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英雄のタクティクス その九 悲劇を呼ぶ親切心(×FFT) 投稿者:かい 投稿日:04/09-04:46 No.180

「はぁ~……。今日は散々だったなぁ……」



生徒達の通学路(と思わしき道)を歩きながら、ラムザは"ふぅ"と息を吐く。

流石に女子中学生の相手は疲れる。



結局あの後、またしても神楽坂明日菜と雪広あやかが喧嘩を始めてしまい、その騒ぎを静める内に授業が終わってしまったのだった。

後から聞いた話だが、あの二人はよく喧嘩してるから気にしていたらキリが無いんだとか。

いわゆる喧嘩友達と言った所か。



昔ラムザが纏めていた小隊にも、そのような者達はいたので、今回は目を瞑る事にした。





「さてと、まずは晩御飯の材料を調達して、今日から住む場所で荷物整理して…………ん?」



ラムザがこれからの予定の整理をしていると、数十メートル先に人影のような物が見えてきた。

近づくにつれて解ったが、どうやらその人物は本を沢山持ちながら歩いているようである。少々歩き方が危なっかしい。

さらに近づくと、ラムザはその人物に見覚えがある事を感じた。



ラムザは自らの記憶辞書を開く。





思い出した。

あの暗紫の髪をした前髪で目を隠した少女。名は確か……宮崎のどか。



記憶が確かなら、図書委員をやっているんだとか。

成る程、だからあんなに沢山の本を持ちながら歩いているのか。ラムザは納得がいった。



しかし、持ってる量が少々多すぎはしないか?

彼女の危なっかしい歩き方からも、その大量の本が、彼女にとって重い物である事はすぐに理解できる。





ラムザは、歩みの速さを上げた。

元々、宮崎のどかは大量の本を持っていた為、ラムザはすぐにその少女に追いついた。



「宮崎さん」



「ひゃぁ!? ラ、ラムザ先生!?」



少々、いやかなりのオーバーリアクションで彼女は、呼びかけに応じた。それでも本は落としていない。流石は図書委員(?)

いや、実の所彼女は男性恐怖症なので、これくらいの反応が丁度良いのかもしれない。



だがそんな事をしらないラムザは、とても普通に接する。ソレが彼女にとって嫌な事なのだが。



「重そうですね。手伝いましょうか」



とても(少なくとも本人にとっては)親切な事をラムザは提案した。おせっかいとも言う。

しかし男性恐怖症の彼女にとって、ソレはちょっと勘弁して欲しいものである。



「いえ、でも、あの、め、迷惑ですし……」



先程も述べたとうり、彼女が男性恐怖症である事は、ラムザは知らない。

そのため、ラムザは彼女がただ遠慮しているだけだと思ってしまう。





「遠慮しないでもいいですよ。ほら」



そう言って、ラムザはのどかが持っていた本の半分を"ひょい"と持ち上げる。

親切心というのは時には迷惑にもなる物である。コレが良い例だ。



「(ふぇ~ん……)あ、ありがとうございますぅ……」



流石に、親切心で持ってくれた相手に"いいです。返してください"と言うのも失礼である。

なので彼女は、心とは反対の事を言わざるをえなくなってしまった。



少々哀れである。







そして数分後……。





本を持ちながら並んで歩く二人。

ラムザが時折話し掛けるが、のどかはと言うと、"えー"とか"はい"とボソッと言うだけで、全然話が弾まない。

いちおうラムザはラムザなりに、会話でスキンシップをとろうとしているのだが。

本人にとっては、もう一緒に歩くだけで一杯一杯なのである。もちろん悪い意味で。



「(ふぇ~ん……。夕映助けてぇ……)」



彼女はさっきからこんな事を考えている。

ちなみに夕映とは、彼女の友人である"綾瀬夕映"の事である。



とは言っても、仮にその場に夕映が居たとしても"のどかの男性恐怖症を治す良い機会です"とか言って助けてくれそうにないだろうが。



のそかのそんな様子を見て、ラムザは"ひょっとして嫌われている?"とか思ったりしたが、別に嫌われる事をした覚えが無いため、気のせいだろうと、考えるのをやめてしまった。

本当は、まったくもってそのとうりなのだが。彼がこの場でソレに気づく事は、おそらく無いだろう。



哀れなり宮崎のどか。

おそらく彼女の精神力も、そろそろ限界に近いだろう。というかもう限界を突破してるかもしれない。



そして下り階段の上に差し掛かったときだった。



「あの、宮崎さん」



「ひゃああ!!」



どうやら限界が来てしまった様だ。

ラムザの声に、異常なまでに反応したのどかは、体を仰け反らせ、後ろに倒れこむ形になってしまった。



だが、先程述べたように、ココは階段の上。

つまり……。



「きゃああああ!」



数メートルはある階段の上から、宮崎のどかは落ちてしまった。

この高さから落ちれば唯では済まない。むしろ打ち所が悪ければ……。



「み、宮崎さん!」



助けようとしたラムザだが、あいにく両手が本で塞がってしまっていた。

急いで本を放り、手を伸ばすが、その本を放ったわずかな間に、無情にも彼女の体は彼の手には届かない所まで落ちてしまっていた。



手を伸ばした勢いで、ラムザは下を覗き込んだ。

彼女の体はなおも落下を続ける。



ラムザは最悪の事態を覚悟した。

しかし……。






フワッ…… ズサーッ! アデデデデ!





のどかの落下は止められた。

誰かはわからない。



見ると、彼女の下に誰かが下敷きになっている。

おそらく彼だろう。



下を覗き込み、ラムザはのどかを助けた人物の顔を確認しようとした。

しかしすぐにソレが誰だか気づいた、ラムザにはその人物には見覚えがあったからである。







ネギ君だ。



彼が宮崎さんを助けてくれたのか?



でもどうやって?





ラムザは下を覗き込んだ時に起こった事を整理する。





確か、宮崎さんがドンドン下に落ちていったんだ。

そして地面にぶつかる直前、宮崎さんの体が"フワッ"と浮いたんだった。

レビテトか何かだろうか?

そしてその後、小さな影が、あり得ない速さで滑り込んできた。おそらくネギ君だ。

今度はヘイストかな?



フワッと浮いたのや、あのあり得ない速さは、人間の限界を超えている。

要するに魔法だ。それ以外考えられない。



成る程、ネギ君って魔法使いだったのか。

レビテトやヘイストを使うと言う事は、彼は時魔導師なのかな?





そこまで考え、ラムザは階段を急いで下りていく。

もちろんネギにお礼を言うためだ。



理由は解らないが、宮崎さんはラムザのせいで落ちてしまったのだ。

どちらにせよ、お礼を言うのは人として当然だ。





しかし、ラムザが下に着いた時には、既に彼の姿は無く、呆然とするのどかのみが残っていた。

幸い、怪我は一切無いようである。



どうやらネギは"もう一人の目撃者"に連れて行かれたようである。

仕方ない、お礼は後で言おう。



ラムザはそう決め、のどかが起きる手助けをするのであった。



「宮崎さん、大丈夫ですか?」



「ひゃあ!」



……まだ慣れていないようである。










続く……。

英雄のタクティクス 英雄のタクティクス その十 すれ違い

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