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英雄のタクティクス その十五 落下物注意(×FFT) 投稿者:かい 投稿日:06/04-21:22 No.674
「アスナのおさるー!」
「皆ごめーん!」
図書館島に本を探しに来ていたバカレンジャーとその御一行は、現在落下中であった。
ようやく目当ての本を探し当てたと思ったら、突然巨大な石人形が動き出し、問題を吹っかけてきたのだ。
そしてその問題の回答を間違えたため、こうして足場を砕かれ、落下してしまったのである。
一方その頃……。
足場を砕かれ落下している少女達の場所から遥か数百メートル程下に行った所。
服や身体に焦げ跡やら埃やら蜘蛛の巣やらをこびりつかせ、ぐったりとしながら歩いている若者二人がいた。
そう、ムスタディオとアグリアスである。
以前、この世界に来て竜に襲われてから早数日程経っていた。
竜をなんとかやり過ごした二人は、とりあえず人里、もしくは地上を目指していた。
しかし、数日彷徨ったが一向に見つかる様子は無かった。
というか、同じ場所を行ったり来たりしている予感すらする。
なにせ同じような風景ばかりだから、自分達の居場所がいまいちわからないのである。
「なぁ、ムスタディオ……。私たちがこの世界に来てからどれくらい経つ……?」
「……知るか」
太陽すら見えないこの場所で時間を知る方法など、最早皆無である。
ちなみに持ってきた食料も、そろそろ入れ物の底が見えるくらいになってきた。
腹時計だけで判断するなら二、三日は経っている。
水だけならそこら辺に余るほどある。
だが浴びるだけならともかく、飲むのには流石に抵抗がある。
なにせ、その水が綺麗だという保障はどこにも無いからである。
まぁ見た目は綺麗なのだが。
「……だめだ。もう限界だ」
「限界って何が……!?」
突然アグリアスが鎧を脱ぎ始めたでは無いか。
ムスタディオはわけがわからず、とりあえず目を手で覆った。
しかしお約束なのか、指の間からしっかり見ていたりする。
アグリアスが鎧をすべて脱ぎ、軽い格好になった状態で動きが止まった。
普段から鎧姿のためか、こうして布製の服装だけになっていると、どこにでもいそうな町娘である。
力に似合わず、力を入れれば折れそうな程華奢な肉付きをしている。この状態では剣を持って戦う女剣士にはとても見えない。
ムスタディオが普段見ないアグリアスの姿を見ていると、突然アグリアスが口を開いた。
「水浴びをするからどこか見えない所に行ってくれないか」
どうやら限界というのは、汚れすぎて限界と言う事だったらしい。
たしかに、今の二人は見るに耐えないくらいに汚い。
おそらく、物置部屋に数日ほど放っておくとこうなりそうである。
あぁなるほどな。とムスタディオは頷き、近くにあった本棚の裏に退避した。
退避した後、本棚越しに布と肌が擦れる音が聞こえ、やがて水音がしだした。
「言い忘れたが、くれぐれも覗こうとするな。覗いたら命は無いと思え」
お前の怖さを知っていて覗く奴なんているわけねぇだろ。まぁ見てみたい気持ちも無いわけじゃないけどな、俺も男だし。
ムスタディオはそう考えながら、暇つぶしに本棚に置いてある本でも見てみることにした。
そんな時だった。
『うわぁあああ……』
「ん?」
どこからか声が聞こえてくる。
それも段々と近くなってきている。
どうやら上方から聞こえてくるようだが、どうも音源の姿が見当たらない。
そしてムスタディオがキョロキョロと周りを見渡していると……。
ゴチン! バシャン!
「ぬわぁあ……!」
鈍い音と水しぶきの音とアグリアスの悲痛の声が聞こえてきた。
ムスタディオは何事かと思い、本棚の向こう側に行こうとしたが、踏みとどまった。
今の声はただ事では無い。
しかしそれが思い過ごしなら、向こう側を覗いた瞬間殺されてしまう。
だからと言って覗かなければ向こう側の様子がわからない。
どうするか……。
「ど、どうしたアグリアス……?」
結局、声をかけて返事が無ければ覗くことにした。
……。
返事が無い。
これはただ事ではないと悟ったムスタディオは、本棚の向こうを覗いてみた。
そしてそこに広がっていた光景は。
気絶して横たわっているアグリアスの姿であった。
「あ、アグリアス!?」
それを見たムスタディオは急いでアグリアスに近寄る。
今のアグリアスの姿は、緊急事態なので気にしないで置く。
「おい、アグリアスどうしたんだ。おいったら!」
呼びかけても返事が無い。
どうしたものかとムスタディオが考えていると。
『フォオオ……』
またしても何か声のような物が聞こえてきた。
今度は何なのか、ムスタディオは急いで周りを見渡してみるが、何も無い。
まさか……と思い、ムスタディオは上を向いてみた。
そしてそこには……。
「ふぉおおお!」
「なぁあああ!?」
巨大な石人形が、今まさに自分の所に向かって落下してくる所であった。
ムスタディオは慌てて逃げようとしたが、気づくのが遅すぎた。
すでに石人形は、彼の数メートルまで迫っていたからである。
そして数秒後、その場に無駄に大きい水しぶきと、巨大な物質の落下音と、青年の悲鳴が響き渡った……。
そしてその数時間後、数百メートル程離れた場所で……。
「いた……」
「どうしたんですかアスナさん?」
「んー……。なんか頭痛いのよね。どこかにぶつけたのかな?」
「落ちた時にぶつけたのかもしれませんね」
「そうかもね。いたた……」
続く……。
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