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第8話 予兆 投稿者:八尾 投稿日:07/07-23:02 No.2644
新学期が始まる一日前、俺の元に電話がかかってきた。
相手は保険医の近藤さん。
内容はうちのクラスの佐々木が運ばれてきたということだった。
「解りました、すぐにそちらに行きます」
俺は電話を置いて、
「ちょっと学校に行ってくる」
テレビを見ていた撫子に声をかけた。
「何かあったのか?」
「佐々木が保健室に運ばれてきたそうだ」
「まき絵が?」
「ああ。桜通りで倒れていたらしくてな。怪我はないが意識がまだ戻っていないらしい」
「それでお前に電話がかかってきたのか。ネギの坊主も一緒に行くのか?」
「いや、子供は眠る時間だ。近藤さんもそう思ったらしく彼には知らせていないと言っていた」
「そうか・・・だが亜子には言っておいたほうがいいな。あいつとは同室だ。まき絵が帰ってこなければ心配する」
「・・・そうだな、すまないが和泉には知らせておいてくれ」
「りょーかい」
後のことは撫子に任し、俺は寮を出た。
ガラガラガラ。
「どうも、近藤さん」
俺は保健室に入り、椅子に座って書類か何かを書いていた女性に声をかけた。
彼女は俺が来たと同時に立ち上がり、
「夜遅くにすみません、谷川さん」
と、白衣を翻してこちらに来た。
彼女、近藤薫さんは麻帆良女子中学の俺と同じ時期にここに入った保険医だ。そのためか俺とは結構仲が良く、廊下で出会った時は立ち止まり軽く話す仲である。
「いえいえ、こちらこそうちのクラスの奴がご迷惑を。それで佐々木は?」
「こちらです」
そう言って近藤さんは一つのベッドのカーテンを開けた。
そこにはスースーと落ち着いた息づかいで佐々木が眠っている。
「電話で話したように桜通で眠っているのを発見されたの。外傷は無かったけど今までずっと眠ったままよ」
「そうですか・・・」
と、そこで携帯が鳴った。
俺は近藤さんに断りを入れて、保健室を出る。
「もしもし」
『十六夜、私だ』
「撫子か。和泉に知らせてくれたか?」
『ああ。そしたら亜子の奴、今からそっちに行くって言ってきてな。今ここにいる』
「・・・すこし変わってくれ」
『わかった』
電話の向こうで何やら動く音がして、
「先生!まき絵が倒れたってほんまなん!?」
いきなり和泉が耳元で大声で尋ねてきた。
すこし耳から電話を離し、
「ああ、だが別に外傷もないし今は安静に眠っている。心配するな」
『でも・・やっぱりうちそっちに行きます』
やはりそう言うよな。
「いや、ダメだ。夜道は危険だしな」
『でもっ!』
「いいから今日は早く寝て、明日早く学校に来い。解ったな?」
『でも・・・・』
まだ引き下がろうとしない和泉。
と、そこでいきなり話す相手が変わった。
『今日はそっちに泊まるのか』
撫子だ。
「いきなりなんだ?」
『何度も言わすな、泊まるのか?』
「・・・ああ、そのつもりだが?」
『そうか。じゃあ亜子は私がそっちに連れて行こう』
「は?」
『着替えとかいるだろ?持って行ってやる。そしてそのついでに亜子をそっちに連れて行く』
「いや、しかし・・・」
別にいらないぞ、着替えとか。それに和泉は明日来ても良いだろう。
その事を言うと撫子が、
「うるさい。今から行くからな」
と、電話を一方的に切られてしまった。
「・・・・・・・・・」
暫く切れた電話を見ていたが、ため息をついて諦める。
あいつは一度言ったら聞かないからな。今回も何を言っても無駄だろう。
そう思いながら俺は再び保健室に入っていった。
結局和泉は佐々木と共に保健室に、俺は宿直室に泊まった(撫子は近藤さんと少し世間話をして帰った)。
朝になり俺は二人を近藤さんに任せ、学園長に報告をしに向かった。
「―――――――というわけで、佐々木は未だ意識が戻らず眠ったままです」
「そうか、ご苦労じゃった」
「いえ」
朝早くに来たためいないかもしれないと思っていたが、学園長は何時も通り書類を整理しながら俺の入室を許可した。
そして昨夜のことを話し、学園長の言葉を待つ。
「その桜通の噂じゃがな、エヴァンジェリンがそれを行っているということは解っておったんじゃ」
「…やはりそうでしたか」
噂とは何か根拠があって発生することが多い。
そして今回の様に犠牲者が出ていればこの学園にいる魔法使いが調査するのは当然のことだろう。
「それで彼女には注意を?」
「いや、まだしとらん。そろそろしようと思っとったんじゃ。今回を期にするつもりじゃよ」
ならば大丈夫だろう。彼女も何だかんだ言って学園長の言うことはだいたい聞くしな。
「しかし何故彼女は今頃血を?」
俺がここにきてから彼女が誰かの血を吸ったという話しはほとんど聞かない。
「おそらくネギ君が来たからじゃろうな」
「ネギ君が?」
「そうじゃ。エヴァンジェリンの呪いの事は知っとるじゃろ?」
黙って頷く。
確かネギ君の父親にかけられたとか。
「それを解く方法の一つに、呪いをかけた者の血縁者の血を吸うという方法があるんじゃ」
・・・・なるほど、ネギ君の血を吸うために現在力を集めていると。
「ではこの事はネギ君に?」
すると学園長は暫くう~むと考え始めた。
おや?てっきり俺はすぐに知られると思ったのだが。
「それなんじゃがな、言わないことにするわい」
「―――――何故ですか?」
「うむ、ちょっとの」
と、フォフォフォと笑い出す学園長。
どうやら図書館島の時と同様に何か良からぬ事を考えているらしい。
「・・・・何を考えているのかは知りませんが、俺は何の責任を取りませんよ」
「わかっておるわい、責任を取るのは年寄りの仕事じゃ」
その日の晩、もうすぐある停電などの報告などで少し遅くなった俺は帰り道を歩いていると、何やら上から叫び声が聞こえてきた。何かと思い上を向くと、
ネギ君とエヴァが空で追いかけっこをしていた。
・・何というかあれだな、隠す気あるのかあいつら。
そう思いながら彼らを追いかける。
その間にも空からは幾つかの爆発音が聞こえている。
あ、脱げた。
エヴァのマントがコウモリに変わり、彼女は下着姿になり近くの屋根に降りた。
その建物の下に向かいながら彼女たちを見ていると、新たに絡繰が登場。ネギ君を捕まえ、エヴァが彼の血を吸おうとする。
本来ならここで止めに入るべきだが、個人的には別に良いんじゃないかと思っている。
エヴァは女子供は殺さないって聞いており実際そうらしいのでネギ君を殺しはしないだろう。呪いは別に解けても俺的には全然構わない。それにより俺が困ることはなさそうだし。
それにエヴァとネギ君のどっちにつくかと問われれば迷い無くエヴァの方に行く。彼女には世話になってるしな。ネギ君には悪い印象はこれっぽっちもないが付き合いが短すぎる。
というわけで今回彼には我慢してもらおう。貧血にはなるが若いんだからすぐに回復するはずだ。
そう思ってエヴァを心の中で応援していると、
「ウチの居候になにすんのよ―――っ!」
「はぶぅっ!!」
神楽坂がエヴァを蹴り飛ばした。
‥‥どうやって来たんだ、あいつ。たしかあそこは八階の屋上だぞ。
エヴァは蹴られた部分を手で押さえながら絡繰と共に後方へ飛んで屋上から落ちた。
その後すぐに絡繰の腕に乗り俺のいる所の近くに降りた。
「おい、十六夜」
エヴァが俺の名を呼ぶ。
「なんだ、バレてたのか」
そう言いながらエヴァに近づく。
「バレるも何もお前隠す気なかっただろう」
「まぁな」
俺はジャケットを脱ぎ、下着姿の彼女にかけてやる。
「しかし思いっきり蹴られたなお前」
「うるさい、なぜだか知らんがあいつ、私の魔法障壁を無効化した」
あいつとは神楽坂のことだろう。
しかし魔法関係のことはいまいち解らないので無視して蹴られた所を見る。
「蹴られたところ、しばらくは腫れが治まらないが自業自得と言うことで我慢しとけ」
「フン」
と頬をさすりながらそっぽを向くエヴァ。
俺はそれをみて少し笑いながら、
「とりあえず今日は帰れ。絡繰、後は頼んだぞ」
「はい、わかりました」
ペコリとお辞儀する絡繰。
そして、じゃあな、と俺は彼女たちと別れた。
その後寮へ帰った俺は、管理人室にいた近衛と何故か服を着ないでバスタオルを体に巻き付けただけの宮崎に無言のおかえりなさいを言われ、状況が掴めずフリーズしている所を撫子に顔面を殴られて部屋を追い出された。
・・・・・Why?
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