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英雄のタクティクス その二 失った力(×FFT) 投稿者:かい 投稿日:04/09-04:42 No.173

「うぅ……」



目が覚めたラムザが最初に見たのは、真っ白な天井であった。

ラムザは、覚醒しきっていない頭で自分の身に何があったのかを思い返す。



「そうだった、転送装置が暴走して……」



試しに右手を開いたり閉じたりしてみた。どうやら体は動かせるようである。

今度は体を起こし、あたりを見回してみた。





高さが数十センチ程の箱状の物体に細長い物体がくっついた物、先端には、何か書かれている円形の物体もついている。

また、別の所に、白地に赤い十字架の絵がついている箱が戸棚に置いてあったり。



見れば見るほど、ラムザには見覚えの無い物ばかりった。



「やっぱりココは……」

異世界、である。



しばらく呆然としていたラムザだが、頭が覚醒するにしたがって、ある違和感に気付く。



「そうだ……! 荷物!」



ラムザは寝ていたベッドから起き上がり、あたりを探し始めた。

しかし、一向に彼の荷物が見つかる気配は無かった。



「そ、そんな……」



あの荷物袋に入っているのは、ただの荷物では無い。

中には、使い方次第ではこの世界を滅亡させかねない物まで存在する。

もし、よからぬ事を考える者の手に渡れば、大変な事になってしまう。



そして、ラムザはもう一つの違和感に気付いた。



いつも自分と共にあった『何か』が足りない。

その『何か』が何なのかは、まだわからないが。

しかしその違和感は、昔感じた事もあったような気がした。その時は『違和感』では無かったが。



「……なんだろう? 何かが違う……」



ラムザの頭にある可能性が浮かんだ。

しかし、そんな事ありえない。いや、ありえないでいて欲しかった。





「まさか……」



それが嘘であるのかそうでないのか。それを確かめるように、ラムザは目を閉じて集中し始めた。

もし、ラムザの考えた可能性が違うのであれば、ラムザの何かが変わるはずであった。



しかし、どんなに集中しようが、ソレは変わる事は無かった。

ラムザの考えた可能性が当たったのである。



「うそ、だ……」



ラムザの考えた可能性。ソレは、彼が自分の世界で手にいれた『力』をすべて失っていた事であった。

理由は解らない。この世界に来た時のショックのせいか。それとも、もっと他の何かだろうか。

しかし、嘆いたところで状況が変わる事は無い。



と、その時であった。





「あれ、もう起きても大丈夫なんか?」

「よかったわ。目が覚めて」



二人の女性が部屋に入ってきた。



一人は見た事も無い服を着た、黒髪の女の子。

もう一人は、これまた見た事も無い服を着た、眼鏡を掛けた女性であった。





「あ……。えっと、貴方達は……?」



「ウチは近衛このか、この学校の生徒や。倒れてた君をココまで連れてくるの大変だったんやから」

「私は源しずな。この保健室の担当教師よ」



挨拶されたら返すのが礼儀。昔からそう教えられてきたものである。



「あ、僕はラムザ=ベオルブです。……あの、ココはどこなんでしょうか?」



名乗ったところで、ラムザは一番聞きたかったことを聞く。

まず異世界に来てしまった以上、場所の確認が最優先なのである。



「ココは麻帆良学園女子中等部の保健室やで」



まほらがくえん……?

聞いた事の無い地名である。異世界だから当たり前だが。



「このかさんの話だと、貴方外で気絶していたらしいけど、なぜ気絶していたの?」

「え……」



異世界から来たためです。などと言えるはずが無い。

仮に言った所で信じてもらえるわけが無い。

ラムザは頭を高速回転させ、誤魔化す言葉を必死に考えた。



「えっと……、実は道に迷って行き倒れていたんです」



適当なのもいい所である。

我ながらもうちょっとウマい誤魔化し方を思いつかないのか。

ラムザはそう思ったが……。



「そうなんか~。大変やな~」

「そうなの、可哀想に……」



「え?」



誤魔化せた。なんなんだこの人達は?

まぁ誤魔化せたなら誤魔化せたで好都合である。



「ところで、何か袋みたいな物を見ませんでしたか?」



話を聞く限りではこの、このかとかいう女の子が自分を発見したようである。

ならば荷物の事も知っているかもしれない。



「あぁそれならウチのじいちゃんが持ってるえ」



「じ、じいちゃん?」



「この学校の学園長よ。さっき貴方の事を報告しに行ったら、少しソレを見せてくれないかって」



もしかして『アレ』に気付いたのだろうか?

ラムザは少し心配になった。

その学園長とやらが良人ならいいが。もし悪者だった場合は……。



「このかさん、もし良かったらその学園長さんの所に連れて行ってくれないかな?」



「うん、もちろんいいえ。こっちや」



ラムザの頼みを了承すると、このかは部屋の外へと歩き出した。

ラムザもしずなに一例すると、ソレについていった。












「ここや」



そう言うとこのかは、扉をノックし『じいちゃん入るえ~』とだけ告げ、扉を開けた。

中に居たのは、机に座っている。少々、いやかなり頭が長い老人であった。

おそらくこの人物が学園長だろう。ラムザはそう確信した。



「ほう、このかか。どうしたんじゃ?」



「あんなぁ。この人がその水晶返して欲しいて」



……水晶? 確かにソレも入っている。いや、むしろとても大事な物である。

しかし、他の荷物はどうしたのか。

このかの言い方は、まるで最初から水晶しか入ってないような言い方であった。



「あの、このかさん。他の荷物は?」



「え、最初から水晶しか入ってなかったえ?」



ラムザは愕然とした。いや、一番無くしてはいけない物が残っていただけマシなのだが。

それでも、あの袋には貴重品が山のように入っていたのだ。

そう簡単に割り切れる物ではない。





「ほう、君が……。このかや、ワシはこの人と話がある。悪いが部屋から出てくれんか?」



「うん、わかったえ」



そう言うと、このかは部屋から出て行ってしまった。



ラムザと言うと、まだショックをうけたままだったとか。



ともかく、部屋に残ったのはラムザと学園長だけになった……。








続く……。

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