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英雄のタクティクス その十三 仲間を求めて(×FFT) 投稿者:かい 投稿日:05/04-21:21 No.441



『イヴァリース 機工都市ゴーグ ブナンザ宅』


ブナンザ宅の地下室。今日はさほど広くも無いこの部屋に、めずらしくも大量の人間が集まっていた。
その大半は厚手のローブと三角帽子を着け、顔すらもまともに見えない格好をしている。
かろうじて見えるのはローブと帽子の間から覗く、ギラリと光る目のみである。

この怪しい格好をしている人物達を、この世界では『黒魔道士』と呼んでいる。
黒魔道士というのは、この世界における四大元素を使った魔法を使用する魔道士達の総評である。

その黒魔道士達が、地下室の中心に置かれている巨大な機械を取り囲み、佇んでいる。
周りから見たら、かなり不気味な光景である。


「というわけで、ラムザさんと同じ世界に行くことは可能です。けれど座標まで同じにする事はできません」

「なるほどなぁ。下手すりゃあ、いきなりやばい所に出る可能性もあるのか……」

「厄介だな……」

ムスタディオとアグリアスが、地下室の隅で学者から何か説明を受けている。
ついに別次元の世界に行く装置がやっと完成したらしく、その説明をうけているのである。

学者によると、聖石の魔力を電気で完全代用するのは無理だったらしく、ある程度の不具合がでてしまうらしい。
その不具合とは、ラムザが行った世界に行く事は可能らしいが、出る場所までは制御できないらしい。

つまり、ラムザのいる世界に出ても、ラムザと同じ場所に出るとは限らないらしい。

「なるべく同じ場所にでる要にしたのですが、大体10~100kmの誤差はでると思われます」

「やけに大雑把だな……」

「いいじゃ無いか。これでラムザを助けにいけるならな」

不安に思うムスタディオ。それとは対照的にアグリアスはやけに張り切っている。顔には出ていないが。
一通りの説明を終えた学者は、後ろにいたもう一人の学者から何かを受け取り、ソレを二人に渡した。

「なんだコレ?」

「この機械を小さくしたものです。こちらに戻る時に使ってください」

ただ、小型であるため、一度しか使えないらしい。
ラムザを見つけて戻ってくればいいので、一度で十分だが。


「ではそろそろ……」

「あぁ、じゃあ始めてくれ」

ムスタディオとアグリアスが、機械のそばによりそう言うと、ソレを取り囲んでいた黒魔道士達が一斉に呪文を唱え始めた。
機械の動力となる電気を、これから作るのである。

「天空を満たす光 一条に集いて……」

魔道士達の呪文が完成に近づくにつれ、場の緊張も高まっていく。
特に、一番重要な役であるムスタディオとアグリアスの顔は、とても険しくなっている。

「(待ってろよラムザ……)」

「(この剣に誓い必ず助け出すぞ、ラムザ)」


「神の裁きとなれ……」

魔道士達の掲げた手に魔力が集中していく。
ソレと同時に、アグリアスが腰に付けている剣を抜き、機械に向け構える。

「サンダガ!」

「無双稲妻突き!」

魔道士達の手から、そしてアグリアスの剣からそれぞれ異なる電気が放たれる。
その電撃を余すこと無くすべて受け入れた機械は、激しく作動音を上げ始める。
少しの間作動音を上げて後、機械は突然激しい光を発し、二人を包みだした。

「……!」

光が消えた後、すでに二人の姿は無かった。
こうして二人もまた、異世界へと旅立っていった。








そして……。











何も無い空間に、バチバチと電磁音が鳴り出す。
僅かな間鳴った後、突然空間が爆発を起こした。

煙が引いた後、その場所に二人の人が立っていた。
そう、ムスタディオとアグリアスである。

「つ、着いたのかムスタディオ?」

「俺に聞くなよ……。多分着いたと思うぞ」

ぼやける意識が回復した後、二人は周りを見回してみた。
どうやら地下のようである。

壁や天井の所々から木の根のような物が飛び出しており、どこからともなく光が差し込んでいる。
目線を下に向けると、本棚が埋まっていたり、湖に沈んでいたりする。
しかし、どれも痛んでいる様子は無い。不思議なものである。
そして後ろを見ると、巨大な石製の扉が聳えている。

「なんだか幻想的な所だな……。本当にココにラムザがいるのか?」

「さぁ……。ソレは探してみないと……うわ!?」

突然ムスタディオに何か、巨大な水滴が降って来た。
ソレをまともに受けたムスタディオは当然びしょ濡れになってしまった。

「なんだこりゃ!? うわ、ベトベトする!」

「いったいなん……!? おい、ムスタディオ。後ろだ!」

『後ろがなんだ?』と、頭に浮かんだ疑問を解決するべく、ムスタディオは後ろを振り向く。
そこに居たのは……。

「グルルルルゥ……」

身の丈をメートルで数えると二桁までいきそうな、巨大な竜であった。
先程ムスタディオに降りかかった液体は、どうやらこの竜の垂らした涎みたいである。

「で、でか!?」

「まったく、別世界に来ていきなり戦闘をするはめになるとはな」

そう言うと、アグリアスは腰に着けている剣を抜き、戦闘態勢に入る。
それを見たムスタディオは、驚愕の表情を浮かべる。

「な、戦う気か!?」

「当たり前だ」

アグリアスが戦う気がある事を理解したのか、竜が雄たけびを上げながら襲い掛かってきた。
ソレを見たアグリアスは『おもしろい』と言った表情を浮かべる。




勝利条件 巨竜 ワイヴァーンを倒せ!
READ……「馬鹿野郎!」





突然、ムスタディオがアグリアスの腕を掴み、そのまま竜とは反対方向へと走り出す。

「な……! ムスタディオ!?」

「あんなでかいの、仲間の援護も無しで倒せるわけ無いだろ!」

彼の言うとうり、彼らもまた、ラムザの小隊の一員であったため、戦闘も仲間と協力して行ってきたのである。
しかし、この場には彼らの仲間達はいない。当然、援護も無しである。

仲間の援護無しで、この巨大な竜に勝てるかどうかわからないのである。
仮に勝てたとしても、唯では済まない事は目に見えている。

これからラムザを探さなくてはならないのに、怪我などしては意味が無い。

その事を理解したアグリアスは、しぶしぶと逃げる事を承諾した。


しかし、竜の方もただ逃げる二人を見逃すほど甘くはなかった。
二人が逃げようとしているのを理解すると、ドスドスと地響きを鳴らしながら追いかけてきた。

「おい、追いかけて来るぞ!」

「チッ、しょうがないな……」

そう言うと、ムスタディオは、後ろに背負っている荷物から、何か細長い物体を取り出した。
彼はその物体の、筒状になっている部分を竜の足に向けると、引き金になっている部分を引く。

パァン!

竜の足に衝撃が走った。
足に走る謎の激痛を無視しようと、竜はしきりに足を動かすが、どうやっても動かない。

ムスタディオが使った物体は『銃』と呼ばれる古代の機械を、彼の暮らす街の技術で復活させた物である。
と言っても、この世界でも銃はよく知られているので、あまり説明は必要無いだろうが。

ともかく、足を撃たれた竜は、最早足で彼らを追う事が出来なくなってしまった。
そう、足では。

「よし、これで追っかけてこれまい」

「よくやったムスタ『バサァ!』

二人が何の音かと思い、振り向いてみると、竜が翼を広げてバサバサとばたつかせていた。
その直後、地を蹴り空を飛び、こちらへと向かってきた。

彼らの住む世界の知識として、竜は翼はあるが空は飛べない生き物であった。
その事によって、彼らは『足を封じれば追いかけて来れない』という先入観が生まれていた。

それが間違いだったのである。

「と、飛んだだと!」

「アグリアス! 走れ、急げ、逃げろ!」

全力で走る二人。
それを逃がさんとばかりに迫って来る竜。
別世界に来ていきなりこれでは、先が思いやられそうである。


『ラムザ、私は負けないぞ! 絶対見つけ出すからな!』





その頃、ラムザは……。

「中等部、一名アウト! 残り二十一人です」

「なにいきなりやられてるのよ先生!」

「そんな事言われても……」

ドッチボールでアウトになっていた……。






Chapter1 そして若者は旅立つ




続く……。

英雄のタクティクス 英雄のタクティクス その十四 思いは一所へ

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