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英雄のタクティクス その三 若者の就職(×FFT) 投稿者:かい 投稿日:04/09-04:43 No.174

「さて、まず君には幾つか聞きたい事があるんじゃが……、その前に君の名を聞こうかの」



なんとかラムザをなだめ、学園長はようやく話を始める。

当のラムザはまだ少し落ち込んでいる顔をしているが。まぁ話くらいはできるだろう。



「ラムザ=ベオルブです……」



「ふむ、ではラムザ君。さっそくコレについて聞きたいのじゃが」



そう言って学園長が取り出したのは、黄道十二宮の『巨蟹宮(きょかいきゅう・蟹座)』の印が掘り込まれた水晶塊であった。

もちろんラムザには見覚えがあった。

むしろ、とても大事な物である。彼にとってもこの世界にとっても。



「まず聞きたいのは、この水晶の持ち主は間違いなく君じゃな?」



「……はい」



学園長は『ふむ』とだけ言い、質問を続ける。



「この水晶を調べた所、とんでもない程の魔力を感じたんじゃが、一体コレはなんなんじゃ?」



「……」



「ふむ、答えたくないか。当然じゃな」



そう言うと学園長は席を立ち、ラムザの目の前まで寄って来た。

そして水晶を手に持ち、再び喋り始めた。



「ならコレはどうじゃ。君がコレについて教えてくれえると言ってくれたら、コレを返そうではないか」



交渉、のようである。



この人物はこの学校の学園長だと聞いた。

となると、応援を呼ばれれば、今のラムザに勝ち目は無い。

ココは素直に応じるのが得策である、が。



「この水晶だけではダメです。他の水晶も一緒に返してください」



ラムザはそんな物に臆するほど臆病でも無い。無鉄砲とも言うが。

だがそんなラムザの勇敢な態度は無駄に終わる事となる。

とんでもない事実と共に。



「フォ? 最初から君の荷物はこの水晶一個だけじゃったが」



ラムザは耳を疑った。水晶が一つだけ?

そんな馬鹿な。ならば他の水晶はどこに行ってしまったのか。



「な……! じょ、冗談はやめてくださいよ!」



「冗談ではないぞ。なんならこの場にこのかを呼んで聞いてみるかの?」



学園長は自信ありげにそう言い放つ。

おそらく本人の言うとうり、この場にこのかを呼んでも事実が覆る事はないだろう。



「そ、そんな……」



「そんな落ち込むとはのう……。よっぽどコレはとんでもない物なんじゃな。ラムザ君、頼むから話してくれんかのう。君の話じゃコレと同じ物が他にもあるんじゃろう。ワシは関東魔法協会の理事なんじゃ。そのようなとんでもない物を放っておく訳にはいかんのじゃよ」



学園長の言葉に、ようやくラムザも話す決心がついた。

関東魔法協会。前半の関東というのはともかく、魔法協会という所の理事なら、確かに悪用するとも思えない。

もし、その関東魔法協会とかいうのが嘘だとしても、どの道ココにあの水晶はもう無いのだ。話しても変わりはしないだろう。





「わかりました……」





その水晶の正体は、ラムザの世界では『ゾディアックブレイブ』と言う神話に登場した『ゾディアックストーン』である。

水晶は全部で十三個存在し、それぞれに神秘的な力が宿っている。



かつてラムザの住んでいた大陸、イヴァリースでは、七つの小国がそれぞれの領地を広げようと、途方も無い戦争を繰り広げていた。

そんな中、七つの国の一つ『ミュロンド』の王が、秘術を用いて魔神を呼び出し、その力を利用しようとした。

しかし呼び出した悪魔は、王を殺すと、すぐさま世界を滅ぼそうとした。



そんな時、一人の若者がこの『ゾディアックストーン』を、十二人の使途と共に集め、魔神達へと挑んでいった。

魔神を、見事倒した使途達は、魔神たちを魔界へ送り返す事に成功した。



これが、ラムザが住む世界の住人なら、誰でも知っている『ゾディアックブレイブ』である。





しかし、この水晶の本当の姿は、使う者によって様々な力を見せる魔水晶であった。

絶望する者には、魔神との契約を結ぶための仲介者になり

死者の死を悲しむ者には、その魂を死者の体へと呼び戻す聖者にもなる。



実際、ラムザはそういった水晶の力を目の前で何度も見てきたのである。





ラムザはそこまで学園長に教えると、最後に、自分達はこの水晶を『聖石』と呼んでいる事を伝えた。

本当は、この話にはまだ続きがあるのだが、ラムザはソレを胸の中にしまい込んだ。

ちなみに、自分の世界の神話を話す際、ラムザは自分が別世界から来た事も一緒に告げた。





「ふぅむ……という事はコレがよからぬ事を考える者に知られる前に早い所集めないといかんのう……」



「はい、そうなります。ですから僕は一刻も早く聖石を集める旅にでないと「まぁそう慌てなさるな」



ラムザの言葉を制した後、学園長はしばらく考え込み、再び語りだした。



「焦っても仕方あるまい。先程も言ったとうり、こちらとしてもそのような危険な物を放置するわけにはいかん。

この学園にいれば表裏問わず様々な情報が手に入る。しばらくこの学園にいて情報収集をしたらどうかの」



確かに、闇雲に探したって見つかるわけが無い。

それなら情報力がある所で探した方がよっぽどいいのだ。

この学園長も協力してくれるようであるし……。



ラムザは学園長の提案に乗ることにした。



「わかりました。でもそうなると仕事や住む所が……」



「それなら問題無い。もう一度いくつかの質問に答えてくれればの」



「え?」



なんだかよくわからないが、とりあえずラムザは質問に答えることにする。



「まず、君は学力とかはどれくらいあるかの」



「……? いちおうアカデミーでは良い方でしたが……」



「ほうほう。では、人前に出たりするのは得意かの」



「……まぁ、いちおう昔はある隊のリーダーをやってましたので、人前にでるのは平気ですけど」



「ふむ、じゃあ最後の質問じゃ。君は女の子に囲まれても平気かの」



「……い、いちおう平気ですけど。隊にも女性は結構いたし……」



さっきと違って、質問の内容になんの意味があるのかさっぱりわからない。特に最後のが。

悩むラムザをよそに、学園長は先程の真剣さはどこへいったのか、明るく言い放った。



「ふむ、合格じゃ。君にはココで教師をしてもらおう」



「…………はぁ!?」












続く……。

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