子から聞いて、二人は自分の部屋へと帰っていった。
それから数日経ったある日、職員室でコーヒーを飲んでいると、
「うわああ~ん、センセ――!!」
「ネギ先生~~~っ!」
和泉と佐々木が泣きながら職員室に入ってきて、源先生と話しているネギ君の方へと走っていった。
どうしたんだ?
気になって近くへ行ってみると丁度ネギ君が立ち上がり彼女たちと共に何処かへ行ってしまった。
「何かあったんですか?」
ネギ君と一緒に彼女たちの話を聞いていた源先生に聞いてみる。
「ああ谷川先生。実は高等部の人達と何かあったようで・・・・」
「高等部と?」
「ええ。先ほどネギ先生が止めに行くと出て行きましたが…」
心配そうにネギ先生が出て行った扉をみる源先生。
「一応俺も行ってきます」
彼女の心配は俺にも解る。ネギ先生はまだ子供だ。高等部の人間に会えば遊ばれる可能性が十分高い。
「ええ、お願いします」
俺は彼女にネギ先生達が行った場所を聞いてそこに向かった。
案の定ネギ君は高等部の連中に捕まっていた。
それだけならまだいいが、何故か神楽坂と雪広が連中と喧嘩をしている。
「・・・・・・・・・・はぁ」
何となくため息を出してしまった。
とりあえず離れて見守っている、先ほど職員室に来た和泉と佐々木の所に行き、
「怪我は大丈夫か?」
と、声をかけてやる。
「え、谷川先生!?」
と和泉が俺を見て驚き、
「先生、あれ止めてください!!」
と佐々木が喧嘩を指さす。
俺は二人の頭を二回ほど軽く叩き落ち着かせて、喧嘩の中心にいる神楽坂と雪広の所に行き、
「そこまでだ」
二人の首根っこを掴んで高等部から引き離した。
「きゃっ!?」
「た、谷川先生!!?」
いきなりの事で二人が驚く。
同時に俺の姿を見て高等部の連中が一歩下がった。
「喧嘩は止めろ、みっともない」
「で、でも先生、あいつらが・・・・」
神楽坂が反論してくる。
「俺は喧嘩をするなと言ったんだ。どうせ相手に挑発されて飛びかかったんだろ」
「う………」
静かになった。どうやら図星らしい。
「君たちも俺の生徒が失礼なことをした。怪我とかなかったか?」
一応聞いておく。
「いいえ、大丈夫です」
リーダーらしき長髪の女が答える。
「そうか、良かった。すまないがここは俺の顔に免じて許して貰えないかな?」
「は、はい。解りました。・・・失礼します」
俺の態度に調子が狂ったのか、そう言って彼女たちは向こうへと行った。
「ふぅ」
と一回息をはいて、
「二人とも、怪我はないか?」
神楽坂と雪広を放して尋ねる。
「あ、はい。大丈夫です」
「私も大丈夫ですわ」
さっと二人の全身を見たが、確かに大丈夫そうだ。
「そうか」
ネギ君がこちらに走ってきた。
「あ、あの・・・十六夜さん・・・ありがとうございました」
俺は彼の頭を撫でながら、
「気にする事じゃないさ」
と、笑ってみせた。
職員室に戻って書類の整理をしていると、
「十六夜さん、ちょっといいかな?」
そこにはタカミチさんと源先生。
「どうしたんですか?」
「実は屋上のコートで二年A組と高等部の人達が何やら騒いでいるらしくて………」
・・・・・またかよ。
「どうやらネギ君も一緒らしい。皆で様子を見に行かないか?」
俺が副担任なので声をかけてくれたようだ。
「ええ、もちろんご同行させて頂きます」
騒ぎから結構時間が経過しているらしく、俺たちは急ぎ足で屋上へ向かった。
丁度屋上へと続く階段を上ろうとしたところ、
「一体何なのよ!?あの球は!!」
「知らないって!」
先ほど神楽坂たちと喧嘩をしていた高等部の連中が、何故か下着姿で下りてきた。
「「「・・・・・・・・・」」」
俺たちは彼女たちを呆然と見送り、上にいるはずの二年A組とネギ先生に何かあったのかと走って階段を上った。
そこには―――――――
「やった――ッ」
「高等部に勝った――――!」
笑い騒いでいる二年A組の皆さんと、
「ホラ、先生胴上げ―――!!」
「あわわー」
彼女たちに胴上げをされているネギ君がいた。
どうやら彼が何かをして高等部に勝ったらしい。
「あら・・・何だかうまくいったみたい」
源先生が勢いよく階段を上ったせいで疲れたらしく、ハァハァと息を整えながら言う。
そしてタカミチさんはそれを見て、
「ハハハ、しかしあれはまだまだ先生と生徒というより、遊び友達ですなぁ」
「同感です」
そう言って俺はまだ胴上げされているネギ君を見ながら、
「でもそちらの方が似合っていていいのかもしれないな。お互いまだ子供だし」
そんな独り言をつぶやいた。
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